問題集を解いた後,解説を読む前に。

みなさん,こんにちは。 はんたです。

以前の記事(の後半)で,スピ-ド問題集過去問を回転させるときの解き方のヒントを書いたことがありました。

以前の記事のポイントをまとめると,次のとおりです。

1 問題を解いた後に,解説を直ぐに読んではいけない
2 正誤問題を間違えるということは,「適切な選択肢」を「不適切な選択肢」と判断し,「不適切な選択肢」を「適切な選択肢」と判断したという二重のミスを犯している。
3 間違えた問題は,直ぐに解説を読まずに,どのように考えれば,「適切な選択肢」を「適切な選択肢」であると判断し,「不適切な選択肢」を「不適切な選択肢」であると正しく判断できたのかを考える。
4 その後で,解説を読んで,3の考え方が正しい方向であるのかどうかを確認する。
5 解説を読む前に,4のようにいったん検討を加えることで,直ぐに解説を読む場合と比べて,理解は深くなる
6 この方法は,特に,独特の言い回しを読解できなくてミスする場合が多いと思われる企業経営理論の問題対策に有効

 

本日は,2014年合格目標の方向けに,平成25年度の企業経営理論の問題を題材にして,私が間違えた問題について実際例を示したいと思います。

実際の問題文は,お手元の過去問集か,あるいは,右側の過去問PDFダウンロードを参照して下さい。
なお,以下に示すのは,私独自の判断の仕方であって,その内容が正しいかどうかは確認していません。知識,判断の正確性は必ずしも信用できるものではないことにご注意下さい

第14問


問題は,専門化されて,複合組織となった企業が,環境変化に組織的に適応するために必要な行動として,最も不適切なものだな。
選択肢アは,専門部署をおくというものか。選択肢イは,既存の事業部に取り組ませるというものか。そうすると,選択肢アと選択肢イは全く逆方向を目指しているから,どちらかが不適切になる可能性が高いな。
選択肢ウは,通常業務と新しい業務の予算計画を分けるというものだから,どちらかというと専門化の方に近いかな。選択肢エは,専門化された組織間の調整を経営者が行うというのだから,専門化を前提にしているのだな。
そうすると,選択肢ウとエは,選択肢アの方に近いな。結局,選択肢イが仲間はずれだから,選択肢イが最も不適切ではないかな。をマークしよう。
答え合わせをすると,正解はア
どうしてが最も不適切なのかな。あっ,そうか。分析麻痺症候群に陥るのか。「変化の渦中」にあるのだから,情勢が刻一刻と変わっていっているという前提なのだな。そうすると,臨機応変,スピード重視だから,専門部署よりも現場に近い方が良いのか。そういう意味で,選択肢イの方が適切なのか。臨機応変,スピード重視という点では,選択肢ウとエも適切と言えるな。
(解説を読む)
まあまあ,考え直した方向性は間違ってなかったかな。分析麻痺症候群を思いつかなかったのが,敗因だな

第16問

(問題文本文を読みながら)
これは典型的な内発的動機付けの問題だな。
(設問1)
作業改善の改善が研究員の満足度の改善につながらなかった理由として適切なものだな。設問1は,必ずしも内発的動機付けの問題ではないのかな。
選択肢アからオを一通り見たが,直ぐに切れる選択肢はなくて,難しいな。
の「ホーソン効果」とは知らないな。知らない用語があるオでは勝負せずに,まずアからエまでを検討して,すべて不適切と判断したら,しょうがないからオをマークしよう。
モチベーション理論にはどんなものがあったかな。お薬ハックの記事に素晴らしいことが書いてあったな。「作業環境の改善」ということは,あっそうか,ハーズバーグの2要因論か。そうすると,作業環境は衛生要因だから,充足されるのが当たり前で,それが充足されても満足度は向上しないのだな。
そうすると,選択肢アとウは明らかに適切ではないな。
選択肢イとエで迷うな。は,作業環境は衛生要因で,新たな研究開発テーマの探索は動機付け要因で,その2つは別だというのだから,適切そうな感じがする。選択肢エは,衛生要因を改善しても満足にはつながらないというのだから,これまた,適切そうな感じがする。
しかし,満足度が改善されなかった理由を説明するものとしては,どちらかというと,より直接的なの方が良いかな。をマークしよう。
答え合わせをすると,正解はイ
2択まではしぼれたけど,最後の選択で間違えちゃったか。そうすると,のどこが不適切なのだろう。作業環境の改善は低次欲求ではないと言いたいのかな。でも,作業環境の改善は,マズローで言えば,安全の欲求で,低次欲求だよな。分からない。しょうがない,解説を読もう。
(解説を読む)
解説も,説明するのに苦しそうだな。マズローによれば,低次欲求と高次欲求は不可逆であり,もう既に研究員の低次欲求は充足されていたから,は適切ではないというのか。でも,マズローの他には,可逆だとする説もあったよな。まあ,年に数問は,こういう難問が出題されるから,この問題もそういうものとしてあまり深刻に考えないようにしよう。それよりも,「ホーソン効果」とは,作業環境を悪化させても生産性が向上することがあるという意味であることを覚えておこう

(設問2)
これは,完全に内発的動機付けの問題だな。内発的動機付けが失われた理由として,最も不適切な理由を選ぶのだな。
選択肢アとイは,まさしく内発的動機付けが失われた理由の典型だな。そうすると,選択肢ウとエのどちらかが不適切だな。
で,「金銭的報酬のため」と知覚されたというのだから,さらに,その金銭的な報酬が対価としてふさわしくないと感じられたとすれば,選択肢ウは適切と言えるな。でも,ここまで読み込んでもいいのだろうか。
でも,選択肢エの「経営者の説明」は外発的動機付けになるよな。よし,をマークしよう。
(答え合わせをすると,正解はウ)
やはり,は読み込みすぎだったか。もともと,のように,金銭的報酬のためであると知覚されただけで動機付けが失われるのだから,その報酬が対価としてふさわしいかどうかなんて問題にならないよな。しかし,はどうして適切と言えるのだろう。「説明」は外発的動機付けだよな。分からないな。しかたない。解説を読もう。
(解説を読む)
あっ,そうか。言語報酬は外発的だけど,内発的動機付けを強化するからだ。言語報酬が特別であることを忘れていたのが敗因だ。

第18問

製品革新と工程革新,生産性のジレンマの問題だな。最も適切なものを選ぶのだな。
選択肢アは,成長段階後期は,ゆるやかになっているかもしれないけれど,まだ市場は成長しているはずだから,「市場規模は縮小し始める」というのが不適切。
選択肢イは,「製品革新の頻度が少なくなってくると,しだいに工程革新へと関心がシフトしていき,」までは適切だが,工程革新に関心がシフトした結果,工程革新が進めば生産性は向上するはずだから,「生産性が次第に低下し,」が不適切。
選択肢ウは,前半は適切だが,後半の「再び流動化段階に脱成熟させるには,一定以上の垂直統合が必要となる。」というのは言い過ぎではないか。垂直統合してしまうと,既存の製品の改良に終始して,イノベーションを起こしにくくなるのではないのか
選択肢エは,「業界全体で新製品の開発を行うべきである」というのだけれど,イノベーションは,アップルのIPADとかIPHONEにしても,1社で新製品を開発したものが多いから,は不適切だろう。
選択肢オは,「ドミナントデザインの確立」→「製品アーキテクチャの確立」の因果関係は正しい。製品アーキテクチャが確立されたということは,部品の仕様変更などが行われなくなっていくから,部品メーカーを内部化するリスクが減る。むしろ,内部化して効率的な生産を進める方が有利になる。「組織を機能別に編成すべきである」というのが少し引っかかるが,事業部制やマトリックスよりも効率的だよな。特に内容が間違っているようには感じられないな。をマークしよう。
(答え合わせの結果,正解はウ)
正解はか。流動化するためには,ある程度の垂直統合が必要なのか。イノベーションを起こすためには,自社の技術のシーズと消費者のニーズを結びつけて,部品,加工,卸,小売りの上流から下流までの垂直統合がある程度必要になるというのかな。それでは,はどこが不適切だったのだろう。部品メーカーを内部化する必要はなく,外注で十分というのだろうか。
(解説をよむ)
あっ,垂直統合水平統合の意味を誤解していた。生産性のジレンマの問題であり,流通経路の問題ではないから,垂直とは,開発,製造,販売の流れをいうのだ。部品メーカーの分業は,製造の段階における分業だから「水平」分業であり,それを内部化するのは水平統合なんだ。垂直と水平の意味を誤解していたのが敗因だ。

 

 

どうでしょうか。もちろん,他にも間違えた問題はありましたが,参考になると思われる例を掲載しました。
本日の記事が,みなさんが問題集を解くときに,問題集の使い方のヒントになれば幸いです。

なお,上の例では,思考の経過を分かりやすくするため,問題・設問ごとに,解いた時の判断内容,答え合わせ後の思考内容という順番に書きましたが,実際に問題を解いたときは,自宅で,90分間で全問題を解いた後に答え合わせ,解説の確認をしました。

by はんた

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