「なぜ書けないのか?」から探る、80分の解答プロセスにおける課題点

こんにちは、うみのです。

(いちおう、6代目の中ではリーダーという体になっておりますが、そんなに大した立場でもなく…他のメンバに無茶振りをするくらいのことしかしておりません)

 

さて、今週は「80分の解答プロセスの確立」を主たるテーマとして記事を構成しております。

そして、解答プロセスの構成要素としてオーソドックスに用いられるのは

 

「読む」「考える」「書く」

 

の3つの要素なわけですが…

 

皆さんはどのプロセスに課題を感じておられるでしょうか?

 

恐らく、「解答がうまく書けない…」「どう書いていいか分からない…」と、「書く」プロセスに課題感を持っているケースが多いのではないかと思います。

文章力を高めようと、ロジカルライティング系の書籍を紐解く受験生も多いのではないでしょうか。

 

でも、本当に「書く」プロセスが課題なのでしょうか?

 

私は「ふぞろいな合格答案8」の執筆メンバの一人ですが、約184件の再現答案をもとに分析する過程で、「B/C評価の答案」によく見られるパターンと、80分プロセスのどのようなところに落とし穴が生じやすいのかについて色々と気付きを得ることがありました。

 

そこで、今日は上記の疑問を出発点に、私なりの考えをお伝えしたいと思います。

 

 

課題を「なぜうまく解答を書けないのか?」とすると…

その原因の具体例として、B/C答案においてよく見られるものから6つ、以下に挙げてみます。

 

①    盛り込むべきキーワードが不足している

主に与件文の抜き出しのみで解答が構成されているパターンです。

この場合、80分の解答プロセスそのものではなく、与件文で述べられている事象に対して一次知識の対応付けが十分でない可能性があります。

対策としては、一次知識の体系化や、与件文・設問文への一次知識の対応付けが不足していないかを振り返ってみると良いかと思います。

 

②    問われたことに答えていない

岡崎氏の「あなたは問いに答えていますか?」にもありましたが、設問文で「〇〇について答えよ」とあるのに対し、「〇〇」についての解答になっていないパターンです。

岡崎氏が書かれているように「解答フレーム」を意識することもひとつの対策方法ですが、この場合において問題なのは、「なぜ題意を外してしまうのか?」ということです。

それぞれに理由はあるかと思いますが、「読む」プロセスにおいて、与件文と設問文をきちんと読めていない可能性を一度検討してみることをお勧めします。

与件文は、事例を問わず、基本的には

 

「創業から現在に至る成長の因果があり、今後の環境変化に応じた新たな成長に向けての課題がある」

 

というプロット(構成)で成り立っています。

設問文では、その構成に基づき、「現状及びそこに至る経緯の分析」「課題の抽出」「課題の解決方法」といった、与件文の核となるポイントについて問うています。

 

つまり、与件文の要点を洗い出すものとして設問文があり、設問文に照らし合わせることで与件文の因果が整理される。

そのように、与件文と設問文を対にしている軸こそが「題意」です。

 

与件文と設問文をぶつ切りで捉えていると、与件文に描かれていることをうまく整理できず、それによって設問文で問われている要点を見失う、という落とし穴に嵌りがちです。

以上が、「与件文と設問文をきちんと読解できているか?」を振り返ることをお勧めする理由です。

(2次試験においてよく言われる、「問われていることに素直に答える」のが難しいのは、そういう視点で読解するという認識を持ちにくいことにあるのではないかと私は思っています。)

 

 

③    制約条件を外している

これは単純に、「読む」プロセスにおいて、「設問文をきちんと読めていない」ことによるものだと思います。

(厳密に言えば、「読んだけどうっかり忘れた」ということかと思いますが、忘れてしまうということは、きちんと読めていないということです。)

 

単純なようですが、与件文や一次知識の対応付けに注意を向けすぎたがために、うっかり陥りやすいパターンです。

人の注意力の量は有限だと私は思っています。

一部分に注意力を向けすぎると、他の部分への注意が必ず疎かになります。

全体を通してバランスよく注意力を振り分けることは難しいですが、与件文と設問文をしっかりと読み取ることを意識して演習を重ねれば、バランス感覚は少しずつでも身に付いてくるはずです。

 

④    読みにくい文章になっている

B/C答案には、「何を言いたいのか」が一読して分かりにくい解答が多くあります。

特に多いのが、キーワードを詰め込むことに注意を向けすぎたがために、文章全体をわかりやすく整えることが疎かになり、主語と述語が対応できていないなど、日本語としての文法が成立していないパターンです。

文章力を高めるためのトレーニングを重点的に行う受験生もいるかと思いますが、2次試験は論述問題と言ってもたかだか多くて200字程度。その程度の文章量に対し、書く基礎力を鍛えることに重きを置きすぎるのは非効率であると私は思います。

効率性を意識すると、例として以下のような対策が挙げられるかと思います。

 

(1)一文を長くしすぎない(一文につき80文字程度を目安にする) 

(2)キーワードを盛り込むことよりも、結論とその結論に至る根拠や因果を明確にすることを意識する

(3)A評価答案の解答から、文章構成として分かりやすいと思えるものを取り入れる(=「パクッてカスタマイズ」)

 

セミナーで多かった質問に、歴代道場メンバがお答えします」の「Q2.文章の読み書きがとにかく苦手です。ただ、二次試験までの時間も短いので、読み書きについて個別に対策をするべきでしょうか。」に対する道場メンバの解答も参考にしてみると良いかと思います。

 

⑤    論点が不足している

B/C答案にとても多いのが、「ひとつの論点だけで解答を構成している」パターンです。

解答の文字数に論点の数を対応させる、ということはよく言われますが、この場合においての問題は、「考える」プロセスにおいて「論点には多面性がある」という原則に立てていないことにあるのではないかと思います。

例えば、事例Ⅰで「人事施策」に関する問いがあったとして、「報酬」という論点でしか解答できていないケースにおいては、そもそも人事施策には「採用」「配置」「評価(報酬)」「育成」という4つの論点がある、という視点が欠けている可能性があります。

この論点は「切り口」とも呼ばれます。

どのような問題に対してどのような切り口があるかについては、「2次試験合格者の頭の中にあった全知識」などによく整理されています。

このように切り口に沿って一次知識を整理することが「一次知識の体系化」において重要なポイントです。

解答用紙をどう埋めたら分からない…、マス目が大幅に余ってしまう…、という悩みを持つ方は、一度、「多面性」を意識して一次知識を再整理し、与件文の対応付けを行ってみると良いかと思います。

 

⑥    与件文から必要な要素を抜き出せていない

これは、「②問われたことに答えていない」とほぼ近しい原因である可能性が高いです。

つまり、「読む」プロセスにおいて題意を掴めていないため、重要なポイントを読み落としているパターンです。

与件文を読むうえで、キーワード(点)を拾う事ばかりに注意を向けていると、題意=全体のストーリー(線)を構成する「成長の因果」や「今後の課題」を把握しづらくなり、題意に沿って重要な記述を読み落としやすくなってしまいます。

題意に沿って与件文を整理することを意識してみると、全体のストーリーを理解しやすくなると思います。

 

 

上に述べた原因と対策はあくまでもひとつの例に過ぎませんが、「解答がうまく書けない」理由は、必ずしも「書く」プロセスのみにあるわけではないことはイメージできるのではないかと思います。

これらの例が、皆さんそれぞれの「書けない原因」にアプローチするための下敷きとなれば幸いです。

Follow me!

「なぜ書けないのか?」から探る、80分の解答プロセスにおける課題点”へ2件のコメント

  1. うみの より:

    アラフォーマン様

    コメントありがとうございます。
    また、セミナーにもご参加くださり、ありがとうございました。
    アラフォーマン様にとってタイミングの良い記事になれたこと、たいへん嬉しく思います。
    「パクッてカスタマイズ」は、ちょうどセミナーの直前頃にアップされていた記事からあるメンバが発見した法則ですが、実に本質を突いていると思っています。
    様々な対策を試しつつ、A評価答案を書けるようになるために何をパクるか、どうカスタマイズするか、PDCAを通してご検討なさってみてください。
    本試験まであと1ヶ月と1日。試行錯誤できる時間は十分にあります。
    頑張ってください。
    我々も試験前日まで役立つ情報をお届けできるよう心がけます。

  2. アラフォーマン より:

    うみの 様
    先日のセミナーにも参加させていただきました。
    パクってカスタマイズが耳から離れません。
    本日のブログ記事はまさに今自分がぶつかっている壁を越えることができそうなヒント、気づきが掲載されており、頭にスッとしみ込んできました。本試験までの限られた時間を有意義に活用し、試験当日に臨みたいと思います。
    以上

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です