一生忘れられない2日間—COOさん「愛」の合格体験記
こんにちは。ZonEです。
本日はCOOさんの合格体験記をご紹介します。
COOさんは、ハンドルネームの通り、中小企業の取締役COOをしている方なのですが、「見た目の怖さ」と「内面のやさしさ」のギャップが非常に魅力的な方です。
それでは、ハンカチをご準備の上、ご覧ください!!
—–寄稿ここから—–
一発合格道場ブログをご覧の皆様、はじめまして、COOと申します。
私は平成20年度にはじめて診断士1次試験を受けました。
1次はストレート合格でしたが、その後の2次、さらに翌年平成21年度の2次と敗退し、平成22年度は1次から再チャレンジとなりました。
そして・・・3年間かかりましたが、「合格」しました。
このブログが「一発合格道場」と銘打っているだけに、「3年掛かった俺の話なんて、みんな興味あるかな?」とも思いましたが、道場執筆メンバーの皆さんには、普段からなにかとお世話になっており、なんらかの形で少しでも恩返しができればと、合格体験記を寄稿させて頂くことしました。
なので・・・、ストレート合格された他の方とは少し違った体栽の、私なりの合格体験記になっています。
テーマはずばり、「愛」です(笑)。
2次試験本番前夜
2次筆記試験合格発表日
一生忘れないであろう、この2日間のことを書かせて頂きます。
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平成22年10月23日(2次試験本番前夜)
やはり、なかなか寝付けなかった。
息子が生れてから、「家の中では禁煙!」と嫁の鶴の一声で決定したので、何度もベランダに出て、煙草を吸った。
我が家は、東京スカイツリーから徒歩3分のマンションで、ベランダに出ると、空へと伸びていく、巨大建造物を目の当たりにできる。
中小企業診断士の勉強を始めたのが、2007年の夏。
東京スカイツリーは、着工前。
我が息子も、誕生前。
「需要の価格弾力性」も「CAPM」も「官僚制の逆機能」も「セル生産」も、「専用実施権」も「OSI基本参照モデル」も「特定ものづくり基盤技術」も、言葉すら聞いたことがなかった。
企業経営理論の組織論のまどろっこしい言い回しに何度も心が折れかかり、経済学があまりにも理解できず、半泣き状態でグラフを何度も書き、財務に至っては、NPV、IRR、CAPM、WACC・・・、なんだこれ?って感じだった。
それでも、「もうやめよう」とは一度も思わなかった。
共にもがく通学仲間や、熱心な講師、我が社で頑張ってくれている社員、模試や演習の度に元気づけてくれる嫁(当時は彼女)・・・。
自分でやりたいと思い、始めた試験勉強だったが、どこかで常に、「自分以外の人の為」って感覚があった。
自分の奢りなのかもしれないが、「自分以外の人の為」って自ら思いこむこと(自己暗示?)でなんとか試験勉強を続けられたのかもしれない。
「そうか・・・、人って自分の為に頑張り続けることって、意外にできないのかもしれない。
逆に、人の為ってなると、意外に頑張り続けられるのかもしれない。」
そんな事をこの3年間ぼんやり考えていた。
1年目の一次試験対策中のある日、嫁から「妊娠したかも?」と連絡を受けた。
まだ、籍すら入れてなかった。試験勉強でとにかく頭が一杯だった私は、「いつ生まれる?」と開口一番。
「順調にいけば、十月アタマくらいかな」という嫁の言葉に、二次試験直前だな・・・と、日数勘定。ひどい父親だ(笑)。
はじめての妊娠、出産で不安を抱える嫁のフォローもほとんどせず、日々、仕事と試験勉強に明け暮れる。
一次試験は無事合格!
嫁も喜んでくれた。
その後、嫁のお腹が大きくなると共に、2次試験本番が近付いてくる。
陣痛が始まった日、急いでタクシーを呼び嫁と共に病院へ。
このときですら、2次試験の過去問を持っていった(笑)
分娩準備室で嫁の腰をさする一方、陣痛が落ち着いたら過去問(笑)。
とにかく、試験勉強に触れていないと不安で仕方なかった。
どう考えても、生死に関わる出産という大業を控えた嫁に比べれば、私の不安など取るに足らないもの。
というより、国家資格取得ってことにしたって、人間の生死に比べれば、ちっぽけなもの。
それでも、嫁は時折、「頑張れ」と声を掛けてくれた。
2日半にも及ぶ難産となったが、無事出産!
顔は自分でも笑ってしまうほど、私にそっくりの男の子だった。
両手のひらで抱えられるほど小さな息子を見つめ、(よし!絶対合格しなきゃ!)と、覚悟を決めた。
とはいえ・・・・、国家資格。甘くはない。
一年目の2次試験は、あっさり不合格。
二年目は、わずかな期待を持ちながらも・・・不合格。
試験勉強の手を抜いたわけでも、仕事や子育てが忙しかったわけでもない。
(そもそも、子育ては、仕事と試験勉強を理由に、ほとんど嫁任せだった。)
やはり、本番で、何を書いたのか?
それ以上でもなければ、それ以下でもない。
試験である以上、本番に至るまでの勉強量・質、プロセス、すべて関係なし。
そういう意味では、ビジネスの本質と非常に近い面が、2次試験にはあるのかもしれない。
息子も、東京スカイツリーも日々成長する。
息子は「パパ!」、「ママ!」と言葉を喋るようになり、歩くようになり、走るようになる。
東京スカイツリーは、333mを超え、さらにグングン伸びていく。
3年目は、一次試験からやり直し。
とはいえ、ここまで来たら、もう後には引けないって感じだった。
文字通り鬼神のごとく、一次対策を積み、同時に二次対策を進めた。
一次試験の予備校模試では、約4,000人中7位。
二次演習や模試でも、常に上位10%程度には入っていた。
一次試験は無事合格!525点という快挙であったが、二次試験には全く関係ないんだよな・・・。
一次試験終了後、昨年合格した勉強仲間と久しぶりに飲んだ。
その時、合格者が口を揃えて言っていたのが、「後から考えれば、難しくないよ。二次試験は。」って感想。
合格者だから言える事って、最初は思っていたが、ふと気付いた。
(試験前から、難しくないって考えられれば、合格する可能性が高くなるんじゃないか?)
これは、最大の気付きだった。
結局、3度目の2次試験本番前日は、朝方4時くらいまで寝付けず、DVDでスターウォーズ、エピソード4をだらだら見た。
ルーク・スカイウォーカーとオビワン・ケノービが出逢ったシーンあたりで、やっと眠りについた。
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平成22年12月10日 (2次筆記試験合格発表日)
朝から給与処理などの業務を行い、ひと息ついたところで、中小企業診断協会のホームページにアクセスすると、既に合格発表のリンクが貼られていた。
手が、震えた。
気持ちを落ち着けようと深呼吸したとき、足も震えていることに気付いた。
目を閉じ、言い聞かせた。
(大丈夫。合格してるぞ。)
リンクをクリックし、PDFファイルをスクロールする。
「あった・・・。」
会社を飛び出し、自転車に乗って自宅へ向かった。
12月の冷たく透明な空気の中、真っ青に晴れた空を見上げながら、自転車を漕ぎ続けた。
この空気の匂い、澄み切った青空・・・・一生忘れないだろう。
いや、忘れてはいけないと強く思った。
自宅マンションの階段を駆け上がり、呼び鈴を鳴らす。
まだ、パジャマ姿の嫁と息子が出迎える。
「受かったぞぉ!!!!!!!」
その言葉を聞いた瞬間、嫁は、「わぁ!!!」と泣きながら私に抱きついてきた。
俺より、もっと辛かったのは、嫁かもしれない。
そう思うと、私の胸は熱くなった。
泣いているママを見て、2歳の息子が泣き出すのではないかと心配したが、
息子は楽しそうに笑っていた。
(そうか、こんな小さな子供にも、嬉し泣きはわかるんだな)
嫁を抱きしめながら、私は息子に微笑んだ。
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最後に。
どれだけ難関であれ、試験は試験です。
合格したからといって、その後の人生の幸せが約束されているなんてことは、ありません。
とはいえ、私は合格したことで、とても幸せな瞬間を感じることが出来ました。
あの日の空気の匂い、澄み切った青空は、これから私が何かに挑戦するとき、きっと私を勇気づけてくれると信じています。
by COO
—–寄稿ここまで—–
COO さん、どうもありがとうございました。
他の方々が書いてくださった合格体験記とは毛色が異なりますが、個性的かつ感動的で思わず目頭が熱くなってしまいました…。
さて、今週から道場ブログの新メンバーによる執筆が始まりました。
5人とも良い意味で個性派揃いなので、どんな記事を書いてくれるのか、私も楽しみです。
読者の皆さま、今後とも一発合格道場を末永くよろしくお願いしますね。
それでは、今日はここまで。
感動しました…。(:_;)
私の家からもスカイツリーが見えます。
ものすごい勢いで伸びていくツリーを毎日眺めながら
合格発表のころには500m超えるのかあ、負けられないな…。
そう思って頑張ってきました。
まさに、あのツリーの足元にcooさんファミリーがいらした訳ですね。
感慨深いです!(^^)
泣けました。
だって自分と重なるところが多いんですもん。
私も二次試験前日、ほとんど眠れませんでした。
仙台のホテル泊まりでしたが、ロフトで買った○印良品アロマオイル「スリーピング」をティッシュに垂らし、ぐっすり眠るつもりでした。しかし・・。
子供のことでも、私は一昨年7月一次試験直前に次男が誕生しましたので、妊娠が判ったときから6科目を3科目に絞ることにしました。
ただ、二次発表日は違ってました。会社でクリックしましたが受験番号見あたらず・・・(T_T)。
今年はcooさんの再現体験が出来るよう精進します。
なんか感動しました
命の大切さ感じました合格してお会いしたいです
泣けた。
来年春のスカイツリー開業初日。
ご子息と仲良く写った記念写真を楽しみにしています!!