【法務】橋げたの骨組みをがっちり作ろう

みなさん、こんにちはうちあーのです。

期末などでお忙しい日々をお過ごしかと思いますが、現在中小企業診断士試験の学習に取り組まれているみなさんにとって興味深い判決が先週3/22にありました。
包装餅業界で売上トップの「サトウの切り餅」に入れられた切り込みが特許を侵害しているとして、業界2位の越後製菓がサトウ食品工業を相手に製造差し止めと損害賠償を求めた訴訟の控訴審判が行われたのですが、知財高裁は一審の判決を取り消して、特許権侵害を認める判決を出したのです。
特許の内容はここでは割愛しますので、興味のある方は調べてみてください。ここで着目したいのは、越後製菓の特許戦略です。越後製菓は、資本金3億円以下の製造業者で中小企業にあたります。(この定義は次の中小企業経営・中小企業政策で習います。)今回の事例は中小企業である越後製菓が、知的財産権を活用することで業界トップの大企業であるサトウ食品工業に対抗し、自社の防衛シェアの確保・拡大を図っていることを如実に示してくれているのです。
越後製菓は、今回の切り込みを含めて実に40件近い特許登録を行っているそうです。対するサトウ食品工業は3件。経営資源が相対的に乏しい中小企業が、知的財産権を上手に活用することで、たとえ大手企業が相手でも有利に事業展開できる好例ですよね。

さて、スト生の方々にとっては、まさに法務の基本講義まっただ中!ということで今週の道場は法務WEEKとなります。
昨日のエントリーふうじんが過去記事をビシビシビシ!っと纏めてくれていますので是非とも参考にしてください。こうして見ると歴代執筆陣が様々な視点から攻略法を寄稿していて壮観ですね!

◆経営法務という科目を大枠で捉える◆

TACのカリキュラムでいくと現在は1回転目、つまり「橋げた構築期」ですね。この時期は細かい知識を追いかけ回すのは得策ではありません。それよりも優先的にやるべきことは診断士試験における経営法務という科目の骨格をしっかりと理解することです。逆に言うと、骨格を理解することで、橋げたの骨組みをがっちりと築き上げれば、今後問題集を使ったアウト&インプット学習、そして2回転目、3回転目と突き進む際に、高い効果を引き出すことが出来ます。

では、具体的にどうすればよいか。
前回のエントリーで、スキーの例を挙げて「広い視野を持ってそれぞれの用語(論点)が法体系の中でどのような位置づけにあるかを大局的に俯瞰する」ことを説明しました。
足元ばかり見ている状態のイメージは、こんな感じ。(イメージチャートをクリックすると拡大します。以下同じ)

このイメージで言うと、著作権を学ぶ際に、テキストで該当部分をじーっと見つめ、目の前にある枝葉の論点を一所懸命読んでいる状態です。もちろん、初めて触れる用語(論点)の内容をインプットする際に、その内容を理解するためにテキストをじっくり読むことは悪いことではありません。

ただ、一度読みこんだらそこでとどまらずに、ふっと視線を遠くにやってみる癖をつけるようにすると良いと思います。つまり、経営法務の全体像をざっくりと思い浮かべ、その中のどこにいるかを意識する癖をつける。
イメージ的にはこんな感じ。

そうすることで、著作権は
・知的財産権の一つであり、他の知的財産権との横串で見ると理解しやすい。
・産業財産権ではないため、特許権、実用新案権、意匠権、商標権との相違点も多い。
・同じ産業財産権以外の知的財産権に関する法律には不正競争防止法がある。
・知的財産権に関する法律は特別法であり、一般法である民法に優先する。
・知的財産権に関する法律は、全般的に「所有権絶対の原則」に準ずることが多い。
など、細部の知識よりも上位概念で各論点を捉えることできるようになります。

これが出来てしまえばしめたもの。あとは、繰り返し学習することで、骨組みの中に筋肉を詰めていき、そして筋トレで強化をしていけばよいのです。骨組み無しに筋肉を鍛えるのと比べたら、今後の筋肉の付き方がまるっきり違ってきますよ。

◆全体像イメージが入ったら◆

このように、経営法務という科目を大枠で捉えた上で、全体像と各論点、または各論点間を縦横無尽に往来することで強固な橋げたが出来上がっていくでしょう。
で、せっかくだからもう一歩先に行ってみましょう。過去記事で強調されている通り、経営法務は学習範囲が膨大であり濃淡をつけた学習をしていかないと時間がいくらあっても足りません。
では、どこを濃く学習するか。というわけで、直近の平成23年度本試験問題を先ほどの全体像イメージチャートに埋め込んでみました。

全24マーク中、会社法から10マーク、次いで知的財産権から7マークと実に7割がこの2つの領域から出ています。一昨年、平成22年度は事業終了・倒産関連が5マーク出題され、この2領域が減少していましたが、それ以前はやはり会社法と知財が中心でした。(もし学習の余力があるようでしたら、平成22年度以前の過去問について、全体像イメージチャートを使って分布を確認してみてください。)

平成24年度本試験がこの通りになるかどうかはGod konws!(神のみぞ知る)であり、悩んでみても、山を張ってみても仕方がありませんが、少なくとも骨組みの中でも最重要パーツであることは確かなだけに骨太にしておきたいですよね。

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今回は、経営法務の学習における正攻法をお話ししました。他の科目もそうですが、経営法務は特に要領が大事になります。
なので、2回転目、3回転目と進むにつれて、テクニック的な話が増えていくと思いますが、まずこの時期はしっかりとした骨組みを構築することに注力し、養成答練に臨むようにしてください。

それでは、今日はここまで。

 

Ciao!
By うちあーの

 

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