2020/03/26 | 中小企業診断士試験 一発合格道場のブログ記事

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皆さま、こんにちは。ぴ。です。

今回は、経営法務の特徴と特許法改正のお話をしたいと思います。

4月1日に改正特許法等が施行され、診断士の経営法務で超頻出領域である特許法、意匠法、商標法が大きく見直されます。

本日は3月26日ですので、もう6日後に迫っているんですね。

このようなタイムリーな時期に加えて、経営法務を再受験されるかたは特に法改正の情報収集が悩みの一つかな・・・と個人的に想像しているため、今回の記事内容に至った次第です。

例えば、「今年の法改正って何があるんだろう・・・」とか、「テキストや問題集を買いなおさないといけないのだろうか・・・」などなど。

私は経営法務を4回受験していて、再学習時に古いテキストでは不安で新しいテキストを買いなおす、模試を受けて改正点の問題だけチェックする、なんてことを繰り返してました。

出題者目線で考えると、問題作成の動機付けになりやすい法改正の論点は出題しやすいと思います。また、出題する場合は初回の論点となるので比較的易しめの問題にする可能性もあります。

ですので、受験生側の対策として新しいテキストの入手等を含め法改正の情報収集は万全にしていただくことをおススメします。

そこで、今回は経営法務の特徴について私の捉え方をご紹介するとともに、改正特許法等の「特許法」についてざっくりと今年はこんな法改正がある、ということがお伝えできたら幸いです。

また、今回の記事に至ったもう一つの理由として、私は現在実務上の対応のため、特許法改正による変更点や留意点などをあらためて勉強中です。この機会を通じて読者の皆さまと一緒に確認していけたら嬉しく思います。

※意匠法、商標法の改正点についてはテキスト等でご確認いただければ幸いです。もし読者の皆さまからリクエストをいただけたら私も勉強して記事にできたらいいなと思っています。

他の出題領域の「民法改正」については10代目たっつーのこちらの記事をご参考くださいませ。

ケースで学ぶ民法改正のポイント【前編】

【渾身】ケースで学ぶ民法改正のポイント【後半】

・・・それでは、本日の記事をスタートします。今回の記事は長いので、お時間の無いかたは👈オススメの箇所だけでもお読みいただけたら嬉しいです。


☆もくじ☆

経営法務の特徴

私の経営法務に対する捉え方・学習方法  👈オススメ

特許法等

1.特許法改正の背景

2.査証制度の創設 ☚読み飛ばしOK

3.損害賠償額算定方法の見直し  👈オススメ

4.特許法改正まとめ


①経営法務の特徴 

まず初めに、「私の経営法務科目に対する捉え方と学習方法」についてご紹介します。

経営法務は、合格体験記まとめ~1次試験編~でご紹介したように1次試験の科目の中で苦手とするかたが圧倒的に多いです。

その要因は、テキストや過去問等で時間をかけて暗記しても、他科目と比べて本試験での得点に繋がりにくいためだと考えます。

具体的には、

①図表・グラフの問題や会話形式の長文問題など、出題形式が多様なこと。

②出題領域を横断した問題など、単に知識を知ってる・知らないを問う問題ではないこと。

このような要因から学習時間に対する費用対効果が相対的に低い科目であると言えます。

受験生時代のぴ。回想:「法律を頭で理解するのは手厳しい。だから、ひたすら暗記するしかないんだけど、いざ本試験では知ってるだけでは対応できない問題が多いんだよなぁ。法務は暗記3兄弟の中で暗記が得点に繋がりにくいやっかいな科目だなぁ。」・・・と感じていました。

しかしながら、ここは割り切りの気持ちやポジティブシンキングで乗り切るのはいかがでしょうか。

✅暗記が結果に繋がりにくい科目であるので、他科目と比べて学習時間をかけずに50~60点でいいやという割り切りの気持ちを持つ。

✅他科目と比べて頻出領域に偏りがある(会社法と知財で5~6割出る)ので、強化すべき学習領域が明確で取り組みやすい。

✅法改正の論点は出たらラッキーくらいの気持ちで浅く広く満遍なく押さえておく。

といったように、苦手意識があるかたは極力負担を減らし、頻出領域や改正論点の学習に注力するなど効率的な学習をすることをおススメします。

また、過去問の学習時のポイントを少しご紹介します。

頻出領域は、鶏ガラ学習法がおススメです。)

単に正解することを目的とせず、不明点や周辺知識をテキストや参考書などでその都度参照する習慣をつける。

✅出題形式が多様なことや、出題領域を横断して出題される問題が多いこと、などを把握する。

✅不適切な選択肢はなぜ不適切なのか、正解の選択肢は自分が不適切にするならどういう誤りの文にするか、など「考えながら学習する」。

✅法律は原則があれば、例外もあるので、正解の選択肢は断定的な表現になりづらい特徴があることも問題を解く際に確認する。

例えば、R1経営法務第10問の四肢択一式問題では意匠法、商標法、不正競争防止法の知識が横断的に問われています。

イは、混同惹起行為の周知性の知識を学習することに加え、著名表示冒用行為の著名性(周知性よりもさらに広範囲な全国的範囲で商品等表示が知られている必要性)などの周辺知識も拡充します。

ウは、出願変更は特許法、実用新案法、意匠法は相互に可能ですが、商標法には出願変更の規定はないことを抑えます。また、出願変更の時期的条件等にそれぞれ違いがあるので周辺知識を拡充します。

知財の領域の学習のコツは、まず特許法をがっちり抑える。そしてその他の実用新案法、意匠法、商標法は特許との違いを意識して学習することをおススメします。

エは、選択肢の文末のように「登録されることはない」と断定的な表現は誤りの選択肢になる可能性が高いことを確認しておきます。

※参考 経営法務の科目受験を受けるかたなど確実に60点以上取りたいかたへ

個人的にですが、知財の領域は超頻出にもかかわらず診断士の経営法務のテキストは知財の内容が少し乏しい感じがしていました。

そこで、参照資料としておススメなのが特許庁のHPにある制度・手続の資料です。(出典:特許庁HP 制度・手続)

図が盛りだくさんで、私のような初心者にも分かりやすいように説明されています。過去問で関連知識を参照する際にとても役立ちました。

 

経営法務の学習方法に関するおススメの過去記事をご紹介します。

【独学者向け?】経営法務のアウトプット

覚えても解けない経営法務との闘いかた

【法務】暗記したのに点が取れない

こちらも是非ご参考下さい。

 

②特許法等

今回改正される特許法、意匠法、商標法のうち、「特許法」について特許庁公表の知的財産権制度説明会資料を参考として私が勉強した範囲でご紹介したいと思います。

全体の概要を把握するとともに、過去問の出題形式を参考に診断士試験で出題されそうだなというポイントを想定しながら見て頂けたら幸いです。

※2.査証制度の創設は「公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲において政令で定める日」に施行となっておりますので、試験問題作成時には未だ施行されていないかもしれません。出題可能性が低いため、興味のないかたは申し訳ございませんが読み飛ばしてくださいませ。

※3.損害賠償額算定方法の見直しは「公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日」に施行となっておりますので、出題可能性が十分にあります。なお、特許法だけでなく、実用新案法、意匠法、商標法にも適用されます。

1.特許法改正の背景

特許とは、一言でいうと「新しい発明を保護する制度」ですよね。

今回の改正の目的は、

「デジタル革命により業種の垣根が崩れ、オープンイノベーションが進む中、中小・ベンチャー企業が優れた技術を活かして飛躍するチャンスが拡大している。せっかく取得した特許で大切な技術を守れるよう、訴訟制度を改善する」となっています。

特許法では、権利者の許諾なしに特許発明を実施する第3者に対して、権利者が差止め請求や損害賠償請求を提起することができます。

しかしながら、現行の特許侵害訴訟では第3者が「侵害し得」になる懸念があります。

・特許権は公開されているため、侵害が容易。
・証拠の多くは侵害者側が持つため、立証が困難。
・刑事事件として起訴されたことがないため、侵害を抑止しにくい。

そこで「侵害し得」にならないような配慮をするため、今回①査証制度の創設、②損害賠償額算定方法の見直し、が施行されます。

(出典:特許庁(令和元年度知的財産権制度説明会

 

2.査証制度の創設 ☚出題可能性低いため読み飛ばしOK

特許侵害訴訟では特許の権利者(原告)が侵害の立証責任を負うのですが、通常では証拠の多くは侵害者(被告)が持っていると考えられます。

それだと権利者側で侵害の立証をするのはとっても困難です。にもかかわらず現行制度では十分な証拠を獲得できないことが指摘されていたようです。

そこで、証拠収集手続きの強化のため、新たに「査証制度」というものが創設となったのですね。

豆知識 ドイツの査察制度というものを参考にしたみたいです。

ここで、「査証制度」の定義を調べると、

「特許権の侵害の可能性がある場合、中立な技術専門家が侵害している疑いがある者の工場に立ち入り、立証に必要な調査を行い、裁判所に報告書を提出する制度」とされています。

★試験に出題されやすいポイント(例えば、四肢択一式形式の出題が想定できます。)

具体的には、弁護士や弁理士、研究者等の技術専門家の中から裁判所から指定された「査証人」が侵害している疑いがある者の工場への立入検査、書類等の提示要求、機械装置などの調査などを実施し、結果報告として「査証報告書」が当事者に開示されたときに、書証として提出することが可能になります。

査証制度のスキームは下表をご参照下さい。

(出典:特許庁(令和元年度知的財産権制度説明会

 

〇査証制度の利用が考えられる例

・製品を分解(リバースエンジニアリング等)しても特定できない製造方法

・書類では検証が難しいプログラム等の特許

・市場での入手が難しいBtoB製品

〇権利者側の留意点

訴訟提起後でなければ査証の申立てができないため、もしかしたら侵害されているかも・・・といって試しに調べてみるといった目的で利用することはできないようです。

また、査証を受ける側の負担を考慮して、厳格な4つの要件(①必要性、②蓋然性(がいぜんせい)、③補充性、④相当性)求められ、査証命令の決定については即時抗告が認められています。

★試験に出題されやすいポイント(例えば、会話形式の穴埋め選択問題の出題が想定できます。)

①侵害行為の立証に必要であること・・・必要性

②特許侵害の蓋然性があること・・・蓋然性(実現性や確実性に近い言葉)

⓷ほかの手段では証拠を十分に収集できない・・・補充性

④相手方に過度な負担がかからないこと・・・相当性

即時抗告は、迅速に確定させる必要のある決定に対する不服申立ての方法。

〇査証を受ける側の留意点

査証が実施されると、秘密情報が申立人や査証人等に見られてしまう恐れがあります。

秘密情報を黒塗りにできる、できないの判断は侵害立証の必要性と秘密保護の必要性を比較したうえで判断されてしまいます。

そのため、営業秘密について秘密として管理が徹底されていない場合は保護されない可能性があるので査証制度を通じて外部に漏れてしまうリスクがあります。

 

3.損害賠償額算定方法の見直し 👈オススメ

改正前の特許侵害訴訟制度では、侵害者が製品をたくさん販売して不正に多額の利益を得ていたとしても、権利者の生産・販売能力を超える部分は損害賠償額が認められないことがありました。

つまり、侵害者と権利者で実施能力等に大きな差がある場合、損害額が大幅に減らされて、十分な損害賠償額を得ることができない恐れがあります。

生産・販売能力の低い中小企業等からすると「なんだよそれ・・・侵害し得じゃないか」って感じですよね。

そこで、十分な損害賠償請求を得られるようにするため、損害賠償額算定の見直しがされます。

(注)先にも書きましたが、損害賠償算定方法の見直しについては、特許法だけでなく、実用新案法、意匠法、商標法においても同旨の改正が実施されます。

(1)権利者の生産・販売能力を超える部分は損害賠償が認められないというのではなく、相手方にライセンスをしたものとしてライセンス料相当額(実施料相当額)の損害賠償請求を認める。

(出典:特許庁(令和元年度知的財産権制度説明会

例えば、現行の特許侵害訴訟制度では侵害者が10個販売していたとしても、権利者が6個しか生産・販売能力がない場合、6個分の利益に対する損害賠償しか認められませんでした。

これが、今回の改正により、残り4個分はライセンスしたものとして「6個分の利益+4個分のライセンス料」の損害賠償が認められるようになります。

 

(2)ライセンス料相当額(実施料相当額)の算定は、特許権侵害があったことを前提として交渉した場合に決まるであろう額を考慮できる。

例えば、平時にライセンス契約をしていた場合に1個当たりのライセンス料の基準が100円相当であったとします。

しかし、侵害行為の事実や権利者の許諾機会の損失などを考慮して、ライセンス料が1個150円や200円といった平時よりも多い賠償額が認められる可能性があります。

★試験に出題されやすいポイント(例えば、4肢択一式問題等が想定できます。)

今回の損害賠償算定方法の見直しによって、特許侵害を受けた特許権利者は、自社の生産・販売能力を超える部分に対して、ライセンス料相当額として損害賠償できる可能性があります。

4.特許法改正まとめ

・改正の背景は、特許侵害の証拠を集めにくい、十分な損害賠償額を得られないなど、「侵害し得」にならないような配慮がある。

・「査証制度」は、裁判所の選んだ中立な立場の専門家(=査証人)が、侵害の疑いのある事業所などに立入調査し、証拠を収集し、その結果を裁判所に報告する制度のことをいう。

・査証制度の利用シーンとして、製品を分解しても特許侵害が判明しない場合、製品の入手や書類の検証が困難な場合など、証拠を収集しにくい場合である。

・査証の実施には、①必要性、②蓋然性、⓷補充性、④相当性の4つの要件を満たす必要がある。

・特許侵害を受けた事業者は、自社の生産・販売能力を超える部分に対して、ライセンス料相当額として損害賠償請求できる。

・ライセンス料相当額の算定は、平時にライセンス契約した金額よりも高額な金額の賠償額が認められ得る。

今回の改正によって、「侵害し得」な状況が改善され、特に生産・販売能力が低い中小企業やベンチャー企業の大事な技術が守られることを切に願います。

今回は以上となります。読んでいただきありがとうございます。

ぴ。でした。


☆☆☆☆☆☆☆

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