【2次試験】設問解釈(R3年度 事例Ⅲ) by あらきち
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どうも、あらきちです。
今回も多年度向けの2次試験対策記事です。
先日の夏セミナーにご参加いただいた方は、貴重なお時間を割いてきていただき、ありがとうございました。
わたしも僭越ながら、事例Ⅱを題材にお話しさせていただきました。
偉そうにドヤって話していましたが、せっかく来ていただいた以上、ただ聞き流されるのではなくて、少しでもみなさんの心に響けばと思いあえて熱く話したので、ご容赦ください。
次回は、8月11日(木・山の日)に2次初受験の方にも対応した2次対策セミナーを開催予定です!
1次受験される方は、今は1次試験に専念いただき、1次試験で全力を出し切っていただいた後の最初の休日となる8/11に道場メンバー一同でお待ちしております!
さて、今日のテーマは【設問解釈】です。
夏セミナーでは、合格する可能性をより高めるためには、知識 × 解法 × 客観性 で 答案の再現性 を高め、常に240点レベルの解答を書くことの重要性をお話させていただきました。
今回は時間の都合上、夏セミナーで取り上げることのできなかった【令和3年度 事例Ⅲ】を題材に、設問解釈していきたいと思います。
注) 令和3年度の事例Ⅲは61点とぎりぎり合格点越えだったため、設問解釈がうまくいっていない部分も登場します。
正解の紹介ではなく、あくまで設問解釈のやり方の紹介として参考に読んでいただけると幸いです。
第1問
シンプルだけど、事例Ⅲの第1問で鉄板で問われやすい「強み」と「弱み」。実際に行った設問解釈はこちら。
これはとてもシンプルなので、深く解釈しようがないと思います。強みと弱みの骨子を作りやすいように、設問文を挟んで上下に分けて記入スペースを用意したのと、業界特有の何かがないか注意しようと思ったぐらいです。
しかし!! 本当に想定できるのはこれだけでしょうか?
わたしの場合は、強みに関する候補は、日頃から意識するようにしていました。
与件に登場するかもと思っていた強みはこちら。
- 高い技術力、開発力、対応力(QCDの内、特にQとDで優位性があるもの)
- 一貫生産体制などの〇〇体制(組織的な強み)
- 蓄積されたノウハウ(経路依存性)
- 〇〇で高評価(信頼)を得ている、顧客の○○に貢献している
- 営業力、ニーズ収集力 など
与件文を読む際は、VRIO分析を意識してこのようなワードに注意するようにしていました。
また、弱みはわかりやすいものが多いですが、第2問以降で弱みに対策を講じるパターンが多いため、根本原因の弱みを選択することが重要です。
※さすがに設問を読んだだけではわかりません。
第2問
第2問も設問文が簡潔であり、ヒントが少ないため設問解釈が難しいですが、実際に行った設問解釈はこちら。
受託生産品とあったので、メーカーからの受注により生産している受注生産では?と思い、「納期管理」とメモしています。
ちなみに、受注生産と見込生産の管理ポイントの違いの定番は下記になります。
- 受注生産:オーダーに応じて短納期対応する納期管理が重要。短納期対応力が強みになり、リードタイム短縮により生産性を向上することが出来る。
- 見込生産:需要予測により予め生産して在庫として蓄えておき、注文が来たら即納するための在庫管理が重要。在庫があることで即納が可能となるが、過剰在庫はコスト高、生産性低下の原因になる。
実際に与件を読むと納期管理に大きな問題はなく、在庫管理が重要になるのですが、あらかじめポイントが整理できていることで、受注生産なのに必要以上に在庫を保有していることが問題であることに気付くきっかけになります。
また、「製造工程について」という文言は、どこの生産管理を行うかという制約条件なので、下線を引いています。
次に、「効率化を進める上で」という文言は漠然としているので、「生産性向上」というよく出てくるキーワードに置き換えました。
設問解釈の段階では、置き換えた「生産性向上」というキーワードからどれだけの知識を想起できるかが重要になります。
わたしが「生産性向上」によって想起するようにしていたワードはこちら。
- 作業研究⇒標準時間設定⇒標準化⇒マニュアル化⇒OJT⇒多能工化
- DB化⇒一元管理⇒情報共有
- 自動化⇒少人化⇒余力⇒相互応援体制
- 段取改善⇒余力考慮⇒ロットサイズ適正化⇒手待ち削減
- IE(作業研究)⇒動作のムダ削減⇒手待ち削減 など
与件文が短く手掛かりが少ない問題でも、「生産性向上」の話であれば、これらのことが書かれている可能性があるな、と想起できるかどうかで、与件を読みだした際に情報を仕分けるスピードが違ってきます。
私は、この設問文を読んで自身の頭の中からどれだけ知識を引っ張ってこれるかというプロセスの精度・スピードを高めるために、TBCの抽象化ブロックシートを繰り返し読み、「生産管理とくれば○○」、「生産性向上とくれば△△」というように知識を固めていきました。
先程の生産性向上に対して想起したキーワードは、実際に私が様々な問題を解き、抽象化ブロックシートに加筆していった結果出来上がったものです。
設問解釈力を高めるためには、そうした知識の上塗りにより、もしかしたら与件文でこう来るんじゃいないかという引き出しを多くし、使う知識があっているかの方向性を正確にすることが重要になります。
知識の土台なしには設問解釈は難しいと思います。
一朝一夕にはいかないので、反復して身につけたいですね。
最後に、課題と対応策をそれぞれ書けるように余白にスペースを設けています。
第3問
またもや簡潔な設問文。設問解釈が非常に苦しい中で、実際に行った設問解釈はこちら。
見ての通り、第3問は型を書いただけで、解答の方向性を定めることができていません。
というのも、「自社ブランド製品の開発強化」「製品企画」などを目にし、
開発や企画といったらニーズ収集やな。あれ、でもなんか自分の思考が事例Ⅱっぽいぞ?これは事例Ⅲの問題やから、他の事例のパターンに引き込まれて、大外しすることは避けないとな。
と思ってしまい、与件文を読んで考えることにしたためです。
そして、事例Ⅱっぽいマーケティング要素をできるだけ控えた解答にしなければとの思いが先行し、解答骨子を作る際も、他の問題との切り分けに悩み、時間だけが過ぎていくという悪いパターンに陥っていました。
結果的には、予備校の模範解答や他の受験生の答案を見ると、製品企画面に関しては、事例Ⅱっぽい要素を書いて全然OKで、それを当たり前に書くべきでした。
もっと言うと、この設問解釈時点で、「ニーズ収集⇒活用・ノウハウ蓄積」などを余白に書いておくべきでした。
なぜか。
設問でそう問われているからです。
今回問われているのは、「課題」です。課題は、単なる問題点の指摘(粗探し)ではなく、現状とあるべき姿とのギャップを埋める方向性を示すものでした。
なので、第3問をきちんと設問解釈すると以下のようになります。
将来のあるべき姿は設問文に書いてあるので、それに対する現状分析を与件文から行い、そのギャップを埋めるための方向性を解答として示してください、というのが設問で問われていることでした。
ここまで、解釈できていると、本番も解答を示しやすかったと思います。
2次試験では、アイデアや個人の経験から答えることが求められているわけではないので、設問として何が問われているかを知識をベースに解釈し、まっすぐに解答することが重要です。
これがうまくできないと、当日の事例Ⅲのわたしのように、切り分けに悩み、時間に追われることになりますので、設問解釈の練習をしておきましょう!
第4問
今度は大きく変わって長文です。実際に行った設問解釈はこちら。
直営店事業というワードが気になったので四角で囲っています。また、長い戦略を「差別化・高付加価値化」と置き換えました。
次に、制約条件となる「経営資源を有効に活用し」に波線を引いています。(※大抵は第1問の強みを活用することになります)
そして、「最大の効果」とは、「売上・収益を最大化させるもの」と解釈しました。
まだ与件文を読み始める前なので強みも分かっていませんし、あくまで設問解釈は与件文を読む前の仮の段取りですので、この時点の解答の型どおりとならないこともあります。ただし、以下の2点は、設問解釈の結果として留意したいところです。
- 直営店事業は、フランチャイズなどに比べ、ニーズ収集や顧客対応がしやすく、ブランドもコントロールしやすい。
- 第4問で戦略の方向性を問われている場合、第1問の強みとの関連を意識する。
熟練職人の技術力が高いのか、若手も含めた分業化・標準化を図りやすい体制にあるのか、など、強みに着目しながらどちらが向いているのかを気にしつつ与件を読み進めましょう!
最後に
今回は設問解釈のやり方をご紹介することがテーマであったため、ここまで。
事例Ⅲが61点と伸びなかった原因は、設問解釈が不十分であり、第3問等で当日思い付き対応をしてしまったことにあると思っています。
設問解釈が安定すると、答案も安定してくるので、80分時間が確保できない日などは、設問解釈だけトレーニングしてみることもオススメです!
設問解釈がうまくできない原因が知識不足により設問から想起できることが少ないのであれば、知識の上塗りに努めましょう!
明日はリットの登場です!
勉強時間の作り方を紹介するよ!
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あらきち様、夏セミナーありがとうございました。
設問解釈の段階で解答の型を作る事、与件分に型の材料を探しに行く事、大変参考になりました。
今回の事例Ⅲの様に設問文が短いと「与件文を見るまで何を聞かれているのか解らない」と不安になりますが、知識があると「こう言うことを聞かれているのかな」と想定の幅が広がるのですね。
コツコツ知識を積み上げていこうと思います。
(ブロックシートの記述もクセがある気がしますが、山口講師の自信ありげな笑顔を信じて見ようと思います。)
ベアさん
夏セミナーのご参加、ブログへのコメントありがとうございます。
解法について、参考になったと言ってもらえてとても嬉しいです!
事例Ⅲに関しては、数年前だと与件に書いてある露骨にダメなところを裏返して改善する(整理整頓されていない⇒5Sで改善など)が鉄板でしたが、最近は一筋縄ではいかず、わたしもとても苦労しました。
ただ、難しいからといって当日現地対応に身を委ねるのは、自分たちがしてる努力に対してあまりにも博打要素が大きくなるので、ベアさんがおっしゃるように知識を積み上げるのはとても大事なことだと思います。
ブロックシートの良いところは、「キーワード集」ではなく、「知識」として整理されているところだと思います。その分確かにクセがありますが、2次試験の論点をよく使うキーワードとして覚えてしまうと、そのキーワードに引っ張られて因果や読みやすさが破綻することがあるので、ブロックシートでしっかりと知識として覚えた上で、知識で考えた後に実際の解答に落とし込むときはクセがなく伝わりやすいようにキーワード化していました。
余談ですが、山口講師とは合格後に電話やメールでやりとりさせていただきましたが、事務局の方も含めみなさんとても対応が丁寧でしたので、信じてみるのも良いと思います。ただし、実際の解答は「まとめシート流」のような、与件(ヒアリング内容)を大事にして、難しくならないように書く方に寄せることがポイントかもしれません。
正解のわからない試験なので、まだまだみなさんと一緒に試験に向き合いたいと思います。
一緒に頑張りましょう!!
ご丁寧なアドバイスありがとうございます。
おっしゃる通り、実際の与件文はそのものズバリのキーワードで書かれていませんので、与件文を読むにあたっては、キーワードを覚えているだけでは何の論点か気付けないかも知れません。
与件文に書かれている具体的な事象を手掛かりに「どの分野の論点か?」と抽象化すると同時に「周辺知識を想起できる」のがブロックシートの良いところですね。
一方で解答を書くにあたっては、試験委員の方々の文献を研究し尽くした山口講師の高度な文章を受験生が真似すると事故を起こしそうですので、解答にあたっては与件文をそのまま抜き出すまとめ流の方がリスクが低いという事ですね。
狙うのはハイリスク・ハイリターンでは無く「毎回240点を取れるクセのない解答」を目指す事を留意します。
アドバイスありがとうございました。
ご返信ありがとうございます!
こういう表現を使うと失礼にあたるかも知れませんが、そこまでご理解されているとあとは事例Ⅳの努力も怠らずに、当日いつも通りできるようにするのみだと思います。
最近すっかり熱くなってきましたが、燃え尽きない程度にモチベーションを高く維持しながら走り続けたいですね!
ありがとうございます。
失礼等と、とんでもございません。
頭で解っているつもりと実際に出来る事は違うというのが診断士試験の厳しいところ、対策は手を動かす事ですね。
本日もあえて仕事後の疲れた状態でNPVに挑んでみました。
本日はお話出来て光栄でした。
ありがとうございました。
おつかれの中での努力、尊敬します!
こちらこそありがとうございました!!