【渾身中小企業経営】2013年度版白書のポイント10選
お久しぶりです
butaoです
今日は中小企業経営ということで、
2013年度版の中小企業白書の中からおさえやすいポイント(グラフ)を10選んで紹介したいと思います。
白書読むのめんどくさい!という方もいらっしゃるのではないでしょうか
もしかしたら、独学の方の中には中小企業経営はほぼ勉強してないという方もいらっしゃるかもしれません
しかし、再来週にはTACの模試がありますので、苦手な方であってもせめて中小企業経営で足切り回避ラインまでは得点を獲得したいものです。
【A】出そうなポイント、かつ、【B】すぐに頭に入りそうなポイント、を10個に絞って紹介します。
中小企業経営に対する勉強意欲がわかない方でも、今日紹介する内容だけでも、把握して試験に望まれることをおすすめします。
中小企業経営の攻略のポイントは【中小】NANAさんが贈る中小のポイント で言われている通り、
(1) 「イチバン」をチェック
(2) 特徴的な傾向をチェック
(3) 新たな傾向をチェック
(4) 自分の感覚との違和感をチェック
の4点です。
今回は特にこの中でも、【A】に対応するものとして(2)、【B】に対応するものとして(4)に着目し、少しでも楽しく覚えられればということで、クイズ形式でグラフを紹介したいと思います。では早速始めます
※以降のp.XXは2013年度版白書のページ数を意味します。
(A)従業員数1~4人の企業
(B)従業員数300人以上の企業
正解は(A)です。
コメント:従業員規模別の女性の雇用者比率です(p.35)。従業員規模の小さい企業ほど雇用者に占める女性雇用者の割合が高いです。また、グラフは掲載しませんが、従業員規模の小さい企業ほど管理的職業従事者に占める女性雇用者の割合が高いです(p.36)。大企業の方が、制度が整っていて女性が働いている印象を持っていましたがそうでもないようです。
■クイズ2:スタートアップ企業の経営者のうち7割は以下のように考えています。以下のどちらのように考えているでしょうか。
(A)「規模を拡大したい」
(B)「規模の拡大より、事業の安定継続を優先したい」
正解は(B)です。意外です。
コメント:スタートアップ企業の事業経営方針です(p.45)。約3割が「規模を拡大したい」と回答している一方で、約7割が「規模の拡大より、事業の安定継続を優先したい」と回答しています(p.46)。メディアで報じられるベンチャー企業のイメージから、ほとんどのスタートアップ企業の経営者が事業を拡大したいと思っているのかと想像しましたが意外な結果でした。
■クイズ3:事業転換や多角化をした企業で、新事業展開を検討し始めた時の業績は好転していた企業の比率が高いでしょうか、悪化していた企業の比率が高いでしょうか。
(A)好転していた企業
(B)悪化していた企業
(C)比率は半々
正解は(C)です。
コメント:新事業展開(事業転換や多角化)を始めた時の業績動向です(p.94)。悪化しているのであれば、事業縮小を考えるのだろうし、新事業展開する企業は余裕のある企業がほとんどであろうと思っていました。しかし意外にも半々なようです。悪化しているからこそ新事業展開するという決断をされる経営者の方の心労を感じ取ることができます。
■クイズ4:新事業展開によって成果を挙げた小規模事業者はなぜ、該当の事業分野を選択したのでしょうか。最も選択率の高い項目を選んでください。
(A)親会社や取引先からの要請があったから
(B)自社の技術ノウ・ハウを活かせるから
(C)自社製品・サービスの提供ルートが活かせるから
正解は(B)です。
コメント:新事業展開で成果を上げた企業の事業分野での選択理由です(p.101)。このグラフは意外でした。当初予想では、親会社や取引先からの新たなニーズを受け、共同開発などを通じて新事業展開を行う小規模事業者が多いのではないかと思ったからです。自身の強みを活かして新事業展開を行う小規模事業者の比率が高いようです。
■クイズ5:新事業展開を実施検討する予定がない企業があります。その要因は何でしょうか。
(A)既存事業の経営が疎かになるから
(B)販売先の開拓・確保が困難だから
(C)有望な市場の見極めが困難だから
正解は(C)です。
コメント:新事業展開を実施・検討する予定がない理由と、実施企業が直面した課題を比較したグラフです(p.114)。新事業展開を実施・検討する予定がない企業は、人材がいない、資金がないなど “リソースが不足”タイプの話かと思っていました。しかし実際はその前段階として、「有望な事業の見極めが困難」という項目が入っていた点は意外でした。そこまで見極めが難しくなるほど事業環境は複雑化しているのかと。
■クイズ6:新事業展開に際して、事前に取り組んだこととして、新事業展開で成果を上げた企業が最も比率が高かった選択肢はどれでしょうか。
(A)既存の市場調査結果の収集・分析
(B)自社の強みの分析・他社研究
(C)特に事前に取り組んだことはない
正解は(B)です。
コメント:新事業展開で成果を上げた企業、成果を挙げられなかった企業別に、新事業展開で事前に取り組んだことについて、集計したグラフです(p.114)。このグラフも意外でした。クイズ5で述べましたが、企業が新事業展開を検討しない要因の一番は「有望な市場の見極めが困難」です。しかし、その中で、事前に取り組んだこと
1位は「既存の市場調査結果の収集・分析」ではなく、「自社の強みの分析・他社研究」なわけです。外に目を向けることは大切だが、結局最後は自分の中に答えを見つけに行く必要があるということでしょうか。
■クイズ7:小規模事業者の経営者の平均引退年齢はおよそ何歳でしょうか。
(A)65歳
(B)70歳
(C)75歳
正解は、(B)です。
コメント:規模別・事業継承時期の経営者の平均引退年齢の推移です(p.125)。企業における定年退職時の年齢(65歳前後)と同程度かと思っていましたが、平均で
70歳まで頑張っていらっしゃるという結果に驚きを覚えました。
■クイズ8:引退する小規模事業の経営者のうち、引退後に事業継続を希望している経営者はどの程度の割合で存在するのでしょうか。
(A)4割
(B)6割
(C)8割
正解は(B)です。
コメント:小規模事業者、中規模事業者別の経営者引退後の事業継続についての方針です(p.140)。意外だった点は、事業を継続させる意思をもっている経営者の比率が思ったよりも低い点です。小規模事業者ではおよそ1割の経営者が事業をやめたいと言っています。もし仮に私が経営者であれば、自分が残した会社という財産はぜひとも継続させたいと思うものですが、そうもいかない現実があるようです。
■クイズ9:中小企業においてITを活用しようとしているが、ITを導入していない理由で最も回答比率が高いものはどれでしょうか。
(A)導入の効果がわからない・評価できない
(B)コストが負担できない
(C)ITを導入できる人材がいない
正解は(A)です。
コメント: ITの活用が必要と考えている中小企業が、ITを導入していない理由です(p.190)。人数が少ないためコストが負担できない(コストに見合わない)という理由が一番かと思いましたが違いました。
「導入の効果がわからない、評価できない」というものが一番でした。素人目線で言えば、業務効率化のため等でシステムを導入するのであればコストと削減効果として導入効果が定量評価できそうな印象を持ちますが、そう単純なものではないのでしょうか。
■クイズ10:クラウドコンピューティングの中規模企業における経営者の認知度はどの程度でしょうか。『よく知っている』、『聞いたことがある』、『分からない・知らない』のうち、『よく知っている』と回答した経営者の比率はどの程度でしょうか。
(A)1割
(B)3割
(C)5割
正解は(B)です。
コメント:企業の規模別の経営者のクラウドコンピューティングの認知度を表したグラフです(p.197)。意外な点は、中規模企業において5割程度は『よく知っている』と回答するかと思っておりましたが、
3割程度にとどまった点でした。まだまだ中規模企業の経営者の間にはクラウドコンピューティングの概念は浸透していないようです。
以上、10のポイントに絞って白書内容から出題されそうかつ印象に残りやすい部分を紹介しました
追加要望などありましたら引き続き次回にはポイント拡充版を作成しますので、コメントいただければと思います
《白書で学習することの是非》
私は最初スピテキを使用して、独学しておりましたが、白書での学習にきり替えました。
それは、スピテキはかなり範囲を絞っているため、その分テキストも薄くなり負担感は減ったようにみえますが、実は白書を読んだほうが近道ではないかと思ったからです。
実際に6月1日以降に白書ベースで学習してみた結果、白書はストーリーとして図表が描かれているため、試験にでるポイントさえ絞ることができれば、該当部分にコメントなどを追記していくことで、最終的にスピテキよりも頭に入りやすいと感じました。
今からでも遅くはないので、まだ白書を読んでおらず参考書ベースで勉強されている方は、参考書を補充する形でパラパラと白書を一度はめくってみることをおすすめします。思わぬ成果があるかもしれません。
以上、butaoでした
あっきー様
butaoです。コメントありがとうございます。
フィードバック誠にありがとうございます。
上記のクイズ10題から、2題出題され、お役に立てたとのことで嬉しく思います。
今後は2次試験に関する記事が多くなると思いますが、そこでもあっきー様のお役に立てるよう頑張ります。
どうぞ宜しくお願い致します。
butao様
一次試験が終わりました(協会のサイトにも今年の問題がアップされました)のでフィードバックします。
この記事の10問のクイズから2問出題されました!
クイズ1→第4問(設問3)
クイズ9→第12問
2013年版白書で数少ない公的統計からの出題であるクイズ1は「やっぱり出たか」という感じでしたが、さすがに今回は公式統計以外からも結構出題されましたね(クイズ9)。
私自身はいわゆる「保険受験」状態でしたが、今年の中小は平均点も高いようで、私自身も8割取れました。
お忙しい中、直前期に有意義な記事をアップしていただきありがとうございました!!
butao様
お忙しい中、中小企業庁への突撃取材(笑)ありがとうございました!
今後ともよろしくお願いいたします。
>あっき-様
ありがとうございます。
返信が遅くなり申し訳ございません。
中小企業庁に直接電話で問い合わせてみたのですが、2009年度と2010年度で調査の委託先に対する表記の方法が変更されているようです。
どこが委託主体なのかわかりづらかったので、表記の方法を変更しました、とのことでした。
また、2010年度以降に民間調査をベースにした調査が一貫して白書上で増えているかというと、(予算や方針によって年によってグラフ数は変わるものの)そういうわけではないようです。
butao様
詳細なコメントありがとうございました。
butao様のご指摘を参考にした上で、私の推測ですが、2009年版以前の白書では「中小企業庁委託(○○株式会社)」といった形で委託元・委託先が併記されている統計が少ない(もしかしたら全くない?)ようなので、2009年版と2010年版の間に何らかの変化があったのかもしれないですね(ちなみに、民間調査自体は結構使用されています)。
H24は民間調査からの出題が多かったとのご指摘はその通りであることを確認しましたので、公的・民間でのプライオリティ付けには過度に頼りすぎほうがよさそうですね。
引き続き、鋭い分析と白書を楽しく勉強できる記事に期待しております。
>あっきー様
コメントありがとうございました。
公的統計以外からは出題されづらいとのこと、私も昨年の受験生だった時に道場記事を読んで認識はしておりました。
実際にそうなのか?ということで、平成24年度から平成20年度の一次試験『中小企業経営』に出題された設問の根拠となるグラフの調査主体別(民間、公的)の出題数をざっくりとカウントしてみました。
■以下は次に続くカウントの補足説明です。
1)下記のカウント結果の数値は設問の数を表します。
2)白書の付属統計資料からの出題はカウントしていません。
3)中小企業白書以外(ものづくり白書など)からの、出題はカウントしていません。
4)公的の定義は官公庁が調査主体の場合を意味します。
5)民間の定義は調査主体が民間の場合を意味します。
6)官公庁から民間企業による委託調査の場合は、調査主体は民間企業とします。
■以下がカウントの結果です。
H24:(公的:9問、民間:5問)
H23:(公的:7問、民間:1問)
H22:(公的:12問、民間:1問)
H21:(公的:11問、民間:1問)
H20:(公的:11問、民間:0問)
見たところ民間調査を根拠とする設問が増えたように見えます。
これは民間調査、公的調査(公的統計)の定義によるところが大きいかもしれません。
私の上記の定義では官公庁が民間に委託して実施した調査は民間調査としています。
しかし(これはただの私の推測でしかありませんが)過去の白書には、委託していたとしても委託先を明示していない資料が多かったのではないかと思います。
そうした資料の場合、私の定義ですと公的調査にカウントされることとなります。
最近の白書では委託先を明記する形で記載するようになったのか?と考え、検索してみましたが、該当する資料は見当たりませんでした。
正確なところはもう少し深くほって調べてみる必要がありそうです。
また、H25試験の解説が今手元にないのですが、おそらくH24と同じ傾向(公的資料のみでなく、官公庁が民間企業に委託した調査結果などが出題される傾向)なのではないでしょうか。
H25試験の解説を近いうちに確認し、連絡させていただきます。
また公的資料がメインで出るという話と同様で、コラムからは出にくいという話もあると思います。
これも実際の所どうなのか、次回の記事で調べて記述してみたいと思います。
>ジオスト様
コメントありがとうございます。
第1章についてはジオスト様のおっしゃる通りでとらえどころがなく、私も覚えるのに苦労しました。
次回は第1章に着目し、要点として紹介させていただきます。
クイズ形式いいですね!
ところで、中小企業経営については、道場の過去記事にもあるように、公的統計からの出題が多いようですね(今回だとクイズ1が該当します)。
https://rmc-oden.com/blog/archives/36260
一方、2013年度版白書のグラフは、公的統計が出典のものが少ない印象がありますので、過去の例にあまりとらわれず、今回のようなクイズも活用して読みこなしていきたいと思います。
butaoさん、こんにちは!
今日もお昼休みにクイズを楽しませて(?)もらいました。(笑)
「追加要望など…」という記載がございましたので、遠慮なくコメントしちゃいました。
私は白書について、第1章の勉強の仕方に難儀しています。内容自体はそんなややこしい話ではないと思うのですが、GDPやDIのグラフがひたすら上がって、下がって…というのが繰り返され、掴みどころがわからず、わかったようなわかってないような手ごたえの無い状況です。
もしよろしければ次回はこの辺も要点に加えていただければ有り難いです!