(マクロ経済学)GDPあれこれ【中小企業診断士】
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おはようございます。岩塩です。気温&湿度も上がってきましたが、いかがお過ごしでしょうか?ついに一次試験まで1か月を切りましたね! いよいよ直前期という感じで緊張感も高まってくるかと思います。ここからはとにかく過去問の鶏ガラ&高速皿回しで、練習を繰り返しましょう。(余力がある方は芋づる式勉強法も!)私も残り1か月はエピソード記憶を意識して頭に叩き込んでいましたよ。何回見ても覚えられないものは、無理やり語呂合わせをひねり出すのが有効です。くだらない覚え方ほど忘れません!(断言)普段はクールな方も、最後は恥を捨てて語呂合わせの力を借りていきましょう。
さて、本日の記事はマクロ経済学から国民経済計算(GDP統計)の話題です。GDPはまさに「わが国の経済状況」。診断士試験では“勝負所”といった感じでしょうか。GDPに関しては内閣府のWebサイトで四半期ごとに発表されています。こんな感じで覚えておこう!ということを中心に書いていきます。
<GDPとGNPの関係>
GDPとGNPの関係。内容はわかっていても、下記のような式の形で出されると、少し混乱しませんか?
GNP = GDP + 海外からの要素所得受取り – 海外への要素所得支払い
・海外からの要素所得受取り:海外に住む日本人が生み出した付加価値
・海外への要素所得支払い:日本に住む外国人が生み出した付加価値
混乱したら表で整理するといいですよ。
(A) 日本人 in日本 |
(B) 日本人 in海外 |
(C) 外国人 in日本 |
|
① GNP | 〇 | 〇 | × |
② GDP | 〇 | × | 〇 |
① GNP=A+B
② GDP=A+C
①から②をひくと
GNP-GDP=B-C
⇒GNP=GDP+B-C
これで、上の式が導出できます。(B-C)は、(受取り-支払い)なので「純受取」といいます。
※ちなみに今はGNPではなくGNI(国民総所得)という名称が多く使われてます。
<GDPとNDP>
ストックとフローの考え方を確認しておきます。
- ストック:ある一時点の状態(企業活動でいえばB/S)
- フロー:ある一定期間の活動の成果(企業活動でいえばP/L)
GDPはフローに相当します。例えば、ある時点でのストックに1年間のGDPを加えたものが1年後のストックになります。ただし、n年度末のストックは1年後にそのまま据え置きということではなく、1年経った分、もの(固定資本)が古くなって価値が目減り(減耗)します。
NDP=GDP-固定資本減耗
前期のストックと比べて、このくらいストックが増えたよ~という指標がNDPであるとお考え下さい。(ただし価値の減少分というのは正確に金額を評価するのが大変なので、GDPのほうがよく使われます)
また、NDPは別名「市場表示価格の国内所得(DI)」といいます。
<市場価格表示と要素価格表示>
要素価格表示とは、生産者さんがものやサービスを作るときにかかった費用(人件費や減価償却費)で表示する方法です。一方の市場価格表示とは、消費者が買う時の価格です。買う時の価格には、生産費用に加えて消費税が入ってるな~(たばこ税とか酒税とかも)というのは考えやすいと思いますが、税金を払うだけでなく、補助金をもらっている場合もありますのでその分も考慮します。
市場価格表示=要素価格表示+税-補助金
※(税-補助金)を純間接税といいます。
【H28 第4問】
マクロの経済活動を表す指標に関する記述として、最も適切なものはどれか。
(ア) 国内総生産には、居住者である外国人の所得は含まれない。
(イ) 国内総生産には、農家の自家消費や持ち家の帰属家賃は含まれない。
(ウ) 市場価格表示の国民所得は、国民総所得から固定資本減耗を控除したものに等 しい。
(エ) 要素費用表示の国民所得と市場価格表示の国民純生産は一致する。
正解は(ウ)です
<GDPの集計範囲>
基本的に、「新たに生み出された付加価値」で、「市場で取引されているもの」がGDPに含まれます。
含まれないもの
- 中古品(新たに生み出されたものではない)
- 株などの資産の売却で発生するキャピタルゲイン(誰かが得をしたぶん誰かが損をするから新たに生み出された付加価値とはいえない)
- 家事やボランティア(市場で取引されていない)
どんな試験でも「例外」は問われやすいものです。GDPに例外的に含まれる帰属計算は覚えておきましょう。
例外的に含まれるもの
- 農家の自己消費
- 持ち家の家賃相当分
- 公共サービス※
※道路、ダム、警察、消防、防衛、生活保護、失業保険など。実費を計算します。
【H29 第3問】
国内総生産(GDP)に含まれるものとして、最も適切なものの組み合わせを下記 の解答群から選べ。
a 株価の上昇
b 警察や消防などの公共サービスの提供
c 農家の自家消費
d 中古住宅の購入
〔解答群〕
(ア) aとb
(イ) aとc
(ウ) bとc
(エ) bとd
(オ) cとd
正解は(ウ)です
ちょっと一息・・・
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もう少し続きます↓↓↓
<三面等価の原則>
GDPといえば、三面等価の原則です。GDPは、生産面、分配面、支出面の3つの側面から見ることができ、それぞれが事後的に等しくなるという原則ですね。「事後的に」というのはポイント。生産面から見たGDPと支出面から見たGDPが一致しないときは、事後的に差額を調整します。
それぞれの式を覚えておくといいですよ。
生産面から見たGDP
GDP=Y(総供給)
「生産したら供給する」(直球)
「覚え方」を考えるまでもないですが・・・
45度線分析の総供給曲線に繋がる考え方です。
分配面から見たGDP
GDP=GDI(国内総所得)=雇用者報酬+営業余剰・混合所得+固定資本減耗+純間接税
※純間接税=税-補助金
「こえー減税」
※減税には裏がありそうで怖い、というイメージをお持ち下さい。
支出面から見たGDP
GDP=GDE(国内総支出)=民間最終消費支出+政府最終消費支出+固定資本形成+在庫品増加+(輸出-輸入)
「店の固形在庫は貿易します」
※海外進出して、まずは固形物の取扱いを始めました。
(液体はまだ無理)
「在庫品増加」というところが、「事後的に」調整している部分ですね。支出面から見たGDPは、45度線分析の総需要曲線に繋がります。
固定資本形成と在庫品増加に関しては、内訳の中の用語で問われたりするので、覚えておくといいですよ。
■固定資本形成の内訳
- 民間住宅投資
- 民間企業設備投資
- 公的資本形成
(民間は住宅と設備投資ですが、公的なものは全部まとめて「公的資本」となっています)
■在庫品増加の内訳
- 民間在庫品増加
- 公的在庫品増加
(在庫品はつじつま合わせです)
【H30 第5問】
下記の財政に関わる支出の中で、GDP に含まれるものの組み合わせとして、最 も適切なものを下記の解答群から選べ。
a 移転支出
b 公的資本形成
c 財政投融資
d 政府最終消費支出
〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd
正解は(エ)です
では、ここまでを図にしてみます。
(出展:内閣府Webサイトを参考に作成)
ついでに、比率も感覚を持っておきましょう。(H26第1問ではグラフ問題が出ました。)
(出展:同上)
半分以上は、我々の給料とか消費に関するものですね。価値の目減り分である固定資本減耗もけっこう大きいですが、同じくらい固定資本形成があります。つじつま合わせの在庫品増加はほぼゼロ。輸出と輸入はそれぞれ100兆円ほどありますが、差し引きの純輸出はほぼゼロとなっています。
<名目GDP・実質GDP>
名目GDP(別名:名ばかりGDP)は、その時点の物価でGDPを評価したものです。生産量が増えなくとも、物価が上がれば名目GDPは上がります。所得が増えずに物価が上がったら嬉しくないですから、GDPが上がったと言われても違和感がありますよね。ですので物価の影響を除いて生産量の変化だけを見るのが実質GDP(別名:現実を映すGDP)です。
物価水準を表す指標がGDPデフレータです。
「目は体の上の方にある」(真顔)
前期比で上がればインフレ、下がればデフレということになります。
そしてGDPデフレータの算出方法はパーシェ方式です。
「GDPのPはパーシェのP」
※消費者物価指数の算出方法はラスパイレス方式です。これも一緒に覚えたい方は、「シラスとジーパン」(by CK)を活用してください。
※ラスパイレスとパーシェに関しては「素直(基準に忠実)なラスパイレス、ひねくれ者(比較好き)のパーシェ」と覚えていました。
(画像の出展:Wikipedia)
CKの「ラッキー!パフィー!」もおすすめです。
以上、かなり苦しい覚え方が多いですが・・ 自分がパッと思い出せそうな覚え方ならこじつけでも何でもOKです。あと一か月、しっくり来るものがあればどんどん取り入れて、効率的に頭に入れていきましょう!
おまけ
以上、岩塩でした。
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