コンサルタントと政治・経済

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口述セミナー@東京のお知らせ
12月7日(土)午後を予定
場所、時間の詳細は後日告知いたします。

※大阪、名古屋は口述セミナーの予定はございません。
あらかじめご了承ください。

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こんにちは、どいこうです

コンサルタントは政治・経済に無知で良いか

「コンサルタントが関与する企業経営はミクロな事象だから、政治・経済は関係ない」
・・・と思いますか?

私は以前、政治・経済をそこまで重視していませんでした。しかし、コンサルタントとして勤務し、事業家として過ごすうちに考え方が変わり、今では政治・経済を非常に重視しています。

軍事戦略では地形が前提条件

戦史の研究(特に航空機が登場する以前の戦い)においては、地形の重要性が指摘されます。
地形が、発生するであろう戦闘の前提条件となっていたためです。

例えば、「山崎の戦い」があります。「山崎の戦い」は、天正10年(1582年)に織田信長を討った明智光秀と、羽柴秀吉が戦った合戦のことです。この戦いでは、光秀に先んじて天王山(京阪間のほぼすべての交通路を制する要衝)を制した秀吉が勝利し、このことから、天王山のことを「天下分け目の天王山」と呼ぶようになりました。

経営戦略では政治・経済が前提条件となる

政治とマクロ経済は、経営戦略における前提条件になると思われます。

例えば、海外で、自社進出、ないし取引先ネットワークの構築を検討する場合、リスクが高い地域として以下のようなものが考えられます。

・インフラ(発電所・道路・鉄道等)が未整備な国では、人材の生産性が下がる。例えば、鉄道や道路が発達した東京の外回り営業マンは一日に4件の打ち合わせを設定できるが、主要都市でも道路が大渋滞していて2件しか設定できない街もある。

・戦乱で人命が失われ、建物等が破壊される地域では、せっかくインフラ、設備、人材等に投資しても、すぐに失われてしまう恐れがある。また、債権回収も困難。

・独裁者の失政等により経済が破綻している国では、企業の破綻が起こりやすく、債権回収が困難になる。また、治安悪化によりインフラ、設備、人材も損なわれる恐れがある。

・政府がルールを守らない国、恣意的なルールを作る国では、財産を「合法的に没収」されたり、本国にお金を戻せなくなったり、強制的に知的財産を奪われたり、社員が身柄を拘束されたりする可能性がある。

コンサルタントたるもの、顧客の事業を育て、守ることを最優先に考えるのは当然です。そうしたときに、上記のような政治・経済の要素を考慮に入れないと、最良の解を提示できなくなるのではないでしょうか。

最近の国際ニュース

私はアジア太平洋地域(よくAPACと略されます)を中心とした政治経済動向に注目して情報収集をしています。

アジア人として、近隣の動向が気になりますし、自分でも事業のごく一部を他国で展開している事情もあります。

最近、APAC地域では様々な事象が起きています。

11/16
スリランカで、ゴタバヤ・ラジャパクサ(元大統領マヒンダ・ラジャパクサの弟)が新大統領に就任したニュースがありました。マヒンダ政権時代には、シーレーン(海上交通路)の要衝であるハンバントタに、中国からの融資で港や空港を建設しましたが、返済に窮して港湾運営権を中国企業に99年間貸し出す契約を締結したこと等が問題視され、シリセナ前大統領に敗れました。しかし、4月に発生した大規模テロへの対応を争点化する等の反撃により、今回はラジャパクサ派が政権を奪い返しました。スリランカは親中路線に回帰することが予測されています。

11/22
韓国で、文在寅政権が日本とのGSOMIA(軍事情報に関する包括的保全協定, General Security of Military Information Agreement)の破棄を撤回しました。(これは日本のメディアでも大々的に報道されました。)。文在寅氏は朝鮮労働党の秘密党員であるとの文書がスクープされていますが、今回ばかりは国内世論と米国の説得を前に撤退せざるを得なかったのでしょうか。

11/23
オーストラリアで、中国人の元スパイである王力強氏が亡命申請をしたことが報道されました。香港、台湾、オーストラリアで、潜入工作や妨害工作に関与していたとのことです。王氏は、香港で活動する中国軍の情報将校の身元と、台湾やオーストラリアで行われている活動の内容と資金源に関する詳細な情報をオーストラリア当局に提供したようです。

11/24
香港では、区議会(地方議会)議員選挙で民主派が85%の議席を獲得して大勝したことが報道されました。従来より「一国二制度」が共産党政権により骨抜きにされていましたが、「反送中」を契機としたデモが継続しています。警察による発砲やデモ参加者の不審死が続いている状況で、1989年の天安門事件が再来しないかと世界中の人が懸念しています。

構造的な要因

最近のニュースには、米国と中国との間で起きている「新冷戦」の文脈で読み解くことができるものが多数あるように思います。

国際政治の動きを象徴的に表すのは主要な政治家のスピーチです。冷戦の時にも1946年3月にチャーチルによる「鉄のカーテン」スピーチがありましたが、今回は、米国のペンス副大統領がその役割を担当しているもようです。世界史上の大きな流れですので、まだお読みでない方は、ご一読をおすすめします。

「新冷戦の幕開け」とも指摘される、2018年10月4日の演説(和訳)はこちらです。

また、最新の2019年10月24日の演説(和訳)は、こちらです。特に香港・ウイグルの人権侵害に踏み込んだ内容となりました。

日本のニュース

日本のテレビで放映される政治経済ニュースは「質問通告の期限を破ったことがバレて逆ギレした議員」「桜を見る会に支持者を呼んだ・前夜祭の会費が安かったことを問題視?する非難」等でかなりの尺を使っています。ニュースの重要度の判定を誰がどのような基準で行っているのだろうか、と気になるところです。

ただし、Youtube等の動画サイトで放映される番組には世界の政治・経済、そして日本の本質的な問題を正面から取り扱う番組も多数あります。以前より選択肢が増えたことは望ましいことだと思います。

それでは、また!

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