10分でわかる事例4のキモ

道場ブログ読者の皆様。1次試験お疲れさまでした。

すでに自己採点は終了しましたでしょうか?

私も今年の本試験の問題をみましたが、改めて出題範囲が幅広い診断士試験の大変さを再認識しまいした。

さて、道場では繰り返し言っていますが、この1次試験は診断士合格までの通過点です。甲子園でいえば、1次試験は、地区大会です。地区大会を勝ち残って、本番である甲子園で上位20%にはいることが目的です。気持ちを切り替えて、2次試験の事例4への対策を始めましょう。

今回は苦手な方が多いといわれている。事例4について、その論点をまとめます。

最頻出(★★★)      経営分析・財務分析

 損益分岐点(CVP)分析               

 キャッシュフロー(CF)

 正味現在価値(NPV)

頻出(★★☆)

 セールスミックス

 オプション・為替予約

たまに出る(★☆☆)

 ディシジョンツリー

いろいろな論点がありますが、最頻出(★★★)の4つは鉄板です。
この4つの論点を押さえれば、少なくても50点は確保できます。
それ以外に、頻出(★★☆)たまにでる(★☆☆)を抑えれば60点以上は確保できます。

今日は、まず最頻出(★★★)にしぼってそのキモを書きました。

(※)タイトルが10分でわかると書いていますが、ボリュームが多くて10分で読み切れなくなっています。ごめんなさい。

 

経営分析・財務分析(★★★)

 

まず初めに・・・

大前提:与件分に忠実な指標を選ぶ

◆模範解答とまったく同じ指標を選ぶことは不可能

方向性が正しい+記述による説明で適切な解答をすれば点は取れる

指標選びに迷いすぎるな

◆記述による説明は「原因」と「内容」のどちらを聞いている?

「原因」なら原因をはっきりと書く

「内容」なら 原因⇒問題点を分かりやすく書く

◆セオリーは「収益性」「効率性」「安全性」

結論は、「〇〇なので、収益性が低い」等で表記する。

◆一般論は書かない。書いても点にならない。

◆P/Lの赤字は最優先で指摘する。

 

経営分析・財務分析指標の選び方
まず、P/Lを見る

売上高総利益率

原価が高いか?

仕入コストは?

競争激化により販売単価下落してるか?

商品の付加価値は?

売上高営業利益率

販管費が高いのか?

人件費に無駄はないか?

売上高経常利益率

営業外利益が高いか?

支払利息が高いか?

次にB/Sを見る

総資本回転率

流動比率と当座比率はおかしくないか?
おかしい場合は、自己資本比率も疑う

棚卸資産回転率

棚卸資産は売上高を比べて多くないか?

売掛債権回転率

売掛金は他の比較して増加していないか?

有形固定資産回転率

建物や土地に無駄はないか?

経営分析・財務分析指標が見つからないとき

セオリーは「収益性」「効率性」「安全性」から選ぶ
それでも見つからないときは、次の観点で指標を選ぶ。

借金が多そう

自己資本比率はどうか?

在庫が多そう

棚卸回転率はどうか?

投資が過剰。土地や建物にムダがありそう。

有形固定資産回転率

 

覚えるべき13の経営指標

覚えるべき経営指標は以下の13だけ。それ以外がでても他の受験生もできないと割り切ることも重要。

経営指標

公式

意味

収益性

売上高総利益率(%)

売上総利益÷売上高×100

商品の収益性

売上高営業利益率(%)

営業利益÷売上高×100

本業の収益性

売上高経常利益率(%)

経常利益×売上高×100

支払利息等の営業外収益を含めた収益性

効率性

棚卸資産回転率(回)

売上高÷棚卸資産

在庫の効率性

有形固定資産回転率(回)

売上高÷有形固定資産

工場等有形固定資産の効率性

売上債権回転率(回)

売上高÷売上債権

売掛金の効率性

総資本回転率(回)

売上高÷総資本

総資本の効率性

安全性

当座比率(%)

当座資産÷流動負債×100

超短期の安全性

流動比率(%)

流動資産÷流動負債×100

短期の安全性

固定長期適合率(%)

固定資産÷(固定負債+自己資本)

長期資本(固定負債+自己資本)で固定負債をカバー

固定比率(%)

固定資産÷自己資本×100

返済不要な自己資本で固定資産をカバーしているか

負債比率(%)

負債÷自己資本×100

借入金の依存度

自己資本比率(%)

自己資本÷総資産×100

借入金の依存度

 

 

財務諸表を読まずに、与件分から推理する
良く出る経営指標は、先ほど書いた「覚えるべき13の経営指標」だけです。ということは、与件分で下記のキーワードを見つければ、財務諸表を見なくても、それが経営指標であると推理することができます。

事前に良く出る経営指標を把握しておくことで、与件分を読んだときに、その部分がチカチカと光って「私を使ってね」と主張しているのが見えてくれば、もう体得の域に達しています。

 

 

指標 与件分のキーワード
収益性 売上高総利益率 商品の差別化が出来ていない販売単価の下落売上原価上昇、仕入価格上昇、販売単価下落

競争激化、

売上高の減少

設備の老朽化

生産効率性が悪化

材料のムダ

売上高営業利益率 販管費、人件費高騰

営業マンの残業が多い

販管費が高騰

設備が老朽化

故障がちでメンテナンス費用(管理費)がかかる

売上高経常利益率 借入が多い

金利負担が重い

営業外損失(支払利息)に問題あり

支払利息、借入金の増加

効率性 棚卸回転率 新規顧客の増加

製品の作りすぎ

製品が市場にニーズと乖離

在庫が多い

歩留まり低下

原材料の保管量増加

製品ライフサイクルの短縮

売れ残りの増加

在庫管理、欠品、過剰在庫

有形固定資産回転率 稼働率が低い遊休資産がある

設備が老朽化広大な敷地

売上債権回転率 販売先が大手で支払条件が自社にとって不利入金が遅れがちな販売先がある。
総資本回転率 上記のすべて
安全性 当座比率 当座資産(現金、受取手形、売掛金、有価証券、貸倒引当金)の変化

【覚え方:げんきん・うけ・うり・あり・だおれ※棚卸資産は含まない

運転資金の増加

運転資金の不足を短期借入金でまかなう

原材料費の高騰(価格転嫁できず)

原材料の購入により多くの現金が必要

当期純損失を計上

不足分を短期借入でまかなう

流動比率 棚卸資産の変化短期借入金の変化
固定長期適合率 長期借入金の増加固定資産の増加

長期借入金の変化

固定比率 固定資産の増加自己資本の減少
自己資本比率 借入過多利益余剰金の減少

累積赤字

 

 

過去の参考記事

10分でわかる「経営分析」

https://rmc-oden.com/blog/archives/79493

 

 

 

 

 

損益分岐点(CVP)分析(★★★)

イメージ

まずは、損益分岐点(CVP)分析の全体イメージは下記の通りです。この図をいつでも書けるようにしてください。

 

損益分岐点(CVP)分析の意味を考えよう

損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)

の意味をこの図から考えてみましょう。

 

 

損益分岐点売上高というのは、利益がゼロの時なので、次のようになります。

固定費

その名の通り固定して変動しない費用。

主に工場の家賃などがこれにあたる

変動費率(α)

「変動費÷売上高」で計算する。

なぜか変動費をα(アルファ)で略語として使うことが多い

限界利益率

「1-変動利益率」で計算する。

変動費率と限界利益率はかならずセットで解答用紙に書く。

損益分岐点売上高

利益がゼロの時の変動費と固定費の合計

これを求めるには、「売上高」、「変動費」、「固定費」の3点セットが必要。

この3点セットがあれば、損益分岐点売上高は瞬殺できる。

 

グラフにするとこうなります(応用編)

このグラフを手書きでいつでも書けるようになるまで何回も手で書くことを繰り返してください。

パソコンではなく、手書きであることが重要です。当たり前ですが、本試験ではパソコンは使えません。簡単でもいいので手書きで書けることが体得したことになります。

(クリックすると大きくなります。)

 

 

覚えるべき公式

 損益分岐点売上高(BEP)=固定費(FC) ÷(1-変動費率(α))

目標利益売上高(S) =固定費(FC)+利益(R)÷(1-変動費率(α))

損益分岐点比率(%) =損益分岐点売上高(BEP)÷売上高(S)×100

安全余裕率(%) =売上高(S)-損益分岐点売上高(BEP)÷売上高(S)×100

 

 

 

 

 

過去の参考記事

【2016年合格目標】【会計・財務】スピテキ斜め読み#1

https://rmc-oden.com/blog/archives/81047

 

 

キャッシュフロー(CF)(★★★)

キャッシュフローは、そのあとに続くNPV等の投資判断をする際の基礎となる論点です。ここを体得できていないと、当然にそのあとのNPV等の問題がでても正解にたどりつけません。

営業キャッシュフローの公式

営業CF=営業利益(1-税率)+減価償却費-運転資金差額

まずは、この公式を暗記してください。この公式の理由を解説することもできますが、この理由を覚える時間があれば、この公式をつかった問題を数多く説いて、体得することが重要です。

 

BOX図の活用

以前も書きましたが、公式を理解したうえで、BOX図で解いたほうが、ケアレスミスをしにくくなります。是非、下記の記事をもう一度ご覧になって、BOX図で問題を解けるように体得してください。


キャッシュフローの問題が出た時期は、まずは、BOX図で解いていき、どうしてもBOX図では解けないときに公式をつかって解くなどして複数の解き方を体得することにより、問題に変化が出た時に対応することができます。

 

過去の参考記事

10分で分かる「キャッシュフロー」

https://rmc-oden.com/blog/archives/76507

 

 

正味現在価値(NPV)(★★★)

キャッシュフロー(CF)の問題でもとめた、キャッシュインの現在価値と投資を比較して、その投資をするべきかしないべきかを意思決定する問題です。
まさに、中小企業の投資判断における重要な考え方だといえます。
このNPVの問題まで理解すれば、事例4でA評価をとれる可能性が高まります。

正味現在価値(NPV)の計算は、下記の表を本試験にかけるかどうかがキモになります。

繰り返し、過去問を解くことで、正味現在価値(NPV)の考え方を体得してください。

過去の参考記事
【事例Ⅳ】複利現価係数と年金現価係数をまず理解しよう!
https://rmc-oden.com/blog/archives/64420

 

 

次回以降は具体的な過去問を参考にして、実際に問題をといてみます。

以上、おとでした。

 

 

 

 

 

 

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