【いざ攻略!事例Ⅲ】”流れ”を掴め!
こんにちは、マイスターです。
さて、先日から開始した「いざ攻略!」シリーズも第三弾、事例Ⅲに入ってきました。
私は昨年の受験生時代、一番最後まで苦しんだのは事例Ⅲでした。やはり製造業とは無縁の世界で働いている自分には、生産のことが「わかっていたようで、わかっていなかった」のです。答練では事例Ⅰや事例Ⅱとだいたい同じくらいの点数なのですが、どうもいつも手ごたえがなく「本当に理解できているのかどうか」が不安でした。
そんな中、最後の最後に自分が”開眼”できたきっかけ、それはやはり「過去問を頑張って分析したこと」でした。
過去問から共通して問われているエッセンスを掴み、作業の流れである「設計・調達・作業」×「需要の3要素」のマトリクスの中で、事例企業の課題を特定する、というプロセスを確立できたことが有効に働きました。
さて、この辺は既に過去のブログでも紹介していることですので、今回は少し過去問分析をベースに、事例Ⅲにおける”流れ”を読み解く重要性について触れたいと思います。
■”流れ”とは何か
事例Ⅲでいう”流れ”とは、情報やモノの流れのことを指します。
まず、基本的にどの業種でもそうですが、商売をするに当たり「顧客ニーズに対応する」ことが求められます。顧客(マーケット)ニーズ=すなわちQCDを満たすために、この事例Ⅲにおいては戦略的な視点を持って生産体制を整備していくということが問われています。また、事例企業は中小企業ですので、経営資源に余裕はありません。生産部門だけでなく、全社一丸となって顧客ニーズへの対応を考え、場合によっては外注にリソースを求める必要があります。
だからこそ、”生産・技術”の事例であるにも関わらず、顧客ニーズのフロントにいる”営業”や、生産能力を担保してくれる”外注先”などが過去事例にも度々登場しているのだと考えます。
■営業論点は頻出
さて、まずは営業について、過去の出題事例を見てみましょう。
まず、ダイレクトに”営業”についての設問で問われるケースです。
H23 営業体制の変更
H19 営業と工場の情報伝達
H17 SFA
H16 営業プロセスの問題点
また、事例企業の強み・弱みや特徴を問われた際に営業面の強みなどが出てくるケースが多くあります。
H24 積極的な取引先開拓
H24 柔軟な対応力
H21 販売先小売店300社から消費者の嗜好、要望等を入手
H19 最終ユーザーとの直接取引による提案営業力
上記はあくまで一例で、その他にも営業関連の論点はかなり多く問われていますが、生産事例を解く上で営業の論点はかなり重要なポイントとなっています。
H24-H13までの過去12年、事例Ⅲで出題されている事例企業は受注生産形態を取っている企業が多い傾向にあります。また、近年は見込み生産体制の中に、環境変化や取引先ニーズの変化から受注生産が混ざってくるパターンも目立ちます。H23は規格品+特注品対応といった論点がありましたし、H21は見込み生産に加え、OEM受注生産体制の確立という論点が出てきています。見込生産における需要予測には営業の役割が非常に重要となりますし、受注生産においても顧客への提案力が求められます。
意外と事例問題に出てくる企業は、生産工程はずいぶん混乱しているものの、内示情報を取れる顧客との関係性があったり、販路獲得が既にできていたりなど、営業面で「強み」を持っているケースが多いです。こういった企業の強みを活かしていくため、「部門間の情報連携を行っていく」ということが大きなテーマの1つとなります。H16はまさに営業と設計との情報連携の問題が出題されていました。
■外注先はパートナー
H23 外注加工品の納期管理
H20 外注先と共有すべきデータ
H16 外注加工品の納期管理、内外作決定
また、外注先との取引においては上記のような過去問題が示すように、
「外注先との作業進捗管理ができているか」
「品質・納期改善のために必要な情報が共有されているか」
といった点などが問われています。中小企業にとって自社に不足する生産能力を補うためのものだけでなく、共に顧客ニーズに対応していくパートナーと捉えた上でのきちんと情報連携を取っていく協力体制作りが必要ということですね。
上記のように、顧客(上流)から始まる”情報”がスムーズに営業部門から、設計、生産管理、製造部門、また外注先に流れているか等の”情報”の流れを意識する必要があります。情報関連の設問はほぼ毎年出題されていますよね。
また、必要な部材、仕掛品が適切なタイミングで工程に投入されているか、また完成品がスムーズに顧客に納品できる体制ができているか、など”モノ”の流れも意識する必要があります。H24では即納体制作りも問われました。
製造工程の改善に目を取られがちですが、バリューチェーン、またサプライチェーン全体における課題解決が企業の生産課題解決につながることもあります。”流れ”を見る目線を意識して事例Ⅲと向き合ってみると新しい発見があるかも知れません。
それでは今日もコツコツと。
マイスターでした。