「農業経営アドバイザー制度」について～中小企業診断士を活かせる資格～by かます

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

一発合格道場ブログを
あなたのPC・スマホの
「お気に入り」「ブックマーク」に
ご登録ください！

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

X(旧Twitter)もよろしくお願いします

今回は、とある制度（資格）について、
日本政策金融公庫が実施する民間資格「農業経営アドバイザー」制度についてご紹介します。

※専門分野の資格で、ニッチなお話にはなりますが、自分自身調べていく中で情報がなかなか無かったので、農業に興味のある方の参考になりましたら幸いです。

端的に言うと、
『農業分野において診断士の知識や経営診断業務を活かすために、関連する専門的な知識を網羅出来る資格制度』です。

★農業は小規模経営が多く個人事業主が多い、会計も特有だったりするので、一般的な企業とは少し違った点があります。
農業経営を行う上での留意点等が学べます

農業経営アドバイザーの活動事例

また、アドバイザーミーティング（研修）で、農業分野に関する知見を深めることができます。

受験者数と合格者の業種別割合（日本政策金融公庫発表）

令和5年時点では、民間金融機関が全体の約3割強の2,367名、次いで税理士・公認会計士が1,243名、農協が1,142名に対し、中小企業診断士は149名で全体の2.4%です。
➡割合的には診断士は少ないですが、試験では診断士知識を存分に活かすことが出来、農業に強みを持って中小企業診断士としての業務を行うことに繋がります。

合格率は令和2年以降、22%から33%程度で推移しており、だいたい3割程度と見ておけば良さそうです。
令和1年以前よりは合格率が下がっています（この結果については、情報を見つけられず、真意は不明です。現在はCBT（Computer Based Testing）方式のみ。以前はマーケティングレポートや研修の受講、面接試験があった時代もあり、試験の内容も変わっています）。

例えば、農業経理では、乳牛は「生物」として固定資産扱いとなるため減価償却をしたりと、ちょっと独特だったりします。

試験要項（費用やスケジュールについて）

毎年内容などはブラッシュアップしてしまう可能性大ですが、直近の情報を記載します

１．募集期間	令和6年度は7/3～7/24迄の3週間
２．募集対象者	公庫本支店と連携して農業経営者に対するご支援を行っていただける税理士、公認会計士、中小企業診断士、金融機関職員、その他関係機関・団体職員等 広く一般の方を対象とする「一般資格」ではないので注意 自己の業務において、農業経営者に対するご支援が想定されない方は受験出来ません。
３．募集定員	８００名（申込先着順）
４．研修動画 配信期間	９月初旬～11月上旬（試験開始前日）まで講義動画を繰り返し見ることが出来る ９月末では各科目の研修講師と受講者の質疑応答セッション（任意参加）をリアルタイム配信（ZOOM）により実施も有り
５．試験 日程・会場	CBT（Computer Based Testing）方式試験で全国の会場を選べる 【日程】11月2週目の金土日（いずれかの受験日を選択)
６．申込方法	WEB申込※志望動機や略歴を書く欄有
７．研修・試験料	６科目受験（全科目受験者） 45,000円（税込み） ４科目受験（会計士・税理士有資格者） 35,000円（税込み） *１科目受験（再受験者） 15,000円（税込み） *前回試験で1科目のみ不合格だった際に使える
８．合格者の取扱	（１） 合格者には、合格証を授与するとともに、「農業経営アドバイザー」の呼称を付与される。 名刺等に「日本政策金融公庫 農業経営アドバイザー試験 合格者」と表示することが出来る。 （２） 合格証の有効期間は、合格日から起算して５年を経過した日の属する年度の年度末まで。 有効期間の更新には、農業経営アドバイザーミーティングへの参加及び論文審査に合格することが必要となる。 なお、更新審査料は10,000円
９．留意事項	研修・試験科目「農業簿記・農業税務」は、「農業簿記検定」（一般社団法人農業経営コンサルタント協会監修）３級相当以上の知識が必要です。 （参照：URL：http://www.agri-consul.jp/）

募集人数が800名なので、昨年令和5年の試験では受験者数658名となり定員より少ない傾向にある様です。
受験料もそこそこするので、ちょっとお財布と相談が必要かもしれないですね。
参考図書はありますが、テキストがある訳では無く、基本的には講義動画と資料を見て学習を進める形です。

ここで朗報！
一般社団法人「農業支援センター」では対策講座をやっているようです
※因みに自分は申込に間に合わず、受講できませんでした。
※定員がある様なのでお早めに！！

合格基準

基準非公開
CBT方式（択一式＋一部記述式）で、合格点以上得点出来ればというところと思います
各科目に合格する必要があり、1科目のみ不合格だった場合は翌年その1科目のみ受験可能

試験時間

全部で140分間（休憩は原則無し）

1. 農業・農村構造と農業政策（20分）
2. 農地制度・農地所有適格法人（15分）
3. 労務管理（15分)
4. 農業簿記・農業税務（35分)
5. 農業経営診断・改善の進め方（35分）
6. 農業マーケティング(20分)

各科目別の内容と試験対策

過去問が非公開のため、試験問題は載せられませんが、各科目の出題範囲や試験対策をご紹介します

1. 農業・農村構造と農業政策

日本の農業を全体感を見るためには知っておかなくてはいけない、農村構造、業界構造や、変遷などを知れる総論的な科目です。
戦後の農地法から現在の取り組み等を知り、現在のその先のトレンドにも触れます。

<出題内容＞
・日本の農業政策と農業
　保護農政と成長農政、攻めの農林水産業
・日本の農業・農村構造の特徴と変化の方向
・日本の農業経営の方向～フードバリューチェーン～

２. 農地制度・農地所有適格法人

診断士試験範囲ではあまり関わりがない範囲かと思います。
「ファイナンシャルプランナー」や「宅地建物取引士」の範囲で、テキストを引っ張り出してきて理解を深めたりもしました。

<出題内容＞
・農地制度
・農地の権利移動
・農地所有適格法人
・農地の転用
・農地に関する税制

3. 労務管理

診断士試験では、企業経営理論にも登場する範囲ですが、農業に関わる労務管理について詳しくみていきます。
一般的な事柄から他業種と比較した時の特徴や留意点等を抑えていくような形です。
また、従業員を雇用した際に、経営者としてやるべきことを具体的に学んでいきます。

<出題内容＞
・労働保険制度（労災保険・雇用保険）
・社会保険制度（健康保険・厚生年金保険）
・労働基準法など法令順守
・就労規則
・外国人材の雇用
・給与に関する留意点

4. 農業簿記・農業税務

診断士試験範囲との直接的な関わりは薄く、農業の会計が独特で計算も多いため、最も演習が必要な科目と思います。
農業は個人事業主も多い為、個人の確定申告の場合もあるため、ファイナンシャルプランナー試験に近い点もあります。
よく見たら、要項に「農業簿記検定」（一般社団法人農業経営コンサルタント協会監修）３級相当以上の知識が必要と留意点として書かれていたのですが、私は確認するのが遅れてしまい、残り僅かな時期に問題集を購入し、問題演習をしました。
とは言え、問題演習をしていなかったら全く歯が立たなかったと感じており、少しでも振れられてよかったと思っています。
※簿記2級は持っていますが、基本的な考え方は一緒ですが、それだけで問題を解けるかと言うとそこまで使えませんでした。
農業簿記検定　教科書3級　（第2版） ｜ 資格の大原書籍販売サイト 大原ブックストア

<出題内容＞
・農業経営の財務諸表
・減価償却
・個人および農地所有適格法人
・農業経営基盤強化準備金
・肉用牛免税
・収入保険・農事組合法人
・消費税
・経営継承と贈与税

5. 農業経営診断・改善の進め方

診断士2次試験事例Ⅳで出てくる経営分析でかなり網羅出来るため、一番とっつきやすいと思います。
また、損益分岐点(CVP)分析や原価の差異分析、キャッシュ・フローなども見ていきます。
※試験本番も電卓持込可です
敢えて強化するとしたら、農業経理士「経営管理」をやっておけばOKです。

<出題内容＞
財務分析
（収益性分析、安全性分析、生産性分析、成長性分析、損益分岐点分析、作物別分析、借入金分析、キャッシュ・フロー分析）

6. 農業マーケティング

昨年まではレポートでしたが、今年は他科目同様にCBT方式になりました。
こちらも診断士試験範囲と重なるところがあります。
トレンドと合わせて確認でき、具体例など知ることができ、楽しく学べました。

<出題内容＞
・マーケティングの定義
・ブランド価値
・STP、4P
・メリハリ消費、コト消費

取得後の更新等について

資格の有効期間は、合格日から起算して５年を経過した日の属する年度の年度末（３月末）までです。
前述の農業経営アドバイザーミーティングに出席することで、更新をする資格を得られます。
更新時には、更新審査料10,000円と下記の提出が必要になります。
1. 活動実績報告：５年間の活動実績（最低１件、最大10件）
2. レポート：アドバイザーとしてのこれまでの活動成果もしくは活動の抱負（1,200字以上2,000字以内）

所定の資格を満たすと、「上級農業経営アドバイザー」という上位資格にも挑戦できます。

感想

農業の法律や日本の農業、農業独特の税務、労務関係での課題、今後の展望など、網羅的に知ることが出来、勉強になりました。

早めに勉強に取り掛かることが出来ず、試験3週間前にようやく本腰を入れましたがｍ講義動画は20時間くらいかかりました。
更に重要な箇所を繰り返し見たりしていると時間が無くなり、講義動画が開始となる試験2か月前位からやるのが一番とは思います。
ただ、時間が無い中でも対応は可能とは思いますので、講義をしっかり聴き重要な箇所を暗記すれば対応可能です。
人によるかとは思いますが、一番は「農業簿記・農業税務」が演習をしないとやりづらいところがありますので、対策をしておくと良いと思います。

次回予告

☆☆☆☆☆

いいね！と思っていただけたらぜひ投票（クリック）をお願いします！
ブログを読んでいるみなさんが合格しますように。

にほんブログ村
にほんブログ村のランキングに参加しています。
（クリックしても個人が特定されることはありません）