どうする対策 ~第7回「事例Ⅰで”合併”が出たら・後編」~ by さや

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さや
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皆さん、こんにちは!

戦略的2年合格の「不惑の自称ストレート生」さや です。(何ソレ?!と思われた方はコチラ

さや
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まずはお知らせです。

お知らせ

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今週は、6月27日(火)・29日(木)に開催!

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いよいよ6月も残り1週間!

1次試験がいよいよ目前に迫ってきましたね。

今日は、前回(6月12日の記事参照)に引き続き「2次試験・事例Ⅰの視点から見た”企業合併”」をテーマにしていきます。

1次試験で手一杯で、2次試験どころじゃないよ!

という方も多いと思いますが、この“合併”は中小企業を取り巻くトレンドの1つなので、今日書いていくエッセンスが1次試験(企業経営理論や中小企業経営・政策等)に出る可能性も十分にあります

「読み物として」レベルでよいのでサラッと読んで、頭の片隅にでも置いておいていただければと思います!

時間の無い方は、目次を「OPEN」して気になる箇所だけ読んでくださいね!

「残念」。。。?

この章は前置きなので、飛ばしても全く問題ありません。
早く本題の話してよ~という方はコチラでジャンプ!

皆さん「残念石」というものをご存知でしょうか?

残念石とは、お城の石垣用にと切り出されたものの、運搬途中で落ちてしまったり何らかの理由で石垣になれなかった石たちのことです。

わたしが初めて見たのは大阪の公園だったのですが、全国各地けっこう色々なところにあるようです。

「残念」と言われながらも、その名の由来が書かれた立て札があったり、一緒に写真を撮っている観光客がいたりと、普通に石垣の一部となった石よりも愛されているような気さえしました。

ある時点では「残念」でも、そこを逆手にとり(?)人気者になることもあるんですね。

試験でも、「苦手科目」が日々のコツコツ勉強の結果、本番では高得点となり、合格の下支えをすることは珍しくありません。

かくいうわたしもそうでした。(思い起こせば大学入試センター試験も。。。)

思ったように点数が伸びず焦る方も増えてくる時期だと思いますが、現時点での「苦手科目」に鬱々としすぎず、今出来ることを粛々とやっていきましょう!

さや
さや

「前進あるのみ!」です。

(前回の復習)事例Ⅰで合併が出題されたら?

さて、ここからは前回の続きとして「2次試験・事例Ⅰで企業合併が出た際に、問われそうなポイント」を書いていきたいと思います。

まずはじめに、ざっくり前回の復習です。

前回をざっくり復習

  1. 諸々を勘案すると、2次試験・事例Ⅰで「合併」が取り上げられる可能性は大いにアリ
  2. 「合併」が取り上げられたら、PMI(Post Merger Integrationの略称、M&A成立後の統合作業)が論点になりそう。
  3. 経営統合は「理由を述べよ」系の設問業務統合・意識統合は「助言せよ」「対策を述べよ」系の設問がメインとなると予想。
  4. 意識統合は「いかにも事例Ⅰらしい」ところなので押さえておきたい。

今日は、上記の③④を中心に深堀りしていきます。

じっくり復習したい方は、こちらを読んでから先を読み進めて下さいね。

さや
さや

今日は、具体的な事案をベースに見ていきましょう。

現実での「あるある」と事例Ⅰでの設問

この章では、合併により現実に起こり得る問題 及び 期待される効果と、それが事例Ⅰの設問として問われる可能性(さや私見)について記載していきます。

前段で紹介したPMIの切り口で「○○統合の場合はこれが問われそう」と説明していくことも考えましたが、より臨場感をもってお伝えしたいと思い(結果的にそのほうが頭に残りそう)、事案ベースで書いていくことにしました。

「合併」と一言で言っても状況は様々ですので、今回は以下のような「製造業を営む企業同士の合併(どちらも職能別組織)」を想像してください。

さや
さや

現実では「あるある」だけど、設問にはしづらい。
そんなこともあると思います!


まずは「起こり得る問題」のほうからいきましょう

合併で起こり得る問題

(1) 情報システムの統合が大変

<出題可能性:低>
<PMIにおけるレイヤー:業務統合>

企業合併で避けて通れないのが「情報システム」の統合です。

この統合、お互いの企業がビジネスにどの程度システムを使っているかによっても変わってはきますが、基本的に「めちゃくちゃ大変」です。

日中のサービスを止める訳にはいかないので夜間作業は頻発しますし、どんなに綿密に計画しても想定外のことは起きる訳で、利用者からのクレームも多発。。。

情報システム部門の悲鳴が聞こえてきます。

ただ、そんな「情報システムの統合」も、事例Ⅰでは深堀りされることはあまりないと思われます。

どんなに大変だとしても対応策は「統合する」の1択ですし、組織・人事を考える上では本流の部分ではないからです。(実務へのインパクトは超特大ですが!!)

「合併で起こり得る問題」を問われた際の選択肢の1つ、もしくは、「合併に向けた準備」を問われた際の選択肢の1つとして持っておくレベルでよいでしょう。

(2) 給与や福利厚生の水準を合わせるのが大変

<出題可能性:低>
<PMIにおけるレイヤー:経営統合、業務統合>

これも、企業合併では避けて通れない&めっちゃくちゃ大変。。。です。

規則とかの話なんだから、「こうする」って決めちゃえばいいんじゃないの?
何がそんなに大変なの?

と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、給与が下がってしまったり不利益変更となってしまう社員へのケアとして、猶予期間(急激に変わることのないようにソフトランディングさせる等)を設けるようなケースが多々あるのです。

もっと実務的な話をすると、標準システムではじき出した給与をその「猶予」の内容に合わせて修正することが必要だったり。。。

社員の生活に直結する部分でもある(当然モチベーションにも影響する)ので、とにかく細かな配慮が必要&手間がかかりまくります。

こんなに大変な本事案ですが、こちらも事例Ⅰで深堀される可能性は低いと考えました。

情報システムの統合同様「(猶予期間は設けるとしても最終的には)合わせる」の1択ですし、この論点を深堀りしようとすると、与件文の作りこみが非常に複雑になるはずだからです。(年功序列か成果主義か、評価基準、職位の階層数等々)

そこまでしてここを問うよりは、後述の(4)や(5)の論点を問うほうが、事例Ⅰに相応しいかなと。

「合併しないことを決めた理由」の1つとして解答を求められる可能性が無くはない、くらいのレベルで考えてよいのではないでしょうか。

※現実でも、この大変すぎる給与・処遇の水準統合を避けるために、吸収合併ではなく子会社化を選ぶケースがあるほどです。それほど大変です。。。

(3) ポスト不足による降格

<出題可能性:低>
<PMIにおけるレイヤー:経営統合、業務統合>

今回のように間接部門が統合される合併の場合、合併前と比較して役職者のポストが減ります

合併前はA社にもX社にも「総務部長」という役職があったところ、合併後のポストは1つしかない、といったイメージですね。

ポストに対して人が多い。

1次試験の表現をすると「経営資源の重複」です。

こういった場合、存続会社である旧・A社の部長が引き続きそのポストに就き、消滅会社である旧・X社の部長は副部長といった補佐的な位置づけの役職に就くことが多いようです。

当然、旧・X社の部長 及び その部下のモチベーション低下が予想されるので、現実では「社長直下のような新たなポスト」が作られそこに就任したりすることもありますが、部長職を外れることに変わりはなく、依然としてモチベーションへの懸念は残ります。

難しい問題です。。。

出題可能性を「低」としたのは、そのような「対応の難しさ」が理由です。

例えば

合併により統合される部門で起こり得る問題とその対応策を、組織形態の観点から100字以内で答えよ。

といった設問があった場合、問題は挙げられますが、バシッと決まる対応策を示すのは非常に難しいと思うのです。(「組織形態の観点から」ではなく「組織の観点から」であれば、まだ他にも解釈の余地がありますが。。。)

「事業部制組織に変更してそれぞれに間接部門を設置する」「役職のないフラットな組織形態に変更する」は、ポスト不足への対応にはなりますが、それに伴い出てくる新たな問題やコストを考えると、最適解ではないと思われます。

「問題点を挙げよ」という設問が考えられなくもないですが、与件文・設問の全体ストーリーを考えると、可能性は低いかなと。。。

ということで出題可能性は「低」と考えます。

(4) 仕事の進め方が異なることによる混乱

<出題可能性:中>
<PMIにおけるレイヤー:業務統合>

これは、統合される部門(総務部・営業部)に限らず、統合されない部門(製造部)でも起こる問題です。

統合される部門もそうでない部門も、存続会社のやり方に合わせていく必要のある部分は必ず出てきます。(各役職の権限・責任範囲、意思決定の流れ、事務処理、利用するシステム等々)

対応策としては、現実だと「旧・X社社員に、全体説明会を行う」「旧・X社社員に、マニュアルに沿ってOJTする」といった方法が一般的でしょう。

設問として問われる場合は、上記のみだとアッサリしすぎているので、与件文の中に「旧・A社の業務が属人化している」「標準化されていない」「マニュアルが無い」といった”フリ”がないか要チェックです。

そのような”フリ”があったら、「標準化・マニュアル化し、属人化を解消する」といった統合の前準備のところから解答に入れていくのがよいでしょう。

与件文から、X社のほうが進んでいる(A社でも利用しているシステムを用いており、尚且つ自動化している、等)様子が読み取れたら、そちらに寄せていくようなことも解答の選択肢としてアリだと思います。

解答要素となり得るであろう「標準化」「マニュアル化」は事例Ⅲでも取り上げられることが多く、事例間のバランスを考えた時に事例Ⅰでは問われづらいかという思いから、出題可能性は「中」としました。

気持ち的には「高」寄りの「中」です!

(5) 一体感の欠如

<出題可能性:高>
<PMIにおけるレイヤー:意識統合>

出身会社同士、いがみ合うまではいかなくても壁がある。。。

旧・X社社員
旧・X社社員

旧・X社社員が、疎外感・劣等感を感じている。。。
(わたし達はそんなつもりないんだけど。。。)

旧・A社社員
旧・A社社員

これらのことが現実に起こることは、皆さんも想像に難くないでしょう。

そして、合併&事例Ⅰの組み合わせともなれば、出題者として問わずにはいられないポイントだと思います。

設問文としては、以下のような感じでしょうか。

A社が今後さらなる成長を遂げるために行うべき施策を、組織融合の観点から100字以内で助言せよ。

与件文次第ではありますが、解答要素としては以下のような施策が候補となってくると思います。

考え方の根底にあるのは、バーナードの唱える組織の3要件「共通目的・貢献意欲・コミュニケーション」です。

  • 合併の意図や方針を、トップ自ら全社員に説明する
  • (上記の前提として)会社のドメインや方針を見直す
  • 全社イベント等で、旧・A社と旧・X社社員の交流を促進する
  • 製造部で、第1部~第3部の部門横断PJを立ち上げる
  • 部門間の人材ローテーションを実施する 等々

助言系は「効果」まで言及するのがよいとされているので、わたしだったら「一体感を醸成し、士気向上を図る。」で締めます。

「成長に向けた施策」系の設問は、合併に限らず事例Ⅰのテッパンだと思うので、解答に使うフレーズはいくつか準備しておくとよいでしょう。

さや
さや

「起こり得る問題」はこれくらいにして、次は「期待される効果」について考えてみましょう。

合併で期待される効果

こちらは、出題されるとすれば戦略的な切り口から問われると思います。

PMIのレイヤーで言うと「経営統合」。

設問文としては以下のようなイメージです。

どういったことを期待して合併するに至ったか、A社の立場から100字以内で答えよ。

事例ⅠのA社がこれから合併をしようとしている場合、高い確率でこういった期待・効果が問われると思います。

この章では、問われた場合の解答要素の候補と、解答に含める優先度を記載していきます。

(1) 規模の経済

<優先度:低>

同業種同士の合併の場合は特に、この「規模の経済」が期待出来ます。

前述の諸々の問題があるので、現実には「規模の経済」の段階までもっていくには時間がかかるのですが、長期的にはこのメリットを享受出来ることが多いでしょう。

優先度を「低」としたのは、この論点は、後述の論点と比較して解答を広げづらいため。

もちろん与件文・設問文次第ではありますが、「文字数に余裕があれば期待・効果の1つとして加える」くらいのスタンスでよいのではないでしょうか。

(2) 弱みの補強、不足する経営資源の獲得

<優先度:中>

「弱みの補強」や「不足する経営資源の獲得」も、企業合併の動機として一般的です。

与件文に以下のような情報があれば、「合併で期待する効果」として上記を解答要素に盛り込むことを検討してみて下さい。

  • A社に〇〇の経験が乏しい(X社は〇〇に熱心)
  • A社で△△な人材が不足している・高齢化していて不足する見込み(X社には△△な人材が多い)

経営資源と言えば「販路」や「資金」なども大事な資源ですが、事例ⅠというよりはⅡやⅣの要素が強くなってくるので、文字数に余裕がない中で不足する経営資源の例示を求められている場合は「経験」「人材」を優先したほうがよいでしょう。

(3) シナジーの発揮

<優先度:高>

“(2)”に挙げた「弱みの補強」「不足する経営資源の獲得」は、合併企業双方が行うことで「1+1>2」の効果、いわゆる「シナジー」を生み出します。

事例Ⅰなので「組織」「ヒト」に絡めて考えるのが定石ではありますが、戦略的な切り口で問われている場合は、以下のような観点を盛り込むことも検討して下さい。(あくまで与件文・設問文次第ですよ!)

観点内容
事業・事業領域の拡大
・市場シェアの拡大
調達・集中購買によるコスト削減
・購買取引先の拡大(優良取引先の選択が可能に、BCP対応等)
開発・新商品の開発
・開発業務の合理化
生産・余剰生産設備・能力(スラック)の活用
・生産業務の合理化
物流・物流業者の集約によるコスト削減
・物流網の共有
マーケティング・
販売
・知名度向上
・販売チャネルの拡大
・広告宣伝・営業業務の合理化
管理・管理業務の合理化
・人材交流による士気向上、組織活性化
・人材交流による人材スキルアップ

この「シナジーの発揮」については、「期待するシナジーの内容」を答えさせるような設問「シナジーを発揮するための施策」を答えさせるような設問の両方が考えられます。

どちらを問われても解答できるよう、準備しておきましょう!

さや
さや

様々な問題をクリアして、シナジー発揮をめざす。
与件文全体としては、そんなストーリーになるのではないでしょうか。

おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました!

今日書いた「起こり得る問題」のほとんどは、「会社が合併する」という事実を聞いたときにわたしが心配したことです。

もちろん会社もそんなことは分かっているので、あの手この手の対策を考えてはいますが。。。

実際どうなりますかね。

半年後・1年後が、怖くもあり楽しみでもありといったところです。

と、他人事のような言い方ですが、わたし自身もこれらの施策を推進する立場にあるので全く他人事ではありません。

会社の内情を詳らかにお伝えするわけにはいきませんが、「どういった施策をとったか」「その結果何が起こったか」などは話せる範囲でお伝えしていきたいと思います。

「実録・企業合併」をお楽しみに!(書けなかったらゴメンナサイ💦)

さや
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明後日は トロオドン です。
「イケカコ」の使い方について解説してくれるようです!

トロさん、よろしくね!!

ゆるく語っていきます🦕

トロオドン
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どうする対策 ~第7回「事例Ⅰで”合併”が出たら・後編」~ by さや”へ2件のコメント

  1. ともきんぐ より:

    さや様
    昨日の本番事例Ⅰでこの記事の内容がそのまま出て、PMIの切り口を思いだしながら書くことができました!(業務統合と意識統合の視点)
    本当ありがとうございます。
    名古屋会場で受けてきたので、家康ゆかりの地を歴史散策してから帰ります笑

    1. さや より:

      ともきんぐさん

      さやです、昨日は大変お疲れさまでした!

      経営統合、出題されたようですね!
      わたしの記事がともきんぐさんのお役に少しでも立てたのであれば、とても嬉しいです^^
      切り口がスッと出てきたのは、ともきんぐさんがしっかり対策されてきた成果ですね!

      「家康ゆかりの地を歴史散策」、うらやましいです笑
      もし少し足をのばせるようであれば犬山城も是非笑

      試験でお疲れのところ、コメントありがとうございました!

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