白書は事例ネタの宝庫!?

みなさん、こんにちは。

3連休も終わり、本試験まで残り2週間を切りました。まとまった時間を取れるのも、限られてきていると思います。そんな中で、本日は2014年版中小企業白書から、今年の事例に役立ちそうなポイントをまとめてみたいと思います。

■なぜ白書?
野菜工場。そう平成25年度の事例Ⅳで出てきた不思議な工場です。当時、予想の斜め上をいく設定にびっくりした私ですが、実は平成25年度版白書に掲載されていたんですね。一次試験の時は、グラフや傾向を読むことで頭が一杯であったため、細かい事例の中身まではじっくり目を通してはいませんでした。しかも、一次試験では前年の白書からの出題のため、試験該当年度の白書はまったくもってノーマーク。でもですね、受験生を終えた後、改めて白書を読んでみると、まるで事例になりそうな企業がわんさか載っていたのです。その時、「あ、これは事例ネタの宝庫だな」と思った自分がそこにいました。

ご存知の通り、中小企業白書は中小企業庁が発行している冊子になります。当然、国家資格である中小企業診断士は、国、中小企業庁の方針に沿うような解答が求められます。しかも、白書には全国から選び抜かれた優良中小企業の事例が紹介されています。解答の方向性として、チェックしておいて損はありません。

■白書の概要から
そんなわけで、2014年度の白書概要から、二次試験の解答の方向性になりそうな部分をピックアップしてみました。

第1部 平成25年度(2013年度)の中小企業・小規模事業者の動向
ここでは、中小企業の収益力向上のため、価格転嫁力の向上と労働生産性の向上が必要であるとまとめられています。価格転嫁力。初めて聞きました…。価格転嫁力とは販売価格を上げ、仕入価格を下げることを表しています。白書では、販売価格を弾力的に運用するのは難しいから、組合を作って原材料の共同購入などでコスト削減を図りましょうと提案されています。

第2部 中小企業・小規模事業者が直面する経済・社会構造の変化
●我が国の中長期的な構造変化
少子高齢化で人口が減少し需要が減るけど、外国人観光客の取り込みや情報技術の発展でビジネスチャンスも増えてるよーという内容です。観光庁がインバウンド(訪日外国人旅行客誘致)政策を推進する動きにシンクロしていますね。気になる言葉としては、自然や歴史を対象にしたエコツーリズム、農林漁村地域に滞在するグリーンツーリズム 、人が沢山集まってお金を落とすMICE(Meeting Incentive Convention Exhibition,例.企業会議、国際会議)といったフレーズは需要喚起の打ち手として知っておくといいかと思います。

●地域の抱える課題と地域活性化
地域の課題は少子高齢化による人口減少、商店街の衰退です。地域活性化の切り札は「地域資源」の活用だから、市町村と中小企業・小規模事業者は連携して農水産品や観光資源の活用が必要だということが書かれています。商店街の衰退に対しては、欧米のBID(Business Improvement District)制度を活用すれば商店街のマネジメントを強化できるのではないかと指摘しています。BIDの説明はgoogle先生に聞きましょう!

■第3部 中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来
●小規模事業者
わざわざ小規模事業者で一節作っています。小規模事業者の最大の課題は「需要・販路拡大」です。小規模事業者の類型によって、課題解決方法は2つに分類されています。一つは地域需要志向型。住民との信頼関係を活かしたニッチな需要の掘り起こしを行うこと。もう一つは、広域需要志向型。ネット販売の活用や大企業とのマッチングを通じて需要開拓を目指すべきと書かれています。その他の販路開拓方法として、技術提案型商談会、地場産品の展示会開催、アンテナショップ運営なども列挙されています。

●企業・創業
企業/創業は地域経済の活性化、産業の新陳代謝が促すのに、起業希望者が激減していて問題だ~というのがこの章の内容。起業ターゲットを「女性」「若者」「シニア」と分けている のに注目。この切り口だと「30~50代男性」がすっぽり抜けています。会社勤めの中年男性に魅力的プランがないってのも何だかなぁーと個人的には思いますが…。それぞれの層に対しての悩みと解決策がこちら。

悩み 解決策
女性 アイディアはあるが事業化が分からない 起業の具体的手段伝授
若者 起業に現実感がない 気軽な相談体制の整備
シニア 事業失敗時のリスクが怖い 指導より伴走型の支援

●事業承継・廃業
近年な親族承継が低下し、第三者承継が増えています。後継者(親族、内部昇格、外部招聘)が確保できない場合は、事業売却や廃業となってしまいますという内容。後継者の育成には3年以上は掛かるので計画的に行いましょうという方向性は押さえておくポイントですね。
この章の気になる起業ネタとしては、自宅を使ったプチ店舗でイベント事業を行う、大手企業社員の週末起業で地域活性は解答のストックとして使えそうです。

●海外展開
人口減少などで市場が縮小する国内だけでなく、旺盛な海外需要を取り込みましょうという内容です。直接投資を成功させるための要素が興味深い。販売先の確保、現地人材の確保・育成・管理、海外展開を主導する人材の確保・育成、採算性の維持・管理、信頼できる提携先の確保などは事例Ⅲの解答ネタで使えそう。

●新しい潮流
「クラウドソーシング」「クラウドファンディグ」 「コワーキングスペース」「CSV」といった流行りの言葉が飛び交っています。これらの話題が単体で質問される可能性は少ないと思いますが、知っているだけで解けるラッキー問題になるかもしれないので一応フォロー。

クラウドソーシングは中小企業の経営資源の補足個人の新しい働き方を提案する可能性がある一方で、現実的には仕事の質や受注量が不安定であったり、情報流出の危険性受発注利用手数料などが問題として記載されています。

クラウドファンディングは、ITを活用し、不特定多数の人間から資金を調達する方法です。注目事例として、ファンドを作って不特定多数の人間から出資を得る代わりに、商品の提供工場見学会を実施し、出資者とのコミュニケーションを深めるなんてネタはありですね。

コワーキングスペースは図書館のような開放されたスペースで独立系のワーカーの方達が仕事をする場所です。利用者同士のコミュニケーションが推奨される環境であるため、新しい発送やイノベーションが生まれたり、協業関係が発生します。この考え方は、事例Ⅰの組織改革でありそうな話です。

CSV(Creating Shared Value)とは、社会価値と企業価値を両立させましょうというものです。白書では、地域特有の課題を、中小企業の事業を通じて解決することでCSVは実現できると書かれています。これだけだと、分かりにくいですね。参考として、歩行困難者向けのタクシーサービスが紹介されています。地域の課題である歩行困難者に対して、企業が経済活動を通じて解決しています。また、CSVは一過性のものでなく、持続的に事業活動を行うという視点からCRSV(Creating and Realizing Shared Value)という考え方もある、だから中小企業は必要なんだという論じ方でまとめられています。

■第4部 中小企業・小規模事業者の支援の在り方
第4部は、どちらかと言えば、支援をする側について述べているので、あまり参考になる情報がありませんでした。しかし、コネクターハブ企業については、要チェック。地域経済活性化のためには、地域外から資金を調達し、地域に配分するコネクターハブ企業が重要だと述べています。このコネクターハブ企業を見つけるには、民間調査会社のビックデータを活用しましょうともかかれています。こんなとこにも流行りのビックデータが出てきています。

■“ちいさな企業”の成長に向けた行動計画
平成25年6月に支援する側、される側が集まって宣言したという行動計画が、1ページ丸々掲載されています。この方向性は知っておくべきでしょう。

行動1.地域に眠るリソースを最大限に活用・結集・ブランド化する
行動2.中小企業の新陳代謝を活発にする
行動3.下請構造から脱却し、自ら積極的に成長分野に参入する
行動4.海外に打って出る

■白書の気になる知識達
ここでは、個人的に「あぁ、これの知識問題出たらやだなぁ」というものをピックアップしています。出る可能性は低いと思われますが、気になる方は、白書をチェック!

個人事業主と法人のメリット・デメリット:白書P.153。法務知識。
エンジェル税制:白書P.243。個人投資家への優遇措置ですね。
事業承継税制:白書 P.269。相続税、贈与税の特例制度。
税務上の寄付取扱:白書P.418。クラウドファンディングに絡めてます。

白書のざっくりとした流れだけを押さえるだけでも、診断士試験がどのような方向性の解答を求めているのか分かるかと思います。ここで紹介した話から、少しでも解答のヒントが見つかれば幸いです。ここから試験日までは、ギアフルスロットルで突っ走って下さい。最後の最後まで考え続けることに、デメリットは無いと思います。あともう一息!頑張りましょう!

それでは、本日はこの辺で失礼します。

Oz

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白書は事例ネタの宝庫!?”へ2件のコメント

  1. Oz より:

    じおすと様

    コメントありがとうございます。

    白書については、二次試験の勉強をしてからのほうが、多くの気付きが得られるのではないかと思います。二次試験の得点力アップに直結するものではありませんが、背景として知っておきたい内容が沢山掲載されています。

    今回の記事で、じおすと様の不安要素を少しでも軽減できたのであれば幸いです。

    本試験まで残り二週間となりました。体調に留意しつつ、ご自身の限界まで追い込みをかけていきましょう。

    じおすと様の努力が実ることをお祈り申し上げます。

  2. じおすと より:

    Ozさん、こんにちは!

    いつも楽しく読ませてもらっています。

    今回はまさに合格者視点ならではの情報ですね!

    受験生にはこれほど手を出しにくく、それでいて誰もが多少なりとも気になっている情報はないかと思います。(^^;)

    さっそくWordに落として記事をプリントアウトしちゃいました。帰りのバスの中ででも再度じっくり読んでみたいと思います。

    これにちなんだ情報が出題されても、直接回答に結び付けるのは難しいかもしれませんが、相当な精神的動揺を抑えてもらえそうです!(^^)

    以上、お礼まで~!

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