紫雲和尚の「あなたは財務が好きになる」(3回言ってみましょう)

こんにちは、和尚です。晩秋と言うよりかは突然寒くなってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

今日のテーマは
「財務が好きになる方法&参考になる書籍や問題集があれば」
との指令がリーダーから出ております。
この文章、分解すれば&以前と以降とに分けられますが、
本日は
1.財務が好きになる方法
2.参考になる書籍や問題集
3.あとがき

ということで、いきなり本文行っちゃいますよ!とはいえかなり長文になることが予想されますが、そこはほら、お約束ってことでご容赦賜りたく存じまする。

 

1.財務が好きになる方法
・・・てか自分は財務がどうして好きになったのか?という視点からお送りいたします。

和尚はこの世を忍ぶ仮の姿の職業に就いてから、ベーシックな基礎知識として
・法務
・税務
・財務
というものがあるんだぁ、というのを初めて知りました。
(中小企業診断士試験は、なぜか税務という観点は少ないような気がするけど、それは税理士の領域を侵さないためなのか?)
だって、大学の専攻は虚学(と言えるのか?)だもーん、実学は社会人になってからということで、モラトリアムを気取っておりました。

実はこのモラトリアム、経済学では
「(手形などの)支払猶予」
という意味がありますが、心理学(特に青年心理学や発達心理学)では
「自分がなんたるかを決めていない状態」
と解釈されます。いまの和尚もそうだけど。

そして、この三種類の専門知識の中で一番興味が持てたのが、法務。例えば相続や差押の順番のルール、抵当権とは?など、この辺はキュンキュンしながらテキストとか読みまくったのもありますが、

財務だけは正直興味が持てなかった、

てか、

なにが面白いのか全く分からんかった。

というのが正直なところです。

今から思えば当たり前なんですが、

ルールをわかってない

という一番ダメなパターンで、それこそ一義的に
「流動比率が大きければよい会社」
いやいや、一番好きな財務指標が自己資本比率というのですから、これだけでなにをか語らんや、です。

では、財務の魅力はなんなのか?と申しますと

「数字は嘘つかない」(粉飾決算の場合を除く)

ということです。なんていいましょうか「数字から語りかけてくる感覚」とでも言いましょうか。

うーん、表現しにくいんだけど、たとえば中小企業において組織問題を考えてみます。正直A社の組織とB社の組織とで、どちらが構成員の満足度が高いか、達成意欲が高いか、とかを測定することは厳密には不可能です。これはマーケなんかにも言えます。A案とB案のどちらが有効だったか?

何でかって言うと、そもそも前提条件(人員構成が同一、顧客が同一、販売地域が同一、販売商品が同一など)を揃えての効果測定は出来ませんから。。。それにそれを測るアンケートなるものも厳密ではないですよね。

結局のところ大学のころ尺度設定の講義で(アンケートなどの)公正な測定尺度の答えなんてない、ただ出来る限り「公正に近づけるのが目標」であることが分かった時から人間の感情や気分なんて、測定すること自体が冒涜のような気がしたわけです、はい。

財務はここが違う。時系列でも同業他社比較でも、金という前提条件が一定の尺度を媒介としたものでその会社を表すんですから、当然ある程度厳密な比較も出来るというものです。
(運営管理もそういう部分は大いにありますが、いかんせん、和尚はその分野、経験不足であります)

まま、早く本題に入るとして、和尚が体得した方法は
「ゲ●吐きながら体で覚えた財務」
であり、皆さんにはマネできない、というかマネして欲しくない方法ですが、この中にもひとつの真実があると思い、少し語ってみます。

思えばもう13年前になりますか。和尚は西のほうの大都会へ転勤になります。
その当時のボスは企業調査20年(だったと思う)の財務大得意、会社を知るにはまず決算を知るべしの方で、非常に厳しいボスでありました。
そこにはひとつの掟がありました。
それは・・・
「取引先の決算書を入手したら、「決算報告書」としてまとめ、ボスの机の上に24時間以内に提出する」
というものでありました。この掟、慣例的には翌日の朝に提出であり、実質的に24時間ないことになります。

とにかくその時間内に、前年度とのPL対比を行った上で「資金運用表」と呼ばれるCF計算書の概念と良く似た分析表をまとめ、かつ分析結果のコメントを記した上で提出せねばならないという掟でございました。

診断士試験勉強のほうがどんなにかまし、と今になっては思います。

だってさ、それこそ寝る間も惜しんで作成するんだし、それがたたって、私出勤してすぐに●ロはいて、病院かつぎ込まれたこともありましたよ。それでも病院から会社へ帰ってきたら、即立たされて説教。曰く「健康管理がなってない!」いや、そうじゃなくってさぁ、。。

当然連結決算の会社は、連・単とも分析表を作成せねばならず作業量は倍になります。今であればCF計算書を見ながら、自分の分析結果の検証も行い、短信以上のコメントも記載してやろう!と思えるところですが、いかんせん、当時の和尚にそれほどのスキルはございません。

さらに、その分析が間違っているならば、それこそ火のような叱責が待っており、どうしてそないな分析になるんや?真剣味が足らんのちゃうか?やりなおしや、ええ加減にせい!と言われて
一切の解説は、なし
という、その当時の和尚にとってはまさしく「苦行」でございました。

ある日、分析を行っていて
「売掛債権回転期間※が0.1ヶ月悪化(伸びて)いる」
会社がありました。
(※和尚注 診断士試験では「回転率」を用いますが、この業界「期間」(回転率の逆数)の方が一般的なのです)
これについてノーコメントで通したら・・・それはもう烈火のごとくの怒りを発せられ
「お前はどうしてこの変化についてなにも感じないのだ!やりなおしだ!」
という状態に陥ってしまいました。

結果的には、決算日が休日でその日が期日の受取手形が会社に滞留していたことが原因だったのです。
それを教育してやろうとしているのは十分に分かっているのですが、
和尚の気持ちとしては
「んなもん、そんな細かいとこまで気にしとったら日がくれるわ!」
という悪態しかなかったことをここに告白します。

時は流れて。。。

そのボスも退職され、私もその後なんの因果か企業調査の部門に回されます。
来る日も来る日も決算書とにらめっこする日がベースでありました。
そこまで決算書漬けにされると習うより慣れよで、さすがに企業分析のなんたるか、というのは体に染み付いてきて、なんの苦もなく財務分析がひとおおり出来るようになったある日のことです。

借入金がじわじわと増加基調を示していた会社がありました。その要因はパッと見わからない。うーんと思いながら、とりあえず回転期間の推移を5期分ならべてみました。

すると・・・在庫回転期間がじわじわと増加しているのではないですか!
これは並べてみないと分からん水準でありました。これを主たる原因として調達原資としての借入金が増加しているのでありました。
とその時、そのボスが言いたかったことが、やっと心の底から理解できました。

すなわち「細部に魂が宿る」こと。小さな変化を逃すべからず。

そういうことが「気づき」として消化されたとたん、財務がこの上もなく楽しいものになりました。数字はウソはつかないことが、皮膚感覚で理解できました。

しかし、気づいたときにはもうボスはいない。。。

診断士試験の財務にここまでの水準は要求されないか、と思います。
が、「どうしてこの指標が必要なのか?」という本質が分かっていない限り、
財務の勉強は、苦行にしかなり得ないと感じます。

たしかに私の環境は財務を学ぶのには持ってこい(というか財務で金稼いどるので「あたりまえ」の感覚ですが)の環境ではありますし、
「ではどうしてそんな財務だらけの環境にすればええのや?」という疑問は
あす18時アップのここ
で「ほんまもんの決算書をひもといてみる」ことをひとつの回答としたいと思います。

「財務に対する向き合いかた」、要は本質を知る、みずから気づく。ということが一番大事なのかと、これが和尚のひとつの答えであります。財務だけに限りませんが。。。

(PS)となると、診断士試験はダミーの決算書だから、本物の決算書が醸し出す「息吹」みたいなのは感じられないのは寂しい限りですが、本物を知っていれば、ダミーの対処法など軽くなるだろうな・・・という想像はついていただけると思います。

 

2.和尚の書評(早口で3回言ってみましょう!)~参考になる書籍や問題集~

【その1】
財務に限定ではないのですが、こないだ和尚おもろい本を読んだので、この紹介を。

試験に受かる「技術」 吉田たかよし著
岩波文庫

です。

この著者、灘中学、高校からストレートで東大理Ⅰに行って、国家公務員Ⅰ種、アナウンサー、医者というわけわからん経歴の持ち主なんですが、

勉強のやり方自体に非常に合理的に考えておられます。

和尚も、ふむふむ、とうなづくこと多し。

特に「受験時代の恋愛論」については、和尚も浪人時代、かなーーーりヤバイところまで堕ちたことがあるので、この本の内容は身に沁みました。

中小企業診断士試験は、2次試験についても適用できるところもありますが、

特に1次試験でてこずっている方。

たぶん、勉強のやり方を考え直した方がよい。2次試験何度も受けた猛者を存じているが、2次複数年受験組はほぼストレートで1次は合格していることを鑑みれば

「知識勉強のコツ」

というものを体得しているのだと思われます。

【その2】
はい、前座の話は終わって財務の話です。特に2次試験ですが。
和尚が紹介する本、それは
「イケカコ」
なんては言いません。

なぜなら、和尚の自己責任で一言だけ(では終わりそうもないですが)イケカコ不要論を申しますと、
「入り口で財務が嫌いになる可能性大」
ということがいえましょうか。

公認会計士や税理士になりたいのであればイケカコを読むべきかとも思いますし、
そこに載っている例題をシコシコ解くことも有意義ではありましょう。
でもね、中小企業診断士の試験対策としてこのイケカコを一から十までやるのは、
「労多くして、益少なし」
の感じがあります。益はあるにはあるのですよ。
ただ入り口のハードル高いので、これを乗り越えるのにたいがいの努力が必要ではないか、そう思うのであります。それゆえ、入り口のハードルを低くして、かつどっぷりつかってみて
そこでのおもしろさをわかる。というのが和尚が目指す財務の理解の仕方です。

イケカコ不要論が本日の論点ではないのでこれは後日に譲るとして。

それからもうひとつ。診断士の試験での意思決定を最終的にはするものの、イケカコ水準までは求められない、という感じがします。てか、どちらかというと「財務分析スキル」に重きをおいている感じがするのは私だけでしょうか。(分析の解釈までつっこんだ問題を出してもらえると和尚的には嬉しいですが)
その面白さを教えてくれたのが下記本です。私が上記の回転期間の開眼と同時期に出会った本でもあります。
明解!経営分析バイブル―財務諸表をスラスラ読みとくための52章 /高田直芳

です。
アマゾンを覗いても新刊での案内は出ておらず、もう廃刊になってるのかな?
この著者の生講義、某団体の集合研修で和尚は11年ほど前に直接拝聴しました。
そのときは
「何いってんのやろ、このお人」
とか、わけわからんかったのですが、頭の中になぜか残る。
ほんでもって本屋で調べてみるとこの本があって、おもいっきりはまってしまった感があります。

この人にかかわらず、自分の頭の中がブレイクスルーする財務の本は必ずありますが、この本も含めて
「道草の重要性」
というのが非常に重要ではないか思うのであります。この本、見開きページでほとんどが解説、というかいらんことのお話、というページもあります。

 

3.あとがき

さてさて、財務についてどーっぷり浸かってお話をして参りましたが、
やはり、この年になると
人生の転機
っのが必ずあって、和尚にとってのひとつの転機はそのボスからの指導だったか、とそう思ってます。
和尚のボスの指導は、いつぞや私がここでで書いた大工の棟梁から教えを請う話に哲学は似ているかと。
中小企業診断士という困難な試験に挑戦しようと思う方は
それこそ自分から苦難を求める勉強をすることも必要かと、
と明後日のブログ当番のなご氏を見るにその思いを深くするのであります。

そのボスは「師を殺せ」という格言もよくおっしゃっておりました。
師を乗り越えて師の屍を乗り越えて高みへ行け!という意味ですが、
このブログにおいては先代の道場主の先例に囚われず、高みに昇ること、
(もしかしたらイケカコ不要論ののろしをあげることかもしれない・・・)
件のボスに対しては「後進への教育方法」「中小企業の社長への財務の理解促進」について、
「自分で悟れ」だけでは効果は出ない、

だから

診断士が対象とする「中小企業の社長のおっちゃんたち」にはやさしく財務を理解できる方法を考案すべし、
だからまずは、診断士受験生には「ヒント」を与えて「気づき」を得てもらう触媒になるべし、

というのが和尚にとっての「師(=ボス)を乗り越える」ことではないかと、
その頃のことを思い出しながらこれを書いてて、そう思うのでありました。

合掌

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です