模試終了後の「ヤルコトリスト」
こんにちは。ハカセです。
先週末、中小企業診断士試験対策講座を持つ受験校では最大手と思われる TAC の一次公開模試が終了しましたね。
成績が良かった人、悪かった人、それぞれだと思います。
模試が終了すると、本番まで残り一カ月。この「超直前期ヤルコトリスト」は、すでに昨年の「模試120%活用術」のエントリーと重なる部分も多いのですが、もう一度一緒に整理したいと思います。
■ 燃え尽き症候群に注意 ■
模試直後に、僕に訪れたもの。それは、
「燃え尽き症候群」
でも、これはある意味、致し方ないと思います。怒涛の7週間を必死に切り抜け、模試直前の一週間も模試だけを考えて過ごし、全力投球してやってきたわけですから。
燃え尽き症候群からの脱出のカギは、「受験仲間」、「相対位置の確認」、「やること(やらないこと)の明確化」です。
■ 切磋琢磨できる仲間 ■
「模試120%活用術」 の記事にも書きましたが、僕を燃え尽き症候群から救ってくれたのは、後日合格後に一緒に道場を立ち上げることになる ふうじん からのメールでした。
詳細は この記事 を読んでいただくとして割愛しますが、ここから本試験までの一か月のモチベーション維持のために、勉強仲間の存在は重要です。
受験校などで勉強仲間がいる方は、会合を持たなくてもいいですから、メールなどで積極的に励ましあいましょう。
勉強仲間がいない方は、Twitterの 中小企業診断士の #smec クラスター(http://twitter.com/#!/search?q=%23smec )を閲覧して仲間の頑張り具合を覗くのもよいでしょう。でも、プレッシャー合戦にならない程度にね
■ 一次試験も実は相対評価 ■
まずは、自分の位置を確認しましょう。
一次試験は平均60点を取る試験です。それは言うまでもありませんが、各科目で凹凸が許されています。そして40点という足切ラインがあります。
結果的に、この一見単純に見える合格ラインが、絶妙に合格率が20%前後になるように調整してくれます。本当によくできた試験制度だと思います。
そう考えると、(二次試験のみならず)、一次試験も実は相対評価の試験という側面があるかもしれません。
そうすると、合否のポイントは「みんながわからない問題を僕だけ正答できるようにすること」ではなく、「みんなが正答できる問題を確実に正答できること」になります。
「え? それじゃあ平均点しか取れないじゃないか」と思われる方。
そうじゃないんですって。難易度A/B/Cの問題が正答できれば、つまりみんなが正答できる問題が正答できれば、十分合格するチャンスのある試験なんです。
ここ、間違えないでくださいね 。
■ 模試の成績の総括はまだ早い ■
だから、現時点(模試終了直後、模試結果返却前)で模試の点数が6割を超えたとか超えないとかで一喜一憂しているのは、残念ながら賢明ではありません。
事実、模試で平均60点をとれば、2009年の模試では上位7.3%、2010年模試では上位7.09%です。
つまり、模試は本試験よりも難しくできているのです(Twitter やブログを見ていると、今年は多少難易度が低いかもしれないけど・・)。
6割超えた人は喜んでもいいかもしれません。合格への自信・確信は得られましたか? (でも、燃え尽き症候群に注意ですよ!)
でも、6割を超えていないからと言って、「どよ~ん」とするのは、早計です。
しっかりと模試の結果が郵送されてくるのを確認して、上位20%に入っているかどうかで判断しましょう 。
何度も言いますが、診断士試験は、「絶対評価」にみえますが、実は「相対評価」の側面が強い試験です!
■ 模試復習は成績表入手後が効果的 ■
模試が終了して、早速復習に取り掛かっている方もいらっしゃると思います。うん、それはGoodです。燃え尽き症候群になるよりは余程よいです。
でも。ある程度の復習が終わったら、模試の成績表が戻ってくるまでは、他の勉強(答練やスピード問題集)をやっていることをお勧めします。ちなみに2009年は約15-20日後に郵送されてきました。
なぜならば、一次試験は相対評価の側面があるから。効果的な復習のためには、学習のメリハリが必要です。そのためには他の受験生の正答率という客観的なデータが不可欠です。
この写真にあるように、模試の成績表には「設問別正答率」が表示されています。正答率が高かったのに誤答した問題を集中的に復習するべきです。
繰り返しますが、みんなができる問題を、自分もできるようにすること。これが合格への近道です。
同じ文脈で、答練の復習をする際にも、TAC(や他の受験校)が公開している「設問別正答率」をチェックしながら復習するのが本当は効果的です(TACはここで公開しています)。全問チェックしなくても、正答率が低いものだけ抽出して、その問題のプライオリティを下げるなどの措置はとれると思います。
■ 徹底的にアウトプット ⇒ テキストは辞書として ■
さて、やることを明確にしましょう!
模試以降はテキストを一切開かなくても構いません。徹底的にアウトプットにこだわるべきです。
- 「トレーニング」小冊子(TACの場合)
- 自作の単語帳
- スピード問題集(市販)
- 養成答練
- 完成答練
- 自宅学習用問題
- 過去問(5年分)
- そして模擬試験
これがこの一か月やることの全てです。これらを、繰り返し、繰り返し、繰り返し、嫌になるほど繰り返して解きましょう。
「え?これだけ?」という方。上記を7科目分、2-3回転したら、すぐに一か月ぐらい経ってしまうでしょう 。
「え? テキストでまだ理解していない部分があるんだけど・・・」という方、心配ですよね。確かに。分かります。
でも、もうこの時期、問題形式から逆算して理解するようにしたほうが、より実践的なトレーニングを積むことができます。
もちろん、テキストを開くなといっているわけではありません。理解できない問題があって、そしてその正答率がA/B/C難易度だった場合には、テキストに戻って該当部分を確認しましょう。
つまり、テキストをあくまでも辞書として使うのです。難易度が高い場合には、余裕がなければ、テキストに戻らず捨ててもOK 、ぐらいのつもりでやりましょう。
■ そのかわり「鶏がら学習」が絶対条件 ■
「え? テキストに掲載されている知識がすべて問題になって問われているわけじゃないじゃないか」という方。鋭い。確かにその通りです。
僕もこの点が非常に不安でした。でも、結果的には、より重要な論点は「何らかの形」で問題になっているものなのです。
「何らかの形」というのが重要です。そう、選択肢の一つとして使われているかもしれないのです。
だから、アウトプットをするときには、選択肢の一つ一つも、しっかり読み込んで、○× のみならず、正答の理由や誤答の理由まで手を抜かずにしっかり自分に説明することが大事です。
「覚えているから ア」、「なんとなく イ」、「雰囲気で ウ」というのが、一番合格から遠ざかるパターンです!
確かに何度も解いていれば、中には覚えてしまっている問題もあるでしょう。でも、いくら直前期だからといって「皿回し」のようにサラーッと流していては全く意味がありません。
「これはどうして ア なんだっけ」。「関連知識はなんだっけ」。「解答解説には確かこう書いてあるな」。と、骨までしゃぶるようにアウトプットするのです。
逆に、「テキストに載っているのに選択肢としても使われていない知識」は、その知識が(万が一)本試験に出題されてしまった時のTAC(または受験校)の言い訳として載っているだけ。もうそういうものには目を呉れずにバッサリと切り捨てるのが正解。こういう大人の事情もしっかり理解しましょう。
合否の分かれ道は、「みんなが知らない知識を自分だけが持っていた」では絶対にありません。
「覚えていたつもりのあの知識が試験では出てこなかった」が、合否の分かれ道です。そのためにも、「皿回し学習」よりは「鶏がら学習」が必須です。
■ やらないことの明確化 ■
企業診断7月号 で、女性診断士の Tiara さん も述べていらっしゃいますが、この超直前期では、「ヤルコトリスト」を作るのと同時に、「やらないことリスト」を作ることも重要です。
僕の場合は、
学習範囲 = テキスト + 答練 + 過去問 + 模試
と「やること」に決めました。
やることを決める = 「それ以外はやらない」
つまり、TAC模試を最後の学習範囲とし、それ以外はやらない、と決めたのです。
これは昨年の「模試120%活用術」のエントリーとの重複になりますが、成績が振るわないからといって、これまで与えられた知識ですら十分習得できてないのに、「しまった、合格ラインに達してないから他の人と差別化するために新しいテキストや問題集を・・・」と、守備範囲をさらに拡大するのは余りお勧めできません。
他社の模試が気になる方もいるでしょう。受ける受けないは自由です。でも僕は余りお勧めしません。
そもそも、上記に挙げたアウトプット(答練)だけでも、相当なボリュームがあります(コメント欄でご指摘いただいた通りです)。これ以上、模試を受けてもカバーしきれない可能性のほうが高い。
であれば、要らぬ不安材料を抱えるよりも、守備範囲をキッチリ決め、その範囲をしっかりと自分のものにすることです。
ここで焦る方と、腰を据えられる方は、合否を分けます。
■ 直前10分で覚えるリスト ■
上記のように、基本的にはアウトプット中心として、その比率も、
アウトプット vs インプット = 95 vs 5
でOKです。
ただし、一つだけ本試験までに準備することがあります。それは、「直前10分で覚えることリスト」の作成です。
どうしても迷う論点ってありませんか?
僕の場合は、法務と情報にこれが多かったんですよね。IPマスカレードとNATの違いとか。「2週間前」ってどこに出てきたっけ? とか。
極論、そういう知識は、該当試験の60分間だけ覚えていればよい知識です。これだけを凝縮してまとめた「串刺しリスト」をどこかのタイミングで作ることをお勧めします。「ミス(間違え)リスト」かもしれませんね。
僕はこれを、テキストの表紙裏の余白に書きました。なぜかというと、自信がなくなったらすぐにテキストを参照できるので、写し間違えのリスクがないから。よく間違える論点は、写す時ですら間違えますからね。
この話は、試験の二週間ぐらい前に、また改めてしますね。
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いかがだったでしょうか。皆さんの「これからやろうとしていること」と、どれだけ共通しているでしょうか。
当然ですが、何もかもここに書いてある通りやる必要はありません。
昨年の「模試120%活用術」のエントリーも併せてご覧になって、参考になるところだけを抽出して、自分に当てはめて使ってみてくださいね。
ではまた!
by ハカセ
スピ問が3答練分だとカウントして、
スピ問、過去問5年分、養成答練、完成答練、自宅用問題、模試
を合計すると1科目あたり12答練。7科目で84答練分になりますね。
それを2回転回すとして、168答練分。。。
30日でわると1日5.6答練。毎日これだけをこなすなんてすごい。。
正直、骨までしゃぶっている時間はないです。。やはりかなり濃淡つけるんですかね。
>RINさま、コメントありがとうございます。ご参考になれば幸いです!頑張ってください!
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>kayoさま、おー! 鋭いご指摘、ありがとうございます!まず中小の過去問は殆どありませんよね。そして自宅用問題がない答練もあります。スピ問は簡単なので2答練ぐらいの負荷でしょう。よって、7科目で70答練程度だと思います。それを二回転だと140答練。本試験まで38日で計算すると、一日約4答練の計算ですね。ちなみに僕は受験生時代の直前期、平日は3答練、土日は4-5答練解いていたと思います。だから論理的には可能です! (^_^;) ただ、僕が言いたいことは「それだけいっぱいやりましょう」ではなく、「答練を中心としたアウトプットだけでも十分やることがある」ということです。これを2回転することが必須というわけではなく、得手不得手の科目に応じて濃淡をつけ、量と質のバランスをとることが大事だと思います(量だけを重視する皿回し学習は避けたいし、じっくりやりすぎて時間切れになるのも避けたい)。無理せずに頑張ってください!
TAC速習生です。やるべきことが見えた気がします。ありがとうございます。頑張ってみます。