【渾身・財務】EVAって何?

みなさん,こんにちは。はんたです。

昨年,つまり,平成24年度1次試験の財務会計の本試験を受けているとき,第20問を見て驚きました。

「・・・今日では企業価値評価手法として,キャッシュフローに基づく手法やEVAなどを利用した・・・」

まっきー事件簿風にいうと,

ん? EVAって何?

逃げちゃだめだ,逃げちゃだめだ。」と問題とは全く関係のないと思われる,別のEVAの台詞が頭の中を駆け巡りました

設問1で,空欄AにPERが入ることは分かりました。
そこで,空欄Bには,「市場株価比較方式」か「割引超過利益モデル」のどちらかを選ぶことになりますが,「市場株価比較方式」というと,株価を比較して企業価値を評価するという基本的な手法だからかなり以前からあったと思われ,わざわざ「今日では」として新しい手法として分類されるのは違和感を感じ,むしろ「割引超過利益モデル」の方が新しいイメージがするから,こちらがより適切かな・・・と考えました。

結局,EVAを知らなくとも,正解を選ぶことができました。しかし,診断士試験では,せんせいこちらの記事で,コーズ・マーケティングやCGMの例を挙げているとおり, 一度出題された用語については,次回に出題されるときはより難しい形で出題されることがあるので,EVAにも注意しておいた方がよいかもしれません。そこで,本日は,EVAの基本的な事柄についてご紹介いたしたいと思います。ただ,あくまでも,財務会計が得意な方向けです。目安としては,養成答練80点,完成答練70点以上を取れる方です。

EVAとは,Economic Value Added の略で,経済付加価値 と訳されることが多いと思われますが,企業価値評価の手法の一つです。スターン・スチュアート社が商標登録しているそうです。

計算式は,

 税引後営業利益-資本コスト
=NOPAT-期首の投下資本×WACC

NOPATとは,Net Operating Profits After Taxes の略です。

上の式から分かるとおり,EVAは,資本コストを上回る利益だけを,経済的に追加された価値と考えるという評価手法です。
この資本コストを考慮するという点が,他の手法とは根本的に違っています。
例えば,ROEでは,当期純利益を価値として計算しているので,負債コスト(支払利子など)は価値から控除されていますが,株主資本コストは控除されていません。これに対し,EVAは,株主資本コストも控除しているので,資本コストを包括的に控除していることになります。
つまり,債権者だけでなく株主も含めた投資家の期待する収益を超える利益を上げることができて初めて,その超過部分を「価値」として評価することになります。 もちろん,プラス額の大きい方が評価が高いことになります。

利益の計算過程として,PLの構造を思い出してみて下さい(ただし,営業外収益と特別損益はないものとします。)。
売上高から,原材料費(仕入れ先への支払い),賃金・給料(従業員への支払い),家賃・地代,広告宣伝費,支払手数料など(取引先への支払い),支払利息(銀行・社債権者など債権者への支払い),法人税等(政府への支払い)などを控除した残りが,当期純利益になります。この当期純利益には,株主への配当や次期再投資による成長期待などの配当以外の株主へのリターンという,株主資本コストがまだ含まれています(設問2選択肢イ)。
EVAは,この株主資本コストも控除した残りの利益だけを「価値」として評価することになります。

計算問題として出題されたときのポイントは,
投下資本は,期首の数字を使う 
というところにあります。EVAでは,期首の投下資本を効率的に利用して,どれだけ資本コストを上回る超過利益を上げることができたかを計るからです。
投下資本の額は,有利子負債,株主資本,少数株主持分の合計額として計算されるのですが,おそらく,初めて出題される場合は,問題文に説明があるか,まぎれのない簡単な例が出題されると思われます。 また,税引後営業利益についても,細かく見ていくといろいろ計算方法があるようなので,これも問題文に説明があるか,まぎれのない簡単な例が出題されるのではないかと思われます。

例題 以下の会社におけるEVAを計算してみましょう。(資料にない要素は考慮しなくともよい)

売上高         2000
売上原価         800
販管費          200
期首の投下資本   10000
WACC           5%
税率           40%

答え(ドラッグすると分かります)

営業利益 =2000-800-200=1000
NOPAT=1000×(1-0.4)=600
EVA=600-10000×0.05=100 

本日の記事は,あくまでも財務会計が得意な方向けとして,今後出題されるかもしれない論点として,EVAの基本的な事項についてご紹介しました
財務会計が苦手な方は,まずは基本論点,頻出論点を繰り返し復習して,解法を体で覚えることを優先して下さい

by はんた

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