他資格との関連~簿記検定~【財務会計・事例IV】

こんにちは!まっすーです。
中小企業診断士協会のホームページで、平成25年度中小企業診断士試験日程(予定)が公表されましたね。
一次試験は8月3日(土)・4日(日)の2日間ということで、あと5ヶ月後に迫って来ました。

受験生の皆様は、現在の自分の立ち位置の把握、および目標に向けたスケジュールの作成はできていますか?
長い冬もそろそろ終わりが見え、暖かくなって勉強も捗る季節に入りますので、気合を入れて行きましょう

 

さて、前回に引続き、他の資格試験と診断士試験の関係性について語りたいと思います。
今回のテーマは、簿記検定です。一口に簿記検定といっても、いくつか種類があるのをご存知ですか?

代表的なものでは、下記の3種類になると思います。
①日本商工会議所 簿記検定(日商簿記)
②全国経理教育協会 簿記能力検定(全経簿記)
③全国商業高等学校協会 簿記実務検定(全商簿記)

簡単に言ってしまうと、①は一般向け、②は専門学校生向け、③は商業高校生向けの検定試験と考えてください。

それぞれに級分けがあり、出題範囲や大まかな難易度では、①日商簿記2級≒②全経簿記1級≒③全商簿記1級になると言われたりもしますが、そもそも主催団体や目的が異なることや、問題のクセや過去問対策のやり易さが異なることにより、一概には難易度を比較することはできないようです。
②や③は学校での勉強の成果を見るために受けるケースが多いのに対し、①は学生に加え、自己啓発で受ける社会人も多いと考えられるので、難易度の印象が受検者によって違うことが考えられます。

上記の中でも、最も受検者数の多い①日商簿記検定について簡単に説明しますと、 日商簿記検定は、級別に出題範囲が異なり、3・4級が商業簿記のみ、2級が商業簿記と工業簿記、1級が商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算と科目が変わります。
2~4級は2・6・11月の年3回受検でき、1級は6・11月の年2回となります。1級は、合格した場合、税理士の受験資格が得られることから、税理士試験の登竜門と呼ばれたりもします。

 

肝心の診断士試験の受験勉強についてですが、簿記検定、特に工業簿記を含む日商簿記2級レベル以上を持っていると、かなり有利になると言えます。
財務・会計系の知識を持っているということは、一次試験の財務・会計と二次試験の事例Ⅳの学習に、スムーズに入ることができるからです。
一次試験の7科目中1科目と、二次試験の4科目中1科目ということは、一次試験の14.3%、二次試験の25%ということで、単純に足して2で割ると試験全体の19.6%となり、実に診断士試験の1/5を形成することになります。

もちろん、財務・会計だけで合格することはないけれど、財務・会計が大の苦手となると、他で挽回しなければならないため、厳しくなると思います。

なお、注意が必要なのは、診断士試験ではファイナンス分野が出題され、こちらは簿記検定の範囲ではありませんので、簿記検定の知識だけで対応できる範囲は狭まります。加えて、これは簿記検定の特徴でもあるのですが、日商簿記2級と1級のレベルに大分差があって、1級の知識ほどまでは必要ないけど、2級では範囲になっておらず、しかしながら診断士試験では非常に重要な分野がいくつかあります。

例えば、一次、二次ともに勉強することになるキャッシュフロー計算書の作成や、差額収益分析による設備投資の意思決定などは日商簿記2級の範囲ではありません。診断士試験の財務会計・管理会計は、日商簿記2級レベルだと足りず、かといって日商簿記1級レベルをフルにやる必要はない、といったレベル感です。この辺りをきちんと把握しておく必要があります。

 

さて、ここからは私の体験による話になりますが、私が日商簿記1級を持っていたことにより、診断士試験で感じたメリットは下記の3点です。

1.診断士試験対策の軸ができた
2.問題難易度選定の基準ができた
3.試験場での対応力が身についた

それぞれの項目について説明します。

1.診断士試験対策の軸ができた
私が診断士試験にストレート合格できたのは、この日商簿記1級を持っていたことが一番大きいと感じています。自分が強い、と思える科目がある場合、その科目を軸とした学習戦略が立てられます。

必ずしも良いことではないかもしれませんが、私の場合は、一次試験合格まで二次試験の問題をほとんど見たことがなかったため、必然的に二次試験対策は事例IVを中核に据える他ありませんでした。

二次試験合格の確率を上げるためには、事例I~IIIまできっちりと合格点を取る実力を備えた上で、事例Ⅳを落とさないという戦略のほうが、総合的に見れば上だと思いますが、自分よりはるかに経験値の高い多年度受験生や事前に二次試験対策を行なっているストレート生に太刀打ちするためには事例I~IIIを何とか平均レベルに持って行き、得意な事例IVで平均を上回るレベルにして、トータルで頭一つ飛び出す、という戦略を採れたことで、精神的に少し楽になりました。

 

2.問題難易度選定の基準ができた
これは得意科目全般に関して言えることかもしれませんが、私の中で特に財務・会計に関しては、自分がわからない問題は、他の受験生もわからないはずだから無理せず飛ばしていい、という基準がありました。
一次試験は計算問題を多く含む問題25問を60分という時間で解答しなければならず、1問あたり2.4分しか時間をかけられないのですが、中にはそれ以上に時間をかけなければ解答できない問題も出題されます。
25問出題の科目(経済学・経営法務・経営情報システムも同じです)は、どんなに難しかろうと簡単だろうと1問4点の配点は変わりませんので、難しい問題に引っかからず簡単な問題から答えていくのが定石です。こうした問題難易度判断の基準を持てるというのは、助かりました。


3.試験場での対応力が身についた

平成24年度の二次試験では、事例IVの難易度が高いということで話題となりました。正確には、難易度が高かったと言うよりは、出題傾向が大きく変わりすぎたことによる戸惑いへの対応、気持ちの切り替えが難しかった、という事になると思います。
解答用紙が配られて、多くの受験者は解答用紙を裏面から透かして見ていると思うのですが(問題・解答用紙に触れてはいけないという注意書きはありますが、反対解釈すれば透かし見るのはOKです)、出題傾向の変化を察知して、試験会場の空気が変わったのを感じました。
その空気の中で、解答用紙の裏面を見て私がやっていたのは、「予想損益計算書を書かせる問題になっているから、その解答だけは絶対に間違えちゃダメだから、集中して解こう」という自分の中での解答プロセスの確認でした。
簿記の試験でも多いのですが、最初の問題を間違えるとそれ以降全部間違いになるというパターンがあるため、そうした問題への対応の重み付けや戦略がその場で瞬間的に判断できる対応力があったのは、非常に助かりました。

 

平成25年度の試験の傾向がどうなるかはわかりませんが、財務・会計が重要というのは変わらないと思います。まずは一次試験に向けての残り5ヶ月、どんな出題傾向の変化があろうとも、「自分が大変ならば他の受験生はもっと大変、それなら自分なりに解答すればOK」という状況に持ち込めるよう、しっかりと「橋げた」を作って行きましょう

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他資格との関連~簿記検定~【財務会計・事例IV】”へ2件のコメント

  1. 中本 より:

    はじめまして。中本と申します。
    今年の2次試験を受験しましたが、事例Ⅳで失敗してしまいおそらく足きりになっていると思います。
    今年で2度目の2次試験でした。昨年は事例Ⅳ対策として過去問題や専門校の演習を軸に取り組みましたが手も足も出ませんでした。
    そこで来年の対策として日商簿記1級を学習しようと思っているのですが悩んでいます。
    来年は1次試験も受けるので6月までの約半年間で日商簿記1級を学習しようと思いますがすべて網羅出来ないと思いますので優先順位を付けたいのですが、商業簿記、工業簿記、会計学、原価計算のどこから手を付ければ良いと思いますでしょうか???
    アドバイスお願いいたします。

    1. まっすー より:

      中本さま

      コメントありがとうございます。
      今回の事例IVは、相当難易度が高かったですね。
      ですが、試験後2週間で次を見据えて動こうとする精神力は素晴らしいです!

      診断士試験に日商簿記1級レベルは必要ないとよく聞きますが、逆に、1級に合格するために身に付ける知識や、本番での対応力は、診断士試験にも大いに役立つと思っています。私の場合、この経験がなければ昨年合格できていなかったかもしれません。

      ですが、もし仮に、来年8月に診断士試験を受験する場合、6月に簿記検定を受検するのは相当なハードスケジュールになります。まずは、ご懸念されている通り、今から7ヶ月で日商簿記1級の範囲を網羅することは、かなりハードです。そして一番心配なのは、簿記1級→診断士一次→診断士二次とロングスパートをかけるような形になるため、途中で気を抜くことができない期間が長いことです。

      ですが、それでもやってみる!と決意される場合、私は、診断士試験よりも簿記検定に重点を置くのであれば商業簿記、逆に診断士試験にも役立てるために簿記をやるのであれば、原価計算をおすすめします。まず、前者の場合、あくまでも私の経験ですが、商業簿記はなかなか点数が上がりません。地道に練習を積み重ねることで上がっていくイメージであり、ここで底上げができない場合、他の科目で事故があったときに合格点には達しないと思います。
      後者に関しては、原価計算はCVPや原価予測、差額原価収益分析等、事例IVでも出題される重要な論点が出ているためです。過去問をやっていくだけでも、相当な経験値になると思います。

      よろしければご検討ください。

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