企業内の診断士の存在意義とは何か
ご無沙汰しております
butaoです
皆様口述試験お疲れ様でした
さっそくですが、口述試験経験者の皆様のほとんどが診断士資格を取得するわけですが、取得された資格の活用方法についてはお考えはありますでしょうか?
合格直後の私はハッキリ言ってあまりイメージつかないという状態でした
また、診断士の資格取得目的について尋ねた複数のアンケート結果では、”自己啓発のため”という理由が上位に来ていたことを記憶しています
私の主観と、アンケート結果をあわせると、
自己啓発のために資格を取得したが、
企業内でどのように資格を活かすのかはあまり明確ではない、
という方が実は多いのかな、と私は考えました。
そこで今回の記事では
診断士の資格を社内で活かすにはどのような方法があるのか?
ということについて整理してみたいと思います
そこで最初に考えてみましょう
診断士の資格取得を通じて得られた武器とは何でしょうか。思いつくだけ洗い出してみてください。
私は以下のものを洗い出しました
武器1)経営知識
・経営に関する幅広く体系化された知識
武器2)人脈
・受験を通じてできた人脈
武器3)受験ノウハウ
・資格取得までに培ったノウハウ
武器4)信用力
・国家資格取得者である信用力
武器5)国家資格
・国家資格そのもの
武器6)診断プロセス理解
・実務補習などを通じて企業診断プロセスを把握していること
これらの得られた武器と、ご自身が診断士以外でお持ちである武器を混ぜあわせることで、診断士資格の取得者が社内でどのような価値を提供できるのか見てみましょう
■機能1:自身の担当業務の品質向上
これは最もスタンダードな活用方法でしょう。
主に、”武器1)経営知識”、”武器6)診断プロセス理解”を活用します。
NEC診断士の会が出版している書籍には、
経営目線で自身の業務を見つめ直せるようになった。
という事例が掲載されています。
具体的には、従事している通信機器事業に対して、診断士の学習を通じてプラットフォームビジネスの視点を活用できることに気付いたそうです。
そこで、通信機器の導入コストを下げ、アフターサービス付属品で収益を上げる、というビジネスモデルに転換し、収益向上に貢献したそうです。
こういった、事業戦略の目線で自身の業務を捉えられるようになる点は、診断士資格取得者ならではの提供価値ではないでしょうか。
■機能2:経営層への提言機能
経営層のニーズとして、日々の経営判断においては現場の経営に対する意見を収集したい、というものがあると思います。
しかし、1社員が経営層に対して現場視点で、経営提言を行う機会は無いでしょう。
また経営企画部は、現場業務に従事していないこともあり、最新の現場事情を把握していないことがありえます。
そこで、診断士資格を活かすことが出来ます。
具体的には、武器1)経営知識、武器2)人脈、武器4)信用力、を活用します。
まず”武器2)人脈”を使用することには3点の価値があります。
1点目として、経営層へのアクセスが容易になります。具体的には、経営層への提言実施の希望を人づてに行えます。
事実、NEC診断士の会が出版している書籍には、
- 人脈が形成されたことで経営企画部の知人ができた。
- その知人にお願いすることで経営層に現場から満た経営提言を実施できた。
という事例が掲載されています。
2点目として、個人の視点に偏りがちな現場の意見を、総意としてまとめることが出来ます。
これにより、より客観的な現場の意見を経営層に伝えることが可能になるでしょう。
1人では出来ないし、現場から離れている経営企画には提供しづらい価値でしょう。
3点目として、社内外の連携機能です。
経営層のニーズとして社外の知見をうまく社内に取り込みたい、
というものがあるかと思います。
診断士視覚を通じて形成した人脈を活用することで、社外の有識者と関係を構築し、自社にとって有益な視点を得ることが出来ます。
事実、NEC診断士の会が出版している書籍には、
- 人脈が形成されたことでNEC退職後の起業家の方にアクセスすることが出来た。
- 社外から満たNECの社内ベンチャー制度の効果や課題についてヒアリングできた。
- その視点を経営層への提言に盛り込めた。
という事例が掲載されています。
次に、提言の質ですが、それは”武器1)経営知識”により担保されるでしょう。
また経営層からすると、”武器4)信用力”があるため、話を聞く時間を確保する価値がある活動であると判断されやすくなります。
以上の理由から、社内診断士の会を形成し、現場からの経営層への提言を行う組織であるという存在意義を、打ち出すことが可能ではないでしょうか。
■機能3:社内研修機能
”武器1)経営知識”、”武器3)受験ノウハウ”、”武器5)国家資格”を活用します。
これらの武器を活かして、自社内の社員の研修を行います。
社外研修講師との差別化ポイントですが、分かりやすい点から挙げると、
1)コスト削減効果が挙げられます。研修は内製化したほうが安く上がります。
2)自社の事例を引き合いに出した指導が可能です。
・現場で使用できる応用的な研修を展開することが可能となります。
3)また発展的ではありますが、そこで培ったスキルを活かして外部企業へ販売できる可能性もあります。
上記理由により、社内研修講師という存在を確立させることが可能ではないでしょうか。
■機能4:事業マネジメント機能
”武器1)経営知識”、”武器5)国家資格”、”武器6)診断プロセス理解”が使用できます。
一概には言えませんが、”武器1)経営知識”により、自身が対応できる業務範囲が広がります。
また異なる分野のメンバーが集ったプロジェクトを進める際の、ハブ機能を担う可能性が高くなります。
また”武器6)診断プロセス理解”により、グループワークの調整力が向上しているため、チームリーダーを任せられやすくなります。
NEC診断士の会が出版している書籍には、
- 診断士学習を通じて、社内のプロジェクトの公募への応募がしやすくなった。
- それは、自身の経営知識が身についたことにより申し込みに必要な内容を提出できると思えたから。
- 社内プロジェクトでは、専門性の高いメンバーが集まっているなかでチームリーダーを任された
- 調整・ファシリテートでは診断士の経験が活きた
という事例が掲載されています。
この事例では、知識が増えたことによりプロジェクトにアサイン可能な領域が広がったこと、
そして、診断士試験で培った調整能力が生きていることがわかります。
次に”武器5)国家資格”ですが、これは企業外活動に活かすことが出来ます。
若手の場合、自身の事業マネジメント力を構築するにあたって以下の様な悩みを抱えることがあります。
・社内には若手でもマネジメント出来る事業がない
・社内では事業をマネジメント出来る部署に配属されていない
・社内ではリスクが高すぎて事業マネジメントの希望を申し出ることは出来ない
そういった若手の方でも社外での経営コンサルティングの経験を積むことにより、
本業における事業マネジメント能力を向上させることが出来ると思います。
その理由は2点あります。
1点目は、診断士だからこそ可能となる実務補習、実務従事の存在です。
特に実務従事は無償での経営診断も可能です。
会社に飛び込む勇気さえ持てば、自身の考えで企業規模、業界、課題なども選択できます。
言い方は悪いですが、そこで小さな成功体験を積み重ねることで、
本業における事業マネジメントを遂行する力を徐々に身につけるという方法がありえます。
2点目は、共に社外活動(実務補習など)を行うメンバーが診断士であることです。
診断士とは経営に関する一定の知識と経験を有した人材のプールです。
したがって、一定の人材の質は担保されています。
また年齢層としても30代、40代の方も多く、若手にとっては多くのことを学ぶチャンスです。
こういった環境はなかなかないので、”事業マネジメント機能”を育むにあたっては、
他者に対して非常に有利な環境に置かれていると考えてよいでしょう。
したがって、診断士が様々な専門家をまとめて社内プロジェクトを推進する事業マネジメント機能を担うという方向性はあると思います。
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以上、診断士が社内で担える4つの機能について自身の考えを説明しました
本日の記事は以上となります
今回の記事が、企業内診断士の方にとっては会社での自身の存在意義を確率するための参考になれば、幸甚の極みです
私自身も会社で存在価値を構築するために、診断士資格のうまい活用法を検討中です。
ぜひ皆様のアイデアなどお聞かせください
年内の私の記事は今回で終了となります
私も本日で仕事納めですので明日から田舎に帰ります
みなさまよいお年を
最後に、本日の記事を書くために参考にした書籍を以下に掲載しておきます。
[1] フレッシュ中小企業診断士の合格・開業体験記、同友館、2013年
[2] 企業内診断士の可能性、同友館、2012年
以上、butaoでした
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下記は合格体験記の募集要項です!どしどしお待ちしております!
◆募集要項◆
対 象:H26年度2次試験合格者および筆記試験受験者(未合格者) ⇒ 年齢・受験年数・学習スタイル等一切不問 原稿量 :自由。目安として最高2,000字(原稿用紙5枚)程度 特典 : 「一発合格道場」ブログ上で随時公開。 応募方法 : webmaster@rmc-oden.com までメール |
※原稿の著作権は個人上は放棄頂き、当「一発合格道場」に帰すものとします。