二次試験の「受験番号」と「合格率」の相関関係

こんにちは。ハカセです。

先日、ふうじんが 一次試験の受験番号と合格率に関する分析をしてくれました。

今日は、二次試験の受験番号と合格率に関してお話したいと思います。まずは、2009年度の中小企業診断士 二次試験の東京地区の受験番号と合格者数の相関関係を見てみましょう。

さて、これが何を意味するのかを考えてみましょう。

◇ なぜ二次試験に限って受験番号が気になるのか ◇

一次試験はマークシート型なので、自分の実力さえあれば、どんな受験番号であれ、合否には全く影響しません。そういう意味で、ふうじんの  一次試験の受験番号と合格率に関する分析 はいわば「ゆるわだ」と言えます(本来は)。え? 「ゆるわだってなんだ?」って? そんな道場初心者の方は こちら でご確認ください。

先ほど、「本来は」と注記しました。そして、この「ゆるわだ」に少なからず反応したかたがいらっしゃいました。

そう。お気づきの方もいらっしゃると思いますが、二次試験に関しては、「本来全く無関係なはずの受験番号と合格率が多少は関係しているのではないか?」という小さな疑問 が、受験生の中にあるからです。

二次試験は記述式です。論述式ではありませんが。色々な解答を書く人がいるでしょう。計算問題を除いては、同じ答案は二つとないはず。その「ふぞろいの答案」を 5,000枚(しかも4事例だから、合計20,000枚)も採点するのは結構骨が折れる作業だと思います。

既に道場でも強調しているように、おそらく、いや、必ず「正解」が存在し、「採点基準」が存在していることでしょう。「これを書いてれば何点」とか。そうじゃないと、合否を判別できません。

採点基準さえあれば、受験番号に関係なく合否が判明するでしょうか?

ここですよね。受験生の心配は「採点者によってブレがあるのではないだろうか」ということだと思います。

◇ 採点には必ずブレがある ◇

先日行われた「道場第二回セミナー」では、前日までに行われていたTACの公開模試の再現答案を持参してもらい、グループ内で交換してもらいました。セミナー参加者にとっては相当大変な作業だったと思いますが、他人の答案をじっくり見ることで多くの気付きが得られる場合があり、非常に重要なことだと思っています。

そういう「能力向上」に役立つ一方で、もう一つ気づくことがあります。それは、「自分が採点したら55点だったのに、他人が採点したら42点だった」という場合があることです。採点者によって点が変わる。これは由々しき事態です。

模試では、採点基準が明快に示されています。「これを書いたら4点」という具合に。あんなに明快になっているにもかかわらず、自分が自己採点した点数と、他の人が採点してくれた点数に、必ず数点のブレが発生します。極端な話、同一人物が採点しても、もしかしたら数点ぐらいはブレが出る可能性があります(いや、出る可能性の方が高い)。

◇ 片思いのラブレター ◇

どうして採点結果にブレが生じるのでしょう。

一つは、「伝えたいと思っている気持ちはなかなか伝わらない」ということです。自己採点している時は、模範解答や採点基準を読んで、「あぁ、そうそう。俺が書きたかったことは、コレコレ」と、自分の答案に次々に加点しがちです。しかし、他人が採点するときは、そういう「途中経過」は一切考慮せず文字になっているものだけを頼りに採点します。ニュアンスとしてそのようなことが書いてあっても、採点基準から外れていれば、加点されない可能性があります。

つまり、二次試験の答案は片思いのラブレターのようなものなのです

相手が「この手紙の主は自分に恋しているかもしれないな」と思って読めば通じるかも知れない「奥ゆかしいラブレター」は、微笑ましいものです。でも、現実はそうではありません。片思いなのです。あなたはその人に恋をしているかも知れませんが、相手はそのことを知りません。自分の思いを伝えたいならば、伝えたいことをそのままズバリ書かないと、何の手紙か分かってもらえない可能性が高いのです。

だから、「言いたいことがストレートに伝わる文章にする必要がある」のです。そして「これは事例本文に書いてあるんだから分かるだろう」という考えも通用しません。当たり前と言えば当たり前ですが、これを字数制限の中、しかも80分という時間制限付きで行うのは容易じゃないです。

◇ 採点者も人間 ◇

採点のブレが生じるもう一つの理由は、結局人間が採点する、ということです。

機械ならば、その日の感情に左右されることなく粛々と採点してくれるでしょう。でも、二次試験の答案は人間が採点します。どんな人が採点するか、分かりません。診断士の先輩諸氏かもしれない、診断協会の職員の皆さんかもしれない、出題した大学教授の教授・講師集団なのかもしれない、教授のゼミ生なのかもしれない。いずれにしろ人間だということです

確か、答案用紙の表(おもて)の部分には、受験生の名前を書く欄はありませんでした。これは、万一、採点者が知人の答案を採点するようなことがあっても恣意が入らないようにとの配慮と思われます。

とはいえ。やはり人間。辛口の人もいるでしょう、甘口の人もいるでしょう。採点前日に恋が成就してウキウキの採点者がいる一方で、前日にフラれてグダグダな気分の人もいるかもしれない。

採点者を選べない以上、そういう Uncontrol な要因はしょうがないとして、これならどうでしょう。

  • 「出来の良い答案群」に、身を置く方がいいのか
  • 「出来の悪い答案群」に、身を置く方がいいのか

多少 Controlable だと思うのですが、どうでしょう。

◇ 受験番号と合格率の相関 ◇

もう一度、受験番号と合格率の相関を整理しましょう。前掲のグラフは100番単位なので少々分かりにくい。傾向を出すために、500人ずつで集計しなおしてみると以下のようになります。

いくつか特徴を指摘できそうです。

1.出願が早い方が合格率が高い

1次試験同様、出願の速さはやる気の強さにある程度関連していると思われます。実力がある受験生は出願が早いならば、0-500番台の合格率が高いのはそのためと思われます。というよりも、この層の受験生はほとんどが「経験者」であると思われます。二次試験の受付期間は「8月27日~9月17日」。一次試験の合格発表は9月7日。一次試験を受験した人は一次試験合格発表を待ってからでないと申し込みが出来ません。よって、初期の申込者は必ず多年度受験生です。

2.一次試験通過者は1000台以降か

ふうじん・JC・ハカセの昨年の受験番号は3人とも 1000-1500番台でした。我々は全員一次試験合格判明直後に申し込みました。1000-1500番台が500-1000番台よりもやや合格率が高いのは、一次試験通過組で即座に申し込んだ受験者層がここに集中しているためと思われます。ここでも、「出願の速さ」と「やる気の強さ」は相関していると思われます。

3.敢えてゆっくり申し込む?

では、結局いつ申し込めばいいのでしょうか? 応募開始直後なのか、締切直前なのか。僕らの共通の友人である I氏 はこんなことを言っていました。

確かに、みんな高い合格率を求めて初期段階で申し込む心理は分かる。でも、僕は敢て逆を行く。つまり、合格率が低そうな母集団に身を置くことが出来るように、最後の方にギリギリに申し込む。それによって、「バツ、バツ、あぁー、こいつら全然分かってないな~」と採点官が嘆く状況の中で、ちょっとだけまともな解答をすることが出来れば、「あ!こいつだけちょっとは分かってるジャン!」と加点してくれることを狙うんだ。

す、すごい。ツワモノだ。この戦略にはもちろんリスクがあります。「バツ、バツ、これもバツ!」と、勢いで片付けられてしまうリスクが(笑)。でも、この I 氏は、見事合格しました。いや、実はこの人は合格するべくして合格した人ですけどね。「ちょっとまとも」な答案を書く人じゃなくて、バツグンの答案を書く人でしたけどね。だから、この成功事例を以て、締切直前をヨシとすることは出来ません。

◇ 地区別合格率 ◇

ちなみに、地区別合格率を確認しておきましょう。

ちなみに、全体平均は 17.8% です。結構違うもんですね。でもねぇ・・・。

◇ よって結論 ◇

ふうじんの ゆるわだ に反応してくれた方もいらっしゃいましたが、ふうじんのエントリー同様、ここには結論なんてありません(笑)。ここまで一生懸命読んで頂いた方、本当に申し訳ありません。(僕はふうじんとは違って、謎掛けでエントリーを終える高等技術を持ち合わせておりませんので・・汗)

だって、実は採点方法によって、大きく変わることもお気づきですか?

上記は、「受験番号順に採点する」とか、「同じ答案を上から下まで同じ人が採点する」という前提にたった上での話です。

もしも、受験番号順に採点しないのであれば、こんな分析は全くの無意味です。でもまぁ、事務手続きの効率性を考えれば、受験番号「順」とは言わないまでも、近似の受験番号集団ごとに採点はしていると思いますが。

また、たとえば「事例IIの第二問の設問1だけを担当する採点官」という方が存在するなら、懸念するような採点者ごとのブレは相当減少します。設問ごとに別の採点者が存在するなら、辛口・甘口の採点者に当たる確率やリスクはかなり軽減(分散)しますよね。

受験地にしても、確かに看過できない有意な差異があると言わざるを得ません。でも、よく見てみると、受験生の母数が極端に異なります。東京は3,000人以上。広島は170人です。同じ東京でも、0-500番台と、2001-2500番台では、大きく合格率が異なりますよね。それと同じです。それに、名古屋の答案が名古屋で採点されているとは限りません。東京に集められて一極集中で採点されているならば、受験地なんて関係ない と言えるでしょう。関係あるとすれば、「どういう層に身を置くか」ということには多少あるかもしれませんが。

つまり、考えてもしょーがないってことです(汗)。

恐らく、大多数の受験生の方はすでに申し込みを終了していると思います。受験番号のマジック(流言?)に惑わされることなく、伝えたいことをストレートに伝える答案作成 に全力を注いでくださいね。

僕はそれを「愚直さ」という言葉で発信し続けています。ふうじんも言っていますが、「聞かれたことに答える」。それだけです。

ま、どうしても気になる方は、受験表が届いて受験番号を確認したら、「自分はどんな層にいるんだろうか」を思いめぐらす際の参考にして頂けたら幸いです。

・・・いや、でもあまり考えすぎないでくださいね・・・(^_^;)。

by ハカセ

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二次試験の「受験番号」と「合格率」の相関関係”へ2件のコメント

  1. ござる より:

    名古屋の合格率が悪いのは
    名古屋TACの講師のレベルが低いとの
    噂が・・・実際に名古屋TACで
    合格された方も少ないです

    1. ハカセ より:

      ござる様。コメントありがとうございます! 名古屋のTACの講師のレベルが低い? そんなことはないでしょうー。だって、試験を受けるのは講師じゃないんですから! ・・・じゃあ受験生のレベルが低いってことになってしまいますが(汗)、そんなことはないと思いますし、地域差もないと思いますよ。分母が小さいから大きく振れるだけだと思います。そんなこと気にせずに、頑張りましょう!

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