【渾身】経営理論(ドメイン)

おはこんばちは。キャリコン診断士のブブです。
GW明けまして、気温も上がってきました。
これから、いよいよ勝負の夏へのスタートという感じになってきます。
頑張ってください!

さて、渾身シリーズ。
私が担当するのは、企業経営理論です。

経営戦略とは・・・
経営理念やビジョン「≒ありたい姿」を実現するために、「現実」との差を埋めるための道筋のこと。

今回は、経営戦略のうち
「ドメイン」について理解を深めていきましょう。

Point.1「ドメイン」とは、何?
Point.2 何故、「ドメイン」を決めるのか?
Point.3「ドメイン」の決定により何の効果が得られるのか?

➀「ドメイン」とは、何?
「ドメイン」とは事業領域のこと、です。
これだけではわかったような、わからならいような感じですよね。

例を挙げて考えていきましょう。
例えば、人口減少が顕著な地方X市で学習塾を経営している会社があったとします。
この会社をあなたならどう「ドメイン」を定義しますか?

Aさんの考え「x市の高校生に大学入試の為の勉強ノウハウを提供するサービス」という答え。
Bさんの考え「あらゆる地域のあらゆる世代のあらゆる学びのニーズを提供するサービス」という答え。

Aさん、Bさんともに「事業領域」をしっかり定めています。
では、その両者の定義付けによって何が変わるのでしょうか。
➁何故、「ドメイン」を決めるのか?

自社の「強み」と「将来のあるべき姿」を考えて、限られた経営資源を集中する為の指針となる為に必要だから

まず、Aさんの考えを検証しましょう。
もし、「強み」として大学入試の受験情報を得意とする講師が社内に複数いれば活かせることになるでしょう。
一方で人口減少が顕著なX市で提供するサービスは「将来、あるべき姿」として適切でしょうか。ややこの点に疑問が残ります。

次に、Bさんの考えを検証しましょう。
「あらゆる地域」に「あらゆる世代」の「あらゆる学び」のニーズに対応するとなると、相当、大きな市場がありそうですね。
しかし、そのサービス提供を実現しようとすれば、かなりの経営資源が必要となり、現実的でありません。総花的なお題目となってしまい、社員も進むべき方向性がわからないのではないでしょうか。

いかがでしょうか。結果的に両者の考えは「ドメイン」の設定として不適切と考えます。

では、適切な「ドメイン」設定とはどうすればいいでしょうか。
「徹底的に拘る」ところと「捨てる」ところをはっきりさせる

例えば、「徹底的に拘る」ポイントがX市という地域であれば、人口減少で単に市場が縮小する大学入試をターゲットとした高校生だけではなく、「X市で生涯を通じて学ぶこと」というドメインはいかがでしょうか。
未就学児から小中高、社会人の”学び”の価値を提供するという風に考えれば、LTV(ライフタイムバリュー)という切り口で市場創造の可能性が広がります。
顕在化された”大学入試”だけではなく、”生涯を通じた学び”という潜在需要を掘り起こすことで間口が大きくなります。
その場合に「捨てる」ことは”他の地域”
他の地域の市場には目もくれず、X市を掘り下げていきます。
X市に、地域に密着して根差していくことでみつかる可能性。
例えば、X市に有名な芸術家がいれば、その人を巻き込んで『芸術を通じた学び舎』という市場が出来るかも知れません。

➂「ドメイン」の決定により何の効果が得られるのか?
どの企業においても、そうですが特に中小企業においては経営資源の制約があります。
そのなかで、生き残り競争に勝ち抜くためには、「選択」と「集中」が重要な要素になります。
適切なドメインの設定が、「選択」と「集中」を行う羅針盤としての効果として発揮されます。
企業はどの「方向性」にどの「市場」で勝負するかを、社員のみならず、社外の利害関係者(取引先や金融機関等)に示すことができます。
このことにより、戦力の散逸を防止することができるのです。

では次に、試験でよく問われる論点について説明します。

「企業ドメイン」と「事業ドメイン」の違いについて
企業ドメイン」とは、展開していく事業の範囲を定めます。
事業ドメイン」とは、その事業の範囲を定めます。

少し丁寧に説明していきます。
企業ドメイン」は進む方向性や、事業の組み合わせを規定する「事業ドメイン」の上位概念
事業ドメイン」は個々の事業を戦略的に成功させるために、エーベルの3象限「誰に・何を・どのように」で考えていくもの

この観点で問題に臨めば混乱することなく、問題に臨めると思います。
以下、過去問でみてみましょう。

平成25年度 第5問
A 社は医療分野での先端的な製品開発を通じて社会に貢献するという理念の下で、現在の医療機器事業に加えて新薬開発の支援や再生医療の分野を包含した将来的なドメインの定義を企図している。企業ドメインと事業ドメインの決定に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 企業ドメインの決定は、現状追認ではなく将来の方向性を明示しているが、注意の焦点を絞り込んで資源分散を防止するのには適さない。
イ 企業ドメインの決定は、差別化の基本方針を提供し、新たに進出する事業の中心となる顧客セグメントの選択の判断に影響する。
ウ 企業ドメインの決定は、将来の企業のあるべき姿や経営理念を包含している生存領域を示すが、現在の生存領域や事業分野との関連性は示していない。
エ 事業ドメインの決定は、将来手がける事業をどう定義するかの決定であり、企業戦略策定の第一歩として競争戦略を結びつける役割を果たす。
オ 事業ドメインは、全社的な資源配分に影響を受けるため、企業ドメインの決定に合わせて見直すこともありうる。

さて、みなさんは正答されましたか?
アは、「資源分散の防止」が引っ掛かりますよね。ドメインとは、領域を絞り、捨てるものを決める事。
よって、誤答ですよね。
イは、「企業ドメイン」が「顧客セグメントの選択」と記載しています。「顧客セグメント」は「事業ドメイン」によってエーベルの3象限で決定しますよね。よって、誤答です。
ウは、「現在の生存領域」や「事業領域」を考慮しない「ドメイン」(経営戦略)はかなりやばいですよね。常に足元を考えて判断します。よって、誤答です。
エは、どうでしょう。一見、正しそうですが、「事業ドメイン」が「企業ドメイン」の誤りですね。「企業ドメイン」は将来の方向性を決定する「事業ドメイン」の上位概念でしたよね。よって、誤答。
そうなると、オが正しそうです。上位概念である「企業ドメイン」と下位概念である「事業ドメイン」との関係を適切に表現しています。

”令和、最初の合格”いい響きですよね!その合格証を手にしている自分を信じてがんばってください。ぜーーーーったい、あなたは受かりますから!

☆☆☆☆☆☆☆

いいね!と思っていただけたら
にほんブログ村 士業ブログ 中小企業診断士へ
↑ぜひ、クリック(投票)お願いします!

皆様からの応援が我々のモチベーション!!

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です