平成29年度1次試験 経営情報システムを振り返る

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みなさん、おはようございます。なおさんです。

本日は「平成29年度1次試験 経営情報システムを振り返る」と題しまして、私が科目合格した平成29年度の経営情報システムの試験をおさらいしてみます。
平成29年度は、科目受験者数13,725名、科目合格者数3,646名、科目合格率26.6%でした。平成30年度が22.9%(2,628/11,498)、平成28年度が8.5%(1,143/13,385)でしたので「大幅な難化の後の揺り戻しの年だった」という感じでしたね。(ラッキーでした。(^^)/ )

私の平成29年度試験の結果は「76点」でした。配点は各4点でしたので、「6問間違えた」ことになります。本日は、私が間違えた6問を振り返りつつ、読者のみなさんには「他山の石」としていただければと思います。
(この切り口、運営管理でもやりましたけど、「他山の石」シリーズとして使えそうですね。今更ですけど。)

それでは、なおさんの「他山の石」シリーズ、いってみましょう!


第5問
オペレーティングシステム(OS)は、制御プログラム、言語プロセッサおよびユーティリティ(サービスプログラムとも呼ばれる)で構成される。OSの基本機能に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア.言語プロセッサには、コンパイラ、インタプリタなどがある。コンパイラは、高水準言語で記述されたプログラムを機械語のオブジェクトプログラムに変換する言語プロセッサである。

イ.タスク管理とジョブ管理は、制御プログラムの基本機能である。タスク管理は、プログラムの実行単位を1つのタスクとして、その処理順序を監視・制御することであり、ジョブ管理は、タスクを細分化したジョブにCPUや主記憶などの資源をいかに割り付けるかを管理することである。

ウ.デバイスドライバは、入出力装置などを操作・管理するプログラムであり、制御プログラムの中に組み込まれている。従って、新しいデバイスドライバが必要になった場合、OSの再インストールが必要となる。

エ.ユーティリティは、制御プログラムおよび言語プロセッサを代替する機能を持ち、これによってOSは安定して稼働できるようになる。

オペレーティングシステム(OS)の基本機能に関する問題です。OSは、入出力機能やメモリ管理などの基本的な機能を提供し、アプリケーションソフトウエアを動かすための土台となるソフトウェアです。Windows、MacOS、iOS、Androidがこれに当たります。OSには、制御プログラム(いわゆるシステムプログラム)、言語プロセッサ、サービスプログラム(ユーティリティ)が含まれています。それでは選択肢を順に見てみましょう。

選択肢ア:
言語プロセッサは、低水準言語や高水準言語で記述されたプログラムを機械語に変換(翻訳)するソフトウェアです。言語プロセッサには、ソースプログラムを一括で変換するコンパイラと1行ずつ変換するインタプリタがあります。記述は問題なさそうです。

選択肢イ:
タスク管理とジョブ管理は、OSの主な機能の一つです。ジョブとは、コンピュータに渡す仕事の単位で、ユーザーから見た仕事の単位とも言えます。タスクは、コンピュータ内部での仕事の単位にまでジョブが細分化されたものをいいます。ジョブ=タスク①+タスク②+、、、という関係ですね。選択肢では、ジョブとタスクの記述が入れ替わっていますので、この選択肢は誤りです。

選択肢ウ:
前半の文は問題ありません。デバイスドライバは入出力装置などを操作・管理するプログラムで、マウスドライバ、ディスプレイドライバ、プリンタドライバなどが該当します。しかし、後半の「新しいデバイスドライバが必要になった場合、OSの再インストールが必要となる」は間違いですね。通常、新しいデバイスドライバを追加インストールするだけで使用できるようになります。また、Windowsではあらかじめ多くのデバイスドライバがプリインストールされており、マウスやディスプレイなどは、デバイスドライバの追加インストール無しで接続するだけで使えるものも多いですね。

選択肢エ:
ユーティリティは、OSの機能を補うために用意されている追加機能の様なソフトウェアで、ファイル圧縮ソフトやバックアップソフトが該当します。Windowsの場合は、ペイントやメモ帳もこのジャンルに入るかもしれません。したがって「制御プログラムおよび言語プロセッサを代替する」モノでもありませんし、「OSの安定稼働」とも完成ありませんので、この選択肢は誤りです。

以上より、正解の選択肢は「ア」となります。
BASIC(インタプリタ)やC言語(コンパイラ)を別途お金を出して買っていた経験がある私には、これらは「プログラム開発アプリケーション」という印象が強く、「ア」を正解として選択することができませんでした。当時はWindowsもない時代(MS-DOSというOSがあったことを知っていますか?)でしたので、古すぎる記憶は危険かもしれませんね。

第6問
業務処理には表計算ソフトウェアがよく利用されるが、プログラムを作成することによって、より効率的に業務を遂行できる場合がある。プログラム作成において変数を利用する際、データ型の定義が行われる。このデータ型の定義の仕方により、演算速度や演算誤差に影響を及ぼすことがある。このデータ型定義に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア.小数点付きデータについて、適切なデータ型を定義することによって、演算誤差を取り除くことができる。

イ.数値を格納する変数のデータ型を定義すれば、2進数による内部表現が区別され、演算の精度や速度にも影響が出る。

ウ.データ型を定義した変数を配列宣言して利用する場合、そのデータの格納領域は外部記憶装置に確保される。

エ.変数のデータ型を定義すれば、データ型ごとに変数名索引リストが作成されるので、演算速度の向上に役立つ。

プログラム作成時のデータ型に関する問題です。早速、選択肢を確認していきます。

選択肢ア:
小数点付きデータ同士の計算では、定義したデータ型(有効数字)を超える計算結果になることが良くあります。例えば、「***.*」と小数点以下第1位までの定義に対して、「10.0÷3.0」という計算を行った場合の「=3.3333333…」という結果がそうですね。この場合、計算結果は定義したデータ型(有効数字)に丸め込まれ「=3.3」となりますので、差分の「0.033333…」が誤差になります。したがって設問文にある「演算誤差を取り除く」ことはできませんので、この選択肢は誤りです。

選択肢イ:
ソフトウェアの画面上では10進数での表示や計算を行っている場合でも、コンピューターは「2進数(機械語)」しか理解できませんので、実際の計算は2進数で行われています。プログラムで変数のデータ型を定義すれば、2進数に変換する際のルールも変わりますので、演算の精度や速度にも影響を与えることになります。この選択肢の記述は問題ないように思います。

選択肢ウ:
変数を配列宣言するということは、メモリ上の連続した領域にずらりとデータを並べて管理するということです。ただし、配列を利用することと「データの格納領域が外部記憶装置に確保される」こととは何の関係もありませんので、この選択肢も誤りとなります。

選択肢エ:
変数のデータ型を定義しただけでは、変数名索引リストは作成されませんので、この選択肢は誤りです。

以上より、正解の選択肢は「イ」となります。しかし、この問題は選択肢のいずれの記述も難解な表現になっていますね。この問題は正解できなくても気にしなくて良いと思います。

第9問
業務処理のためには、多くの場合、データベース(DB)が利用される。DBをネットワーク環境下で利用する場合、さまざまな端末からトランザクション処理要求を受け付けるため、多くの負荷が集中することもある。このような状態の中でのDBの効率的な運用や障害対策などのための仕組みが用意されている。そのような仕組みに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア.DB運用中に表のデータ項目の追加・削除や新たな表追加が必要となり、DBの論理構造の再構築を行う場合は、SQL文のREBUILD命令において必要なパラメータを指示して実行する。

イ.DBの更新処理を行う場合は、ロックと呼ばれる排他制御が行われる。このロックをかける範囲をロック粒度と呼び、ロック粒度が大きいと排他制御のための処理のオーバヘッドが大きくなる。

ウ.DBの障害回復には、バックアップファイルを利用するロールフォワードとデータ更新状況を記録したものを利用するロールバックの仕組みがある。

エ.クライアント端末からWebサーバを経由してDBサーバに対して更新作業を行う際、まずDBサーバに対して更新作業が可能かどうかを問い合わせることを2相のコミットメントと呼ぶ。

選択肢ア:
REBUILD命令は、断片化したインデックスの再構築を行うためのコマンドです。表の論理構造の再構築を行うためのコマンドではありませんので、この選択肢は誤りです。

選択肢イ:
1回のロックでロックを掛ける範囲をロックの粒度(りゅうど)と呼び、具体的には、表単位、行単位という粒度があります。粒度が大きい(粗い)場合には、ロック回数が少なく、CPU負荷が少ないため一度に多くのデータを更新する場合に向きますので、選択肢イは誤りです。

選択肢ウ:
DBの障害回復方法には、①データベース更新前の状態を更新前ジャーナルから取得して、データベースをトランザクション開始直前の状態まで戻す「ロールバック」処理と、②定期的に保存してあるバックアップファイルで復元したのちに、バックアップ以降の更新後ジャーナルから更新情報を取得して、データベースを障害発生の直前の状態にまで復旧させる「ロールフォワード」という方法があります。選択肢の記載は問題なさそうですね。

選択肢エ:
物理的に分かれている複数のデータベースを、見かけ上ひとつのデータベースとして扱えるようにしたシステムを分散データベースシステムと呼びます。この様な分散データベースシステムでは、各サイトごとにトランザクション処理が行われているために、全体の同期をとらないとデータの整合性がとれなくなる恐れがあります。そのため、全サイトに対して「コミットできる?」という問い合わせを行い、その結果をみてコミット(もしくはコールバックを指示)することを「2相コミット」といいます。選択肢エでは、「全サイト」が「DBサーバ」となっていますので誤りですね。

以上より、正解の選択肢は「ウ」となります。こちらもSQLの詳しい知識(応用情報技術者試験レベル)が要求されていますので、できなくても気にしないようにしましょう。

第14問
ITの進化に伴い、大量かつ多様なデジタルデータを高速で処理し、分析結果を企業経営に生かせるようになってきた。そこには、日々の業務で発生するトランザクションデータ、eメールや交流サイトでやりとりされるWeb上のデータ、デジタル機器から発信されるIoT関連データなどが含まれる。これらのデジタルデータの処理に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア.センサーの小型化と低価格化が IoT の普及を促進している。センサーには、地磁気を測定するジャイロセンサー、加速度を測定する電子コンパスなどさまざまなものがあり、それらを組み合わせた新しいサービスが実現化されている

イ.大容量のデータ処理を高速化するため、ハードディスクの読み書きを避けてメモリ上で処理を完結する技術がある。これをストリームデータ処理という。

ウ.データベースに保管された大容量のデータを処理するために、サーバを増設して負荷を分散化させる方法を複合イベント処理という。

エ.日本語テキストの分析では、意味を持つ最小の言語単位にテキストを分け、品詞を判別することが必要になる。テキストのデータ分析に先立つこのような事前処理を形態素解析という。

デジタルデータの処理に関する問題です。早速、選択肢を見てみましょう。

選択肢ア:
前半の文章は問題ありません。後半はいろいろ無茶苦茶な記載になっていますので、多くの方が選択肢から除外できたと思います。「地磁気を測定する」センサーは、地磁気センサー、別名電子コンパスと言います。「ジャイロセンサー」とは傾きと速度から位置を割り出すセンサーです。以前は「地球ゴマ」のようなコマの回転の傾きから位置関係を計測する「回転式ジャイロセンサー」が主力でしたが、最近では地球の自転のコリオリ力を利用した「振動型ジャイロセンサー」が一般的で、カメラの手振れ補正装置やスマートフォンにも搭載され、歩く、走るなどの活動を計測するアプリに利用されています。加速度センサーは、文字通り物体の加速度(速度の変化)を検出するもので、自動車のエアバッグが衝撃を検知して作動するのも加速度センターの働きによるものです。

選択肢イ:
ストリームデータ処理は、ハードディスク上に保管されたデータではなく、SNSでの投稿やセンサーからの情報などをリアルタイムで処理する(不要なデータは保管せずにリアルタイムに破棄する)というものです。即応性が必要で、保存するには膨大で、仮に保存してもすぐに陳腐化してしまうデータに対して行われる処理ですね。ということで、選択肢イの記述は誤りです。

選択肢ウ:
複合イベント処理は、複数の情報からのデータを組み合わせ、示唆やパターンを得ようとするイベント処理です。単一イベントからは読み取れないパターンも、複数の情報(影響)を組み合わせることで特定のパターンを浮き彫りにすることを目的としています。前半の記述は、スケールアウトとロードバランサですかね。いずれにせよ、この選択肢は誤りです。

選択肢エ:
形態素解析とは、自然言語で書かれた文を言語上の最小単位である形態素に分け、それぞれの変化を割り出す分析法です。キーワードによる全文検索や日本語認識、テキストマイニングなどで使われる技術です。

以上より、正解の選択肢は「エ」となります。テキストに記載された情報だけでなく、日頃ニュース等で話題になる技術や用語にも興味を持つことが要求されていますね。

第18問
ソフトウェア開発の見積もり手法には、大きく分けて、類推法、パラメトリック法、ボトムアップ法がある。それらの手法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア.LOC法は、プログラムのステップ数に基づいて見積もりを行う手法であり、パラメトリック法に分類される。

イ.ファンクションポイントは、どの見積もり手法でも必要となる重要データである。

ウ.ボトムアップ法は、要件定義の段階で見積もる手法であり、以降の段階ではより詳細なパラメトリック法が用いられる。

エ.類推法は、過去の類似システムと比較して見積もる手法で、標準タスク法などがこれに該当する。

選択肢ア:
LOC(Line of Code)法は、プログラムの行数で開発規模を見積もる方法ですので、係数見積もり(Parametric estimating)に該当します。この記述は問題ないように思います。

選択肢イ:
ファンクションポイント法は、ソフトウェアが持つ機能(ファンクション)の数に基づいてシステムの開発規模を見積もる方法です。当然、類推法(過去の類似プロジェクトの実績から類推)ではファンクション数は加味しませんので、この選択肢は誤りです。

選択肢ウ:
ボトムアップ法は、WBS(Work Breakdown Structure)によってブレイクダウンされたタスク単位での見積もりを積み上げて合算したものです。各タスクが適切に細分化されたものになっていれば、最も信頼性の高い見積もり技法です。

選択肢エ:
前半の記述は問題ありません。一方、標準タスク法は、プロジェクト全体を細かな作業工程に分解したうえで、それぞれの作業工程の標準作業量を合算して全体の工数を推定していく方式になりますのでボトムアップ型の一種ですね。この選択肢は間違いですね。

以上より、正解の選択肢は「ア」になります。

第25問
アンケート調査では、どのようなデータを収集するか、あるいはどのような測定尺度を用いるかを定める必要がある。それらに関する以下の文章の空欄A~Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a.[A]で 測定されたデータは、身長や体重などのように値0が絶対的な意味を持つ。

b.[B]で測定されたデータは、値の大小関係と差の大きさに意味があり、値0は相対的な意味しか持たない。

c.特定の年あるいは期間に生まれた人の集団を[C]といい、人口の推移を分析する場合などに用いられる。

d.同一標本に対し継続的に繰り返し調査を行う場合、調査対象となった集団を[D]という。

解答群
ア.A:間隔尺度 B:比(比例)尺度 C:コーホート(cohort) D:パネル(panel)
イ.A:間隔尺度 B:比(比例)尺度 C:パネル(panel) D:コーホート(cohort)
ウ.A:比(比例)尺度 B:間隔尺度 C:コーホート(cohort) D:パネル(panel)
エ.A:比(比例)尺度 B:間隔尺度 C:パネル(panel) D:コーホート(cohort)

統計解析の問題ですが、出題されているキーワードの説明がテキストにありません。これは仕方ないですね。最後の「パネル」だけは知っていましたので、2択までは絞り込めたのですが、、、
さて解説です。

間隔尺度とは、数値の差が意味を持つ尺度(たとえば℃で表した温度)をいい、比例尺度とは絶対原点を持つ間隔尺度をいいます。したがって空欄[A]には「比例尺度」が、空欄[B]には「間隔尺度」が入ります。

コーホートとは、統計上の概念で「ある一定期間内に生まれた人の集団」を差し、人口統計などに用いられます。

同じ調査対象に対して、一定期間をおいて同じ質問を繰り返し行う調査方法をパネル調査といいます。これは時間的な変化によって、結果がどのように変化するかをみるための調査方法です。この調査対象に選ばれた人などのことをパネルといいます。


さて、いかがだったでしょうか。

久しぶりに経営情報システムを振り返ってみましたが、経営情報システムは得意な方とそうでない方の差が開く科目だなぁと思いました。
もちろんD問題、E問題についてはこだわっていても仕方ないんですが、応用情報技術者試験あたりから引用してくればいくらでも難問が作れそうな感じ、、、
ただ、情報システムがあまり得意ではない方でも、ABC問題を確実にマスターすることで十分合格点は超えていけると思いますのでご安心ください。
要するに「難問や細部にこだわらない」ことが効率的に勉強を進めるコツかもしれませんね。
以上、なおさんでした。

 

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