【法務】知財のキホンを再確認

みなさんこんにちは!コニケンです。
昨日は金星の日面経過でしたが、見られましたか?私は、オフィスが吹き抜けになっていて、天井がガラスなので、お昼休み中に何とか見ることができました。先月の金環日食と二回とも天気がイマイチの中、両方とも見られたので、本当にラッキーだったと思っています(これで今年の運を使い果たしていなければいいですが…)

さて、怒7もいよいよラスト二週。私は、来週の中小の投稿はお休みなので、怒7としてはこれが最後の投稿です。みなさんは、一次試験の申込みも終わり、おそらく今月末の一次公開模試に向けて、ラストスパートをかけていることだと思いますが、ストレート生はまずここで420点をしっかりと取ることを目指しましょう!もちろん、本番同様、どの科目も40点切ってはいけません。

以前も書きましたが、私にとっては、今週のテーマである経営法務は長い間苦手意識を持っていました。ただ、たとえコンスタントに60点に到達しなかったとしても、とにかく40点を切ることだけは絶対に無いように対策を打っていました。

それが、今日のテーマである「知的財産権」の分野でしっかりと稼いでいくことです。月曜のをーさんの分析通り「知財は比較的易しい問題が多いので、取りこぼさない」の通りです。そこで今日は、知的財産権に関わる「絶対に落とせない論点」をズラッと並べてみました。主に5つの権利:特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権について書きます。すでに講義等で学習されているとは思いますが、全体を通して以下のポイントをこの場で改めて確認してください
・(権利取得の)目的
・保護対象
・登録要件
・審査方式
・譲渡
・出願公開
・存続期間

まずは「特許」を正確におさえることです。もちろん、出題頻度もダントツです。実用新案と意匠は特許と共通する規定が多いですが、特許の「ベース」を作った上で、特許との違いを意識しながらまとめていきましょう。
今日はポイントを箇条書き風に書きますので、頭に入っているかどうか、一つ一つチェックしてみてください。入っていないものは、是非もう一度テキストで要復習です!

 

●特許権
・目的:発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励、産業発達に寄与

・発明とは「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち、高度のもの」

・発明を公開させる代償として、独占権を付与して保護を図る

・医薬、コンピュータプログラムも発明に含まれる

・発明者:発明を完成させた者のことであり、特許を受ける権利が発生

・登録要件:主に以下の4つ
産業上利用できること
新規性があること(まだ公然と知られていない、実施されていない)
進歩性があること(容易に予測できない、発明の寄せ集め、置き換えではない)
先願の発明であること=最初に出願したもの

・新規性喪失の例外:公表日から6月以内に書面を特許出願と同時に提出し、かつ出願日から30日以内に証明書面を提出

・出願しただけでは審査は行われない。審査請求によって初めて審査が行われる。原則、誰でも請求できる

3年以内に審査請求がない場合、取り下げたものと見なされる

・出願日から1年6月経過すると、強制的に公開される

・第三者が業として発明を実施した場合、補償金の請求が可能

・存続期間:登録により発生し、出願の日から20年存続する

・権利の効力:業として特許発明を独占的・排他的に実施できる

・特許無効審判は誰でも、いつでも請求可能

・実施権(=他人に発明を利用させる権利)
専用実施権:設定した範囲において、発明を排他独占的に利用できる権利。設定登録が必要。特許権者も自己実施不可
通常実施権:定められた範囲内で範囲を実施できる権利。独占性はない。設定登録は任意。

先使用権:同一の発明で、他人の出願よりも先に実施している者に認められる無償の通常実施権。特許法、実用新案法、意匠法は同じ規定で、商標法のみ先使用の商標が広く需要者に認識されている(周知性がある)ことが必要

職務発明:企業の製品開発の一環によって生まれた発明

・特許を受ける権利は、発明者である従業者にある。使用者(企業)は無償の通常実施権をもつ

・企業が特許を受ける権利を承継した場合、従業者は相当の対価を受ける権利を得る
●実用新案権
・目的:考案の保護

・考案:自然法則を利用した技術的思想の創作

・特許と違い、高度である必要はない

物品の形状・構造・組み合わせに限られおり、方法・プログラム等は除外

・必ずモノと結び付くため、図面の添付が必ず必要

メリット(主に特許に対して)
1.早期に権利化できる(出願後約4~6ケ月)。
2.権利化されるまでの費用が安い
3.不安定であっても権利として登録されるので、第三者に対する牽制、製造販売の優位性が得られる
4.実用新案として登録された後でも、特許出願に変更できるから、とりあえずは費用が嵩張らない実用新案として登録を受け、事業化のメドがたった後に特許出願に変更し、特許化を図ることができる。

デメリット
1.権利が不安定で、権利の存続期間が短い
2.権利行使に際し、手続きが複雑である
3.権利を行使し、相手方に損害を与えた場合には無過失賠償責任を負うことがある。

・実体審査は行われない(無審査主義

・出願があったときは原則として登録される。登録料を出願と同時に納付

・実用新案権を行使する場合は、実用新案技術評価書の提示・警告が必要。

・実用新案技術評価書:出願された考案の新規性・進歩性等の評価が記された書類

・存続期間:出願の日から10年間有効

・実用新案登録出願から3年以内であれば、特許出願を行うことが可能

・特許出願された場合、存続期間は、実用新案の出願日から20年

 

●意匠権
・目的:意匠の保護及び利用を図ることにより、意匠の創作を奨励し、産業の発達に寄与すること

意匠物品の形状(構造ではない)、模様、色彩またはこれらの結合であって、視覚を通じて美観を起こさせるもの。

物品と結び付いていること・形態を有していること・工業上の利用可能性があること

創作性がある(=容易に創作できないこと)が必要となる

図面の提出が必須

・出願公開制度、審査請求制度はなく、すべての出願が審査される

・存続期間:登録日から20年

・登録意匠に類似する意匠にまで効力がおよぶ

 

●商標権
・目的:商標の保護により、商標使用者の業務上信用を維持

・商標:文字、図形、記号もしくは立体的形状やこれらの結合。事業者が「商品」または「サービス」について使用するマーク

・動くものは保護対象とならない

・機能:出所表示(自他識別力)、品質保証宣伝広告

・「創作」という概念が無い

登録主義

・登録要件:自他商品、サービス識別力を持つこと

・不使用取消裁判:3年以上国内において使用されていない登録商標の取り消しの審判を請求

・類似商標にまで権利がおよぶ=商品、サービスの出所について、誤認や混同を生ずるおそれがある状態

禁止権:自身は使用できないが、類似する範囲内で他者の使用を禁止できる権利

・存続期間:登録から10年

職務制度はない

 

●著作権
・目的:文化の発展

・著作物:思想または感情を創作的に表現したもの文芸、学術、美術、音楽etc

著作者人格権:一身専属的な人格的利益を保護する権利。譲渡・相続できない。公表権、氏名表示権、同一性保持権(勝手に内容や題名を変えないこと)

・著作権を侵害する者または侵害するおそれがある者に対して、その侵害の停止または予防を請求することができる

著作財産権:他人に勝手に使用されることを禁止し、著作者の経済的利益を保護。複製権、上演権等

著作隣接権:実演家(歌手等)、レコード製作者、放送事業者に認められた権利。著作物を「伝達する」者たち

・著作人格権を有するのは実演家のみ

・存続期間:効力発生(創作時)から著作者の生存中および死後50年

先使用という概念が無い

無方式主義:創作と同時に権利が発生

・私的使用はOKだが、企業活動が絡めば著作権侵害となる

・プログラムのバックアップコピー、修正・改良はOK

・職務著作は、原則として、はじめから企業が著作者となる

・不動産は意匠法では保護対象ではないが、著作権法では建築の著作物として保護対象となる
【具体例】ソニー「AIBO」に関わる知的財産権


それでは具体的な製品で各権利のポイントを見ていきましょう

<特許権>
・ポイント:AIBOに付いている様々な機能の一つ一つに特許権が成立している(一つの製品に一つの特許権、というわけではない)

ちなみに、【特許請求の範囲】を一部抜粋すると、こんな感じです。これ、途中を省略していますが、一つの文章です。日本語としては分かりにくい(?)ですが、権利が及ぶ範囲を広げるためには、このように羅列みたいになるのは仕方ないことですよね。。

(請求項1)
少なくとも4本の脚部を備えたロボット装置において、装置本体の姿勢を認識し、認識結果を出力する姿勢認識手段と、上記姿勢認識手段の認識結果に基づいて、上記装置本体が、少なくとも右方向転倒姿勢又は左方向転倒姿勢のいずれかの転倒姿勢になったことを判別する転倒判別手段と、上記転倒判別手段により、・・・(中略)、、正常な姿勢へ復帰させる制御手段とを有することを特徴とするロボット装置。

<意匠権>
・ポイント:「パッと見」でAIBOと似たようなロボットを他社が出した場合、たとえ技術的なアイディアが全く異なっていたとしても、意匠権の侵害になる=類似製品にも権利の効力が及んでいる

<商標権>
・ポイント:たとえAIBOそのものではなく、類似するネーミング(例えば「アイボォ」)も商標権侵害になる

<著作権>
・ポイント:製品のマニュアルの説明文を真似すること、またAIBOを制御しているコンピュータプログラムを他社が買ってにコピーして製品に組み込んだら、著作権侵害になる

<不正競争防止法>
・ポイント:たとえロボット型おもちゃではなく、スニーカーのような全く無関係の商品にAIBOというネーミングが付いた場合でも、不正競争防止法に違反するとして、そのスニーカーの販売を差し止めたり、損害賠償を請求することができる(非類似商品であるため、商標権は権利範囲外)

 

最後に、今週の経営法務とは関係ありませんが、次週の中小企業経営の先取りということで、6/3日経新聞朝刊に掲載されていた記事を紹介します。ただテキストを読み込むだけでなく、是非新聞・雑誌等でこのような記事に目を向けてみてください。(もちろん、私もしっかりと目を通していますよ!)
日経新聞より
~下請けいじめ高水準~
■中小企業庁は2011年度の下請代金支払遅延等防止法(下請法)の取り締まり結果をまとめた。代金の減額や支払い遅延など悪質な企業305社に対して、総額7億円の返還を指導した。取り締まりを強化した前の年度の10億円よりは減ったが、依然として高い水準で推移している(以下略)
それではラストスパート頑張ってください!心から応援しています

byコニケン
●参考文献
眞島宏明著「これからはじめるやさしい知財入門」日刊工業新聞社

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