【2次試験】考える力を身に付けるとは

こんにちは。

butaoです

みなさま2次試験の勉強は進められておりますでしょうか。
あと1ヶ月と少しで試験ですので、そろそろ勉強の方針も確立している頃でしょうか?
今週末には大原の模試なども控えているようですので、受験される方はがんばってください

道場では2次試験でも求められる力を読む力、考える力、書く力で整理しています

今回は考える力の向上のための方法を考えてみましょう

■考える力って何?

2次試験における考える力を分解した一例を先日の道場セミナーで以下のように紹介しました。

考える力=A)与件文から集めてきた情報から意味を導く力+B)導いた意味を因果で結ぶ力

  • A)与件文から集めてきた情報から意味を導く
    • 読む力によって与件文から情報を集めてきます。その情報をながめて結局何が言えるのかを導きます。
  • B)意味を因果で結ぶ
    • 何が言えるのかA)で導いた後に、それに対する自身の考えを書きます。

よりイメージを鮮明にさせるために、具体的な設問を用いて考えてみましょう

例)平成23年度事例Ⅲ問3-1

【設問内容】Y社からのセントラルキッチン化の要求を満たすために、C社に求められる対応とはなにか?(120文字)

『セントラルキッチン化の要求』を探し、候補を抜き出す(←これは読む力)

【与件文】
1.野菜カット、味付けなど事前加工への対応
2.トレーサビリティのための個体管理
3.前日発注・翌日配送

『C社に求められる対応』とは、事例分に書かれているC社が今できていないことがヒントになる
なぜなら、今できていないからこそ対応する必要があるから。
なので、情報を探す(←これは読む力)

【与件文】
1.野菜カット、味付けなどの加工は行っていない
2.製造ロット管理は行っているが個体管理は行っていない
3.週に2回配送される

字数制限、120文字。1文は大体40文字なので、
上記3つのポイントでそれぞれ対応を述べれば良いのでは(←これは読む力)

2.個体管理を行う対応が必要(←A.与件文から集めてきた情報から意味を導く)

2.個体管理を行うためには
どのような対応が必要だろう?(←B.意味を因果で結ぶ)

2.個体管理とは、個体ごとでない管理と
何が違うのだろう?(←B.意味を因果で結ぶ)

2.個体ごとでない管理:
冷蔵庫でまとめて保存など(←B.意味を因果で結ぶ)

2.個体ごとでない管理の裏返しで言えば、
個体ごとの管理には、まずは
個体を識別できること、
次に、識別できた後に個別に管理すること
などが必要(←B.意味を因果で結ぶ)★

そのためには、在庫管理、品質管理の体制構築が必要(←B.意味を因果で結ぶ)★

次に、3.週に2回配送されるのならその配送頻度を高める必要がある(←A.与件文から集めてきた情報から意味を導く)

3.配送頻度を高めるにはどうすれば良いだろう?(←B.意味を因果で結ぶ)

3.配送の人員を増やし配送体制を強化すればよい(←B.意味を因果で結ぶ)★

******

例は以上です。 考える力のイメージが伝わりましたでしょうか。

上記『↓』で納得のいかない繋がりの部分があると思います。
私でしたら納得の行かないであろうポイントが、★の部分です。

なぜ納得がいかないかというと、他の可能性も十分に考えられるからです。
例えば、個体管理のためには、

  • 個体管理を行う専門の部署を配置すべきでは?
  • Y社からノウ・ハウを得ることが重要では?

などが挙げられます。

しかし、これらは私なら書きません。 なぜなら、採点官の求めていそうな答えでないと思うからです。

では実際にどのようにして、上記『↓』のロジックを考えたのかというと、

採点官の求めていそうな答え(筋の良さそうな答え)を思いついて、 それに後付の理屈をつけて『↓』で繋ぎました。

それはある意味、決めつけでもあります。 仮説構築とも言います

しかし、考えるとは、まずは考える題材を出してからそれを深堀りしていくわけですから、 決めつけ(仮説)は考えるための一歩として必要です。

”決めつけ”と”考える”の関係は以下で整理できると思います

  • 考える=決めつけ(仮説)×深堀する

そう考えた際に上記2要素のうち、診断士試験で求められる水準(重点比率)は、

  • 筋の良い決めつけ(仮説)を多く出すこと (70%)
  • 決めつけ(仮説)の候補からちょっと深く考えること(30%)

という感覚です(個人的主観)。

これは、深く考えられたことは採点のしようがない”試験”という特性からも言えると思います。ここの議論は他に譲ります。

となると深く考えることよりも問題は、

その決めつけ(仮説)の量と質を向上させること。

ではないでしょうか

■決めつけ(仮説)の質と量を向上させるには?

まず、診断士試験に求められる決めつけ(仮説)の質って普段の生活で求められる質に比べて高くないです。

普段の生活の方が深く考えていることが多いのではないかと思います。

なぜなら試験はパターンが決まっているから。筋のいい回答、採点者が求めていそうな内容って実はすごく限られています。

それを身に付けることで、筋の良い回答が頭に浮かぶようになります。

頭に思い浮かぶようになる具体的な方法は後で述べます。

そして量は、問題演習を繰り返すうちに増えます。ただし、そのためにポイントが有ります。

それは、振り返り結果を整理する軸を持つ、ということです

物事は共通の軸で整理できなければ、積み上がりません。

例えば、以下の単語を見て全て覚えられますでしょうか。

1.じゃがいも 2.さとう 3.にんじん 4.卵 5.たまねぎ 6.小麦粉 7.牛肉 8.牛乳

覚えられません。 しかし、以下のように同じ意味でくくるとどうでしょうか。

1.カレーを作りたい(じゃがいも、にんじん、たまねぎ、牛肉)
2.クッキーを作りたい(小麦粉、牛乳、卵、さとう)

覚えやすいと思います。

これは、目的軸で頭の中が自然に整理されているからです。
この目的となる軸を持っていなければ、振り返りをしても振り返り結果を次に繋げることが出来ません。
イメージしにくいですが、カレーの作り方がわからないのに、カレー作りのダメ出しをされても次に活かせないようなものです。
ちなみに、余談ですが1次試験が終わったばかりのストレート生の頭のなかは、以下の様な整理(イメージ)です。

1.個体
1-1.野菜(じゃがいも、にんじん、たまねぎ)
1-2.肉(牛肉)
1-3.調味料(小麦、さとう)
2.液体(卵、牛乳)

では、どのようにしてこの軸を作るのか?そして、筋のいい案が浮かぶようになるにはどうすればいのか?

■パターン認識という勉強方法

質の面、量の面の双方に有効な手段として、陳腐なことですがパターン認識を行うことが挙げられます

まず前提として、事例はすべて以下の流れで進みます。

  • ある企業に何かしら問題が発生したのでそれを解決する
  • 問題はないけど、何かしら取り組みたいことがあるのでそれを実現する

つまり問題を把握して解決することが我々に求められていることです。

だとすれば、与件文を

「結局この企業ってどんな分野でどんな問題を抱えているの?それに対してどんな解決策をうつの?」という視点で見ること

が重要なのではないでしょうか。

皆様、過去問を10年分程度は確認されましたでしょうか。

確認するとわかるのですが、実はよくある話が繰り返されています

また、それらに対する予備校の回答案も実は似たようなものである可能性が高いです。
(※私はMMCの答案しか見ていませんので断言はできませんが。)

ですのでまとめますと、パターン認識とは以下を行うことです。

  1. 与件分と予備校の回答を、分野軸(QCD、設計&生産など)、問題軸、その原因軸、対策軸で整理すること
  2. 整理した問題に対するありそうな打ち手がより多くスラスラ思い浮かぶようにすること

パターン認識のイメージを掴むためにも以下でクイズを出します。

事例Ⅲの過去10年間の過去門をもとに与件でありそうな状況を挙げましたので、 解決策をできるだけ多く提示してください。

【クイズ】   状況:納期遅れの改善方法にはどのような方法が考えられますか?

【答え?のようなもの】

 

・・・

 

製品設計の視点
①CAD/CAMの活用による設計期間の短縮
②製品ごとの工程の共通化による段取替えの回数低減

生産計画の視点
①月次計画の週次・日次化による工程間の負荷の平準化
②月次計画の週次・日次化による在庫量の適正化

生産面の視点
①従業員の多能工化による工程間の負荷の平準化
②ラインバランシングによるリードタイムの短縮
③段取りの外段取り化による段取り時間の短縮
④カムアップなどによる外注先の納期遅れの防止

いかがでしょうか。 いくつ思い浮かびましたか?

これらをより多く思い浮かべることが出来るようになると、設問間で使用したい与件分が重なり始めます。

そうすると、事例全体の一貫性(ストーリー)を意識して、使用する与件分を設問間でバランス出来るようになります。

こうなってくるともう合格は近いのかなという感覚です(これは個人的な感覚ですが)

■butaoの方法(パターン認識の構築法)

私の上記クイズへの対応方法ですが、全知識という書籍を何回転もさせました。

そうすることで、上記クイズに答えられる『決めつけ(仮説)』を増やしました。

事例Ⅲで言うと以下のファイナルペーパーを作成し、会場に持参しました。

上記ファイナルペーパーの説明をしますと書かれている章番号が全知識の章番号に一致してます。

この章番号を見ると、どんな問題があって、どんな解決策があるのかスラスラ言えるように訓練しました。

■まとめ

私からの”考える力を身につける”ための提言は以下です。

1.診断士試験に求められる考える力は、深く考えるというよりも決めつけ(仮説構築)に近い
2.決めつけ(仮説)の質と量を向上させるのは難しくない
3.向上させるには、分野軸、問題軸、原因軸、打ちて軸で情報を整理して因果で記憶を結んでみましょう

以上、butaoでした

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【2次試験】考える力を身に付けるとは”へ6件のコメント

  1. tetu より:

    ありがとうございます。大変、参考になりました。私の場合、手順として設問を先に読むのは定着したので、解答仮説をイメージしつつも、与件文の情報を重視して解答は組み立てるように留意します。残り少ないですが、パターンの蓄積と応用を練習していきます。

  2. butao より:

    >tetu様

    『重要なのは、問題点に対して、その発生原因を類推できること、そして、対応策を類推できること。ということと理解しました。』

    はい。私のお伝えしたかったことはその通りでございます。

    *******

    『この試験は、設問文を読んだときに、設問文から、問題点、発生原因、対応策を、連想し、与件文で確認する試験なんですね。』

    ここは私のお伝えしたかったことと少し相違があります。

    問題点、発生原因、対応策を連想するのは、設問分のみでなく、与件文からも連想します。

    設問分のみ見て問題点、発生原因、対応策を連想できるところまでパターン化すると、逆にパターンに与件分を当てはめすぎて、与件文の解釈が恣意的になる恐れがあります。

    以下は私の手順で恐縮ですが、
    頭の中に鎖のようにつながるパターン情報を持ちつつも、以下の手順で設問を解きました。

    ■STEP1
    与件文をざっと全部読み、パターンを連想する(おおまかな仮設構築)(5分程度)

    ■STEP2
    設問文を読み、与件文をひもづけ仮設構築を進める(15分程度)

    ****この段階で半分程度の回答内容は固まる****

    ■STEP3
    もう一度与件文を読み込み、構築した仮説を深堀りする(使用していない与件文と埋まっていない設問の関係を考える)(15分程度)

    ■STEP4
    書く(45分程度)

  3. tetu より:

    ありがとうございます。理解できました。分野軸はインデックスみたいなものですね。重要なのは、問題点に対して、その発生原因を類推できること、そして、対応策を類推できること。ということと理解しました。早速、過去問で、整理してみます。この試験は、設問文を読んだときに、設問文から、問題点、発生原因、対応策を、連想し、与件文で確認する試験なんですね。どれだけ、知識として、連想できるネタを蓄えて、そして、使えるかが勝負ということですか。

  4. butao より:

    >tetu様

    ”与件文を整理するというのは、どのような整理になるのでしょうか。”ですが、
    大変申し訳ございませんが本記事のどこの部分を指しておられるのか教えていただけますでしょうか。

    ”3.向上させるには、分野軸、問題軸、原因軸、打ちて軸で情報を整理して因果で記憶を結んでみましょう”の部分の、
    ”情報を整理して”の部分という認識で以下回答いたします。

    あくまで私の例ですが、本記事に書かせていただきました通り、全知識という書籍の整理に従いました。
    この書籍は、厳密ではないですが、内容が分野軸、問題軸、原因軸、打ちて軸で整理されていますので、その体系に従いました。
    事例Ⅲの私のファイナルペーパーが、まさにその分野軸です。

    さらに、事例を解く中で出てきた問題、原因、打ち手を全知識に追記して体系を充実させるという方法をとっていました。

  5. butao より:

    >tetu様

    コメントありがとうございます。
    分野軸、問題軸、原因軸、打ち手軸の具体例ですが、ブログ記事の内容から抜き出すと以下になります。

    ■分野軸
    製品設計
    生産計画
    生産

    ■問題軸
    納期遅れが発生している

    ■原因軸
    1)複雑な設計のため生産で不良品が発生
    2)同一ラインでの多品種少量のため品種切り替えのたびに段取替えが多く発生
    3)月に一度しか生産計画をたてないので計画内容が不正確で、計画修正が頻発
    4)部品の欠品が発生し、生産が滞る
    5)特定の加工工程に不可が集中する
    6)外注先からの部品の納品が遅れる
    ■打ち手軸
    1)CAD/CAMの活用による設計期間の短縮
    2)製品ごとの工程の共通化による段取替えの回数低減
    3)月次計画の週次・日次化による工程間の負荷の平準化
    4)月次計画の週次・日次化による在庫量の適正化
    5)従業員の多能工化による工程間の負荷の平準化
    6)ラインバランシングによるリードタイムの短縮
    7)段取りの外段取り化による段取り時間の短縮
    8)カムアップなどによる外注先の納期遅れの防止

  6. tetu より:

    大変参考になりました。これだなと感じたところです。補完的に教えていただきたいのですが、分野軸、問題軸、原因軸、打ち手軸、で整理するというのは、概念的には解るのですが、具体的に教えていただけないでしょうか。また、与件文を整理するというのは、どのような整理になるのでしょうか。よろしくお願いします。

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