計算が苦手な人は事例4で部分点狙いもあり
みなさんこんにちは、事例4担当のおとです。
自己採点で1次合格を勝ち取った人は、そろそろ情報収集を終えて、実際に過去問を解き始めている頃でしょうか?
ストレート生にとっての2次試験は短期決戦になるので、どうやれば合格するのかのイメージがなかなか付きづらいと思います。
昨日うみのさんが、「2次試験対策の「正解」はどこにあるのか~本質対ノウハウ論に決着を~」を書かれていました。これに、私も思うところがあるので一言だけ言わせてください。
これは、坂の上の雲(司馬遼太郎 著)の主人公の一人である秋山真之が、新設した海軍大学校の初代教官として、生徒に対して話した言葉です。独学派の私は、この言葉を大切にしていました。
「ここに、戦術の講究を開催するに先立ち、諸君に明らかにしておく。あしから戦術を学ぼうと、思わんでください。学んだ戦術はしょせん借り物でありますから、いざという時に応用が効かん。したがって、みなが個々に、自分の戦術を打ち立てることが肝心であります。然るにまず、あらゆる戦術書を読み、万巻の戦史を読み解いてみる。どう戦えばよいか、原理原則は自ずと引き出されてこよう」
(※)ご存じの無い方のために説明します。この人は日露戦争の時に、ロシアの海軍(バルチック艦隊)と戦う日本海軍(連合艦隊)の作戦参謀であり、現代風にいえば日露戦争を勝利に導いたコンサルタントです。
この秋山真之の言葉を、診断士受験生に置き換えて、現代風にいうとこうなります。
「2次試験に立ち向かう受験生にはっきり言います。一発合格道場から、ノウハウを学ぼうを思わないでください。学んだノウハウはしょせん借り物でありますから、本試験当日では使えません。したがって、受験生全員が、自分独自の戦術を打ち立てることが大事です。そのため、道場ブログだけでなく、様々な本を読み、セミナーに出席し、過去問を繰り返し解くことで、本試験でどう戦えばいいか、原理原則は自ずと引き出されます。」
合格するために、自分独自の戦術を打ち立てて頑張ってください。
計算が苦手な人は事例4で部分点狙いもあり
さて本題に入ります。今日のテーマは、「計算が苦手な人は事例4で部分点狙いもあり。」です。
事例4の場合、財務会計の知識と計算力が必要です。でも、解答の方法によっては、計算を一切しないでも、部分点を狙うことはできます。昨年の本試験を使って部分点狙いの方法を解説します。
まず、昨年の本試験の配点および設問の種類は以下の通りでした。
設問 |
配点 |
設問の種類 |
|
第1問 |
24点 |
計算・記述(90文字) |
|
第2問 |
設問1 |
30点 |
計算+記述 |
設問2 |
計算+記述 |
||
第3問 |
設問1 |
30点 |
計算 |
設問2 |
計算+記述 |
||
設問3 |
計算+記述 |
||
第4問 |
16点 |
記述 |
|
合計 |
100点 |
これを見て分かるように、事例4は計算だけでなく、記述も含まれているのです。
それでは、個々の問題を例にして、具体的に説明します。
例えば、第2問 設問2は、こんな問題でした。
第2問(配点30点)
(設問2) 平成27年度から平成31年度までの5年間における予想税引後キャッシュフローの正味現在価値を計算し、駅前の再開発完成に合わせて平成26年度期末に改装するか、予定どおり平成27年度期末の償却が終わるのを待ち平成27年度期末に改装するかを判断せよ。ただし、運転資本の増減はなく、法人税率は40%、資本コストは5%とする。
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この問題に対する、受験校の解答例は概ねこんな感じです。
平成26年度期末に改装する場合正味現在価値
=-設備投資の正味現在価値 + ∑(予想税引後CF×現価係数) =-15,000 +(5,000×0.95+4,200×(0.91+0.86+0.82+0.78)) =3,904(千円) 平成27年度期末に改装する場合 正味現在価値 =-設備投資の正味現在価値×現価係数+∑(予想税引後CF×現価係数) =-15,000×0.95+(3,245×0.95+4,200×(0.91+0.86+0.82+0.78)) =2,987(千円) 平成26年度に改装した場合3,904千円 > 平成27年度に改装した場合2,987千円 答:上記の計算の結果、正味現在価値が大きい平成26年度期末に改装すべきである 。
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こう書けば、おそらく15点は貰えるでしょう。
次に、まったく計算せずに記述だけの回答は次の通りです。
計算の結果、5年間における予想税引後キャッシュフローの正味現在価値は、平成27年度期末に改装するより、平成26年度期末に改装したほうが大きくなるので、平成26年度期末に改装すべきであると判断する。
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まったく計算しないで、このように書くだけでも5点くらいは貰えると思います。
次に第3問です。
第3問 設問3の問題は次の通りでした。
第3問(配点30点)
D社のセントラルキッチン部門における、人気商品X、Y、Zのロット単位当たり原価情報等は以下の資料のとおりである。生産はロット単位で行われている。生産したものはすべて販売可能であり、期首・期末の仕掛品などはないものとする。下記の設問に答えよ。 (設問3) 設問2の条件に加えて、商品XとZに販売促進費として、それぞれ50万円を追加すると、平成27年度の需要はXがさらに10%増加、Zが25%増加するとの予測に基づく提案がある。この提案を受け入れた場合の最適なX、Y、Zの生産量の構成比を求め(a)、この提案に対する意見を述べよ(b)。
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この問題に対する、受験校の解答例は概ねこんな感じです。
b
提案を受け入れる 理由 制約条件である時間あたりの限界利益の大きい順は、商品X、商品Z、商品Yの順番になる。しかしながら、個別固定費が回避できない場合 、商品Yの貢献利益がマイナスになるため、生産をしない。この提案を受け入れた時の最適な営業利益は10,050,000円となる。この営業利益は、販売促進費の提案を受けない時の営業利益16,800,000円より小さくなるため、この提案を受け入れない。
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この解答であれば5点は貰えるでしょう。
次に、まったく計算せずに記述だけの回答は次の通りです。
b
提案を受け入れる。 理由 個別固定費が回避できないと想定した場合、商品Xと商品Zに販売促進費として、それぞれ50万円を追加する場合より、需要増加による営業利益の増加のほうが大きいため、この提案を受け入れるべきである 。
|
ここまでかければ、おそらく2点はもらえるとおもいます。
いかがでしたらでしょうか?
ここだけみると、計算も記述もすべてあっていた場合、20点ですが、記述だけでも7点はもらえます。しかも、この記述をするのに何分かかりますか? おそらく、5分あれば、この記述は書けるでしょう。ここで節約した時間を別の問題を解く時間にあてるもの作戦のうちです。
今日のまとめ
- 計算が苦手であっても、それなりに戦う方法はある。
- 事例1~3で得点を稼いで、事例4では記述問題で部分点を確保して40点以下を回避するのも、立派な自分独自の戦術。
- 一番ダメなことは、白紙答案。白紙では部分点は絶対にもらえない。
合格するために、自分独自の戦術を打ち立てて頑張ってください。
以上、おとでした。
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