事例Ⅰは「組織・人事」の問題ではない? byマツ

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はじめに
事例Ⅰ、最近むずかしくなってないー?
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「組織・人事のキーワード」を埋めるだけでは不十分な理由
事例Ⅰの対策では、「幸の日も毛深い猫」や、設問ごとのレイヤー整理といった解法ツールがよく使われるように思います。これらは思考の補助線として有効ですが、単なる「当てはめ作業」になってしまうと次の問題が生じます。
- 経営上の「目的(戦略)」が欠落する
「モチベーション向上」や「権限委譲」といったキーワードを与える要素に合わせて並べるだけの解答では、「A社が何の事業で成果を出すためにその施策が必要なのか」という戦略上の目的が抜けてしまいます。 - 設問間の論理(ストーリー)が分断される
各設問を独立した別々の課題として処理すると、設問単体では成立していても、答案全体を通したときに前後で論理が矛盾したり、一貫性が失われたりします。
何を隠そう私自身が、鉄板のフレームワークをそのまま用いて機械的に答案を作成していたので、上記の問題に陥っていました。。試験開始直後から「さちのひ、さちのひ…」「レイヤー、レイヤー…」で頭が一杯
近年の事例Ⅰでは、知識の網羅性以上に、「A社が直面している経営課題と事業戦略を理解した上で、一貫性のある助言ができているか」が厳しく問われているのではないかと考えています。
ということで、私なりの10年分の過去問分析が以下に続きます。
過去問に見る変化:不変の本質と広がる出題領域
- 以前の出題(平成28年〜令和元年頃)
平成28年の全社連動組織への改編、平成30年の技術者混成チーム編成や成果給の導入、令和元年の高コスト体質見直しや人員削減など、組織構造や賃金・評価体系、雇用維持・人員整理といった「社内・組織内部の課題」が中心でした。 - 近年の出題(令和2年〜令和7年)
社内の組織課題にとどまらず、「A社が市場環境や顧客の変化に対してどのような事業(経営戦略)を展開し、それを実現するためにどう組織や人を動かすか」という全体像を捉えないと解答が作れない問題が増えています。
近年の過去問に見る具体例
- 令和6年度(物流業)
単なる現場の人員配置や現場管理ではなく、「3PL(サードパーティー・ロジスティクス)事業者への脱皮」という事業転換を踏まえた組織統合や情報システム構築、人事処遇の見直しが問われました。 - 令和7年度(木材加工業)
既存の内装材事業の収益性低下に対し、「木製知育玩具(BtoC)への新規参入」という大きな戦略転換が軸になっています。それに伴う顧客接点(EC・アンテナショップ・SNS)の創出から、創業以来の企業理念の再定義・関係者への浸透まで、戦略・マーケティング・人事施策が一体となった出題構成でした。
つまり事例Ⅰは、「組織・人事の知識を答える科目」から、「経営戦略を実現するための組織・人事を助言する科目(全社最適の総合診断)」へと領域が広範囲化しているのではないかと主張したいのです!
事例Ⅰを攻略するポイント
事例Ⅰは組織・人事を超えて、全社最適の総合診断に変わってきているという私の仮説を元に、お伝えしたいポイントは次の2点。当たり前ではあるのですが、より意識したいことです!
ポイント①:すべての起点に「経営戦略」を置く
組織構造の変更や人事施策は、すべてA社の経営戦略を成功させるための手段です。
与件文を読む際は、まず「この会社はどのような強みを活かし、どこで収益を上げようとしているのか(ターゲット・強み・提供価値)」を確実に押さえましょう!
その上で、「その戦略を成功させるために、どんな組織体制が必要か・どのような人材配置や動機付けが必要か」ということを強く意識して答案を組み立てます。戦略という「目的」が明確になって初めて、組織・人事の助言に説得力が生まれるはずです。
ポイント②:全設問を1本の「ストーリー」で貫く
答案を作成・推敲する際は、第1問から最終問までが次の1本のストーリーとして整合しているかを必ず確認しましょう!
1.前提・方向性:A社はどのような強みを活かし、どの事業戦略へ向かうのか?
2.構造・仕組み:その戦略を実行するために、どのような組織体制や外部連携を構築するのか?
3.人・動機付け:その組織を機能させるために、どのような採用・配置・能力開発・士気向上・理念浸透を行うのか?
第1問のSWOT分析で捉えたA社の戦略方向性と、最終問までの助言内容に一貫性がある答案こそが、採点者に強く響く高得点答案になるはずです。
おわりに:A社社長の「経営戦略」に寄り添う答案を目指して
定番のフレームワークや暗記フレーズは、頭の中を整理するための補助ツールに過ぎません。ツールを埋めること自体が目的になってしまうと、与件文に描かれているA社社長の意図や、会社が本当に目指すべき戦略の姿が見えなくなってしまいます。
まずは与件文の経営環境とA社の強みをしっかりと把握し、「この会社はどんな戦略で勝とうとしているのか」を捉えること。そして、その戦略を成功させるための組織・人事施策を、一貫したストーリーで提示してあげてください。
「単なるキーワードの網羅」から「経営戦略に寄り添った一貫性のある助言」へ。この視点の切り替えが、近年の事例Ⅰを突破する一番の近道になるはずです!
次回は例のアレ!
お楽しみに!
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