今日から六代目の執筆になります。一発目は自分の合格体験記から
はじめまして。今日から6代目の執筆がスタートとなりますが、しょっぱなを飾らせていただきます牛嶋・寺前・和田法律事務所の弁護士岡崎教行です(こちら、私が出ている動画です)。
企業法務の中でも労働法務に特化した業務に従事しています。今後、1年間、どうぞよろしくお願いいたします。
この正月に6時間程度かけて、15,000字にわたる合格体験記を作成しましたので、以後、3回にわたり、掲載させていただきます。
題して「弁護士なんだから受かって当たり前??」
まずは、目次から。
【目 次】
第1 はじめに
第2 合格までの軌跡
1 受験のきっかけ
2 一次試験まで
(1) 一発合格道場との出会い
(2) 試験申込み
(3) 答練開始
(4) 公開模試
・・・・今回はここまで・・・・
3 一次試験実況中継
(1) 初日
(2) 二日目
4 一次試験の結果
5 二次筆記試験まで
(1) 答練開始
(2) 公開模試
6 二次筆記試験実況中継
7 二次筆記試験の結果
8 二次口述試験実況中継
・・・・以上、3月3日掲載予定・・・・
第3 合格の要因
1 合格への気持ち
2 試験の特性を見極めた
3 採点官の気持ちに思いを至らせた
4 勉強テクニック・試験テクニック
(1) 情報の一元化の重要性
(2) 最後の最後まで粘る-直前に見るものを決めておく
(3) 一次試験では解ける問題から解いていく
(4) 肢を1つでも切って確率を高める
5 手を広げすぎない
6 群れない
7 事例の分析方法を確立していた
8 モチベーションの維持
第4 二次試験が不合格だった場合にやろうと思っていたこと
第5 最後に
・・・・以上、3月18日掲載予定・・・・
【本文】
第1 はじめに
私は、平成11年に法政大学を卒業した後、平成13年に旧司法試験(ロースクール制度の前)に合格し(当時、大学院生)、平成15年から約11年間弁護士として、企業法務の中でも労務を専門とした業務に従事してきました。
中小企業診断士の勉強期間ですが、平成26年5月のGWから本格的に勉強を始めたため、実質的には約6か月と短い部類に入るかと思います。
周囲からは、「弁護士なんだから受かって当たり前じゃん」と言われることもありますが(言われることは少ないが、思われているということを間接的に聞くことが多いので、多くの方が、そう思っていると思われる)、実際に勉強してみて、弁護士だから合格するというのは、ちょっと違うのではないかと感じているところです(むしろ、試験への親和性としては、公認会計士や税理士だと思う)。
一応、ストレート合格となりますが、私の場合は、合格すべくして合格したわけではなく、たまたま合格した部類だと認識しています。運よく、合格の糸を手繰り寄せることができたと思っていますが、その要因の1つには、かつての司法試験の受験で培った勉強の仕方、問題の解き方、試験に臨むための体制づくりがあると考えています。この合格体験記では、私が合格までに何をしてきたのか、何を考えていたのかを、時系列で紹介するとともに、自分なりに考える合格を手繰り寄せることができた要因を明らかにすることを目的としています。読者の方に、何かしらのヒントが1つでもあれば、この上ない喜びです。
第2 合格までの軌跡
1 受験のきっかけ
私が中小企業診断士の受験を思い至ったのは、平成25年9月頃のことですが、そのきっかけは、友人の社会保険労務士の先生が中小企業診断士を目指して頑張っていたというところに始まります。当初、その友人が勉強のモチベーションが上がっていないようだったので、発破をかけるという趣旨で、いわゆる「のり」で「じゃ、自分も受けてみようかな。一緒に勉強するか!」と宣言したのが最初でした。中小企業診断士って何だろう?どういう資格なんだろう?といくつか中小企業診断士を紹介している書籍を購入しパラパラめくってみると、法律家として自分にない知識等が必要なんだなと、そして、税理士や社会保険労務士とは違って、司法試験に合格しているからといって試験自体が免除になる資格ではないんだなということを知り、ちょうど弁護士として10年経過し、新たなことを始める良いタイミングかと思い、また、スキルアップのためにも良いかもしれないと思い、受験を決意しました。
しかし、私の仕事は平日、土日殆ど関係なく、また、終電前に帰れることもあまり多くない状況であったことから、通学で授業を受けるのは不可能で、通信講座もこれまでの経験上、続ける自信はなかったので、インプットは独学で行うことにしました。ただ、司法試験受験のときに、資格試験はインプットよりもアウトプットが大事であることを認識していたので、答練だけは受けることに決めました。すぐに答練だけでも申し込もうと思ったのですが、TACのパンフレットをみたところ、答練は翌年(平成26年)5月からということだったので、それまではインプットに専念しようと考えました。
そして、平成25年10月頃から、順次発刊されるTACのスピードテキストを購入し、まずは、年内に企業経営理論、財務・会計、運営管理のテキストを通しで読もうと思ったのですが、答練というペースメーカーもなく、平成25年年末までに企業経営理論のテキストを半分くらい読んだだけに終わってしまい、これはまずいと思い、とりあえず企業経営理論は後回しにして、平成26年1月からは財務・会計のテキストを読み始めましたが、これもまた、なかなか進まず、3月あたりで途中挫折し、再び、先送りしようと考え、運営管理のテキストを読み始めたのですが、これがまた取っ付きにくくて、あまり進まず、GW直前に至りました。
2 一次試験まで
(1) 一発合格道場との出会い
受験のきっかけを作ってくれた友人からの、「もっとまじめに勉強しないとまずいんじゃないの!」という冷たい視線を感じながら、自分でも、このままではやばいと感じていたので、一念発起して、友人から勧められた中小企業診断士一発合格道場のセミナーにGW前に行くことにしました。そこで何をやったのかはあまり覚えてませんが(今だから言えますが、前日、朝まで飲んでいて二日酔いで参加という状況でした)、一次試験の科目免除をどうするかを相談できたのと、合格者からの話を聞くことができ、そして、弁護士だからだと思いますが、合格者の方から目をかけていただきました。違うかも(笑)。
(2) 試験申込み
その後、中小企業診断士試験の受験申込みがありましたが、ここで、1つの決断をしなければなりませんでした。それは科目免除をどうするかでした。
私の場合、弁護士ですので、経営法務を免除することができます。それに加えて、弁護士は税理士登録ができることから、財務・会計も免除することができます。経営法務を得点源として受験するという選択もありましたが、最終的には、経営法務も、財務・会計も科目免除をしました。その理由ですが、①一次試験が7科目という幅広い勉強が必要であり、時間が足らないことから、できるだけ受験する科目数を減らしたほうが良いだろうということ、②経営法務では、知的財産権、会社法についての問題が相当数を占めますが、私の場合、仕事のうち労働関係が9割を占めるため、知的財産権、会社法は詳しくなく、必ずしも得点源になるとは言い切れず(むしろ、合格点すら怪しい)、得点源にするには一定程度の時間を要すること、③財務・会計については殆ど何もわからないので、受験した瞬間に一次試験不合格が決定してしまうこと、でした。
結果的に、一次試験の財務・会計は難易度が極めて高かったようなので、免除をして正解でした。これが今回の合格の要因の1つと言っても過言ではありません。自分をSWOT分析した結果、的確な競争戦略を取ることができたと思います(笑)
(3) 答練開始
一次試験に向けて、TACの直前パックに申し込み、本格的に試験に向けての勉強を開始しましたが、答練では、結局、1科目も合格点(60点)を取ることはできませんでした。ただ、過去問も殆どやる時間がなかったので、どういう試験なのかを答練に出席することで強制的に把握することができ、また、強制的に勉強するための良いペースメーカーとなりました。もっとも、1週間で2科目なんてできるはずもなく、殆どの答練は勉強不足のまま臨まざるをえない状況でした。
① 5月10日
10年ぶり以上の資格試験予備校ということもあって、あ~、昔もこんな感じだったなぁ~と、懐かしさを感じ、それに浸ってしまいました(ただ、TACは初めてでした)。初の答練、企業経営理論は38点で撃沈(笑)
② 5月17日
運営管理は、少しだけ勉強が進んでいたので、何とか52点取ることができましたが、経済学・経済政策は殆ど勉強できていなかったので、20点でした。経済学・経済政策については、理解が重要と考えていたので、石川秀樹先生の「速習!ミクロ経済学」と「速習!マクロ経済学」(水色の本と赤色の本)を、You Tubeで講義を聴きながら勉強し始めました。確か、答練の数日前に初めて勉強を始めたという有様で、GDPだけしか終わっていなかったと記憶しています。
③ 5月24日
免除申請はしているけれども、どれほどとれるのかと臨んだ経営法務ですが、見事に不合格の52点(笑)。法律家としての素養が疑われ、テンションはガタ落ちでしたが、免除してよかったと開き直りました(笑)
経営情報システムについてもスピードテキストが30頁程度しか読めていなかったのですが、勘が冴えて51点。答練で勘が冴えても仕方ないんだよなぁなんて思いながら。
④ 5月31日
私としては、中小企業経営・政策が一番範囲が狭く、しかも、暗記力がそのまま得点に直結すると考えたので、この教科には力を入れることにしました。この科目については、スピードテキストは使わず、中小企業白書概要(20頁以内のもの)と中小企業施策利用ガイドブックを使うことにし、後者については答練や模試、過去問で出てきたものだけを覚えることにしました。多少の勉強ができていたので、なんとか54点。そして、2回目の企業経営理論は40点とギリギリ足切りを免れたといった状況でした。
⑤ 6月7日
2回目の運営管理も合格点はとれず、53点。少しは自信あったんだけどなぁとがっかり。
⑥ 6月14日
2回目の経済学・経済政策も36点、そして、経営情報システムも22点と両者とも足切り。1回目の答練から殆ど勉強が進んでいなかったことから、仕方ないのですが、本当に合格できるのかと不安になったのを記憶しています。
⑦ 6月21日
2回目の中小企業経営・政策だけは合格点を取りたいと臨んだのですが、結局、51点と不合格。
(4) 公開模試
この時点での勉強の進み具合は想定外(笑)
全て一回しできていたのは、中小企業経営・政策だけで、経済学に至ってはミクロ経済学は一切手がついていない状況、経営情報システムも半分も進んでいない状況でした。結果は、経済学44点、企業経営理論42点、運営管理54点、経営情報システム52点、中小企業経営・政策56点と1つも合格点は取れませんでしたが、全ての科目を全て10点程度上乗せすれば、ギリギリで合格できるかもと前向きな気持ちになれました。また、初日3科目を受けることがどの程度負担になるのか、休み時間にはどの程度の勉強ができるのか、休み時間に何を食べて脳の働きを回復すればよいのか、シミュレーションできたのが大きな収穫でした。
(今回はここまで)
いかがでしたでしょうか?次回は、いよいよ一次試験本番の実況中継、そして二次対策、二次試験本番の実況中継になります。