【渾身に代えて】事例文をひもとく 2019年度 事例Ⅰ

アイキャッチの写真は、葉たばこ畑の写真です。こんな葉っぱなんですね。

本当に一日一日時間が過ぎるのが早いです。
皆さんは充実した受験勉強ができていますか。仕事が忙しい方もいらっしゃるかと思います。
思うように勉強時間を確保できないことがストレスだったり、気乗りしない日もあるでしょう。
そんな時は「目の前の一問」に手を付けてみてください。とにかく1問解きましょう。

煮詰まったら、リフレッシュのためにいつもやらないことをやってみましょう。
ストレッチ、軽い運動、ぐっすり寝ることも効果があると思います。
しばらくやっていない家族サービスや家事もおすすめです。

2019年度 事例Ⅰ 事例文をひもとく

前回は設問解釈(前回記事はこちら)をしました。
事例問題を解く手順としては、事例文を読む前に設問文を読み込み、どんなことが問われているのか、事例文の中で解答のネタとして探すべきヒントのあたりをつけます。
先に設問文を読むことで問われたことを意識でき、事例文を読んだときにポイントに気づきやすいからです。
先入観なく事例文を読みたいという人もいらっしゃると思います。
その方が時間がかからず、解きやすく、得点が取れるのであれば、それでも良いと思います。
自信をもって、「事例文を先に読み込んだ方がいい」といえる人以外は、まずは設問文を読んで、事例文の中でヒントを見つける意識を持ちましょう。

事例文のチェック方法

事例文中に各設問と対応する部分や関連する部分に同じ色をマークします
 第1問 黄緑でマーク
 第2問 ピンクでマーク
 第3問 紫でマーク
 第4問 青でマーク
 第5問 黄色でマーク
設問文と直接紐づいていないけど気になる部分やポイントと思われる部分に赤ライン
時制には赤丸 ⇒ コメント文では表現できないので、赤文字とさせていただいています。
接続詞に
解答に盛り込むワードに

第1段落 A社の概要

  • 農業用機械産業機器装置製造する中小メーカである。
    ⇒ 業種を確認
  • 縁戚関係にある8名の役員
    ⇒ 同族企業ということだな。メリット、デメリットが解答に必要になるかも

「縁戚関係にある8名の役員」「祖父が初代、父が2代目、長男が現代表取締役のA社長、副社長は弟、専務はいとこ」と、典型的な同族企業だね。

同族企業のメリット

  1. 経営理念が社内に浸透していること(伝統・ブランドの継承)
  2. 意思決定を迅速に行えること
  3. 事業承継をスムーズに行えること

同族企業のデメリット

  1. 外部環境への対応が遅いこと(革新性に欠ける)
  2. 恣意的な経営がなされる恐れがあること(内部統制の欠如)
  3. 社員間格差(身内びいきによる人事)があること

参照 仕組み経営 同族経営とは?メリット/デメリットや成功事例まとめ

第2段落 A社長の就職の経緯

  • 2000年代後半
    ⇒ 時制だからチェック
  • 1990年第半ば
    ⇒ 時制だからチェック

第3段落 A社主力事業の概要 過去から社長就任前まで

  • 主力事業 
    ⇒ 事業の内容を確認。
  • 葉たばこ乾燥機の製造販売
    ⇒ お茶の葉を乾燥させる機械と似たものなんだろうか。
  • たばこ産業は厳しい規制に守られた参入障壁の高い業界であった。
    ⇒ 設問文にある「古い営業体質」と事例文の「古い業界体質」がつながりそう。
    競合が少ないだろうから、営業は楽だろうな。
  • 産業振興団体から多額の補助金
    ⇒ これも古い業界体質だと思われる。
    ただし、補助金を受けていたのは「葉たばこ生産業者(農家)」であり、A社が直接補助金を受けていたわけではない。
  • ▽しかし、1980年代半ば公企業の民営化が進んだ
    ⇒ 逆接の接続詞の後に年代がきているので、その時点で環境変化があったということ。
  • 健康志向が強まり
    ⇒ 「〇〇志向」とは、外部環境やターゲット顧客のサイコグラフィック的特徴を表す。
      「強まった」ということは外部環境が変化したということ。(脅威)
  • たばこ市場の縮小傾向が進んだ
    ⇒ ズバリ市場の変化(脅威)についてかかれている。「市場」という単語は要チェック単語
  • ▽さらに受動喫煙問題が社会問題化すると、市場の縮小はますます顕著になった。
    ⇒ 追い打ちをかけるように外部環境が変化している。(脅威)
  • ▽しかも、生産者の後継者不足高齢化が急速に進み、葉たばこの耕作面積も減少するようになった。
    ⇒ 後継者不足、高齢化は業界全体の内部環境といえる。
  • ▽こうした中でA社の主力事業である葉たばこ乾燥機の売上も落ち込んで、
    ⇒ 葉たばこと葉たばこ乾燥機って紛らわしいな。
    「葉たばこ」の話なのか、「葉たばこ乾燥機」の話なのか注意して読もう。
  • 経営の根幹が揺らぎ始めてたといえる。
    ⇒ これだけ外部環境や市場環境が変化すれば根幹が揺らぐのは当然だな。
  • ▽とはいえ、~A社長に際立った切迫感があったわけではなく存続危機に陥るなどとは考えていなかった
    ⇒ うそでしょ!A社長、どんだけ鈍感なんですか。危機を危機と感じられない「ゆでがえる」だな。

第4段落 社長就任へ

  • ▽しかし、2000年を ~ 2000年代半ばに ~ すでに5年以上の ~
    ⇒ 時間の経過を抑える。
    大学を卒業し、海外留学を中断してA社に就職したということは30歳前後でトップ就任か
    副社長や専務も同年代だな。
  • ▽そこで、自らが先頭に立って自社製品のメンテナンスを事業化することに取り組んだ。
    ⇒ 第1問に同じ文言が使われている。この前後が第1問のヒント。
  • ▽しかし、そればビジネスとして成り立たず売上減少費用増大という二重苦を~
    ⇒ 重要な一文。第1問の設問文の「ビジネスとして成功しなかった最大の理由」に直接紐づいている。

売上減少の理由は何だろうか、費用増大の理由は何だろうかと考えよう。
その際に設問文の「最大の理由」という制約に注意。
「理由は、①売上面で、市場環境の変化により~、②費用面で、~ 」などとしないように気を付けよう。
「最大の理由は、〇〇な〇〇で売上が減少する中、〇〇のため、費用が増大したから」など、うまく一つにまとめよう。
「〇〇する中、~」は外部環境(機会・脅威)を表現するのに便利な構文です。

  • ▽そこで、自社の技術を見直し、~新製品の開発に着手した
    ⇒ ちょっと遅い気もするけど、着眼点はいい。
    第3問の「新規事業」と関連しているな。
  • ▽もっとも、その中で成功の部類に入るのは、干椎茸製造用乾燥機ぐらいであったが、
    ⇒ 数少ないヒット製品ということか。葉たばこ用と干椎茸用と用途は異なるが、基本的な構造はきっと同じだよね。
    そもそも、干椎茸用としてのニーズはそんなにあるのか?
  • ▽その上新しい事業に取り組むことを、古き良き時代を知っている古参社員たちがそう簡単に受け入れるはずもなかった。
    ⇒ 第2問の設問文の「古い営業体質」と「古き良き時代を知っている古参社員たち」が関連している。
    ここで、「新しい事業に取り組むこと」とあるので、2つ前の文の「新製品の開発」が「新規事業」であることがわかる。
    コア技術が限定的なうえ、社員が非協力的では大変だな。

第5段落 新体制のスタート

  • 危機感の中で~ 最初に取り組んだのは
    ⇒ 最初に取り組むということは、一番重要な問題か、一番手を付けやすい問題。
  • 長年にわたって問題視されてきた高コスト体質の見直し
    ⇒ 緑色のマークですが、「高コスト体質」とありますので直接的には、第2問ピンクに該当していますね。
    長年ということは、A社長が就任する前からといえる。
    もともと高コスト体質のため、費用増大につながった。

高コスト体質だと「なぜ」費用増大につながるのかと、「なぜ」で深堀りしよう。

  • 客から依頼されば個別に対応していたために、膨大な数の部品が在庫となって収益を圧迫していたのである。
    ⇒ 行き過ぎた個別対応や多すぎる在庫は収益を圧迫する。
    ここ重要なポイントだったけど、記述を落としていた。

▽また、手書きの帳簿全社的な計計数管理が行われていないなど、前近代的な経理体制
⇒ 並列の接続詞。この前後に解答要素やヒントが並んでいることが多い。
これでは売上や原価の把握ができないし、儲かっているか、いないかもわからない。

「前近代的」という特異な表現は、「ぜひ解答に取り上げてほしい」というメッセージ。

▽そこで、~これまでの事業や技術力を客観的に見直し時代にあった企業として再生していくことを目的に、~経営改革を本格化させたのである。
⇒ 「経営改革」が設問と直接紐づいているのはお分かりですよね。
「時代にあった」と「前近代的」が対比されています。

第6段落 うそでしょ、人員削減!?

  • ▽当然のように、~従業員の削減にも手を付けることになった。
    ⇒ 第5段落の経営改革の内容として書かれている。中小企業への施策として人員削減の提案は相応しくないといわれていたので、本試験の時は驚いた。
    もはやきれいごとを言っていられない状況だったということだな。
  • その後の波及効果を考えると
    ⇒ 次に続く一文から考えると、波及効果は「悪い効果」と考えられ、地元で長年苦楽を共にしてきた従業員の行く末のことや、地元での評判を落とすことなどを指していると思った。
  • これを乗り越えたことで、従業員の年齢が10歳程度も引き下がりコストカットした部分を成果に応じて支払う賞与に回すことが可能になった
    ⇒ 成果給的な給与体系の導入で、残った従業員のモチベーションやモラールが上がったと考えられる。

第7段落 新規事業の進展

  • 自社のコアテクノロジーを「農作物の乾燥技術」と明確に位置付け、それを社員に共有させる
    ⇒ 第5段落で技術力を客観的に見直した結果、乾燥技術しかなかったと思われる。
    しかし、「我々には優れた乾燥技術がある」という強みの共有で組織が活性化したと思われる。
  • 新規事業開発の体制強化を打ち出した。(ノーマーク)
    ⇒ 事例Ⅰ特有の体制(組織)強化という点に注目。
  • その結果3年の時を経て、~ 新規事業の基盤が徐々に固まってきた。
    ⇒ 共通認識を持ち、体制を強化したから基盤が固まり始めた。
    「技術力を客観的に見直し」「時代にあわせた」細かな調整を手軽な操作で対応するソフトウエアや、採算性を意識した低燃費化に成功したということだな。

第8段落 モノの開発から市場の開拓へ

  • ▽しかしながら、
    ⇒ 順調になりかけたのに、ここで逆接。
  • 市場の開拓はもちろん、販売チャネルの構築不可欠である。
    ⇒ 第3問と直接紐づいている。
    市場開拓と販売チャネル構築が重要ポイントであることがわかる。
  • 当初、~A社が独自で切り開くことのできた市場は~既存市場だけであり、
    ⇒ 当初はA社独自で開拓できたのは既存市場だけだったけど、その後の展開で、独自ルート以外で開拓できた新規市場があるということ。
  • 何を何のために乾燥させるのか、ターゲット市場を絞ることはできなかった。
    ⇒ 第3問の設問では「試験乾燥のサービスを展開することによって市場開拓に成功した」とある。
    ということは、「試験乾燥」のターゲット市場を絞った(見つけた)から、市場開拓に成功したと解釈できる。

第9段落 ホームページの活用

  • 潜在市場の見えない顧客に用途を問う
    ⇒ わからないことはお客様に聴こうという姿勢はGOOD。いわゆるニーズ(シーズ)調査。
  • 自社ホームページ
    ⇒ 「情報発信」はもちろんのこと、「情報収集」「双方向コミュニケーション」を想起する。
  • ▽背水の陣で ~ 1990年代後半のインターネット黎明期では考えられなかったほど多く、~
    ⇒ わざわざ、時代にあわせてホームページの役割が「情報発信」から、「情報収集」や「双方向コミュニケーション」に変わってきていることを示唆している。
  • それまでA社ではアプローチすることのできなかったさまざまな市場との結びつきもできたのである。
    ⇒ 「顧客」ではなく「市場」という書き方が気になる。第3問の設問文で「市場」開拓と紐づけるために、作問者がヒントとして書いてくれたのだろう。
  • ▽もちろん営業部隊のプレゼンテーションが功を奏したことは否めない事実である。
    ⇒「もちろん」は取ってつけた表現。解答に盛り込んでくださいというサイン。

取ってつけた表現わざとらしい表現は、解答に盛り込んでくださいというにおわせサイン

第10段落 A社の組織

  • A社の組織は~機能別に組織されており(ノーマーク)
    ⇒ 機能別組織のメリット・デメリットを想起する。

機能別組織のメリット

  1. 分業により各機能(部門)の熟練が形成され、専門性が発揮できる(専門化の原則)
  2. 業務集中による規模の経済性が発揮できる
  3. トップ権限集中型の単純な階層構造であり、組織の統制を図りやすく(命令統一性の原則)、トップは広範囲の情報を集めたうえで、大局的な意思決定ができる

機能別組織のデメリット

  1. 機能間の調整などトップの負担が大きく、トップの意思決決定に遅れが生じる可能性がある。そのため、環境変化や顧客ニーズへの対応が遅れる懸念がある。
  2. 部門間でセクショナリズムが発生しやすく、組織内の人事交流が停滞し、部門横断的な対応や組織内の情報共有が困難にかる可能性がある
  3. 全社的なマネジメント力がある人材が育ちにくい
  4. 機能部門の利益責任の所在が不明確

参照 TAC出版 中小企業診断士最速合格のためのスピードテキスト1企業経営理論(2020年度版)

第11段落 組織再編の検討

  • ▽しかしながら、~A社の組織は、創業当時の機能別組織のままである。
    ⇒ 機能別組織のメリットとデメリット、また、事業部制組織のメリット・デメリットを考慮して、組織変更したいけどできない理由があるのか、または今の方がメリットがあるのかを確認する。
  • 現段階での組織再編には賛成できない旨を伝えられた。
    ⇒ 時期尚早、まだ早いということか。
  • A社長は熟考の末、今回、組織再編を見送った。
    ⇒ 現在の機能別組織のメリット(継続)と、事業部制組織のデメリット(回避)が理由だ。

事業部制組織のメリット

  1. トップマネジメントが業務的管理の仕事から解放され、戦略的意思決定に多くの時間が割けるようになる。
  2. 現場の状況に即応した弾力的で迅速な意思決定が可能である
  3. 下位管理者のモチベーションが高まるとともに、管理者の能力を高め、次代の経営者の要請が可能となる

事業部制組織のデメリット

  1. 研究開発・購買などの職能が各事業部で重複して行われ、コストがかさむ
  2. 各事業部がそれぞれの利益の達成にこだわり、視野が狭く、短期的な判断に陥りやすい
  3. 事業部間の競争が激化し、セクショナリズムをもたらしやすい

参照 TAC出版 中小企業診断士最速合格のためのスピードテキスト1企業経営理論(2020年度版)

まとめ

上記の解釈は、一受験生だった私が思ったことにすぎません。

「ほかの受験生はこんなことを考えているんだな」という参考になれば幸いです。

ちなみに、私の手元には2次試験の過去問の解答やテキストが何種類かありました。

  1. ふぞろいシリーズ
  2. 通信C社のテキスト
  3. 受験校T社の市販の教材
  4. 受験校M社の過去問テキスト
  5. 勉強会でもらったほかの受験生の解答

先日、のきがブログでこんなことをいっていました。

のき のふぞろいとの付き合い方 4箇条
参考書はあくまで「参考」書。受け売りだけでなく、自分の頭でも考える。
合格答案は絶対解ではない。
その中のいいところを盗む。
なぜそのキーワードが加点項目になり得るのか自分で考える。
キーワードを盛り込みつつも、読みやすい論理展開が明確な文章を意識する。

のきは前回ブログ(記事はこちらから)のテーマ上「ふぞろい」との付き合い方としていますが、実は、他のテキスト類にも同じことがいえると思います。

参考書の解答例の中には、「どうも納得がいかない」と、もやもやするものもあると思います。

それは、答案作成者ごとに設問文をどう解釈したのか、どういう切り口で分析したかに違いがあるからです。

ですから、その違いを見極め、自分の考えにしっくりくる答案例を自分用の答として採用しましょう。

また、問題を解く際に気を付けていただきたいのは、切り口や内容にオリジナリティーを出す必要はない、ということです。

大多数の受験生が思いつくであろうことを、他の受験生よりわかりやすく説明すればよいのです。

自分の本業と同じ業界だったりすると、ついついいつもと違って自分だけが知っていること書きそうになりますよね。
でも、ぐっと我慢していつも書いていることだけを書きましょう。

さて、あしたは なゆた です。

時短と中小企業経営・政策は私に任せて!

お楽しみに~

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【渾身に代えて】事例文をひもとく 2019年度 事例Ⅰ”へ2件のコメント

  1. ロム より:

    初めて問題に挑戦した時は、ここまでのじっくりとした分析を行うことができずに惨敗した記憶があります……。
    最近ではひでさん他、まとめシート流の解き方を取り入れて、気になる部分に線を引きながら各設問に結び付けて回答ができるようにトレーニングをしておりますが、まだまだ経験が足りずに苦労しております。
    本番までにできるようになるのか、二次試験は本番まで上手く解けるようになるのか不安が残りそうですw

    1. ひでさん より:

      ロムさん、コメントありがとうございます。
      この時期にじっくりと事例と向き合うことができていれば十分だと思います。
      今は数をこなすよりも、一言一句に集中してしゃぶりつくすように読み込んで、設問文と事例文に慣れ親しみましょう。
      目の前に社長がいて、インタビュー(対話)しているつもりで、「なぜそうしたのですが」「つまり、こういうことですか?」などと質問や突っ込みを入れながら読むといいと思います。
      また、私が書いた内容に納得がいかないこともあると思いますが、それでいいんです。
      まとめシートやその他のテキストもご覧になって、しっくりと腑に落ちるところだけをロムさんの考え(ノウハウ)としてストックすれば、最強の解答ノウハウができます。
      老婆心ながら、オリジナリティーは全く不要です。
      これからも応援しています!

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