どうする対策 ~第6回「事例Ⅰで”合併”が出たら・前編」~ by さや
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皆さん、こんにちは!
戦略的2年合格の「不惑の自称ストレート生」さや です。(何ソレ?!と思われた方はコチラ)
本日、6月12日(旧暦5月19日)は、かの有名な「桶狭間の戦い」が起こった日です。
歴史なんて興味ないよ、という方も、名前くらいはご存知ではないでしょうか。
小が大を制した(約2千の織田軍が2万超の今川軍を破った)、中小企業のめざす姿(?)のような戦いですね。
さて、今日のブログでは「小と小がくっついて大きくなる”企業合併”」を、2次試験・事例Ⅰの視点から見ていきたいと思います。
前後編の前編です。
時間の無い方は、目次を「OPEN」して気になる箇所だけ読んでくださいね!
もっと時間の無い方は、各章の最後に「結論」を赤枠BOXで記載しているので、そこだけ読んでいただければと思います。
信念の見える化
この章は前置きなので、飛ばしても全く問題ありません。 早く本題の話してよ~という方はコチラでジャンプ! |
本題に入る前に、いつもの歴史小話をひとつ。。。
皆さん、こちらの名前はご存知でしょうか?
歴史ファンだとご存知の方も多いと思いますが、これは「前立(まえたて)」という兜の装飾物です。
(兜の装飾物全般を「立物(たてもの)」と呼び、その中でも前方につけるものを「前立」と呼びます)
この前立、主な役割は着用者の威厳を示すこと・存在感を誇示することで、そのモチーフには着用者の思想・信念が強く反映されていると言われています。
それぞれの前立に込められた思想・信念は、文献などでハッキリ分かっているものは多くないため「諸説アリ」の域を出ないものが殆どなのですが、例えば伊達政宗公の三日月モチーフは、戦いの守護者「妙見菩薩」への信仰を表したものだったようです。
そんなバリエーションに富んだ前立は、見ているだけでとても楽しいのですが、わたしが好きなのは、伊達家の家臣「伊達成実(だてしげざね)」の兜。
このモフモフ、なんのモチーフだと思いますか?
答えは「毛虫」です。
最初に「毛虫」と聞いた時は、
えっ、毛虫?!(ちょっとキモい。。。)
と思ってしまいましたが、理由を知って納得!
毛虫の習性にあやかって「決して後ろに引かない!前進あるのみ!」という武将としての矜持が込められていたようなのです。
カッコいい!!
実際、戦でも我先にと駆け出し、勇猛果敢に戦って数々の武功を上げたとされています。
(そんなこんなで政宗からも信頼を得ていましたが、なぜか一度政宗のもとから出奔(脱藩)し、なぜか颯爽と舞い戻ってきたのはまた別のお話。。。)
中小企業診断士1次試験まで2ヵ月をきりました。
2次専念組の方は、あと4か月強ですね。
合格までの道のりは決して楽なものではありませんが、「前進あるのみ!」の精神で頑張っていきましょう!
前置きはここまで!
ここからは「企業合併」についてのお話です。
事例になりそうなことが我が身に起きました
わたくし事ですが、最近、勤め先の会社が合併しました。
中小企業診断士試験で「企業合併」というと、1次試験の経営法務や財務・会計の分野を想像する方も多いと思います。
ただ、実際そういった場面に身を置いてみると、働いている社員が気にしているのはそんなことではなくて
といった事柄で、2次試験の事例Ⅰ(※)のほうがダンゼン近いという印象を受けました。
完全に主観ですが、「会社が大きくなる!」「仕事の幅が広がるかも!」といったポジティブな反応より、↑のような不安や戸惑いといったネガティブな反応のほうが大きかったように思います。
※事例Ⅰとは(まだ2次試験対策を始めていない方向け)
組織(人事を含む)を中心とした、経営の戦略及び管理に関する事例。
A社の成り立ちや、組織・事業の変遷等が与件文として与えられ、問題点の指摘や対応策の提案、将来に向けた戦略の提言等が求められる。
ということで、今回と次回のわたしの記事は、事例Ⅰの視点からみた企業合併をテーマにお送りします。
合併は事例Ⅰで出題されるのか?
合併なんて出るかな?
と、疑問に思った方もいると思うので、過去問を改めて確認してみました。
以下は、過去10年の事例Ⅰに出てくるA社の沿革です。
合併等の企業再編観点で記載しています。
「過去問のネタバレはやめて!」という方は、こちらは開かずに読み進めてくださいね。(ネタバレと言うほどネタバレにはなっていませんが)
平成25年~令和4年に出題されたA社の沿革(クリックして開いてください)
年度 | A社の沿革 |
---|---|
令和4年 | A社の現経営者は、代々家族経営で営んできた水稲農家を、生産品種を増やしながら拡大してきた。 取引先の販売業者から事業譲渡されたタイミングで法人化。 |
令和3年 | A社は家族経営の印刷会社として創業し、2代目(創業者の長男)・3代目と事業を承継してきている。合併や事業譲渡は無し。 |
令和2年 | A社は老舗の蔵元。後継者不在の折、飲食・旅館業を手掛ける地元の有力者に友好的買収をされ、現在の形となった。 |
令和元年 | A社は農業用機械・産業用機械の製造業者。創業者から3代目(創業者の孫)まで事業を承継してきている。合併や事業譲渡は無し。 |
平成30年 | A社は現経営者が創業したエレクトロ二クス・メーカー。合併や事業譲渡は無し。 |
平成29年 | A社は、歴史を誇る菓子製造製造業X社の事業を引き継ぐ形で、X社の元社員が経営者となり新会社として設立した会社。 創業メンバーはX社の仲間。 |
平成28年 | A社は大正時代に現社長の祖父が創業した印刷会社。現経営者で5代目。合併や事業譲渡は無し。 |
平成27年 | A社は現経営者の父が創業したプラスチック製品メーカー。当初社内で行っていた新規事業を、関連会社として独立させている。 |
平成26年 | A社は現経営者が創業した精密ガラス加工メーカー。合併や事業譲渡は無し。 |
平成25年 | A社は現経営者が創業した、健康食品の通信販売業者。合併や事業譲渡は無し。 |
見ての通り、過去10年の事例Ⅰで「合併」したA社はありません。
では、今後も出題されないのかというとそうとは言い切れないですし、超個人的な見解としてはそろそろ出てもおかしくないかなと思っています。
理由は以下の通り。
- ここ数年の2次試験で「買収される」や「事業譲渡を受ける」といった、合併時と近しいことが起きるであろう組織再編が与件文に登場するようになってきた。
- M&A斡旋会社のCMをテレビ等で見かける機会も増えている。(=世間一般でも活況!)
- 2023年版の中小企業白書によると、2022年のM&A件数は過去最多。
中小企業庁は、2022年3月に、中小M&Aを支援するメニューを新たに策定している。(=政策としても注目されている!)
「中小PMI支援メニュー」を策定しました (METI/経済産業省)
注:M&Aは「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略称です。合併のことだけを指しているわけではないのでご注意を!
出題者の立場に立ってみても、人事・組織に大きな影響を与える「合併」は設問を作りやすいのではないでしょうか。
「合併」そのものズバリが出題されないとしても、合併に伴うメリット・デメリットは、出題実績のある「事業譲渡」や「買収」といった他の組織再編にも通ずるところがあるので、対策しておくと安心かと思います。
結論
「合併」は、過去10年で事例Ⅰでの出題実績はないが、そろそろ出るかも。
出なかったとしても、合併に伴うメリット・デメリットは他の組織再編にも通ずるところがあるので、対策しておいて損はなし。
次章は「PMI」について説明します!
合併の成否を左右する「PMI」
合併を検討する際に重要なことは?
と、聞かれて
デューデリジェンス!
と答えたアナタ。
しっかり勉強されていますね!(出てこなかった方や、何ソレ。。。という方は、テキストを読み返してみてください)
デューデリジェンスは、合併や買収をするかどうかの意思決定をするにあたって大切なステップですが、事例Ⅰの視点で考えるときには「PMI」の観点がより重要になってくるものと考えます。
事例Ⅰの設問として問いやすいことが盛りだくさん!だからです。
PMIとは「Post Merger Integration」の略称で、M&A成立後の統合作業のことです。
そのプロセスは大きく「経営統合」「業務統合」「意識統合(※)」の3つに分類されます。
※中小企業庁のガイドラインでは”信頼関係構築”と表現されています
この3つのどれが欠けてもM&Aの効果は最大化されず、「PMIは合併の成否を左右する」と言っても過言ではありません。
このあたりの知識は、1次試験の企業経営理論や中小企業経営・政策の選択肢に入ってきてもおかしくないので、覚えておきましょう。
そんなPMIを図示すると、以下のようなイメージになります。
各BOX内のワード(理念・戦略、管理・統制など)や上下の位置関係は、バシッと決まっている全世界共通の定義は無いので、複数の書籍やインターネット上の情報をもとに、基本形と思われる形で記載しました。
前述の通り、PMIは3つのプロセス全てが大切なので事例Ⅰの設問としてもどこが問われてもおかしくはないのですが、わたしは特に以下のようなところがポイントになるのではと考えてます。
なぜそう考えるのか・具体的にどういうことなのかについては。。。
もともとは今日の記事で全て紹介する予定だったのですが、超長文になりそうだったので、次回(6月26日)の記事に回すことにしました。
次回は、現場のナマの声・想いを交えながら書いていきたいと思いますので、ご期待(?)ください。
結論
- 「デューデリジェンス」と「PMI」は、合併関連のワードとして1次試験でも出る可能性あり。
- 事例Ⅰで合併が出るとしたら「PMI」が論点になるのでは。
経営統合は「理由を述べよ」系の設問、業務統合・意識統合は「助言せよ」「対策を述べよ」系の設問がメインとなると予想。 - 意識統合は「いかにも事例Ⅰらしい」ところなので押さえておきたい。
今日はここまで!
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました!
合併を知らされたあの日から今日までのバタバタ & 今後起こるであろうあれやこれやを思うと、正直憂鬱な気持ちになります。。。
もちろん、事業面での期待や、仲間が増えて嬉しいという気持ちはありますよ!
ただ、小さなことから大きなことまで諸々大変で。。。
とは言え、経験しようと思って出来ることでもないので、「貴重な経験だ」と前向きに捉えて頑張ろうと思います!
次回もどうぞお付き合い下さい☺
ブログ更新は火曜定休なので、明日はお休み!
明後日は トロオドン です。
人気のキャッシュカウシリーズをお届けします!
トロさん、よろしくね!!
NPVについて解説するドン🦕
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