【経済学】 2.グラフ対策part1
こんにちは、 Xレイ です。
今日は、経済学のグラフ対策part1です。
需要曲線・供給曲線(完全競争市場)、不完全競争、市場の失敗、自由貿易の理論を見ていきます。
先週から続く 【渾身】シリーズby6代目 いかかでしたでしょうか。
得意分野からの執筆ということで、力の入った迫力のある文面が多かったように感じます。私も渾身の力を込めて書き上げたつもりです。
所々PDFによる 【渾身の解説】付きver. でどうぞ。
1.需要曲線・供給曲線(完全競争市場)
完全競争市場における需要曲線・供給曲線からの出題。
ここでは
(1)需要の価格弾力性
(2)課税・価格規制が消費・生産に与える影響
をおさえておきます。
(1)需要の価格弾力性
①需要曲線が上のような線分で表されるとき、中点の価格弾力性ε=1
②X軸に対する傾きが緩やかな程、価格弾力性は大きくなる
また、同一線分上では、左へいくほど価格弾力性が大きくなる
過去2回の出題では、①を知っていればほぼ即答です。
今年はどうかとは思いますが、いずれまた問われるでしょう。
②に関しては、そのことを直接問われる可能性は極めて低いと考えます。
しかし知っていると、関連の問題で解答しやすくなるはずです。
(2)課税・価格規制が消費・生産に与える影響
【出題~H26問14、H24問13・14、H23問11、H22問10】
※H23問11は違和感を持つでしょうが、以下の課税の論点と同一です。
①財1単位につきt課税されると、消費量・生産量はQ0→Q1となる
これは、消費者・生産者のどちらに課税しても同じです。(PDF)
②消費者余剰=水色 生産者余剰=ピンク 政府税収=緑
死重損失は△ABF
③課税によって、消費者=台形ABCD 生産者=台形ADEF だけ
余剰が減少する。
よって、価格弾力性が小さい程、課税による影響が大きくなる。
(X軸に対する傾きの絶対値の大きい程、台形の面積が大きくなる)
上の例では消費者の方が、より課税による影響が大きくなっています。
つまり、課税による消費者・生産者各々の負担割合は
『どちらに課税するかではなく、価格弾力性の大小で決まる』
ということです。
このあたりが問われやすいのではないでしょうか。
また同じ税率のとき、死重損失の大きさを決めるのも価格弾力性です。
図の灰色部分が死重損失です。
例では供給曲線を固定して、需要の価格弾力性の大小で比較をしています。
価格弾力性の小さい右図の方が、死重損失は小さくなっています。そこで、
『より価格弾力性の小さい財に高い税率を課せ』
というのが、平成23年問13のラムゼイルールです。
④Pcに価格を規制されると、消費量・生産量は共にQ0→Q1となる。
⑤余剰は“課税”のときの政府税収部分も生産者余剰となる
(価格の上限規制でP0>Pcの場合は消費者余剰)。
消費量・生産量の考え方や死重損失は“課税”のときと似ています。
余剰のとり方が違うのですが、これも何かに似ています。
独占企業です。
どちらも結果として一方の都合よく価格が決定されることで、生産量が社会全体として最も効率的な量よりも少なくなってしまいます。
そのため、このような余剰となり損失を生むのです。
2.独占企業・独占的競争(不完全競争)
【出題~H26問19 H22問12】
独占企業・独占的競争からの出題です。
まずは『独占的競争』について、しっかりとおさえておきます。(PDF)
上で余剰について触れましたが、過去にグラフから問われているのは利潤です。
D=需要曲線 MR=限界収入曲線 AC=平均費用曲線 MC=限界費用曲線
①生産者からみた最適な生産量はWで価格はAとなる。
そのときの利潤は□ALMB。
②独占的競争では、長期的には需要曲線Dが左にシフトし利潤はゼロに。
(DとACが接する点まで新規参入が続いていく)
このグラフは曲線(直線)が入り乱れているため、一見難しく感じます。
しかし、すべてを同時に考察することはありません。
ほとんどの場合、必要な2つをみるだけです。
一つ一つの曲線の持つ意味を理解し、題意により適切なものを選択する。
例えば、利潤を求めるのであれば必要な曲線は DとAC のみ。
最適な生産量を知りたければ、MCとMR のみ。
さらに、消費者価格までを知りたければ、その生産量WとD。
といった具合です。
すべてを同時に見渡さなければ、それほど複雑ではありません。
そして、いま例にあげた辺りが解れば対応できるでしょう。
3.費用逓減産業(自然独占)
【出題~H25問17 H23問22】
費用逓減産業(自然独占)からの出題です。
このグラフの示す内容は、独占企業のものと同じです。
そのため一見複雑に見えますが、対処法も同じです。
D=需要曲線 MR=限界収入曲線 AC=平均費用曲線 MC=限界費用曲線
①生産量は、独占企業として振舞うときQ0 平均費用価格形成原理でQ1 限界費用価格形成原理でQ2 となる。
②生産量Q1のとき利潤ゼロ、Q2のとき□JIGP2の赤字となる。
③生産量Q2のときの赤字額□JIGP2は固定費用に相当する。
まずは、①の価格設定に関する事項を知っておく。
そして、グラフからDとACに着目し、各々利潤の考察をできるようにする。
といったところでしょうか。
設問では、規模の経済、二部料金制等の用語を使って惑わしてくることが予想されるので、あらかじめそれらを把握しておく方がいいでしょう。
4.負の外部性
【出題~H26問20、H24問21、H23問24、H22問15】
負の外部性からの出題です。
ポイントは、死重損失、コースの定理、ピグー税。(PDF)
①外部性を考慮しないとき、生産量はQ0となる。
このとき、負の外部性がB+C+D 社会的余剰はA-D 死重損失はD。
②ピグー税tを課すと社会的に最適な生産量Q1となる。
このとき、社会的余剰は最適でA、税収=負の外部性=B。
③コースの定理によっても、社会的に最適な生産量Q1が実現する。
①~③、すなわち死重損失とその是正方法が繰り返し問われています。
ただし、上のグラフを仮に基本型とするとそこから以下のように
グラフの形状を変えて惑わしてきます。
H26とH24は一企業のモデル。
H23は消費側の外部不経済。
H22は従価制的な外部性。
基本的な考え方は同じなので、基本事項をおさえた上でじっくり考えればできるはずです。
しかし本試験では、そう時間をかけてもいられません。
そこで各々の型を一度は考察しておくことで既出のものならば問題なく、また新たなパターンの出題にも比較的短時間で対応できるようにしておきましょう。
5.自由貿易の理論
【出題~H26問21、H24問15、H21問10、H20問8】
自由貿易の理論からの出題です。
いずれも輸入国側のグラフから、余剰等を問われています。
①世界市場での価格をP0とすると、自由貿易下では
国内消費量はQ1、国内生産量はQ2、輸入量がQ1-Q2。
②関税tを課したとき価格はP1、
国内消費量はQ3、国内生産量はQ4、輸入量がQ3-Q4 となり
経済余剰の損失はb+d 税収はc。
①、②を理解していれば、過去の出題レベルなら対応できるはずです。
しかし、この領域からの出題は問題文がややこしい(H26年を除く)。
題意・条件といったものを読み解くことが、非常に面倒です。
本試験では時間的な観点で、他の問題に影響の出ない範囲での取り組みが求められます。
もし、輸出国側のグラフが出てきても慌てないでください。
上下反転しているので、消費者余剰と生産者余剰の大きさが入れ替わりますが、基本的な考え方は同じです。
今回は以上です。
それでは、また。 Xレイ
cazain様
ご指摘いただきまして大変ありがとうございます。
–
おっしゃる通り、中点より右側の需要の価格弾力性は1より小さくなります。
当初の図は、左側、右側とも1より大きいという意味合いで示されており、誤っておりました。
適切な図に差し替えましたので、改めてご確認いただければと思います。
申し訳ございませんでした。
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大変な時期かとは思いますが、試験学習がんばって下さい。
cazain様の合格を心より祈念しております。
Xレイ
勉強させていただいております。
“(1)需要の価格弾力性”下のグラフにおける”1<ε"は<の向きが逆ではないでしょうか
ε=1の点より左側が1以上で、右側は1以下という意味のグラフと理解しています
既にご承知の場合は、ご容赦いただければ幸いです
ZAVAS様
コメントいただきありがとうございます。
マクロ経済のグラフ問題につきましては、この次の次『グラフ対策part3』でみていく予定です。
今後ともよろしくお願いいたします。
大変参考になります。
マクロno4part2もよろしく
お願いします。