10代目高得点解答にみる2次試験合格のポイント!:平成30年度事例Ⅲ

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みなさん、おはようございます。なおさんです。

本日は「10代目高得点解答にみる2次試験合格のポイント!」の平成30年度事例Ⅲをお届けします。
本記事では、10代目の再現答案の中から再現度の高いもの(7人分)を選択し、開示得点と合わせて「診断協会が想定する答え」をあぶりだしていきます。「再現答案」ですので、当たり前ですが「平成30年度の合格者が80分で書き上げたもの」になります。私もそうでしたが、受験校の練り上げられた模範解答を前に「どうやったらこういう解答が書けるのだろう???」と悩まれている方には「目指すべき等身大の解答例」として、これから2次試験の準備を始める方には「回り道をせずに済む合理的な目標」としてお伝えできればと思います。
この記事のために快く再現答案を提供してくれた10代目のみんなに感謝します。そして、、、、、切り捨て御免! (^^;

尚、各設問の詳細な事例分析&解説につきましては、以下の記事も参考にしてください。
なおさんの解法実況&事例研究:平成30年度事例Ⅲ

平成30年度の事例Ⅲは第1問~第5問までの全5問。配点は各20点ですので、いつも通りに一つは大外ししてしまうと仮定して「15点×4問+5点=65点」くらいの得点イメージを持っておきます。

※本記事は、平成30年度の問題を事前に解いてから読んでいただけると効果的です。

さて、そろそろ始めていきましょうか。(^^)/


第1問(配点20点)
顧客企業の生産工場の海外移転などの経営環境にあっても、C社の業績は維持されてきた。その理由を述べよ。
【出題の趣旨】
C社のこれまでの事業や立地環境の推移を把握し、顧客生産工場の海外移転などの経営環境にあっても業績が維持されてきた理由を説明する能力を問う問題である。

設問は「C社の業績が維持されてきた理由」を述べよ、とありますので、「理由は①~、②~である。」というフレームでわかりやすい解答を目指したいですね。
また、出題の趣旨には「これまでの事業や立地環境の推移を把握し」とありますので、「事業の推移」「立地環境の推移」の視点からの分析が求められています。 文字数も80字ですので、2つの解答要素から構成したいところです。
まずは10代目最高得点のぐっちです。

ぐっち(72点):
理由は、①金型設計・制作部門を持ち、資格取得者の養成とOJTによるスキルアップで技術力を強化、②工業団地組合のリーダー的存在として技術交流や共同開発を実施したため。

①技術力強化に加えて②工業団地の活用にまで触れられています。ただ、残念なのは「金型設計・製作から成型加工までの一貫体制」について触れられていないことです。ここにも触れている第1問のベストアンサーがこちら。

かわとも(49点):
理由は①金型設計・製作・成型加工の一貫体制と高い加工技術力、高度な成型技術を活用し、顧客企業のコスト削減を実現し②工場団地の中小企業と助け合ってきたため。

総得点はちょっと心配な点数ながらも、第1問は抜群の編集能力で必要な要素を網羅しています。

先日行いました勉強会では、多年度受験生のお二人が「第1問ではC社の強味を聞かれ、第5問でC社の強味を活かした成長戦略について聞かれますので、第1問は解答要素だけを書き出したところで止めておき(解答用紙には記入せず)、第5問を終えてから(第5問との整合性を踏まえたうえで)第1問を解答するようにしています。」と言っていました。

なるほど、鋭いですね。勉強会の場でも共有しましたが、素晴らしい方法だと思いますので、こちらでも共有させていただきます。
確かに2つの解答要素を期待されている設問で、片方しか解答できないと半分を超える点は取れませんので、第1問で点数を伸ばす良い方法だと思います。

第2問(配点20点)
C社の成形加工課の成形加工にかかわる作業内容を分析し、作業方法に関する問題点とその改善策を述べよ。
【出題の趣旨】
C社成形加工作業者の一日の作業内容を分析し、作業方法に関する問題点を把握し、その問題を解決する能力を問う問題である。

第2問はマンマシンチャートの読み取りから解答させる問題です。この絵を見た瞬間、「わざわざ拡大してあるのだからこの中(段取り作業)にひとつ解答要素があるな」と思いましたし、120文字なので「拡大していない部分にも問題があるな。問題で30文字×2、改善策で30文字×2だな」と思いました。

さて、10代目のベストアンサーはこの方。

どいこう(53点):
①昼休みに2機とも待ちとなり非効率である。成形機2を先に稼働すれば午前中に2回目の加工を開始できる。② 段取り作業が非効率である。機械稼働中に次の製品の金型と材料を準備しておけば段取り作業を短縮できる。

難しい言葉は使っていませんが、「段取り時間の長さ→外段取化」「昼休みの不稼働→成型機の作業順の変更」という問題点を見事に指摘し、その改善策もビンゴです。素晴らしいですね。

第3問(配点20点)
C社の生産計画策定方法と製品在庫数量の推移を分析して、C社の生産計画上の問題点とその改善策を述べよ。
【出題の趣旨】
C社の生産計画策定方法と製品在庫量の推移を分析し、生産計画上の問題点を把握し、その問題を解決する能力を問う問題である。

第3問は在庫管理からの出題です。「生産計画策定方法(与件文9段落)と製品在庫数量の推移(図1)を分析して」、「生産計画上の問題点」を指摘します。第3問も120文字ですので、問題が2つ、改善策が2つになると思います。

なおさん(69点):
問題点は①生産間隔がバラバラで在庫があるのに生産し最大在庫量が多いこと②ロットサイズが5日分と大きいことである。改善策は①ロットサイズに合わせて生産間隔を一定にし最大在庫量を一定にすること②ロットサイズを小さくし在庫量を削減することである。

課題は「ロットサイズが大きいこと」(与件文に記載あり)と「生産間隔が定まっていないこと」(在庫数推移のグラフから読み取り)の2点だと思います。日本語はこなれていませんが、この課題2点に言及できていた解答は私だけでした。

ロットサイズを小さく:いよっち、ぐっち、かわとも、makino
生産サイクル:どいこう

わざわざ提示してあるグラフから課題(生産サイクルを整える)を読み取れたのは私とどいこうだけでしたね。例年よくあるパターンの「生産計画の短期化」に言及した人も3名いましたが、生産計画周期を短くしても「ロットサイズに合わせた生産サイクル」にしないと問題は解決しませんので「生産計画の短期化」は誤りだと思います。(補足:生産計画は週次のまま、ロットサイズは3,000のままでも5日置きに生産すれば最大在庫量は押さえられます)

勉強会の場では、「グラフには縦軸と横軸がありますよね。グラフ全体を見るのではなく、縦軸側で問題点はないか、横軸側で問題点はないか、という風に異なる二つの視点で見てみてください。横軸側の視点で見れば生産間隔が4日、7日、4日とバラバラになっていますので“生産計画時にあんまり考えてないな”ということが見えてくると思います。」とお話させていただきました。「グラフは縦軸、横軸で別々に検討する」は使えそうな気がします。

第4問(配点20点)
C社が検討している生産管理のコンピュータ化を進めるために、事前に整備しておくべき内容を述べよ。
【出題の趣旨】
C社の生産職場の状況を把握し、生産管理のコンピュータ化を進めるために必要な事前整備内容について、助言する能力を問う問題である。

設問は「事前に整備しておく内容を述べよ」とありますので、生産管理のコンピュータ化の前に行っておくべき課題を与件文から探します。14段落に「現在、生産管理のコンピュータ化を進めようとしているが、生産現場で効率的に運用するためには、成形加工課の作業者が効率よく金型、材料などを使用できるようにする必要があり、そのためにデータベース化などの社内標準を検討中である」とありますので、目的である「成形加工課の作業者が効率よく金型、材料などを使用できる」為の施策を提案する必要があります。こちらも「効率よく金型を使用」「効率よく材料を使用」の2つの要素から構成します。

なおさん(69 点):
成型加工課の作業者が効率よく金型・材料を使用できるように事前に①顧客支給品も含め全ての金型に社内統一した識別コードを付け置き場も定めること②仕入先に材料倉庫内の納入位置を指定すること。以上の情報を社内標準としてDBで一元化・共有化すること。

ぐっち(72 点):
事前の準備は、作業者が効率よく金型・材料を使用できるように、①金型の置き場を整理し統一した識別コードを付け、②材料の納品位置を固定し、③DB 化で情報を一元管理し、④従業員がリアルタイムで情報共有できるようにし て、生産管理に活用可能とする。

10代目のベストアンサーです。
二人とも「金型に統一した識別コード」「材料の納品位置を指定」と与件文の問題点を課題に転換し、鉄板のクロージングワードである「DB化」「共有化」で結んでいます。

いよっち(56点):
C社は①顧客支給を含む金型の社内統一した識別コード②設計情報や製品図面のライブラリ化③作業者の標準作業時間の測定④標準化・マニュアル化した段取り替えの作業方法、等を事前に整備し、生産計画・生産統制のコンピュータ化を進める。

モリモリ君のいよっちです。①で「統一識別コード」に触れられていますが、②、③、④は「成形加工課の作業者の効率」にはあまり関係ありませんので、加点はないかと思います。また「材料探し」の課題には触れられていません。

makino(40点):
整備すべき内容は①金型に社内統一コードを付与する事②金型の置き場を見える化する事③材料の納品情報と置き場の管理④段取り替え作業の所要時間とスケジュール⑤段取り替え作業のスケジュール。以上を準備する事で、コンピュータ化による効率的な運用を行う。

makinoもモリモリ君でした。①、②、③は問題ありませんが、④、⑤は段取り替えが気になっちゃったみたいですね。(^^;
あ、でもそこそこ点は入っていると思います。

第5問(配点20点)
わが国中小製造業の経営が厳しさを増す中で、C社が立地環境や経営資源を生かして付加価値を高めるための今後の戦略について、中小企業診断士として助言せよ。
【出題の趣旨】
C社の経営環境と事業内容の現状を把握し、立地環境や経営資源を生かして付加価値を高めるための今後の戦略について、助言する能力を問う問題である。

設問要求は「今後の戦略について助言せよ」です。「立地環境や経営資源を生かして付加価値を高めるための戦略」を問われていますので、「立地環境を生かした高付加価値戦略」、「経営資源を生かした高付加価値戦略」の2つの側面から回答を構成する必要があります。
最初に目につくのは8段落にある「インサート成形技術」でしょう。インサート成形技術は、まだ「古くから取引のある顧客企業の1社からの受注に成功」した段階ですが、「顧客企業の工程数の短縮や納期の短縮、そしてコスト削減も図られる」技術ですので、高付加価値での受注が可能であり、今後さらに多くの企業への導入が見込まれます。こちらはC社の経営資源(技術資産)に関する戦略になります。
次に立地環境ですが、C社が立地する工業団地は、3段落目に「金属プレス加工、プラスチック加工、コネクター加工、プリント基板製作などの電気・電子部品に関連する中小企業が多く立地」していますし、6段落目には、大手企業の海外進出に伴う経営難に遭遇した際には「工業団地組合が中心となり、技術交流会の定期開催、共同受注や共同開発の実施などお互いに助け合い、経営難を乗り越えてきた」とありますので、この工業団地組合活動は今後も引き続き高付加価値化戦略に活かしていけると思われます。

ぐっち(72点):
今後の戦略は、①工業団地組合のリーダー的存在として技術交流や共同開発・受注を推進、②インサート成形の技術で顧客企業の納期短縮・コスト削減を訴求し、③生産管理のコンピュータ化でJIT化し短納期化・小ロット化の顧客要望に対応し、高付加価値化・販路開拓。

10代目のベストアンサーは、ぐっちです。「インサート成形」と「工業団地の立地」に加えて、第4問の「コンピューター化」まで要素にしています。いやぁ、さすがにそこまでは気が付かなかったな。(^^;
ぐっちの前ではややかすんでしまいますが、「インサート成形」と「工業団地の立地」を丁寧に解答に盛り込んだお二人がこちら。

なおさん(69点):
今後は①顧客企業の工程数削減や納期短縮、コスト削減を実現する高度なインサート成型技術で金属加工品を成型加工で組み込んで納品する②電気・電子部品に関連する企業が多い工業団地の立地を活かし、団地内で部品をユニット化することで付加価値を高める。(119 文字)

いよっち(56点):
C社は①インサート成形等の高度な成形技術や一貫体制等の経営資源②工業団地組合での共同開発等の立地環境を活かし、他社の金属加工品を組み合わせて提供し、顧客の工程数や納期の短縮により付加価値を高める戦略をとる。

受験生のみなさんは、こちらの二人の解答を目指しましょうね。あ、あとmakinoも2つの要素を盛り込んでいました。


いかがでしたでしょうか。

いよいよ季節は決戦の10月になってきます。まだまだ実力は伸びますので、残り3週間悔いのない時間を過ごしてください。
「勉強面積(時間×質)」を意識してくださいね。

以上、なおさんでした。(^^)/

 

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10代目高得点解答にみる2次試験合格のポイント!:平成30年度事例Ⅲ”へ2件のコメント

  1. トリックスター より:

    直前期に再度問題解いてから読もうと思っていた本シリーズを完読させていただきました。ふぞろいで拝読したメンバーの方の回答も、他のメンバーの方の回答と設問毎に比較すると、苦悩の状況が見てとれたり、より一層秀逸さが際立っているのがわかったりで、80分間の臨場感を感じることができました。やはりキーワードモリモリのみでは得点につながりにくい点も確認できました。なおさんの解説もわかりやすく、とても為になる企画だと思います。

    1. なおさん より:

      トリックスターさん、コメントありがとうございます。また、お褒めいただき嬉しく思います。

      「モリモリ君」は、有効な手法のひとつですが、「題意や制約条件に従うこと」「論理的に辻褄が合っていること」が大前提なんですよね。

      マス目を埋めることよりは、多少余らせてもピントの合った解答を書くことの方が重要だと思います。

      実際の診断でも教科書に書いてあることを並べ立てる診断士と、相手先に必要なこと、出来ることを吟味して伝える診断士とどちらが信頼されるかは明白ですよね。で、社長さんに「他にはありませんか」と言われたら、「少し時間をください。考えてみます。」と答える、と。

      あくまで試験テクニックに走ることなく、診断士として在りたいものだと思います。

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