【合格体験記】合理的な勉強スタイルと感謝の心。Piguさん
カワサンです。
今日は3本の体験記をお届けします。1本目は、Piguさん。
Piguさんは1次試験2回、2次試験3回の挑戦を経て合格をつかみ取りました。合理的な勉強方法と、2次筆記試験への取り組み姿勢は大変参考になるところです。
それでは、どうぞ!
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(0)受験生情報
Pigu・42歳
(1)自分の診断士受験スタイルを一言で表すと
必要な投資をして、できるだけ合理的な勉強を目指すスタイル
(2)診断士に挑戦した理由・きっかけ
私は大学・大学院で薬学を学び、現在は製薬会社に勤務しております。製薬業界は安定しているという印象をお持ちの方が多いかもしれませんが、薬価引き下げ等の政策的要因、新興国の新薬開発力強化による競争激化、再生医療等の医薬品以外の新規治療法の開発など、業界を取り巻く環境が変化してきています。
私は医薬品業界のみしかわからないため、今後この業界が根底から覆されるような社会変化や技術開発が生じたときに、自身がどうなってしまうのだろうと不安に感じていました。一方で、普段からビジネス書が好きで、経営の世界を本格的に学んでみたいと思っていました。こうしたことから、経営を中心に財務・工場のオペレーションなど幅広く学ぶことができ、実際に中小企業を経営支援するための国家資格である、中小企業診断士資格に興味をもったのがきっかけです。2017年夏頃にこの資格のことを知り、予備校の説明会に行きました。
(3)学習開始時の知識・保有資格、得意科目・不得意科目
保有資格:薬剤師、個人情報保護士、ビジネスマネージャー検定、TOEIC730、他
得意科目:情報、経済学、事例3、事例4
苦手:法務、事例1,事例2
診断士の勉強に役立つ資格は保有しておらず、真っ白の状態から始めました。
理系だったため数学が得意で、また、パソコンを趣味で自作していた時期があり、情報も抵抗感がなく、スッと入ってきた気がします。
法務はH30年で8点の嵩上げでなんとか合格したこと、また、2年目の2次試験でDとCをとった事例I・IIに苦手意識が強かったです。
(4)学習スタイルとそのメリット・デメリット
・1年目:TAC通学(1次2次ストレート本科)
・2年目:MMC通学
・3年目:TAC・通学(1次上級本科)、タキプロ勉強会、twitter, EBA100文字訓練各社模試など
①メリット
・予備校通学しているときには、スケジュールとタスクに悩まなくて済みました。日程が決まっているのでモチベーション維持に苦しむことはなかったです。
・予備校通学の最大の利点は、わからなければ質問できる点だと思います。講師に積極的に質問をしました。
・タキプロの二次勉強会では、合格者・受験生から自分の答案に対し多面的な意見をいただけたのが良かったです。
②デメリット
・予備校通学は費用がかかる点です。
(5)合格までの受験回数、学習時間とその作り方
①学習開始時期と受験回数
1次2回、2次3回。
2017年10月ごろから本格的に勉強開始。
2018年:1次7科目合格(428点…経済:60、財務:52、経営:65、運営:64、法務:40、情報:72、中小:75)
2次不合格(BBAB、53点、54点、62点、51点)
2019年:1次未受験(2次専念)。
2次不合格(DCAA、39点、43点、72点、62点)
2020年:1次7科目合格(529点、自己採点結果…経済:80、財務:80、経営:73、運営:68、法務:68、情報:88,中小:72)
2次合格(得点開示請求中)
②1次学習時間
1年目は800時間くらい、3年目は400時間くらいだと思います。(あまり正確に測っておらずすみません)
平日は早朝出社し始業まで2時間ほど、昼休みの1時間を活用して勉強しました。帰りは自習室などで軽めに1~1.5時間ほど勉強しました。土日は講義参加または自習室等で勉強していました。休日の自習は、朝から15時くらいまでにして、夕方以降はゆっくり過ごし、メリハリはつけるように意識しました。
③2次学習時間
1年目200時間くらい、2年目800時間くらい、3年目200時間くらい。スタイルは上述のとおりです。
(6)合格までの学習法
①1次(1年目)
インプットはTACの講義を聞くことで、予習はほぼせず、復習を徹底しました。講義スケジュールの単元に沿って、TACのトレーニングという問題集と過去問を徹底的に解きまくりました。
意識したのは、とにかく繰り返し解くことだけを意識しました。エビングハウスの忘却曲線を意識し、1日後、3日後、1週後、1ヶ月後、3ヶ月くらいに繰り返せるように単元ごとのスケジュールシートを作り、これを回すことで、定着させました。
また、TACでは答練があり、成績上位者に名前が載るため、これを励みに頑張っていました。(本番の結果はかなりギリギリだったのですが・・・笑)
②1次(3年目)
2年目の12月に不合格がわかった後、1月から勉強を再開しました。7科目からスタートでしたので、時短のためTAC1次上級本科に通いました。TACの1次上級の講義は秋頃からすでにスタートしておりましたので、無理に全部を聞こうとせず、苦手科目を優先的にWebで聴講しました。問題集は過去問、答練、模試を重点的に回し、トレーニングは中小以外はやりませんでした。かなり覚えていますので、回す回数は2,3回で十分でした。
今考えると、5月くらいまでは、もう少し2次に時間を回せばよかったかな?とも思いましたが、初年度がギリギリだったので怖さがあり、それなりに時間はかけました。
③2次筆記(1年目、2年目)
1年目は、予備校での演習とふぞろいを見ながら勉強しましたが、本質を掴めず不合格でした。2年目は予備校で文章の型、キーワードを徹底的に学び、使えるトレーニングをしました。また、事例4も重点的に解き、頻出のCVPやNPV等のお決まりの問題はほぼ解けるように訓練しました。こうして努力した結果、予備校の模試で上位1%に入り、それなりに自信がありつつ本試験を受けたのですが、本試験ではDCAAと惨敗でした。
③2次筆記(3年目)
3年目は、とにかく過去問重視にこだわり、タキプロ勉強会に参加し、1次試験後からTwitterを開始し、自分の答案を見てもらって意見を得る機会を増やしました。たくさんの合格者や受験生からアドバイスやヒントをいただき、答案の方向性を修正していきました。
事例企業の社長のニーズを本質的に捉えること、答案は診断結果レポートとして社長に親身に語りかけることを意識するようにした結果、なんとか合格できたような気がします。ただし、試験直後はほとんど自信がなく、この体験記を書いている現在も、得点開示請求中のため、どの科目が良かったのかの手応えがないのが正直なところです。
③再現答案の作成有無
1年目はつくらなかったのですが、2年目、3年目は試験の翌日には作成しました。
(7)学習時・受験時のエピソード及びこれから合格を目指す方へのアドバイス
ストレートで合格を目指し、そのまま合格できることが一番理想的だと思いますし、私も狙いましたが、なかなか難しいのも現実だと思います。
特に2次試験は正解や採点基準が公表されず、不確定要素ばかりの試験ですので、何年も不合格が続く方もいらっしゃいます。最初は楽しかった勉強が、苦痛になる瞬間があります。特に、私のように2年目で2次試験のみ専念して不合格の場合はものすごくショックを受けると思います。
よって、3年目は1年目・2年目に比べて勉強はしませんでした。正解がない試験で、頭の善し悪しを厳密に測定できる試験でもないですし、気楽にやろうと思いました。3年目の2次試験は、受験後に絶対合格するという確信も得られませんでしたので、合格・不合格を半々で受け止めるつもりで合格発表を迎えました。合格したとき・不合格のときのアクションプランをそれぞれリスト化していました。
私は結果として3年間かかりましたが、挫折や苦労を知り、忍耐力を養うことができたので、いい成長機会だったと思います。私は調子に乗りやすいタイプなので、多年度合格でよかったように思います。
ある意味、診断士を目指して得たものは、知識そのものより、メンタルかなと思います。
3年間という長期間に渡り支えてくれた妻、また見守ってくれた会社の周囲の皆様に、深く感謝するとともに、恩返しができるように研鑽し、この資格を有益に活用して中小企業の経営者の方々に貢献できるように努力していきたいと思います。
いかがでしたでしょうか。
貴重なご経験を踏まえ、受験される方にぜひ抑えて頂きたい、3点の「大切なところ」があります。
①苦手科目を優先的に取り組んでいる
Piguさんは1次試験を2回受験されていますが、2回とも「7科目一発合格」しています。しかも2回目はかなりの高得点です。
この秘訣は何といっても、苦手科目としっかり付き合っていくことに尽きると思います。
診断士試験において苦手だから受験しない、という事は出来ません。
また、得意科目をいくら伸ばしても、1科目でも40点の足切を食らってはいけません。
そこのリスクを踏まえ、優先的に手を付けて苦手科目と付き合っていくのが、1次試験を手堅く通過させる秘訣と思います。
②お決まり問題は確実に
1次試験も2次試験も、ほぼ毎年出る問題があります。
2次筆記のCVP(損益分岐点や変動/固定費)やNPV(CF等、投資の意思決定)は、ケアレスミスで失点が起きやすい分野です(計算ミスや加減する要素の抜け漏れ等)。
こちらも解けるように訓練を続けて手堅く得点している事が示されています(2年目の2次筆記試験は不合格ですが、計算問題のある事例ⅣでA評価なので、得点として6割相当を超えている)。
③3回目の2次筆記試験への臨み方
本文で触れられているように、2次筆記は正解や採点基準が公表されません。
そこでPiguさんが3回目の挑戦で着手したのが、勉強会やSNSを通じて、合格者や受験生と言った沢山の方のフィードバックを受けるという行動でした。
体験記の本文では、1年目・2年目の不合格で得た反省から、さらに気づきを得るために行動を広げている事が分かります。その一方で「正解がない試験で、頭の善し悪しを厳密に測定できる試験でもないですし、気楽にやろうと思いました。」とあるように、行動を起こしつつも、そこは肩ひじ張らない姿勢で臨み合格をつかみ取ったという点は、大変興味深いところです。
Piguさん、合格おめでとうございます。 貴重なご経験をご寄稿頂き、どうもありがとうございました。
以上、カワサンでした。