おはようございます!
たっつーです。
(過去記事はこちら

道場メンバーは、結構冒頭にちょっとした小ネタ等を挟むことが多いのですが、僕は、昔から雑談が苦手で…。
ということで、さっそく中身に入っていきたいと思います!

今日の記事も【渾身】シリーズということで、前回記事及び前々回記事に引き続き、経営法務をテーマに解説していきます。

今回記事を書くにあたって、知人から頂いた経営法務のスピードテキスト(2018年度版。一つ古い版ですみません。)をパラパラと眺めました。

まず、非常によくまとまっているのですが、試験範囲の多さから記載が散漫になりがちなので、色々な道場メンバーが述べている通り、経営法務は、一覧表や図解を用いて「横串し」をさして暗記することが重要です。
(makinoのこの記事や、先代のこの記事等を参照してください。)

また、実務的に重要な記載が少し抜け落ちているのが少し気になりました。もちろん本の厚さや受験生の負担感等の兼ね合いから、やむをえず落としているわけですが、試験委員には弁護士も含まれておりますので、実務的に重要なポイントの出題の可能性はそれなりにあると思います。
「僕だったら、スピテキには書かれていないけど、この論点・条文を問題にするな~」というのがいくつかありました。

ということで、今日の記事では、①スピ的に記載された一覧表をざっくりと解説しつつ、②実務的には重要と思われるポイントをいくつか解説したいと思います。
(今日は民法編。次回は、渾身シリーズ自体は終わりですが、会社法を予定しています。)

なお、②については、代表的なテキストであるスピテキに記載されていない以上、仮に出題されたとしても、正答率はそんなに高くならないと思います。
したがって、今日の記事を読んでも、「やばい、全然知らない…」とは思わず、「ふーん、そうなんだ。」と受け止めていただければ!
(当日出題されたら、「ラッキー!」と思ってください!)


【目次】
◆時効について
◆瑕疵担保責任と債務不履行責任について
◆債務不履行責任と不法行為責任について
◆相続について


◆時効について


(引用元:スピードテキスト6経営法務2018年度版・TAC出版)

取得時効と消滅時効の2つが記載されていますが、重要なのは債権の消滅時効です。

債権の消滅時効は、現行法では、原則、権利を行使できるときから10年とされています。
※ 例外的に、短期消滅時効といって、数か月や数年で権利消滅する債権もありますが、重要でないので捨象します。
※ また、商事債権(ざっくりいうと、当事者の片方が、商人=会社や個人事業主である債権のことです。)の時効期間は、「権利を行使できるときから5」です。ビジネスは迅速性が重視されるので、5年で権利消滅することとしています。

例えば、お金を誰かに貸して返済期限を2020年4月と定めたら、お金を返せと請求できるのは2020年4月からですので、そのときが「権利を行使できるとき」になり、原則、2030年4月にその貸金返還請求権は消滅するわけです。

では、必ず2030年4月に時効消滅するのでしょうか?
そうだとすると、借主は、貸主の督促から逃げ続ければ返済しなくていいということになり、「逃げ得」になってしまいます。

そこで、現行民法は、「時効中断」という制度を定めています。
例えば、借主に対して訴訟(貸金返還請求訴訟)を提起すれば、その時点で、時効は中断し、訴訟提起時から、再度10年間の時効期間がスタートします。
(中断という語感からは、「一時停止」のようなイメージを持つことが多いと思いますが、法的効果としては「リセット」です。)

また、借主の「承認」(債権があると認めること)も時効中断事由の一つです。
借主が、「ごめん、この前借りたお金だけど、今は手持ちがないから今度返すね」と言えば(口頭でもOKです)、時効は中断し、この承認時から、再度10年間の時効期間がスタートします。

ちなみに、時効中断に関し、訴訟提起ではなく、単に口頭で、貸主が借主に対して「この前貸したお金を返してくれ」と言ったら、これは時効中断事由に該当しますでしょうか?

答えは「いいえ」です。

ただし、民法は、このような「催告」により6か月だけ時効期間が猶予されるとしています。
つまり、9年10か月が経過したときに、そこから2か月以内に訴訟提起は間に合わないけど、「催告」だけしておけば、10年4か月まで時効期間が延長されることになります。

◆瑕疵担保責任と債務不履行の違い


(引用元:同上)

丁度、前回記事で説明したことと少し重複してしまいますが、現行民法では、売買の目的物が特定物の場合には、たとえ瑕疵があっても、その物を引き渡せば、債務は完全に履行したことになる(債務の不履行はない)、という考え方があります。
このことを、いわゆる「特定物ドグマ」といいます。

そして、瑕疵について、売主に故意又は過失(帰責性)があれば、売主に対して債務不履行責任を追及できるのですが、売主に故意又は過失がないときは買主は何もできなくなってしまいます。
それでは買主に酷ということで、法律が特別に責任を認めたのが、「瑕疵担保責任」です法定責任説)。

だから、瑕疵担保責任は、売主に過失がなくても責任が認められる、いわゆる「無過失責任」なんですね。
一方で、瑕疵を知りながら物を購入した買主を保護する必要はないので、瑕疵担保責任が認められるためには、買主に「善意無過失」(瑕疵について、過失なく知らなかったこと)という要件が必要です。

それから期間制限についても、瑕疵の場合は、時間がたてばたつほど、目的物の引渡前から存在していたのか、引渡後に発生したたものなのか、わからなくなってしまいますよね。
いつまでも瑕疵担保責任を請求できるとすると、引渡後に発生した瑕疵についてまで売主が責任追及されかねないので、債務不履行責任より短く、「買主が知った時から1年間」という制限があるわけです。

ここで小ネタを一つ。
(2018年スピテキには記載されていなかったようですが、どこかに記載されていたらすみません。)

Q 瑕疵担保責任について、民法167条1項の10年の時効期間の適用があるか?

こう問われたら、どう答えますか?
スピテキの記載からすると、「10年は債務不履行責任の話だから、×」となりそうですよね。

でも、実は正解は〇です!
(明確な条文はありませんが、最高裁判例で時効期間の適用が肯定されていて、実務的には超重要です。)
すなわち、「瑕疵がある目的物を購入してしまったが、瑕疵の存在に気付かなかった。引渡しを受けてから11年後に瑕疵の存在に気付き、すぐに損害賠償請求した。」という事例では、「知ってから1年」以内に権利行使していますが、既に引渡しから10年経過しているので、時効により瑕疵担保責任は追及できないのです。

◆債務不履行責任と不法行為責任について


(引用元:同上)

基本は、この一覧法に記載のとおりですね。
これについても、消滅時効の欄のところで、少し補足があります。

不法行為の欄のところに「損害及び加害者を知ったときから3年」とありますね。
まず、これは「及び」というのがポイントです!
不法行為では、被害者保護の必要性が高いとされているので、損害と加害者の両方を知って、初めて3年の時効期間が適用されます。
例えば、交通事故のひき逃げの事例等では、怪我(=損害)を知るのはすぐですが、加害者が分からないことが多いです。そういったケースでは、加害者が誰か分かるまで、時効期間はスタートしないということになります。

では、損害及び加害者を知らなければ、いつまでも不法行為責任は消滅しないのでしょうか?

答えは「いいえ」です。
不法行為の場合は、「不法行為のときから20年経過したとき」も、不法行為責任は消滅します。
(厳密には、時効ではなく、除斥期間というのですが、まぁ用語までは覚えなくていいと思います。)

債務不履行責任の10年よりも長期間なのは、これも、不法行為責任では被害者保護の必要性が高いとされているからです。

◆相続について

最後に、相続分野から、スピテキに記載されていない小ネタを何点か。
今年相続法が改正されることもあり、ここ最近、出題量が増えている印象です。

<相続放棄>
相続放棄は、相続開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所で手続をすることが必要です。
他の相続人に対して「私、相続放棄します!」と書面や口頭で宣言しても、意味ないってことですね。

<遺産分割>
金銭債権は、遺産分割の対象となりますか?
例えば、故人が第三者にお金を貸し付けていたときの金銭債権や、預貯金債権(銀行に対する債権)は、遺産分割協議をしないと、各相続人の相続割合を決められませんか?という問いです。

答えは、「原則、金銭債権は、遺産分割協議をしなくても、法定相続分に応じて当然に分割される。ただし預貯金債権だけは遺産分割協議の対象となる。」となります。

例えば、お父さんが亡くなり、その妻と子一人だけが相続人のとき(法定相続分は、それぞれは2分の1)、お父さんが友人に貸していた100万円の金銭債権は、妻と子との間で遺産分割協議をしなくても、当然に相続されます(妻と子は、それぞれ単独で、50万円ずつとお父さんの友人に請求できます。)。

でも、銀行預金が1000万円あったとしても、妻と子は、それぞれ単独で銀行に対して500万円を引き出させてくれ、とは言えません。必ず、妻と子が作った遺産分割協議書を銀行にもっていかないと、銀行は払い戻しに応じてくれないのです。
(従前は、預貯金債権も含めて、金銭債権はすべて法定相続分に応じて当然に分割されるという法的整理だったのですが、平成28年に最高裁判決があり、預貯金債権は例外的に遺産分割協議の対象となる、ということになりました。)

<遺留分について>
遺留分は、事前に(=被相続人が亡くなる前に)放棄することができます。
例えば、「父親と仲悪いから、父親の遺産なんて絶対いらねぇ!遺留分も主張しない!」という放棄ができます。

ただし、この事前放棄は、家庭裁判所への許可申立てが必要です。
(上記の例でいえば、父親に無理やり遺留分の放棄をさせられているのではないか?というのを家庭裁判所がチェックする必要があるとされているためです。)


いかがでしたでしょうか。
(結果的には、時効等の期間制限の話ばかりになってしまいました…。)

経営法務は、慣れない人、法律を面白く感じない人にとっては、非常につらい科目だと思います。
一夜漬けでもいいので、とにかく暗記するしかないと思いますが、家で暗記したり、通勤中に暗記したり、声に出してみたり、図にしてみたり、色々な方法で、頭に叩き込んでください!

今日の記事が、その「色々な方法」の一つとなり、試験当日、一次の経営法務に取り組んでいる際に、「あ~そういえば、ブログでこんな記事あったな。しめしめ。」と思っていただけることを祈って…。

ではでは!

☆☆☆☆☆☆☆

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コメント & トラックバック

法務は、最初は面白くなかったのですが
やってるうちにだんだん面白いと思えてきました。
相続とか具体的に考えると面白いですよね。
ですが、範囲が広すぎて覚えてもすぐ忘れるので
心が折れそうです・・・。
たっつーさんは法律を最初に勉強したころは
どのように覚えましたか?
具体的な方法を教えていただけると嬉しいです。
私はレコーダーで録音して繰り返し聞いたりしてますがなかなか難しいですね。

haruka様、コメントありがとうございます!嬉しいです!

そうですよね!法律は我々が生きてる社会のルールなので、勉強すると、「へーそうなんだ」とか「これは、こういうことだったのか!」みたいなことも多く、結構面白いんですよね。

私が最初に勉強していたときは、司法試験の予備校に通っていたのですが、
①講義を聞く。
②復習として、講義を受けた部分に対応する択一試験の過去問(や予備校の練習問題等)を解く。
③過去問を解いて得た知識をテキストに書き込む(直接書き込むと汚くなったので、後に付箋に書き込んで貼る形に変更)
④テキストを読む込む
という方法で勉強していました!

ほかには、自分でノートにまとめる方法や、haruka様と同じく、予備校の講義を繰り返し聴く方法もやっていましたが、あまり効果を実感できなかったり、時間がかかりすぎたので、いつしか止めてしまいました。

①~④で常に意識していたのは、趣旨(理由)から理解するように努めていました。今回の記事でいうと、例えば遺留分の事前放棄について、家庭裁判所の許可が必要という結論だけを学ぶのではなく、なぜ家庭裁判所の許可が必要とされているのか?というところをきちんと理解するようにしていました。趣旨から学ぶと、単調な暗記に頼る必要がなくなるので。
とはいえ、診断士試験で、全ての事項を趣旨から学ぼうとするのは大変なので、テキストに記載された範囲でやりつつ、自分の中で疑問に思ったらインターネットで調べる程度でいいと思います(インターネットでも見つからなければ、それ以上調べても仕方ないと割り切る)。

また、変な話ですが、④のテキスト読み込むときは、ぼそぼそと小さな声で、自分が司法試験予備校の講師になったつもりで誰かに対して講義をしているようにしゃべって、暗記していました。そうすると、「先生、それは何でそうなるのですか?」「それはね…」みたいに、受講者から質問を受け自分が得意気に説明する場面まで妄想が広がり、不思議と暗記が進みました。(←変態チックですみません!)

人それぞれなので、上記はあくまでケーススタディととらえて頂ければと思いますが、少しでも参考になれば幸いです!

具体的な方法をありがとうございます。
①~④のやり方はとても参考になります。
確かに、理由を理解している項目は忘れにくいですね。
自分が会社を設立したら、などと妄想しながらやってみます。
あと2ヶ月、悔いのないように頑張ります。
たっつーさんは法律が大好きなのが伝わってきます(笑)
これからも記事楽しみにしています。

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