【事例Ⅰ】経営戦略と組織構造の適合性

こんにちは。こぐまです。

正式な事例名は、「組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例」。

うちあーの
この記事で過去問を分析しているように、毎年、背景に何らかのテーマが通奏低音のように流れていますが、経営戦略そのものより、戦略をベースとした「事業構造」や「事業展開」が問われていることが多い事例です。

事例Ⅰの過去問をぱらぱらと見ていただけるとわかりますが、このふたつのワードが頻出しています。

この記事で、2つの視点・切り口のひとつとして「事業構造」と「事業展開」を挙げました。
これについて、読者の方から「どういうことを指しているのか、具体的には何か」というご質問をいただきました。

事例Ⅰは、「事業構造と組織構造の整合性の問題」について記事を書くつもりでしたので、いただいたご質問を踏まえて、この問題に加え、「事業展開」まで含めて考察してみます。

 

◆組織図◆

経営戦略を円滑に実行するために、経営の組織が形成されます。組織は部門の関係・組み合わせであり、形式的には「組織図」で表されます。
これを「組織構造」と呼ぶことができると思います。

チャンドラーの「組織の構造は戦略に従う」という有名な命題のとおり、組織ありきではなく、戦略が最初にあるべきものです(現実は逆のことが多いですね)。

事例Ⅰは上記のとおり組織事例であり、独断ですが、バーナードの組織の基本要素と並び、このチャンドラーの命題も、この事例が問うている本質のひとつではないかと考えます。
つまり、経営戦略と整合した組織構造になっているか?ということです。

裏返せば、試験では戦略に適合していない組織構造を持つA社が出題されます。

典型的な問題が、「組織図」を示してその問題点や改善策を問うもの
平成13年、14年、18年に出題されています(近年はなし)。
端的に言えば、「経営戦略」と「組織」の関係を読み解く問題です。

 

◆事業構造◆

何の気なしに使ってしまい、深く考えずに読み飛ばしそうな用語ですが、「事業構造」は事例Ⅰでは非常に重要な意味を持っています。

その意味するところについて、いろいろな説明の方法があると思いますが、少なくとも上記に挙げた過去問では次のような意味合いで使われています。

・現在までの経営戦略の結果としての事業の構成。
・事業別の売上高構成。

例えば平成14年は、組織図とともに「A社の事業別売上構成比」の図表が事例文に挙げられています。


事業構造とは経営戦略の結果としての事業構成を静的に捉えたもの
であるともいえ、事例Ⅰでは事業構造と組織構造の整合性が問われることがあります。

先ほど、「経営戦略」と「組織構造」の関係と書きましたが、抽象的すぎて適合性を直接的に分析することは難しい。
そこで、前者を反映している「事業構造」と後者を具体化した「組織図」との比較により、問題点と改善策を考えさせるのではないでしょうか?

その論点としては例えば次の通り。

・顧客ニーズに対応した製品開発が可能な組織かどうか。
・部門間の連携や調整が円滑にできる組織かどうか。
・迅速な意思決定ができる組織かどうか。
業務の重複や空白が生じていないかどうか。
・経営戦略上、部門が不足していないかどうか。
・能力開発等の人的資源管理上の問題を解決できる体制かどうか。

当然ながら、出題される事例では上記の各点において問題があるA社が出題されます。
与件と組織図を読み込んで、上記のような観点で問題点を抽出し、それに対する解決策を提言することになります。

 

◆事業展開◆

毎年のように登場するワードです。
これは読んで字のごとく、事業の具体的な進め方・方法を表していると考えます。
「戦略的事業展開」、「多角的な事業展開」といった使い方からも、そう推測できます。

「事業構造」が現時点の状態を輪切りにして示しているのに対し、「事業展開」はこれからの具体的な事業活動という動的なイメージですね。

 

事業展開についても、組織構造が与える影響を問う問題が出ています(平成18年)。
現在の組織構造が新しい事業展開を阻害しているというパターンですね。

これについても、上記で述べた問題点が共通して適用できます。

また、事業展開の方向性によっては、事業構造へ影響します。

不採算事業を縮小する、新規事業を立ち上げる、などにより、各事業の売上構成比が動く、つまり事業構造が変化していくこととなります。
収益を改善するために事業構造を変化させるともいえます。

事例Ⅰで「事業構造」、「事業展開」という言葉が出てきたら、以上のような相違点を意識して切り分ける必要があると思います。

 

◆まとめ◆

事例Ⅰでもまず環境分析の設問が最初に来ることが多いです。
そこから先の設問については、最近は割とテーマがばらけているように感じますが、先に述べたように過去には組織そのものを直球で問う問題も出題されています。しかも組織図を使って。

これは本当に個人的な感覚にすぎませんが、事業構造と組織構造事業展開と組織構造の不整合を問う問題がいつ出てもおかしくないと思います。

上記に挙げた3つの過去問、古いですが一度は目を通してみてはいかがでしょうか?
いずれも難問揃いで、事例Ⅰの本質を示している過去問ではないかと思います。

余談ですが、平成15年の事例Ⅰは「右往左往する社長」というフレーズで有名な事例です。
マーケティング寄りに引っ張られそうな設問あり、設問要求が曖昧な設問あり、大変な難問かつ非常にユニークな事例といえ、こういう事例が出題されることもあるんだな、ということを知るのに有効です。

by こぐま

 

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【事例Ⅰ】経営戦略と組織構造の適合性” に対して11件のコメントがあります。

  1. こぐま より:

    ばんちょうさま

    お久しぶりです。コメントありがとうございます。

    2次試験まで102日ですが、1次を突破したストレート生が参入してくるまでのこの1か月間が勝負だと思います。

    精密な事例マシーンとしての実力をさらに鍛え上げて、アドバンテージを生かしてくださいね!

    お会いできる日を楽しみにしております。

  2. ばんちょう より:

    8か月振り???に道場に投稿させていただきます。昨年は1次突破も2次で玉砕しましたが、今年は1月からT○Cの○好先生に絞り、ここまで頑張ってきました。残り100日に近づき臨戦モードに切り替えるにあたり、こぐま師匠の過去記事を再度味読させていただきます!

  3. ちゅらこ より:

    ざあらし様、こぐま様

    有効な情報をありがとうございます!!
    見ず知らずのあたくしに向けブログに
    情報を書いてくれるなんて…感激です!!
    ぜひぜひ活用させていただきます。
    道場ファンも執筆陣も温かい方々ばかりですね。
    あと1ヶ月がんばります!!

  4. こぐま より:

    ざあらし様

    貴重な情報提供、ありがとうございました。
    解答解説集をLECさんで販売しているとは知りませんでした。

    ちゅらこ様、大変失礼しました。

  5. ざあらし より:

    ちゅらこさん、こんにちわ

    同じく2次2回目の受験生です。

    小生のブログの方にいくつか、情報源書いておきました。よかったら、参照してみてください。

    お互い、がんばりましょうね。

  6. こぐま より:

    ちゅらこ様

    ありがとうございます。
    本日(9/15)のふうじんの記事もぜひご参考になさってみてください。
    最後のあと一歩のヒントがあるように思います。

    いつでもお気軽にコメントください。お待ちしております!

  7. ちゅらこ より:

    こぐまさま

    こんなわたくしにこんなココロ温まるステキなメッセージをありがとうございます。コメント書いて本当に良かったです!!
    自分のやってきたことと担当講師の言葉を信じて、あと少しがんばります!!

  8. こぐま より:

    ちゅらこ様

    こちらこそ、目を通していただきありがとうございます。

    道場でも意見が分かれるのですが、私は心から信頼する受験校の講師陣から過去問の重要性を叩き込まれたため、このような記事を書かせていただきました。

    人によって処方箋は様々です(そうあるべきと思います)が、ちゅらこ様の「過去問に勝る事例問題はない」というお考えに近いと思います(もちろん受験校の答練や模試も重視していました)。

    ただし、そのための大前提として、自分が信じ切れる受験校、講師の存在が必須ですよね。
    そうでなくては模範解答のない過去問の正しい学習は難しいと思っております。

    引き続きわれわれも、少しでも参考にしていただけるような記事を心がけてまいります。

    ぜひとも、ご自身の信じる受験校の講師を「利用」して、目標を達成されることを祈念いたします。応援しております!

  9. ちゅらこ より:

    こぐまさま

    こんなにも早く親身なお返事いただけると思っていませんでしたしのでとても嬉しいです。
    わたしは、過去問に勝る事例問題はない。いろんな受験機関の模試を受けまくるよりも過去問をさかのぼろう。と思い解きました。こぐまさまのご意見を聞けて、自分のやり方でこのままがんばろぅと思いました。
    受験機関の担当講師に解答を見てもらおうと思うます!
    ありがとうございます。

    これからも記事楽しみにしています。
    事例3でもこんな素晴らしい記事を期待しています。

  10. こぐま より:

    ちゅらこ様

    初めまして、こぐまと申します。
    道場記事をご愛読いただき、本当にありがとうございます。
    われわれの記事が少しでもお役に立てたら嬉しいです。
    わざわざコメントを頂戴し、心より感謝いたします。

    「試験委員も違うので、傾向の異なる古い過去問は必要ない」という意見もありますが、ちゅらこ様ご指摘のとおり問われている論点は普遍的なものがありますし、先祖返りもありえるので、古い過去問の学習も有効と(個人的には)考えています。

    私の通っていた受験校(2校)では、両方とも全年度の過去問解答解説が教材として付いていたほか、13~15年度の過去問のいくつかを演習でも取り上げ、80分で解きました。

    今回の記事は、その時に学習したことがベースになっております。

    残念ながら、市販では古い過去問の解説は見当たらないですね。
    解答解説集を販売しているTBCさんも、古いものはもう取り扱いしていないようです。

    そうなると、受験校の講師に自分の解答を見てもらえると一番いいのですが・・・。いかがでしょうか。

    いつでもお気軽にコメントいただけると幸いです。
    あと37日、最後の最後まで粘って合格を手に入れられることをお祈りしております!

  11. ちゅらこ より:

    こぐまさん、はじめまして。
    私は道場ファンで診断士受験3年目のちゅらこです。
    2次は今年で2回目です。
    この記事がとっても勉強になったので
    感謝を伝えたくてコメント書きました。

    ビジョン、事業展開(事業構造)、組織体制、人事体制
    の整合性について問われるのが事例1の本質なのかな…
    と思ってたのでこの記事はドストライクでした。
    ありがとうございます。

    1つ質問があるのですが、
    13年から16年までの問題の解答の方向性や解答は
    どのように確認しましたか?
    古すぎて模範解答はみつからないし、
    自分の解答にまったく自信がもてません。

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