2次試験の目指す目標地点はどこ?

なごです。

 

一次試験、お疲れ様でした。自己採点を早々に済ませ、今は次のステップへの準備段階といったところでしょうか。一次を合格した人も、合格していた人も、不合格の人でも、ヒトそれぞれにスタイルは違えども、これから2次に向けて精いっぱい努力してほしいと思います。

 

最初にお伝えしておきますが、私は2次を2回受けています。1年3か月(正確に言えば1年目の試験終了から2月までは勉強していないのでちょうど1年くらい)、2次に専念して勉強していたのですが、2次対策としての勉強時間としては、1年は適切な勉強時間であったと思っています。
2次を1年やるのは長すぎるという方も見えると思います。元々、診断士を希望する受験生の方はスキルの高い方は当然ながら多く見えるため、冗長と感じる方のほうがむしろ多いのかもしれません。でも私は1年がとても適切でした。それくらい2次試験は学ぶべきものがたくさんある、自分自身を大きく成長させてくれた試験である、と考えています。

 

逆に言えば、ストレート合格を狙う方は、とても濃厚な学びの時間をきちんと消化しなくてはならず、相当覚悟をもって、ここから始まる更なる坂道を駆け上がっていただきたいと思っています。すでに受験資格をお持ちだったリベンジ組の方は、これまでのアドバンテージを活かしながら最後まで走り切ってください。また1次試験が残念な結果に終わった方も、来年1次が合格すれば、1年2か月後には2次試験を受けるわけです。ここからスタートしておけば、ちょうど1年間2次を学べるわけですし、少なくとも来年のこの時期には十分なアドバンテージが得られるはずです。

(不合格の方の今後の学び方については、別途記事を書こうと思っています)

 

さて皆さんは2次の過去問を一問でも解きましたか?どんな感想だったでしょうか。

 

 

何をしていいのか分からない。
書いてみたけど答えとまるで内容が違う。

 

 

最初の感想は人それぞれでしょうが、共通して言えるのは、「納得感が無く、もやっとした気持ち」そんな不安感に苛まれているのではと思います。

 

そんな中、いろいろな講師の話や書籍を読むと、
「与件文からではなく、問題文から読め」
「最初から解答用紙に書き始めるな」
ちまたにはいろいろなハウツーが溢れています。でもそんな様々なコメントの最後に付け加えられる一言は誰もが一緒。

 

「解き方は人それぞれなので自分でやり方を見つけてね」

 

試験に対応する戦術的なテクニックは伝えながら、戦略的な部分に触れないため本質部分の理解方法は人それぞれ。たしかにそうかもしれないですが、今日は少しだけ違う見方をしてみたいと思っています。

 

 
皆さん、少しだけ考えてみてください。
「なぜ2次試験がこのスタイルなのか?」

 
少しだけ質問を変えますね。
「あなたが試験委員だったら、試験を通じて何を学ばせたいですか?」
答えは試験問題の中にあるはずです。

 

 
まず与件文から見てみましょう。

 
(与件文は例として平成26年事例Ⅰを使いますね。手元にある人は具体的に読みながらイメージしてもらうと良いですね)
企業の状況が過去から現在まで複数の段落にまとめてあります。
皆さん、読んでみて、与件文の素晴らしさにほれぼれしませんか

 

 

あれ?誰もほれぼれなんてしない?それは与件文を試験問題として見ているからではないですか?

 

 

私は先日、実務補習という合格後に実施する模擬診断のような実習を受けてきました。5日間の研修なのですが、初日からいきなり診断先の社長にお会いして企業の状況についてヒアリングを行います。事前に企業を下調べてから訪問するとはいえ、いきなりの社長ヒアリングでどんな質問をしていいのか分からず、結局2時間程度、表面上の聞き取りだけしてその日は終了。後日実習メンバーでディスカッションをしてレポートを提出するのですが、企業の問題点を洗い出すような有効な質問が出来ていなかったため、極めて限られた情報から企業分析レポートを作成するのは至難の業でした。

 

よく考えてみれば、社長も人の子、自分の会社の悪い話は自分からしたくないだからこそ診断士が行うヒアリングって、企業診断をするうえですごく大切なのです。

 

 

私が先日、昨年の過去問を見て「ほれぼれする」と思ったのには、そんな背景がありました。それくらい与件文には、企業の分析をするに必要な良い情報、悪い情報が「時系列に」しっかりまとめてあるのです
例えば会社の創業から、規模、会社が成長してきた経緯、外部環境の変化による経営環境の悪化、その対応方など極めて端的にまとめられています。しかもそれが2ページ半程度という極めてコンパクトな形で。
企業診断の際、こんなきれいにまとめられたヒアリングシートを見せられたら、それは、ほれぼれしますよ。

 

 

では、そんな素晴らしい与件文(たとえばH26年度の与件文だけ)を読んだ後、個々の設問文を読まずに、私から出す問題の解答を考えてみてください。

 
私からの問題は1問だけ。
「この企業の診断をしなさい」

 

皆さんは将来診断士になる方たちです。診断士になると様々な企業に出会いますが、どの企業に出会っても私たちに求められることは一つ“その企業を診断すること”。平成26年事例Ⅰの企業(精密ガラス加工メーカーですね)を診断するとしたら、何を書きましょうか。

 

その企業の外部環境…、
これまでの企業の成長してきた経緯…、
不都合が生じていればそれを改善する対応策…、
自社のや将来に向けた機会などの分析…、
将来に向けてあるべき姿を指し示すこと…。

 

いろいろなことが思いつくはずです。
特にその企業にとってターニングポイントになる場面などは、外部環境、内部環境に何らかの変化がみられるはずですから、そこをきちんと究明することが企業診断には大切になります。

さあ、与件文に対しての「皆さんなりの」企業診断をやってみてください。なんとなく構図だけでも出来ましたか?
では、そろそろ実際の設問文を見ましょうか。

 

第1問
「(省略)増えつつあるが、その背景には、どのような経営環境の変化があると考えられるか、120字で答えよ」

外部経営環境の変化

 

第2問
「(省略)当時の製品の多くがA社の主力製品に育たなかったのには、(省略)どのような理由が考えられるか」

⇒創業時より主力商品を確立できなかった理由の分析

 

第3問
「(省略)A社にとって組織管理上の新たな課題が生じた」

⇒事業領域の拡大に伴って発生した組織管理上の課題発見

 

第4問
「(省略)その後しばらく大幅な改善は見られず横ばいで推移(省略)ところが近年、良品率が60%から90%へと大きく改善している。」

⇒良品率が改善した原因究明

 

第5問
「(省略)どのような管理施策をとるべきか。中小企業診断士として100文字以内で助言せよ」

⇒将来にむけた方策に関する助言

 

 

どうでしょう。これまでの企業を取り巻く経営変化が問題を追うごとに時系列で分析されており、順番に回答を並べるだけで、企業診断書の骨子が書かれていく、そんな印象を持ちませんか。私たちがなにげに解いている設問の一つ一つは、実は企業診断書を作成するうえで書くべきポイントが、設問形式でアドバイスされている、そんな構図になっています。

 

実は診断士試験は、極めてレベルの高い診断報告書を書く練習問題になっているのでは、と私は考えています。設問にしたがって書いていけば、全体を読み返してみたとき、結果的にきちんとした報告書になっている。

 

例えば、ほとんどの問題が時系列になっているし、診断士として指摘すべき企業の強みや弱み、外部環境の変化に的確に言及している。最終的に解答欄に記載された内容だけ見ればその事例企業の実態がわかる、そんな設問になっていると思うのです。

 

(ちなみに模試は、受験生の優劣(点数)をつけるための試験であり、本試験と似て非なる問題ですので、答えをすべて合わせても、全く診断報告書にはなりません。)

 

これまで問題を何問か解かれた人も多いと思います。「このワードはどこで使うのだろう」「何となく問題点があるのは分かるけどどの設問で使えばいいかわからない」
どうしても答えを考えるうえで、ちょっとした単語に惑わされて視点が細部に入り込んだり、試験用のテクニックだけで答えを導き出そうとしたりすると、問題の全体像が見えなくなることが多々あります。

 

そんな時は、与件文や設問文を一度、俯瞰してみてください。全体を見渡し、自分が診断報告書を書くとしたらどのような文脈で構成するか。そんなことを少しだけでも考えてみると、解答用紙に記載すべき情報の全体像が見えてきます。

 

 

最後に。
「聞かれたことに素直に答える」
よく言われる言葉で、わりと実行するのが難しい言葉なのですが、これを実行するためには、全体を俯瞰して解答を考えること、それを意識することで意外とすんなり達成できることが多くあります。

 

まだこの時期は出来なくて当たり前。でも自分なりの考える視点を様々な角度から養いつつ、良い報告書が書けるようになってくださいね。

 

2次試験、この試験の醍醐味を味わえるのは、まさにこれからですよ。

 

なごでした。

 

 

最後に。

 

 

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2次試験の目指す目標地点はどこ?”へ3件のコメント

  1. なご より:

    fumisannさん
    コメントありがとうございます。いくばくかでも参考になったようで嬉しく思います。
    私は診断士試験を通じてたくさんの学びがありました。でも若干、試験勉強という空間の中で自らの視野が狭まってしまうというデメリットも感じていました。
    そんな中、自分の中で気づきがあり、発想が転換できたことを書いたのが今回の記事です。
    ffumisannさんはこれから腰を据えて二次の勉強ができるかと思います。私は二次を1年かけて勉強して本当に良かったと思っています。
    途中、辛い時期もあるかとは思いますが、そのぶんの成果は必ず付いてくると思います。頑張ってください。応援しています。

  2. fumisann より:

    上記記事のネーム入れ忘れました。
    匿名➡fumisann となります。

  3. 匿名 より:

    大変有意義なご意見ありがとうございます。
    特に、以下の箇所が参考になりました。

    皆さん、少しだけ考えてみてください。
    「なぜ2次試験がこのスタイルなのか?」

    「あなたが試験委員だったら、試験を通じて何を学ばせたいですか?」

    皆さん、読んでみて、与件文の素晴らしさにほれぼれしませんか?

    このような視点で観ていくと、二次試験は、診断士になるためのトレーニングであるということがよくわかります。

    ◇対象企業の現状分析には、与件文の内容を押さえること。

    ◇問題文のデザインの悪さは、様々な診断依頼者がいることを想定したのもでしょう。
    診断依頼が具体的にまとまっていない場合、
    (中小企業診断士自身が咀嚼して)複数の選択肢を提示する必要があること、さらに、簡けつな報告をするために字数制限を設けていること、と考えれば納得がいきます。

    私は、本年の四月より、通信教育により自宅学習で診断士の勉強を始めました。一次試験では、経済、財務会計、運営管理、中小企業経営の四科目の科目合格をとれたと思われます。

    今後は、二次対策を中心にしながら、更に「企業経営理論」「情報システム」「経営法務」をテキストから学習をし直します。
    又、事例Ⅳ対策として、「中小企業診断士 集中特訓 財務・会計 計算問題集」をやり直します。

    「一発合格道場」の記事を参考にしながら、モチベーションの維持を図っていきたいと考えています。

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