もうけは誰のものか

こんにちは!myaです。
昨日の東京会場での道場セミナーにご参加いただいたみなさま、

本当にありがとうございました

たくさんのかたがたにお越しいただいたこと、厚く御礼申し上げます。

また残念ながら参加できなかったみなさま道場ブログでも様々な情報を発信していきますので、引き続き応援いただければ幸いです

 

金融機関職員の憂鬱
さて、私は金融機関で勤務していますが、若造なりにまがりなりにも金融機関職員として中小企業とその決算書には対応してきたつもりでした。

そのため財務は得意というイメージを自分でも持っていました!

 

…が、学習を始めた時期は本当に知らないことが多く、もう考え方が根底から覆されてしまうことも多々ありました

 

そんな私の財務・会計のスピード問題集を見返すと、最も多く間違えたのが「企業価値」の分野でした。

中でも、ある問題は9周回しており、その5周目まで間違えていました笑

今日は本当に基礎的な論点ではありますが、恥ずかしながら私が間違えまくったこの問題でつまづいていた前提についてご紹介させていただきます。

 

企業価値の計算方法

私が間違えまくったある問題というのは、あのすばらしき問題集、一次試験の強い味方であるスピード問題集 財務・会計2014年版の問題28
営業利益・負債利子額・法人税率・負債利子率・株主資本コスト・配当=税引後当期純利益額という前提が与えられており、企業価値、株主価値、負債価値を計算せよというものなのですが、これが全く理解できませんでした。

 

解説には

「株主価値は配当額を株主資本コストで割引くことで求める」
株主価値 = 配当(=税引後当期純利益)/株主資本コスト

「負債価値は負債利子を負債利子率で割引くことで求める」
負債価値 = 負債利子額 / 負債利子率

「企業価値はフリーキャッシュフローをWACCで割引くことで求める」
企業価値 = FCF / WACC
*FCF=営業利益×(1―法人税率)+減価償却費-運転資金増加-設備投資

と書いてあるのですが、意味は分かっても納得できない。問題を見ても解法が浮かばない、と5周同じ問題を解いても間違える始末でした

 

だって株主価値を求めるときは税引後当期利益で法人税を差し引かなあかんけど、負債価値を求めるときは負債利子に税金は掛けない、でもフリーキャッシュフローの営業利益からは法人税を差し引いて計算って、これどこで税金がでてくるんやーーーー?

 

と大混乱していました。

これは今思えば次の二つの「大前提」となる考え方を理解していなかったためでした。

① 負債利子・配当はお金を出した人の「取り分」である
企業価値=出資者全員の取り分の価値
株主価値=株主の取り分の価値
負債価値=お金を貸している人の取り分の価値

② その「取り分」にも取っていく順番がある

 

「取り分」という考え方
3つの価値の計算に共通する「割り引く」という考え方。ずーっと「なぜ割り算するのか」考えず、「ただ割り算するんだ」と認識していました

が、改めてテキストを読み直していくと、あるときこれが「配当割引モデル(ゼロ成長モデル)」と同じ計算をしていることに気づきました

配当割引モデル(ゼロ成長モデル)
Vn= Dn+1 / r
V:株式価値 D:配当 r:要求利益率

これを応用して、○○価値=CFの価値としているんだ!とひらめいたのです(レベルが低くてすみません

 

つまり株主価値ってのは株主からみたキャッシュフローの永続価値を求めています。だから、「株主の取り分(キャッシュフロー)」である配当が、永遠に続いた場合のキャッシュフローの価値=株式の理論価格(株主価値)となっています。

 

じゃあ負債価値は、お金を貸した人(銀行)からみたキャッシュフローの永続価値を求めているわけですので、「お金を貸した人の取り分(キャッシュフロー)」である負債利子が永遠にもらえる場合のキャッシュフローの価値=負債価値となるわけで。
企業価値は株主価値+負債価値なので、この二人の取り分(キャッシュフロー)の価値のこと。つまりこの二人が要求する取り分の原資であるフリーキャッシュフローが永遠に取り分に回される場合のキャッシュフローの価値=企業価値となる、ということ?

 

これで「取り分」という考え方を理解することができ、「それぞれのキャッシュフローを割り算する」ということは納得できました

 

取り分の順番
それでも私にはまだ「どこで法人税率が出てくるのか」という難問が立ちはだかっていました。この鍵を握っていたのが「取り分の順番」

株主、お金を貸している人に次ぐ、第三の刺客ともいえる国や地方公共団体は、企業に対して補助金や様々なビジネス支援策の実施、さらには公共サービスやインフラなどを提供することで間接的に貢献しています。

そしてその見返りに税金を取り分として要求しています。会社から取り分を取る人を、その取っていく順番について損益計算書を上から眺めていき、出てきた順番(先に取り分をとれる)で整理してみると

① お金を貸している人(銀行など) = 負債利子
② 税金を取る人(国など)     = 法人税
③ 会社に出資している人(株主)  = 配当

と出てくることが分かります。

ここから、株主の得るキャッシュフロー(取り分)は税金を取られた後の最後の残りなので、基準とするキャッシュフロー(取り分)は税金を差し引いたあとでないとダメなことがわかります。

 

また企業価値は株主とお金を貸している人の取り分を合計した価値のことですから、こちらのキャッシュフロー(取り分)についても同様に税引後じゃないと正確ではないと言えそうです。

 

ただし、負債利子は一番先に取り分をとれるので、税金を検討しなくてよさそうですね。

 

うーん、納得。

 

実に基礎的なことですが、

・企業価値は「取り分(=CF)」の価値
・会社から取り分を要求する奴らは3人。銀行(負債利子)、国(税金)、株主(配当)
・取り分をわたさんかい!と強く言える順に取っていく(銀行→国→株主)
・よって各段階の計算で使う「取り分の計算」が違う。

ということを知った、29歳の夏でした。

 

私はこの時「人生、日々勉だなぁ」と感じるとともに、財務・会計ってうまいことできているなぁと感じ、6週目にして違いの分かる男になれたわけでございます

こういった日々の新たな発見や、理解ができた時のよろこびが勉強の原動力になったりしますよね

一次試験まで100日を切った今、「学びを楽しむ」という姿勢を今一度確かめてみてはいかがでしょうか

 

myaでした。

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