【渾身】令和2年著作権法改正~その1~

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どうも、TAKUROです。

先日春セミナーにご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!!

(masumiが作ってくれました!道場メンバーからは再現度が高いと高評価(?)を得ております笑 masumi、ありがとう!)

セミナーでは実際に受験生の方と顔を見ながらお話する機会をいただき、道場の活動に従事してきてよかったなと、心から思いました。

春セミナーの様子は、

のきの オンライン春セミナー開催報告 〜1次試験・試験全般編〜

にのみの オンライン春セミナー開催報告 〜2次試験編~

をご覧ください!!

そして、事前アンケートやセミナーの感想を見ても、経営法務の改正法対応に不安な気持ちを持っている方がおり、改正法の記事の要望も出ていました。

(改正法はスルーして過去問をやりつくして64点を取ったアヤカ神のような人もいますが笑)

他方で、私は、最近、経営法務をメインで扱った記事を書いていませんでした。
(前回は、単にテレビを見ることを推奨した、ゆるわだの王道を行く記事でした笑)

そこで、春セミナーで集めたニーズを記事に生かす、双方向コミュニケーションの精神で、
本日から何回かに分けて、令和2年著作権法改正を扱いたいと思います。

1.経営法務への取組み方のおさらい

経営法務の勉強の仕方は、脱・暗記三兄弟へ!!-経営法務の心構えで書きました。
ポイントをおさらいすると、

1 なんでこのルールがあるのか(=立法趣旨)を考える(ポイント1)

2 誰と誰の問題をどういう塩梅で調整しているか考える(ポイント2)

3 この法律が使われる具体的場面をイメージする(ポイント3)

でした。

これを使いながら、令和2年著作権法改正を検討していきます。

なお、試験対策のために書いているので、イメージのつかみやすさを重視して、正確性を犠牲にしているところがありますので、その点はご了承ください。

2.何でこのルールがあるか(=立法趣旨)の確認

本日は、改正法のうち、いわゆるリーチサイト対策を見ていきます。

リーチサイトとは、「自身のウェブサイトにはコンテンツを掲載せず、他のウェブサイトに掲載された著作権侵害コンテンツへのリンク情報等を提供して利用者を侵害コンテンツへ誘導するウェブサイト」のことをいいます(※2)

リーチアプリも規制されますが、リーチアプリとは、リーチサイトでいうリンク情報を提供するアプリ、というイメージでよいと思います。

「リーチサイト対策」と、次の記事で扱う予定の「侵害コンテンツダウンロード違法範囲の拡大」の目的は共通していて、

インターネット上の海賊版対策の強化

にあります。

文化庁の資料(※1)によれば、こんな実態があったためです。

「漫画村」というサイトでは、約3000億円もの出版物がタダ読みされた。

これにより漫画家・出版社の収入・売上が20%減少した。

日本最大級のリーチサイト「はるか夢の址」では、摘発までの1年間で約731億円の被害が発生した。

この状態を放置しては、クリエイターやコンテンツ産業に甚大な損害が生じる。

この場合、著作権法の目的である文化の発展も阻害される。

そこで、このような状態を防ぐために、リーチサイト対策・ダウンロード違法化の法改正が行われました。

改正前の規制対象と改正法での規制対象のイメージは以下のとおりです。
(参照 文化庁 著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(説明資料)

※クリックで拡大します

3.リーチサイト対策

以下では、リーチサイトを前提に説明しますが、リーチサイトがリーチアプリに置き換わっても結論は同じです。

まずは、上記の図を踏まえ、海賊版対策の強化のために、リーチサイト対策を設けた立法趣旨(なんでこの規定があるか)を見ていきます。

リーチサイト対策立法趣旨

海賊版をインターネットサイト上にアップすることは、改正前から違法です。

他方、海賊版サイトへのリンクを貼る行為は、著作物を複製したり公衆送信している訳ではないので、
著作権侵害にならない、という見解が裁判所や学説の一般的な理解でした。

しかし、リーチサイトにリンクが貼られることによって、侵害コンテンツが約62倍多く視聴される、という調査結果もあり、リーチサイトが著作権制度に及ぼす悪影響は甚大です(※1)。

そこで、リーチサイトに侵害コンテンツへのリンクを貼る行為や同サイトを運営して、リンクを放置する行為を著作権侵害とみなしてしまおう!というのが今回の改正です。

※「みなす」という法律用語は、本来そうではないがそう扱ってしまおうということで、本件では、厳密には著作権侵害ではないかもしれないが、著作権侵害ということにしてしまおう、ということです。

では、この立法趣旨を踏まえて、これを実現するためのスイッチ(=条件)とライト(=効果)がどうなっているか見ていきましょう。

なお、リーチサイト対策の条文は、見ると吐き気を催す可能性があるので割愛します。

(三重カッコがかかったややこしい条文でした。私もカラーペンで色分けしながら読みました笑)

なるべく条文の文言を使いたくないのですが、選択肢に条文の文言が使われることが多いので、最低限度で条文の文言にも言及しています。吐き気を催した方、ごめんなさい笑

リーチサイト対策は、

類型1「リンクを貼る行為」

類型2「サイト等運営者がリンク提供を放置する行為」

を規制しています。

まず、類型1から見ていきます。

4.類型1 リンクを貼る行為

スイッチ(=条件)の理解

誤解を恐れずものすごくざっくりいうと、著作権侵害とみなされる対象行為は、

海賊版サイトと分かっているのに、海賊版サイトのリンクを貼って、著作権侵害コンテンツの利用をしやすくする行為

と整理することができます。

これだけだとあまりにざっくりしすぎているので、著作権侵害とみなされるための条件(=スイッチ)を、①~⑤に分けて、もう少し説明します。

① 対象行為=侵害コンテンツにリンクを貼る行為又はこれに類似する行為

これは読んだとおりなので、特に解説は不要と思います。

リンクをそのまま貼る行為でなくても、例えば、URLの一部を別の記号(☆など)に置き換える行為も対象になり得ます。
そうじゃないと、一部を別の記号に置き換えたリンク提供行為が横行しますからね。

なお、リンクやこれに類似する置き換えのことを、条文では「送信元識別符号等」と規定しています。耳慣れない表現ですが、選択肢に出てきても慌てずに、「あぁ、リンクのことね」と流してください!

② 他人による利用を容易にする行為

①の行為で他人による侵害コンテンツの利用を容易にする行為が対象になります。

このことを、条文では「侵害著作物等利用容易化」と規定しています。

中国語か!!といいたくなるくらい漢字ばかりですね。

③ リンク先の侵害コンテンツの内容

リンク先にある著作権等侵害コンテンツに特に制限はありませんが、翻訳以外の2次的著作物は除外されています。

以下に、具体的な適用場面をイメージしつつ(ポイント3)、説明します。

例えば、私がドラゴンボールの違法なパロディ漫画を描いてサイトに掲載していたとして、Aさんがサイトのリンクを貼ったとしても、Aさんの行為は鳥山明さんとの関係で著作権侵害になりません。

この理由をざっくりと説明すると、私が書いたパロディ漫画を読んでも、ドラゴンボールそのものをタダ読みしたことにはならず、鳥山明さんへの権利侵害の程度が大きくないと考えられるためです。

④ どんなサイトにリンクを貼る行為が対象になるか?

条文をかみ砕いて書くと、以下の2つに整理できます。

・侵害コンテンツに『殊更に』誘導するサイト

『主として』社会の人が侵害コンテンツを利用するためのサイト

文章だけだとイメージがわきにくい方は、下記リンクの7頁が分かりやすいのでご覧ください。

文化庁 著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(説明資料)

なお、条文では、リンクを貼るサイトのことを「侵害著作物等利用容易化ウェブサイト」、アプリのことを「侵害著作物等利用容易化プログラム」と規定しています。

条文の文言に言及するのはこれが最後です。お疲れさまでした!!

⑤ リンク先サイトに掲載されているものが著作権侵害であると知っていた又は知ることができた場合

リンク先サイトに掲載されているものが著作権侵害であると一般人が判断することが難しい場合もあります。

リンク先のものが著作権侵害と知ることができない場合にも、リンクを貼る行為が著作権侵害である、としてしまっては、怖くてリンクを貼ることもできない上、リンクを貼った人がかわいそうです。

そこで、「誰と誰の問題をどういう塩梅で調整しているか考える(ポイント2)」を使い、リンク先のものが著作権侵害と知ることができなかった場合には、リンクを貼る等の行為を著作権侵害としないことにしました。

ライト(=効果)の理解

①~⑤の条件(=スイッチ)を満たした場合、著作権侵害とみなされ、損害賠償請求や差止めの対象になります。

3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はその両方を科される、という刑事罰もあります。
(年数や金額まではさすがに覚えなくていいのではないかと思います。)

5.類型2 サイト等運営者がリンク提供を放置する行為

スイッチ(=条件)の理解

こちらも、まず、非常にざっくりと説明すると、

リーチサイトを提供している者が、海賊版サイトへのリンクが貼られている場合に、海賊版サイトへのリンクと知りつつ、しかもリンクを削除できるにもかかわらず、これを放置する行為

が対象になります。

これだけだとあまりにざっくりしすぎているので、類型1と同様に、著作権侵害とみなされるための条件(=スイッチ)を、①~④に分けて、もう少し説明します。

① リーチサイトの提供者

リーチサイトの提供者が対象になります。

この点と関連して、以下に、具体的な適用場面をイメージ(ポイント3)しつつ、プラットフォームの例外を指摘しておきます。

例えば、Twitter上に、侵害コンテンツへのリンクばかりつぶやいている人がいたとして、これを放置したTwitter社は著作権侵害になるのでしょうか?

一般的な感覚として、そこまで管理しきれん!と思うのではないでしょうか?

その感覚は正解で、上記Twitterの例のように、侵害コンテンツのリンクばかりのサイトとそうでないサイトを包括して管理しているようなサイト(=プラットフォーム)でのリンク放置行為は、著作権侵害とはなりません。

でも、著作権者からリンクの削除請求が出ているんだったら対応しろよ、と思いませんか?

その感覚も正解で、プラットフォームであっても、著作権者からリンク削除請求が出ており、ちゃんとした理由がないのにこれを相当期間放置している場合等には、著作権侵害とみなされます。

プラットフォームの例外は、「誰と誰の問題をどういう塩梅で調整しているか考える(ポイント2)」で理解できるスイッチだと思うので、理解して頭に入れるといいと思います。

② リーチサイトで、侵害コンテンツへのリンクが貼られていること

これは特に説明がいりませんね。

③ リンク先のものが侵害コンテンツであると知っているか、知ることができたこと
④ リンクを削除する等の行為が技術的に可能なのにしないこと

この2つのスイッチ(=条件)は、「誰と誰の問題をどういう塩梅で調整しているか考える(ポイント2)」で頭に入ります。

リンク先が侵害コンテンツであると知ることができなかったり、知ることができても、リンクの削除が技術的に不可能な場合にまで著作権侵害と判断されてはサイト運営者がかわいそうです。

そのため、③と④が条件になっています。

ライト(=効果)の理解

①~④の条件を満たすと、類型1と同様に著作権侵害とみなされます。

そのため、著作権者は、損害賠償請求や差止め(=リンクの削除)を請求できます。

5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はその両方を科される、という刑事罰もあります。
(年数や金額まではさすがに覚えなくていいのではないかと思います。)

6.終わりに

いかがでしたでしょうか。

改正法絡みの問題は、ひっかけなどが少ないイメージなので、出題されたら得点したいです。

他方で、改正法に対応している教材が少ないので、苦労するかもしれません。

この記事が、少しでもそんな皆さんの力になっていれば嬉しいです!!

この後、何回かに分けて、令和2年著作権法改正のうち、

・ダウンロード違法化の範囲拡大

・ライセンス当然対抗

・写り込みの例外規定の対象範囲拡大

を扱う予定です。メンバー横断でのシリーズ物の構想も出ていて連続して記事にできないかもしれませんが、ご了承ください。

私も、先日の春セミナーで参加者の皆さんの熱量に触れ、診断士合格を目指して走る皆さんの力になりたいという気持ちを強くしました!!

セミナーに参加してみる、道場ブログを見てみる、皆さんの一つ一つの行動が合格につながるように、私も道場の活動に臨みたいと思います!!

明日は、12代目司会王を襲名しつつあるこんちゃんです!

※1 文化庁 著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(説明資料)
※2 高瀬亜富「リーチサイト」ジュリスト1549号18頁以下(2020)


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【渾身】令和2年著作権法改正~その1~”へ4件のコメント

  1. ばんくさん より:

    受験生の目線をしっかり抑えて、かつ専門家の知見も加えた非常に分かりやすい内容で大変参考になります!引き続き経営法務に関するブログ楽しみにしております。
    春セミナー参加させていただき、こちらこそみなさまのエネルギーたくさんもらいました。
    ご準備等大変だったか思いますが、本当にありがとうございました。

    1. TAKURO より:

      ばんくさん

      ありがとうございます!コメントいただけて嬉しいです!
      お褒めの言葉をいただき、更にやる気が出てきました笑
      著作権法改正シリーズはあと、1or2回ありますので、ばんくさんのご期待に応えられる内容にしたいと思います!

      春セミナーへのご参加もありがとうございました。
      内容面でお役に立てることももちろん大事ですが、日々の勉強のモチベーションにつながることが何より大事だと思いますので、
      その点でお役に立てたことが非常に嬉しいです!
      今後とも、道場ブログをよろしくお願いいたします!!

  2. ロム より:

    経営法務はなかなかとっつきにくい分野なので、理解に至らず暗記してしまうことが多かったですが、本記事のように噛み砕いて説明して頂けると分かりやすく、非常に助かります!
    まんが村の例も、かなり認知度の高いものでしたのですんなりと自分の頭に入ってきました。

    ダウンロード違法化など、自分も含めコンテンツを作成し発信している立場からすると非常に興味がありますので、次回以降の記事も楽しみにしております!

    それにしても、masumiさんが描かれたTAKUROさんの似顔絵、特徴を捉えて本当に似てますねw
    オンラインセミナーに参加して、masumiさんの再現力に驚きましたw

    1. TAKURO より:

      ロムさん

      ありがとうございます!コメントいただけて嬉しいです!
      テキストなどを見ても制度の背景が書いておらず、結論だけ書いてあるので、暗記で済ませたくなる気持ちはよくわかります。
      難解な制度を、身近な例えで分かりやすく説明することを目指しているので、ロムさんのコメントで報われました笑

      実際にロムさんも発信者側の立場ということであれば、著作権法は無視できないですよね。
      ご期待に応えられるよう続編も頑張りたいと思うので、よろしくお願いします!!

      ロムさんのコメントで私だけでなく、masumiの苦労も報われていると思います笑

      一次試験の足音が近づいてきていますが、ご自身のペースでロムさんが駆け抜けていかれることを祈念しています!

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