★重箱の隅つつき論点④(最終回)★経営情報システム~どうしても食えない統計学(泣)

はい、ということで今日は重箱の隅つつき論点その④、統計学を考えるです。

和尚は一応大学の専攻は教育心理学です。故に統計が出来なければ、心理調査はもちろん、母集団の分布や異なる2集団に有意差があるかどうかの検定もままならず・・・。当時Excelなんてない時代からやっていたはずなんですけど・・・

平成13年からの情報システム分野の最後の2問、どうしても正答率6割を越えることができません!
統計学検定なる検定試験もちらりと覗いてきました。この診断士試験での統計学は、その1級にも匹敵するくらいの難易度ではないか、と推察します。
この記事を書くためにもう2ヶ月ちかく統計学の本を読み漁りました。10冊は超えたと思います。が、隅つつき論点①~③までと違って征服出来なかったことをここに告白します。

和尚が2ヶ月やっても・・・とは申しません。和尚この分野実はとっても弱かったりするかもしれません。
しかしながら、この2ヶ月苦しんだ経験からすれば、これは前回の法務における英文問題とは違って

「労多くして、益少なし」

の部類に入るものではないでしょうか。

故に、巷で言われているとおり、この2問を捨て問として扱い、他の問題で65%程度の正答率でこの情報システムを通過する、という選択肢をチョイスするのもあながち間違いではないと思います。ちなみに私H25年度の2問は全滅でした。

でも、それでも、とおっしゃる方。
ここは、謙虚な水準として
「情報システムにおける統計問題で5割の正答率を目指す!」
という目標に向けて、のお話と思って聞いていただければ幸いです。

1基礎力醸成
この統計学という学問、大学時代のテキスト引っ張り出して読んでみました。これです。

このテキスト、今ではセクハラと言われそうな内容盛りだくさん!もう絶版なのかしら・・・

なんで大学のときに困らなかったかと言えば、統計学は「あくまで道具」であり、その道具自体の知識を問うて「統計学が出来る」という筋合いのものではないからです。

一方、診断士試験の統計学分野、「統計学の知識を問う」問題が多すぎて、確率分布の種類と特徴覚えるのには、生半可な努力じゃちょっとついていけませぬ。

はい、文句言っても仕方がありません。ここは現実的な対応策として2つご提案申し上げます。

①財務分野の「投資セクション」における「リスクとリターン」「ポートフォリオ」を十分に理解する。

これは財務でもかなり出る分野なので勉強しておいて損はないです。ここでも統計学の手法「分散」「標準偏差」などが出てきますので、これが何を意味するかを徹底的に叩き込んでください。(経済学でも出る可能性あり)

②統計学の基礎を学ぶ
もう、時間も残されていませんし、本屋に行く時間も惜しい!とおっしゃる方。
ハンバーガー統計学
お勧めです。電車のなかでも読めますし、t分布、カイ2乗分布、分散分析くらいの基礎は「感覚で」わかるようにはなれると思います。

特に①は、財務との相乗効果も期待できますので、やって損はないかと思います。

2実際のテクニック習得
分布だけでも、正規、2項、z、t、F、分散、カイ(χと書く)2乗、ポワソン、ベルヌーイ、幾何、超幾何、指数、ウェルチ、2元配置分散、過去10年でこれだけの分布が出ているのに、覚えるだけでも大変じゃねーか!こんなもんやってられねーよ!と思う方。たぶん正解です。

それでも、それでも、統計学を愛してらっしゃるかた、
さまざまな確率分布 (probability distributions)ご覧ください。
この表により、かなり「分布」というものについて、分かりやすくまとめてあります。

その上で、和尚のワンポイントレッスン
★自由度とは?
例えば、赤、白、黄の3つの玉があったとします。
これをA君、B君、C君が順に選択して取っていく状況を考えます。
A君は赤白黄のうち「自由に」選べます、B君はA君の取ったあとの2つから「自由に」選べます、C君は残り
ものですので「自由には選べません」
よって、自由度は3ー1で2(自由に選べる数)となります。
「自由度=n(標本数)ー1」
H19年の第23問はこれだけで解けます。
H23年の第24問は選択肢アをこれで切れます。

3最後まで諦めない

最後に、去年H26年の第24問を使って
「あきらめたらそこで試合終了ですよ」ということをお教えします。根性と常識で解ける問題もある、ということで。
(和尚要約)
ある電機メーカーが、自社のシェアを調べたい。このシェアを推定するのに必要な標本数の計算式として、適切なものはどれか?

私ね、この問題さっきまで解けませんでした。信頼係数95%だから、正規分布が2.5%(片側)だから、その値は1.96とTAC模範解答には書いてありましたが・・・。
(それでも2つまでしか解答を絞れない)
こんなん、問題文の数値なんか読まんくても出来ることがわかりました。

それは・・・
計算してみる!
です。↓が選択肢です。もう一度申し上げると「市場調査をするのに必要なサンプル数は?」というのが問題です。

社会人の数学は「aboutな数値でも出りゃOK」と考えている和尚は、
各々の選択肢の2項目×3項目は
アとエ:大体3%
イとウ:9%
とはじきました。そうすれば、あとは1項目の計算のみ。
計算を続けると、
ア:2(1.96のaboutです)の2乗×100 ×3%=400 ×3%=12くらい
イ:65の2乗×9%=380くらい
ウ:2.6の2乗×9%=0.6くらい
エ:26の2乗×3%=20くらい

はい、大体出ました。正確には、アから11、384、0.66、19ですが、気にしない。各選択肢の数値の違いが分かるくらいでOK。

さて、標本数が1以下になることはないので、ウは×。
とすると、あと3つに絞られますが、
一般的に考えて、20やそこらのサンプルで市場全体のシェアがわかるもんなんでしょうか。
例えば、前年シェアが10%と書いてありますが、20標本を選んで、1つもそのメーカーの製品が出てこない確率はかなりあるんじゃないですか?

となると、イが正解ではないかと、相当に自信をもって言えるのではないかなと思われますが、いかがでしょうか。

というわけで、あまり対策にならない情報システムの統計学ですが、この科目だけ落としちゃった!という人は、どうでしょう、やってみても損はないかもです。

ただ、深入りは禁物、という感じがあります。だって統計は使うもので、使うときに本を読んで調べてどの指標を使うか決めるものなのでしょうから。

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★重箱の隅つつき論点④(最終回)★経営情報システム~どうしても食えない統計学(泣)”へ4件のコメント

  1. 紫雲和尚 より:

    ねこおじさんさま。重ねてのコメありがとうございます。

    そうですね、実際の生活やビジネスの中で統計学を生かす場面はもっとあってもよいかと思うのですが、なにぶんそのリテラシーの不足が、
    「平均」
    のみで物事を語ってしまうことになりかねない、と愚考致します。

    加えて「データベースの精緻さ」の軽視が、これに拍車をかけて

    「どうせ、統計なんて・・・」という風潮もなきにしもあらず。。。

    そういうことを、またの機会にお話いただければ幸いです。

    合掌。

  2. ねこおじさん より:

    早速のコメント有難うございました。7月の実務補習ぜひ頑張られてください。

    実務補習で統計も使えるといいのですが、私は以前アンケート調査で少し使った程度です(今は年2回指導しています)。
    実習は時間も限られ、経営課題もたくさんあるので、なかなか手が回らない(笑)。
    でも機会あれば使ってみようと思っております。

    いつも面白くて役立つ記事をありがとうございます。

  3. 紫雲和尚 より:

    ねこおじさん様、コメントありがとうございます。大先輩&統計学の専門の方からにとってはお目汚しのブログ記事ではないかと非常に恐縮しております。

    統計学そのものはそもそもアプローチが変わった考え方であると思っております。一般的な数学と違うイメージがあるのですが、統計学の解説本は非常に丁寧に、読者あての目線が非常に下まで下げられて書かれている本が多かったように思います。(一方、財務の解説本は上から目線が多すぎる・・・)
    貴著の「ビジネスで本当に使える超統計学」もさすが診断士の目線からコンサルまで踏み込んでおられるようで、経営判断にどうに生かすのかが分かるのではないか、と感じられました。

    7月の実務補習後購入しようと思っております(実務補習中に読むと没頭してしまう気がするため)。

    正直、この2カ月あまり勉強していて、もっと統計学は利用価値があるのではないか、と感じております。

    機会があれば、是非ご高説・ご厚誼を賜りたく思っております。

    今後とも、身体にお気をつけられ、診断士界、統計学(利用?)界の発展、およびねこおじさん様のご活躍を祈念致しております。

  4. ねこおじさん より:

    和尚さんはじめまして。いつも楽しい記事をありがとうございます。

    統計はまさに「労多くして、益少なし」。私も専門にしますが、ハンバーガーのようにおいしく食べろとは言えませんでした。
    ハンバーガーの本は良い本で書籍を持っていますが、WEBにあるのですね。情報ありがとうございました。

    恐縮ですが、右欄の拙著「ビジネスで本当に使える超統計学」も、合格された後に皆さんにお読みいただきたいと思っています。診断士2名の共著です。
    ただし1次試験むけではありません(笑)。

    時節柄ご法身ご自愛ください。合掌。

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