【法務】養成答練直前チェック
こんにちは。こぐまです。
TACストレート本科生の方は、間もなく経営法務の養成答練ですね。
法務Week最後の今日は、答練直前用のチェック問題特集としました。
これは、昨年の一次模試や本試験の際、最終見直し用としてノートに書き留めておいたメモから抜き出して加工したものです。
覚えては忘れ、覚えてはまた忘れの連続で、間違えやすい論点をつぎはぎながらノートにどんどん書き込んで、これらを何度も見返し、忘れていた場合はテキストやスピ問に戻り理解し直すようにしていました。
特に法務のスピ問は、汲んでも尽きぬ泉のように解説が深く、どれだけ読み込んだかわかりません。
また、組織再編などは絵を描きながら頭に焼き付けていった感じです。
その結果、徐々にですが、各論点が頭の中で体系化され始め、模試の頃には安定して得点できるようになり、本試験では1マークミスの96点を取ることができました。
カッコ内の言葉がすぐに出てくるかどうか試してみて、もし曖昧な点があった場合は、大急ぎで答練前に周辺知識も含め再確認してください。
カッコをドラッグすると解答が出てきます(ふうじんスタイル)。
◆民法◆
1.債務不履行の態様は、履行(遅滞 )、履行(不能 )、(不完全 )履行の3つに分けられる。
2.金銭消費貸借契約は、当事者一方のみが債務を負担する(片務 )契約であり、金銭の受け取りで成立する(要物 )契約であるとともに、利息が発生する(有償 )契約でもある。
→典型契約の中で特殊な位置づけ
3.双務契約の危険負担には(①債権者 )主義と(②債務者 )主義があり、民法では特定物売買の場合は(①債権者 )主義が採られているが、特約により(②債務者 )主義を適用することが可能である。
→売買の場合、債権者は売主か買主か?
4.物権の代表的な権利は(所有権 )である。
→担保物権も重要論点
5.民法では相続人の生活安定や平等を確保するために、被相続人の遺言にかかわらず相続財産の一定部分を、兄弟姉妹を除く法定相続人に留保する制度を(①遺留分 )という。例えば配偶者や子の(①遺留分)は相続財産の(2分の1 )である。
→民法の特例「中小企業経営承継円滑化法」に留意(中小企業政策)
講義ではあまり時間をかけない分野ですが、債権と物権の比較、瑕疵担保責任、保証と連帯保証、不法行為、各種契約の種類なども重要な論点ですし、生活にも密着しているので、どこかで時間を取って集中的に学習しておくとよいと思います。
◆会社法◆
1.会社法上の大会社とは、(資本金 )5億円以上または(負債 )200億円以上の株式会社である。
2.大会社は、(会計監査人)の設置が必須である。
→「債権者」の視点
3.公開会社は、(取締役会 )の設置が必須である。
→「株主」の視点
4.大会社かつ公開会社は、取締役会とともに(監査役会 )または(委員会 )の設置が必須である。
→社会的存在が大きいため、機関重装備
5.取締役会設置会社(委員会非設置)は、(①監査役 )の設置が必須である。ただし、非大会社かつ株式譲渡制限会社の場合は、①に代えて(会計参与 )を置くことができる。
→後半は例外規定
6.会計監査人設置会社(委員会非設置)は、(監査役 )の設置が必須である。
7.監査役会設置会社は、(取締役会 )の設置が必須である。
8.監査役の任期は原則(4 )年であり、解任するには株主総会の(特別 )決議が必要である。
→監査役の独立性重視
9.取締役の利益相反取引には(①直接取引 )と(②間接取引 )があり、自己のための(①直接取引 )の場合は(無過失 )責任である。
10.会社法上の計算書類とは、貸借対照表、損益計算書、(株主資本等変動計算書)、(個別注記表 )のことである。
→計算書類「等」の場合は、あと二つあり
11.取締役会設置会社は、計算書類を株主総会の日の(2週間 )前から本店に備え置く必要がある。
私もJCのこの記事のように、「経営者」、「株主」、「債権者」それぞれの視点から会社機関のあるべき姿をイメージして、覚えるようにしていました。
委員会設置会社は別物として考え、会計監査人、監査役の設置を中心に機関設計を覚えると案外、理解しやすいです。
過去問では、H18-2、H19-4等を繰り返し解いて読むことで、機関設計の大枠を捉えられるようになると思います。
◆組織再編◆
1.対価の柔軟化により、親会社の株式を消滅会社の株主に交付することで当該会社を吸収合併する手法を(三角合併 )という。
→H19-5を使って理解を深めてください
2.純粋持株会社など、完全親子会社の関係を作るための組織再編の手法としては、(①株式交換 )と(②株式移転 )がある。(②株式移転 )の場合、完全親会社自体を新たに設立することになり、新設会社は(③株式 )会社に限られる。また(①株式交換 )では、(③株式 )会社だけでなく(合同 )会社も完全親会社になることができる。
→H19-16の事例問題が基本論点です
下記の表をご参照。
過去問では、上記以外にも、H20-4、H21-1・2などの良問があります。
株式交換や株式移転は図を書きながらスキームを理解してください。
◆内部統制◆
1.金融商品取引法により、上場会社は有価証券報告書、半期報告書、四半期報告書等と併せて(確認書 )を(内閣総理大臣 )に提出することが義務付けられている。
2.内部統制の4つの目的とは、業務の(有効 )性・効率性向上、(財務報告 )の信頼性確保、事業活動に関わる法令等の遵守、(資産の保全 )である。
→「6つの基本的要素」もお忘れなく
今後、資本市場関連は出題が増えそうな分野ではないかと思います。
東証マザーズや大証・新JASDAQ(スタンダード、グロース)の上場審査基準の比較、ディスクロージャー関連法制、公開買付(TOB)なども押さえておく必要がありそうです。
◆持分会社等◆
1.合資会社の社員の数は(2 )人以上であり、(直接無限 )責任を負う社員と(①直接有限 )責任を負う社員がいる。出資形態には合名会社と同様、(②財産 )出資、(労務 )出資、(信用 )出資があるが、(①直接有限 )責任社員は(②財産 )出資のみが認められている。
2.有限責任事業組合(LLP )の設立に必要な出資者の数は(2 )人以上であり、最低出資金は(2 )円である。法人格は(ない )。
→合同会社(LLC)は頻出、対比して覚えること(H21-16等)
組合制度は、中小企業経営・政策で最重要の論点のひとつです。
◆倒産法制◆
1.民事再生法における会社の資産評価の方法は当該企業の(清算 )価値、会社更生法では(継続企業 )価値による。
→この違いが何に由来するのか、破産法とも比較して理解してください
2.会社更生法では、抵当権付き債権と質権付き債権は(更生担保 )権になり、担保実行が制約され減免対象にもなるが、民事再生法では(別除 )権として扱われ、担保権者は自由に権利を行使できる。
→会社更生法のほうが強力な手続きだが、費用面と迅速さにおいて民事再生法が中小企業向き
近年、倒産法制は頻出論点になっています。かなり特殊な問われ方もしますが、「再建型」と「清算型」に大別し、3つの特別法(民事再生法、会社更生法、破産法)と会社法上の特別清算のそれぞれの特徴を比較して表にまとめてみると頭に入りやすいと思います。
◆知的財産権◆
1.特許の要件は、(産業 )上の利用可能性、(新規 )性、(進歩 )性である。
2.特許権者が特許を保持し続けながら、他人にその実施権を与えるライセンス契約には、(専用実施 )権と(通常実施 )権とがある。
3.特許権の法定通常実施権には、(職務 )発明のケースと、(先使用 )による通常実施権などがある。
4.会社の業務範囲に属するが従業員の職務に属さない発明を(業務 )発明という。
5.秘密意匠制度とは、登録日から最長(3 )年を限度として意匠を秘密とすることができる制度である。なお、秘密にする期間は意匠権の存続期間である(20 )年に含まれ(る )。
6.商標の先使用権が認められるためには、他人の商標(①登録出願 )以前から、不正競争の目的ではなく、当該商標の(①登録出願 )の際にその商標が自己の商品や役務を表示するものとして(需要者 )の間に広く認識されていることなどが必要である。
7.地域ブランドの保護のために導入された(地域団体 )商標の登録要件のひとつとして、複数都道府県で知られている程度の(周知性 )の要件がある。
8.産業財産権のうち、実体審査を行わない無審査主義を採っているのは(実用新案権 )である。
9.不正競争防止法に基づく営業秘密の要件として、(秘密管理性 )、(有用性 )、(非公知性 )の3つがある。
10.著作権には、(①著作財産 )権と(②著作者人格 )権があり、(②著作者人格 )権には(公表 )権、(氏名表示 )権、(同一性保持 )権の3つの権利がある。
11.コンピュータープログラムは、知的財産権として、(特許 )法、(著作権 )法、(不正競争防止 )法の保護の対象となる。
◆その他◆
1.国際取引において、海上輸送の場合の船舶手配、海上運賃、保険料を買主が負担する場合、インコタームズでは(FOB )条件という。
いかがでしたでしょうか?
簡単過ぎて役に立たねーな、くらいに思っていただければいいのですが。
串刺し、タテヨコ・マトリクスでまとめて記憶した方がよい論点が多いですが、出題内容によっては、その中のパーツだけを取り出して正誤を判断しなければならないような問題もあり、知識の正確な出し入れが要求される科目だと思います。
とにかく、忘れても繰り返し覚え直すことにより、会社機関設計や知財等は長期記憶化が可能になるはずです。
47歳のおっさんでも何とかなったんですから、大丈夫。
私の場合は、組織再編がどうしても混同し易かったため、受験生時代、wackyのこの記事に載っていた表を拝借し、下記のように自分でアレンジして、上述のノートに貼り付けて本試験10分前まで見返していました(表はクリックで拡大します)。
また産業財産権についても、下記のような比較表を作って頻出論点を目に入れるようにしていました。
【組織再編】
【産業財産権】
おおもとは手書きでぐちゃぐちゃになっていたので、エクセルで打ち直しました。 → 組織再編・産業財産権
自分にわかるように作っていたので見にくいとは思いますが、役に立ちそうであればこれに加筆修正しながらお使いください。
それでは、養成答練、自分の目標を定めて、頑張ってください!
by こぐま
ほいほい様
コメントいただき、誠にありがとうございます。また、道場記事をいつもお読みいただき、感謝いたします。
今回の「法務シリーズ」が、ほいほい様の何らかのお役に立ったとすれば、執筆陣一同、これほど嬉しいことはありません。
私の場合も過去問とスピ問をやりつつ、行けるかな感を持ったのは6月ごろで、ある時、機関設計が写真のように頭に焼き付けられたように感じたのがきっかけだったと思います。
法務は、弁護士や司法書士、弁理士が専門とする世界ですが、中小企業をトータルで支援する診断士にとっても、使える武器にすべき分野と思っております(実務補習で実感しました)。
本当に途方に暮れることもある科目ですが、チャートを自作し、理解を深める努力をされていらっしゃいますので、必ず開眼の日が程なく来ると思います。
過去問、スピ問を縦横無尽に使って、ご自分なりのまとめをしてみてください。
また、ほいほい様のブログにもちょくちょくお邪魔しますので、今後ともよろしくお願いいたします。
来月は「中小Week」も予定しております。またお立ち寄りいただけますと幸甚です。
応援しております!
こぐまさん、こんばんは。
一連の「法務Week記事」は、法務で心が折れまくっている私にとって、毎日励まされているようで、本当に有り難いです。
今日のこぐまさんの記事も凄すぎます。
今、私は法務スピ問をやりながらチャートまとめを行ってますが、なかなか自分のものになりません。「どれだけ読み込んだか分かりません」というこぐまさんの記事で、やはり愚直にやり続けないとだめなんだ、と実感しました。
このチェック問題は大変役立ちそうです。自分で消化できていない論点(ほとんどですが)がよく分かり、自作チャートへ落とし込んでいこうと思います。
上記のチェック問題のそばに書かれているコメントにも、深い味わいがあり、この記事を鶏ガラ学習すれば、「法務は得意科目」といえるはず(?)ですよね。
道のりは大変険しいですが、自分で決めた目標に向けて頑張りたいです。
貴重な投稿記事、有り難うございました。