10代目高得点解答にみる2次試験合格のポイント!:平成30年度事例Ⅰ

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みなさん、おはようございます。なおさんです。

本日は「10代目高得点解答にみる2次試験合格のポイント!」の平成30年度事例Ⅰをお届けします。
本記事では、10代目の再現答案の中から再現度の高いもの(7人分)を選択し、開示得点と合わせて「診断協会が想定する答え」をあぶりだしていきます。「再現答案」ですので、当たり前ですが「平成30年度の合格者が80分で書き上げたもの」になります。私もそうでしたが、受験校の練り上げられた模範解答を前に「どうやったらこういう解答が書けるのだろう???」と悩まれている方には「目指すべき等身大の解答例」として、これから2次試験の準備を始める方には「回り道をせずに済む合理的な目標」としてお伝えできればと思います。
この記事のために快く再現答案を提供してくれた10代目のみんなに感謝します。そして、、、、、切り捨て御免! (^^;

平成30年度の事例Ⅰは第1問~第4問までの全4問。第2問が設問2つに分かれていましたので、全部で5問が出題されました。配点は各20点ですので、70~80点クラスの解答は概ね15点くらいをマークしていると思われます。
私は2次試験の得点イメージを「15点×4問+10点×1問=70点」としていましたので、目標設定としても「15点答案」は妥当なラインだと思われます。(5問中1問は“やっちまう”ことを想定していたということです。これ、本番でのメンタルに結構有効だと思います。難問があっても「部分点狙い」に切り替えれば良く、難問に引きずられずに済みますので。)
尚、各設問の詳細な事例分析&解説につきましては、以下の記事も参考にしてください。
なおさんの解法実況&事例研究:平成30年度事例Ⅰ

※本記事は平成30年度の問題を事前に解いてから読んでいただけると効果的です。

さて、そろそろ始めていきましょうか。(^^)/


第1 問(配点20 点)
研究開発型企業であるA社が、相対的に規模の小さな市場をターゲットとしているのはなぜか。その理由を、競争戦略の視点から100字以内で答えよ。
【出題の趣旨】
研究開発型企業であるA社のターゲット市場が小規模市場である理由を、競争戦略の視点から分析する能力を問う問題である。

設問では、A社が相対的に規模の小さな市場をターゲットにする「理由」を問われていますので「理由は~」と書き出すのが良いですね。また、「競争戦略の視点から」という制約条件がついていますので、ポーターの競争戦略論にある、「差別化戦略」「コストリーダーシップ戦略」「集中戦略」の中から適切なキーワードを盛り込みます。これは「競争戦略の視点に立って回答していますよ」と明示的にするためです。

かわとも(76点):
理由は①技術の急速な進歩に伴う事務機器市場の高度化・細分化に対し、強みの自社技術を活かし高付加価値化・差別化が図れる為②激しい環境変化の中、大規模市場では売上を主力取引先に依存し事業リスクが高い為。

まずは事例Ⅰの10代目最高得点のかわともの解答です。なかなかの編集能力ですね。「理由は~」で書き出しつつ「自社技術を活かした高付加価値化・差別化」も盛り込まれています。加えて、以前に売り上げの8割を主力取引先に依存していた時代にバブル崩壊で経営危機に陥った経緯を踏まえて「事業リスク」にも言及しています。10代目で「事業リスク」に言及したのは、かわともだけでした。さすがです。

どいこう(63点):
小規模な市場には規模の経済が働きづらく大手メーカーが参入しにくいため、価格競争が激化せず、A社が技術力を活かした高付加価値品の開発によって適正利益を確保しやすいと考えられる。

kskn(61点):
理由は①小さい市場では大企業にとって採算が合いづらく、参入障壁が高いため競争が緩やかになりやすいから②A社の持つ技術を活用することができ、ニッチャーとしての地位を築くことが可能であったから

2人とも小さな市場ならではの「競争緩和」と技術活用による「適正利益」「ニッチャーとしての地位」に言及しています。こちらの解答の方が受験生の皆さんにはより”等身大”に近く感じられるのではないかと思います。ただ残念なのは「差別化戦略」のキーワードが入っていないことでしょうか。設問文にわざわざ「競争戦略の視点から」と書かれていますので「差別化戦略により」といったフレーズは入れておきたいですね。

いよっち(49点)
理由は①コアテクノロジーのセンサー技術が活用でき②外部との共同プロジェクトの参画による外部資源の活用が可能で③ニッチ市場向けの新製品開発による差別化で同業者の撤退時に売り上げを高められるため。

モリモリ盛り込みタイプの回答ですが、残念ながら細かく見ていくとあまりロジカルではありません。
「①センサー技術の活用」と「②外部資源の活用」は、小規模市場の特有のものではなく、大規模市場でもセンサー技術や外部資源を活用できますよね。「③ニッチ市場向けの新製品開発で差別化」の部分は良いですが、文章後半の「同業者の撤退時に売り上げを高められるため」とは因果がありません。
残念ながらあまり多くは得点できていないと思われます。

第2 問(配点40 点)
A社の事業展開について、以下の設問に答えよ。
(設問1 )
A社は創業以来、最終消費者に向けた製品開発にあまり力点を置いてこなかった。A社の人員構成から考えて、その理由を100字以内で答えよ。
【出題の趣旨】
A 社が最終消費者市場向けの製品開発に積極的に取り組んでこなかった理由を、人員構成の視点から分析する能力を問う問題である。

「最終消費者に向けた製品開発にあまり力点を置いてこなかった」理由を問われていますので、解答は「理由は、①~、②~である。」というスタイルにします。また、「人員構成から考えて」という制約条件がついていますので、A社の人員構成の特徴を記述するようにします。

かわとも(76点):
①生産と販売を外部委託し、創業以来社員の大半を技術者とし、人的資源を法人向け技術開発に集中させてきた為②激しい環境変化の中、売上規模が拡大しても人員増加を抑制することで事業リスクを低減してきた為。

こちらもさすがですね。「社員の大半が技術者」というA社の人員構成の特徴を記載しつつ、「人的資源を法人向け技術開発に集中させてきた」と経営戦略のレイヤーで記述しています。また、本文に記載のある「売上が数十倍になった今日に至っても従業員数は倍増程度にとどまっている」に着目して、「激しい環境変化の中、売上規模が拡大しても人員増加を抑制することで事業リスクを低減してきた為」と異なる視点でまとめています。2つの解答要素がうまく盛り込めていますので、結構な得点になっていると思われます。

どいこう(63点):
従業員の大半が技術者であり、また業務用製品の研究開発に特化して生産および販売は外部委託している事情から、最終消費者の需要を把握することが難しかったと考えられる。

ぐっち(67点):
理由は、①研究開発に特化し技術者が9割を占めており、②営業職や管理業務は兼務で実施しており、③ほとんどが正規社員であるため、最終消費者の多様なニーズの把握・対応ができなく、生産・販売を委託してるため。

仲良しさんですね。二人とも「社員の大半が技術者」という人員構成の特徴に触れながら、自社製品の開発に不可欠な「最終消費者の需要を把握することが難しかった」と帰着させています。このあたりが「等身大」の目安になると思います。

(設問2 )
A社長は経営危機に直面した時に、それまでとは異なる考え方に立って、複写機関連製品事業に着手した。それ以前に同社が開発してきた製品の事業特性と、複写機関連製品の事業特性には、どのような違いがあるか。100字以内で答えよ。
【出題の趣旨】
A社が経営危機に立ったとき展開した事業と、それ以前の事業の特性を分析し、その違いを明らかにする能力を問う問題である。

「経営危機に直面する以前にA社が開発してきた製品の事業特性」と「複写機関連製品の事業特性」の違いを問われていますので、「違いは~」と書き出すことをお勧めします。また、「それまでとは異なる考え方に立って」とありますので、経営戦略面に関わる事業特性の違いが表現できると良いと思います。
この設問は、与件文にある「開発した製品すべてが市場で受け入れられるわけもなく、継続的に安定した収入源としてA社の事業の柱となる製品を生み出すこともかなわなかった。そうした危機的状況が、A社長の製品開発に対する考え方を一変させることになる。」という戦略変更に至った背景の部分を踏まえつつ、「開発した製品を販売した時点で取引が完了する売切り型の事業の限界を打ち破ることを目標にして、新規事業開発に取り組んだのである。それが、複写機関連製品事業である。」を編集していけばよいですね。「売り切り型」、「継続的に安定した収入源(事業の安定)」というキーワードから複写機の「サプライ品の販売(継続的な収入源)」を導き出せると良いですね。10代目の解答も結構似通っています。

なおさん(63点):
事業特性の違いは、以前は開発した製品を販売した時点で取引が完了する売切り型の事業であったのに対し、複写機関連製品事業は①複写機の再生②トナーなどの消耗品など継続的な取引が収入源になり収益が安定すること。

どいこう(63点):
従来の製品は販売時点で取引が終了する売切り型で収益が不安定であったが、複写機関連製品はトナーや消耗品が継続的売上をもたらし、収益が安定化する。

かわとも(76点):
特注電子機器事業や様々な新製品開発では受け身の製品開発で売切り型の為、継続的な収入源とならなかった。一方複写機関連事業では製品の汎用性が高く消耗品の継続的販売が可能で、安定的な事業の柱として成長できた。

kskn(61点):
それまでの事業は売り切り型で、開発のムダもあり安定的に収入を得ることが難しかった。一方、複写機関連製品事業は消耗品が多く、リピート注文を得ることで安定的な収入を得ることが可能であった。

makino(71点):
以前の事業が①景気変動や大手取引先の動向で行政が左右される②売り切り型で安定収入が無い一方、複写機関連事業は①消耗品売上などのサービス・サポートでの継続的安定的収入が得られる特徴がある。

いずれも「売り切り型」vs「継続的に安定した収入源(事業の安定)」の視点で解答が構成されています。この問題は与件文にヒントが多いので確実にとっておきたい問題でしたね。

第3 問(配点20 点)
A社の組織改編にはどのような目的があったか。100字以内で答えよ。
【出題の趣旨】
A社の組織改編が、どのような目的をもって実施されたかについて明らかにする能力を問う問題である。

「組織改編の目的」を問われていますので、「目的は~」という書き出しが良いですね。また、組織改編の目的に加えて「効果」も加えられると良いと思います。
以前の組織は「技術要素別」でしたが組織改編後は「機能別組織」になっています。また製品開発部門をみると、各開発グループに「電子回路技術者」「精密機械技術者」「ソフトウェア技術者」をほぼ同数配置したとあり、製品開発部門の中は事業部組織的な構造になっているところが着目点ですね。

ぐっち(67点):
目的は、①役員を部門長とすることで環境変化に対応し意思決定の迅速化と後継者育成を図り、②各専門技術者を混成することでコミュニケーション・組織の活性化を図り、③サポートを別部門として開発に専念するため。

ぐっちさん、的確ですね。役員を部門長に据え「意思決定の迅速化」と「後継者育成」の実現、技術者の混成チームによる「組織活性化」、サポートの分離による「開発への専念(業務効率化)」まで触れています。素晴らしいですね。

どいこう(63点):
製品開発の組織構成を技術領域別から製品別に再編することで、需要家のニーズに即応しやすくした。また、役員が部門長を担当することで、会社としての全体最適の実現を促進した。

どうこうの解答もなかなかです。「技術別領域→製品別」により「需要家のニーズに即応」と的確に捉えていますし、役員の配置による全体最適にも触れられています。

一方でちょっと残念な解答だったのがこのお二人。

いよっち(49点):
組織改編の目的は①製品毎の特性に合った権限移譲による意思決定迅速化②専門知識を有する技術者の混成チームへの配置による専門性の維持・向上③生産委託先との調整業務の一括化による効率性向上。

かわとも(76点):
目的は、専門知識別部門を製品別開発部門に集約し、異なる専門知識を持つ技術者の混成チームとする事で、技術・情報を共有し技術開発の促進と高度化を図り、時流を先読みした先進的な事業展開を進めるためである。

二人とも「技術者の混成チームへの配置による専門性の維持・向上」「技術者の混成チームとする事で技術開発の促進と高度化」に触れていますが、「専門性の向上」や「技術開発の促進と高度化」は、以前の「電子回路技術部門(基板設計技術)」「精密機械技術部門(メカ設計技術)」「ソフトウェア技術部門(ソフトウェア設計技術)」という技術要素別の組織の方が得られます。それを敢えてバラして「環境エネルギー事業開発G」「法人向け精密機械開発G」「LED照明関連製品G」の各製品開発グループに「電子回路技術者」「精密機械技術者」「ソフトウェア技術者」をほぼ同数配置したのですから、明らかに「製品開発の促進」を狙っていると思います。
いよっちは、①③で得点していると思いますが、かわともは論点が一つしかありませんので、この問題は大きく失点していると思われます。(ということは、他の設問でほとんど失点していないということか、すごいですね)

第4 問(配点20 点)
A社が、社員のチャレンジ精神や独創性を維持していくために、金銭的・物理的インセンティブの提供以外に、どのようなことに取り組むべきか。中小企業診断士として、100字以内で助言せよ。
【出題の趣旨】
従業員の大半を占める技術者のチャレンジ精神や独創性を維持していくために、A社は、どのような施策に取り組むべきか、助言する能力を問う問題である。

A社が「時代を先読みし先進的な事業展開」を継続して進めていくために必要な、「社員のチャレンジ精神や独創性を維持していく」ための「助言」が問われています。また、「金銭的・物理的インセンティブの提供以外」という制約条件がついています。また、この様な「オープンクエスチョン系」の設問では、絶対的な正解はありませんので、制約条件を守ったうえで、「技術者のチャレンジ精神や独創性」に寄与するものであれば加点対象となると思いますので、できるだけ詰め込むスタイルが良いでしょう。

①、②、と詰め込みスタイルで3つ以上詰め込みながら、一般的な能力開発やモラール向上ではなく、あくまで「技術者のチャレンジ精神や独創性」に寄り添っている解答がこちら。

なおさん(63点):
施策は①グループ間異動により新しい製品分野にチャレンジする機会を与える②新しい技術を学ぶため大学院修士・博士課程への通学制度の設立③現業以外の技術研究・製品開発を行う「自由研究タイム」の設置である。

ぐっち(67点):
取り組みは、①実力主義が根付いていることを踏まえて独自アイデアの発表・表彰制度、②異業種交流で新技術に触れる機会の提供、③職場に家族を招待する制度を作り、従業員の能力向上とモラール向上を図る。

かわとも(76点):
①研修制度、学会参加の促進、CDPの導入により社員の独創性ある能力開発を行い②社内ベンチャーやMBOの導入によりチャレンジ精神を醸成し③評価項目に独創性・チャレンジ行動を加えることで適正な評価を行う。

他には「新技術開発や新規事業に関する権限移譲」「専門知識を高めるOJT等の研修」「新事業や製品開発の社内公募を実施する」というのもありました。
一方でちょっと残念だったのがこちら。

makino(71点):
人事面では①ジョブローテーションによるグループ間異動と最適配置②外部研修による人材育成。組織面ではプロジェクト制によるモラール向上。これによりやる気を引き出し、組織力を高める。

きれいにまとめていますが、これだと技術者以外の集団にも通用しますよね。例えば経理部、物流センターでこの施策を行ったらどうかと想像してみると、、、、まったく違和感がありません。makinoは71点も取っていますので全く点がもらえていないことはないと思いますが、「技術者のチャレンジ精神や独創性」という面からみると物足りなさを感じてしまいます。


いかがでしたでしょうか。
次回は事例Ⅱについて分析を進めます。
以上、なおさんでした。(^^)/

 

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