養成過程で学ぶメリット・デメリットは何か?

では診断士1・2次の実態を振り返った前編に続き、後編開始。

【参加者プロフィール】
I:1次3回、2次1回受験、H大養成過程修了。2013年診断士登録
M:1次2回、2次1回受験、H大養成過程修了。2013年診断士登録
N:1次1回、2次2回受験、T大養成過程修了。2013年診断士登録
F(司会):ふうじん

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◇座談会トピックス◇

【前編】
①自己紹介、1次・2次受験回数、養成過程を選んだ理由等
②診断士試験1次合格まで
③診断士試験2次受験まで
④2次受験後、合格発表までの過ごし方
⑤2次試験の合否をどう考えるか

【後編】
①養成過程の応募・選考方法・費用・カリキュラム
②受講から卒業までのエピソード
③養成過程⇔MBA大学院等⇔2次筆記試験合格に違いはあるか
④診断士受験生へのアドバイス

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【後編①~④】

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■①養成過程の応募・選考方法・費用・カリキュラム■

F:養成過程と一口に言っても、様々な形があると聞きます。修了された養成過程の応募・選考方法を教えていただけますか?

IH大大学院は、15~20分の面接をするAO入試であり、応募動機や資格取得後の事業計画を詳しく聞かれる。選考は2次合格発表前から3~4回行われ、定員に達すると締切となる。合格発表後の3回目、4回目は応募倍率が高くなる

NT大大学院でも、やはり志望動機を面接で詳しく聞かれる。経営学部の中小企業経営論の教授が創設したMBAコースであり、資格取得目的では選考に通りにくいだろう。

F:なるほど。費用・学習期間はどのような感じでしょう?

I:H大大学院は、MBA+養成過程を全日制1年で修了するカリキュラムであり、既に独立した方向け。月~土の週6日通い、費用は260万円。

N:T大大学院は、MBA+養成過程を土日フル+平日夜1日の2年で修了するカリキュラムであり、社会人向け。費用は2年間で250万円

F大学院MBAコースの費用は何か相場がある様ですね。指導教授の人件費などを積み上げるとそうなるのでしょうか?

M:コスト積み上げというより、この価値ならこれくらいの価格という相場観。当然大学側にも収益が残る形。日本生産性本部日本マンパワーは履修時間(拘束時間)は短いが、MBAは履修できない。中小企業大学校は費用118万円と格安であるが、これは公的機関などの要員養成向け。一般向けは210万円。つまりニーズに応じた履修方法が用意されている。

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■②受講から卒業までのエピソード■

F:1年コースなら週6日、2年コースなら土日フルとかなりの学習量ですね。MBA併設の養成課程ということは、診断士2次対策と比べると、より実務的なケーススタディが増えるイメージでしょうか?

I毎日睡眠不足が続くほどハード。MBAで経営理論を学び、経営診断実習を同時並行で進める。レポート提出が課され、D評価だと単位が出ない。

M:グループワーク中心のため、対人性や協調性が付く。頑張る人⇔そうでない人が分かれるが、取組み態度が周囲からの信頼につながるため、手抜きは出来ない。単に資格が欲しいだけでは通用しないレベル。

N:卒業までのエピソードとして3点。①仲間との関係 ②講師との関係 ③キャンパスライフ。①仲間との関係として、どうしても受講意識によりグループが分かれる。2年間たくさんの講義やディスカッションを共にすることで、その先もいっしょに仕事をしていきたいかけがえの無い仲間ができる。逆に人によっては離れてしまうこともあるかもしれない。

I:Nさんは武闘派で物言いがはっきりしているから……

N:それもあるかな・・。②講師との関係としては、様々な講師が登壇するため、実務肌・学究肌など様々なスタイルの違いを実感できる。③キャンパスライフとしては、充実した学究設備の中でキャンパスライフを送れる。例えば、MBA大学院生と学部生が合同で1泊2日でビジネスゲーム合宿(経営戦略の立案と検証)を行った。MBA大学院生は当然負けられない。

M:うん、やはりNさんは勝ち負けはっきりさせるから、武闘派の名に恥じないね。

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■③養成過程+MBA⇔2次筆記試験合格の違いは何か■

F:養成課程のエピソードをもっとお聞きしたい所ですが、受験生の関心に一旦戻ります。ズバリ、養成課程と試験合格の違いは何でしょうか?

M:受験当時の2次筆記は与件を抜書きする「国語の試験」とも言われ、仲間との学習こそ楽しかったが、事例の点数を競う事の意味は感じにくかった。MBA養成課程コースは、約1ヶ月の実践的な経営診断実習を5回行う形になり、診断実務の手順をより具体的に学ぶことができる。

N自分が何をするか、誰に価値を提供するかの違い。例えばFさんは、何のために診断士を合格したの?

F:それは自分の成長のため。診断士試験の本来の趣旨と外れるのは承知しているが、試験問題をスラスラ解くのは楽しく、どこまで高得点が取れるか試してみたくなったのが本音。

N:私はコンサルタントとして周囲に価値を提供することを考えた。MBA大学院の良さは、理論的に学術を追求し、その知識を使った企業の問題点解決と両立させる点にある。診断士1次で学ぶ知識をより理論的に深く掘り下げる。

I:MBAコースではプロジェクトに加わり、プレゼン技術を磨ける。イノベーションマネジメント(起業/変革管理)にコースの主眼が置かれ、中には経営塾的に参加する次世代の経営者もいる。企業経営とは「ES(従業員満足)とCS(顧客満足)の両立」とする考え方がある。これを教科書的でなく、1か月半集中して討議するとまさに身に着く感じがする。

M:実務補習との違いで言えば、長期間取り組めるメリットが大きい。実務補習では自分の得意分野ばかり担当してしまうケースもあるが、MBAでは数多くのケースに取り組み役割がローテーションされるため、過不足ない実力が備わる

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■④診断士受験生へのアドバイス■

F:養成課程の話を聞いていくと、診断士試験の良い点・悪い点が見えてくる。では最後に現役診断士の立場から、診断士受験生へのアドバイスをお願いします。

M:2次筆記試験合格は難関であるが、診断士として活躍することが目的なら養成課程が選択肢になる。選択肢を増やし、2次筆記に合格しなければという重圧を軽くすれば気持ちの持ちようが変わる。

N:資格を取る狙いなのか、コンサルタントとして活躍するのが狙いなのかの違いは明確。また逆に試験合格=コンサルタントとして活躍する能力の保証でもない。養成課程修了者として、今日の様に体験談を伝える機会は多い。養成課程を考えるなら、各校が開く説明会・交流会に参加し、教授の話を身近に聞くことが第一歩。是非、遠慮なく近くの卒業生に聞いてみて欲しい。最近は養成課程の横のつながりも増えてきているので、自分にあった学校を見つけるためにも事前の情報収集をしっかりやって欲しい。

I:「試験に受かるまでの時間」と「診断士登録後に使う時間」のバランスをどう考えるかが大事では。診断士登録後にやりたいことが決まっていれば、養成課程を選ぶことで合格までの時間を短縮し、そのコストも回収できる。やりたいことがなく養成課程を選ぶことは、時間面・費用面でももったいないという話。

M:診断士試験合格者の多くが、プロコン塾に通うという話がある。この話の続きはまた機会を改めて。

F:ありがとうございます。既に結論ははっきりしているが、改めてまとめれば、目的が違えば手段が異なるということ。当ブログの性質上、養成過程より試験合格中心の表現になってしまうが、養成過程のメリット・デメリットを知ることが、多様な意味で選択の幅を広げる役に立つ。

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■後編まとめ■

座談会はここで終了。前編で挙げた4択から、当記事の執筆意図を探る。

ア. 診断士養成過程の実態を紹介する。
イ. 診断士になる為に、試験合格でなく、養成過程の選択肢を提示。
ウ. 養成過程のカリキュラムの充実さを示し、受講をオススメする。
エ. 2次合否は水物。試験合格が目的化している実態を指摘する。

少々ずるいが正解は1つではない。前編の目的はエ、後編ならア、イ。

正解が1つしかない時の選択肢は少ない方が良いが、
答えが複数あり得るなら選択肢は多ければ多いほど良い。 

今自分がやりたいことの、ゴールの選択肢は1つか複数か?そのルールを確認した時にゲームが始まる。なおウは不正解。当ブログでは何かを「オススメ」するのはNGワード。見つけた瞬間に×をつけることがオススメ

byふうじん


コメント & トラックバック

養成課程と2次試験の違い、興味深く拝見させて頂きました。
私自身も、養成課程を1つの選択肢として考えたいと思っているのですが、私は九州在住です。
養成課程の認定機関で、通学できる範囲の学校がありません。
これは、明らかに受験生に対して機会の不平等だと思いますが、なぜ地方に認定機関がないのか、誰か理由がわかる方、教えてもらえないでしょうか。

けん太様、ご質問ありがとうございます。
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ご指摘の通り、養成過程があるのは千葉・東京・愛知・兵庫のみで、機会不平等ですね。中小企業大学校でも、養成過程があるのは東京校のみです。
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その理由は市場原理(需要と供給)で、養成過程に通う費用・時間を負担できる人が足りないからでしょう。東京の大学院ですら、定員を満たすためにある程度質の低い人も入学させると聞きます。
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当件は、受験機関でなく中小企業診断協会の県支部に相談してみてはいかがでしょうか?彼らは地方人材を必要としていますし、診断士なので必ず最適なアドバイスをくれる筈です。
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またどなたか見識のある方、他に情報あればコメントいただけますと幸いです。

ふうじん様

ご回答有難うございました。
なかなか、深い事情がありそうですね。
おそらく、私と同じ悩みを持っている方も多いのではないかと思います。
九州・東北・北海道に一か所ずつくらい認定機関があっても良さそうですが、今のところ現在の制度に従わざるを得ないですね・・・。

養成課程(中小企業大学校東京校)修了者です。運営する中小企業基盤整備機構の担当者に聞いたことがありますが、実務実習に協力してくれる企業を確保するのが大変なのだそうです。

大体、研修生8名+プロインストラクター2名で実習班が構成されるのですが、中小企業大学校の場合、半期の定員が48名です。つまり1回(半年)の養成課程期間で実習毎に6班できます。これに製造業実習(中間・最終)・流通業実習(中間・最終)・ソリューション実習と合計5回の実務実習があります。6班×3回=18社を半年毎にどこかから探してこなければいけません。公募も受け付けていますが、製造業・流通業共に会社規模等に条件もあるので、なかなか集まらないらしく、過去に受診した企業に大学校側が再度打診をするということも多々あるみたいです。

診断士試験の実務補習もそうですが、忙しい仕事の合間に実習に協力してくれる中小企業があって診断士制度は成り立っています。

試験合格のことだけを考えるのではなく、こういったことにも思いを馳せてみるべきではないでしょうか。

はにまる様。
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>忙しい仕事の合間に実習に協力してくれる中小企業があって診断士制度は成り立っています
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おっしゃる通りだと思います。対応して頂いた中小企業者の皆さんのご協力に感謝するとともに、そういう中小企業者を苦労して探していただいている指導員の皆さんのご尽力にも頭が下がります。
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と同時に、「実務実習に協力すると、こんなに質のいい診断・コンサルが受けられるのか!」と思ってもらえるようにしなければ、と気持ちを新たにしますね。

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