事例Ⅳ攻略 令和7年度を振り返る byこうた

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はじめに
この記事は、ずっと書きたいと思っていました。
理由は、自分が事例Ⅳで合格を勝ち取れたからです。
事例Ⅰ・Ⅱ・Ⅲはいずれも平凡な結果で(事例Ⅰに至ってはぎりぎり足切りを免れた程度)、失敗談として役に立つ部分はあるかもしれませんが、参考にしてもらえる内容になるかは正直微妙なところです。
ですが事例Ⅳは自分にとって得意分野で、狙って点数を取りに行き、実際に取ることができました。
だからこそ、今年の受験生に伝えられるものがあるのではないかと感じています。
今回は、令和7年度の問題を基準に、自分が試験中に感じたことや、受験後の整理で分かったことを書いていきます。
書いてみて思ったのですが、細かい計算方法や解き方は多くの予備校で解説されています。
先代たちも事例Ⅳの中身を分解して分かりやすく解説してくれています。
こうした解き方の解説は、10年前も、もしかしたら20年前の試験でも本質は同じかもしれません。
つまり、解き方の解説はすでに他で十分にされ尽くしています。
では、自分が事例Ⅳについて出来ること、伝えられることは何か。。。
受験生目線で問題を振り返りながら、その時々に思ったこと、感じたことを書くことにしました。
誰の役に立つのかは、正直分かりません。
それでも、読者の皆さんの事例Ⅳの点数が1点でも上がれば嬉しいです。
ちなみに:17代目の事例Ⅳ
17代目の事例Ⅳ

17代目メンバー12名のうち、事例Ⅳが自分の最高得点科目だった人は5名。
母数は少ないですが、約40%が事例Ⅳを得点源にして合格していることになります。
合格者全体でも、さらに独学勢の場合、事例Ⅳを得点源とする受験生は多いのではないかと推察します。
先代の事例Ⅳの記事
それでは早速、徒然なるままにーー事例Ⅳ攻略(特にマインド面で)令和7年度版、スタートです
■ 事例Ⅳの全体説明
中小企業診断士2次試験の事例Ⅳは、事例Ⅰ~Ⅲの文章中心の記述とは違い、「財務・会計」の計算と分析が中心となる、理系・実務的な試験というイメージがあるのではないでしょうか。
もちろん、それは正解です。
だけれども、事例Ⅳも事例Ⅰ~Ⅲと同じ、コンサルティングの試験です。
計算が苦手だったり、財務の知識が少なかったり、会計の意味がよく分からなかったりーーそんな方々にこそ、一度考えてみてほしいことがあります。
診断士の試験で、なぜ事例Ⅳがあるのか。
| 先に自分なりの答えを言ってしまうと、 事例Ⅳは「数字を使って、社長と対話する試験」です。 計算そのものが目的ではなく、 数字を根拠に、経営の意思決定を後押しすることが目的です。 この記事を読み終えたときに、その感覚が少しでも伝わったら嬉しいです。 |
事例Ⅰ(組織・人事)の場合
人材の増員や育成の話も、本来は数値目標とセットで語られるべきものです。
「人材を〇〇年までに〇〇人に増やす」
「育成は〇年で行い、育成メンバーの平均生産性を〇%向上させる」
事例Ⅱ(マーケティング・流通)の場合
マーケティングと数字は密接に絡み合っています。
施策の提案には、根拠となる数字が欠かせません。
「ダイナミックプライシングを行うなら、閑散期の売上を〇%上げ、全体をとして利益率〇%を達成する」
「結果として利益額を〇%向上させよう」
「広告費の無駄を削り〇%の経費削減をしよう」
事例Ⅲ(生産・技術)の場合
生産効率の向上はもちろん数字の話ですが、
技術承継だって具体的な数値目標が本来は必要になります。
「承継できていない技術項目が〇個あるから、それを〇年までに、〇人に伝承しよう」
「ボトルネックを解消して、生産効率を〇%向上させる」
実際の企業活動では、数字と現場の動きは切り離せません。
事例Ⅰ~Ⅲも、本来はもっと数字を使って語りたい場面があるはずです。
ただ、そこに数字を持ち込みすぎると、文章で経営を語る事例Ⅰ~Ⅲという出題形式そのものが成り立たなくなってしまいます。
だからこそ、事例Ⅰ~Ⅲは言葉で、事例Ⅳは数字でーー役割を分けて出題されているのだと思います。
その数字の部分をしっかり担えて、初めて4つの事例全体で一つのコンサルティングが完成するのだと思います。
前置きが長くなりましたが、その視点を持ちながら、令和7年度の各問題を実際に見ていきましょう。
① 経営分析(第1問)ーー理想20分(与件文込み) ② CVP分析・線形計画法(第2問)ーー理想20分 ③ NPV(第3問)ーー理想20分 ④ 記述問題(第4問)ーー理想10分 |
■ みんな大好き「経営分析」ーー第1問攻略
理想:20分以内(与件文込み)
1問目の経営分析は、過去15年を振り返っても毎年必ず出題されています。
事例Ⅳといえば「経営分析」。
絶対に落とせない、選択をミスっても数字は絶対にミスってはいけないーーそんな感覚を持っている方も多いのではないでしょうか。
自分の場合、数字は合っていましたが、指標の選択自体は恐らくミスしています。
総合得点が94点だったので、この選択ミスで3点ほど落としたのかもしれません。
「みんなが必死に解いてくる、間違いは許されない」というプレッシャーが、開始の合図から重くのしかかってきます。
それでも、条件は全員一緒です。
焦らず最速で解いていきましょう。
自分のやり方は、基本的に前から順番に解くスタイルです。
ですが、与件文を読む前に、経営分析の指標を先に全部出します。
理由は「当たり」をつけるためです。
経営分析を行うことで、この企業が今どんな状況にあるかを数字で先に把握し、その後で与件文を読み、問1の設問1・2を攻略する流れです。
自分のやり方としては、2期分または競合他社の情報を出し、次の15指標を収益性・効率性・安全性の3カテゴリに分けて機械的に算出します。

↓試験当日のメモです。

| ーー POINT ーー 1) 経営指標の数字を出す 2) 第1問の設問1・2を確認する 3) 与件文を読む 4) 回答を書き込む |
20分以内に完了させるために必要なのは、経営分析を正確かつ速く出す力です。
過去問を繰り返し解き、どの数字とどの数字を使うのか、単位を間違えないか、前期と今期を取り違えないかを、機械のように正確に、短時間で出せるようにしてください。
もちろん電卓のメモリ機能も活用します。
電卓の使い方(過去記事)
自分のスピードを上げるためのテクニックは、必ず自分自身で身につけてください。
一番速くできる方法は、誰かの方法をそのまま真似ることではありません。
色々な人が「良い」と言っている方法を試し、自分に合っていたら取り入れるーー道場伝統の「パクってカスタマイズ」を、ぜひ実践してください。
経営分析でどの指標を選ぶか(過去記事)
https://rmc-oden.com/blog/archives/213480
■ ここが正念場!CVP分析が出たらラッキーと思うーー第2問攻略
理想:20分で完答
第2問には毎年さまざまな論点が出題されます。
過去15年分を確認すると、次のような傾向があります。

CVPが多めの傾向にあります。
理由を勝手に推察すると、現状を確認する上でとても重要な分析だからだと思います。
もし事例Ⅳが1つの「経営診断報告書」だったとすると、次のような流れになっているのではないでしょうか。
第1問 経営の状態がどのようなものかを確認する 第2問 主力商品の費用構造がどうなっているかを確認する 第3問 未来に向けてどこに投資を行うかを検討する 第4問 現状を踏まえた提言・助言を行う |
今売れている商品が、どのような費用構造で成り立っているのか。
どうすればこの会社が今後もっと良くなるのか。
そうした診断を行うには、現状の理解がとても重要になります。
だからこそ、CVP分析が過去にも多く出題されてきたのだと思います。
最近順番に出題されている線形計画法も、おおむね同じ理由です。
線形計画法を使うと、限られた資源(予算・時間・人員・原材料など)の中で、利益を最大化またはコストを最小化する最適な組み合わせが分かります。
やりたいことは同じで、「今、何が儲かっていて、何が儲かっていないのかを把握したい」という点に尽きます。
令和7年度は、主力商品の今後のトレンド予測が伸び悩む見込みの中、新商品を開発し、それが次の主力商品になり得るかを数字で確認するーーそんな診断報告書を書いているイメージです。
問題としては、従来の製品Xと、今後の主力になるかもしれない製品Yで、どちらの費用構造が優れているかを確認する形になっています。
ここも前から順番に解いていきます。
令和7年度設問1は損益分岐点です。
どれだけ売れれば儲けが出るかーー経営をしていれば最も気になる数字の一つではないでしょうか。
ここを間違えると、どんなに素晴らしい経営者で、人柄が良く、何年も続いてきた会社でも、いつか潰れてしまいます。
商品に将来性があれば話は別ですが、儲からない商品(事業)への投資は経営判断として間違いです。
まずは「現状、どれだけ売れば儲かるのか」を確認する、それだけのことです(そして、需要とマッチしているかが設問2以降で問われてきます)。
| CVPで大事な点は、売上と固定費と変動費をしっかり分けて把握することです。 実際の企業では固定費と変動費の境界が微妙に曖昧なこともあります。 ですが、試験ではくっきりはっきり分かれています。 もしくは、分けます。 「どっちだろう」と悩んでいる時間は、そのまま時間切れのリスクを高めます。 |
損益分岐点売上高・損益分岐点比率・限界利益・安全余裕率ーーどの数字とどの数字を使って計算するかを都度考えていては、時間が足りません。


| ーー POINT ーー 1) 第2問の設問1~3は順番に解く(設問には流れがある) 2) 令和7年度の設問1はほぼ知識問題(公式知ってたら解ける) 3) 単位に気をつける 4) 設問2・3は条件がややこしいが、条件を読み飛ばさない |
式がすぐに思い出せる、あるいはすぐに計算に取りかかれる状態まで、事前に仕上げておきましょう。
設問1をさくっと終えたら次は設問2です。
令和7年度の試験も言葉遣いはややこしいのですが、言いたいことは1つだけです。
「条件が変わった、それでも儲かる?」ーーこれが知りたいことのすべてです。
これは試験後に気づいたことですが、製品Xの損益分岐点を求めた後、設問2で500基という数字が出てきました。
今後の需要が爆発的に伸びるわけではないので、「頑張っても500基が精一杯」というイメージが浮かびます。
この連想は、答えのざっくりとした見当をつける上で役立ちました。
製品Xの需要の限界が500基だとすれば、損益分岐点をクリアした上で、設問3もその近辺だろうと予測できます。
逆に計算結果が製品Xで1000基・2000基のような需要を超える数字になれば、それは答えとして成立しません。
D社は、小型仏壇の販売において製品Yへとシフトしていきたい様子がうかがえます。
それでも伝統的な製品Xにも一定の需要があり、技術継承の観点から、製品Xと製品Yを合わせた総販売数量のうち、製品Xの割合が25%を下回らないという条件が設定されています。
これはおそらくD社の誇りであり、アイデンティティなのか(重鎮がうるさいのか)だと思います。
そうした大事な条件を読み飛ばさず、しっかり計算に反映することが重要です。
CVP分析のグラフをいじってみた?視覚的に覚える(思い出す)?+口述試験Tips by にに
■ 何が何でも点数を取りに行きたいNPVーー第3問攻略
理想:20分で完答
令和7年度の第3問も、キャッシュフロー・NPVでした。
過去15年を振り返っても、NPVが優勢です。

先代の記事も参考になります。
意思決定会計を分解してみる
NPV(過去記事)
事例Ⅳで合格点をとるためのNPVポイントまとめ by 池やん
「①図を書く→②数字を入れる→③割引計算する」という3STEPでNPVを整理した記事。
図解のコツが分かりやすい。
なぜNPVに点数を取りに行くべきか。
理由は、中小企業診断士だからです。
数字の分析は、税理士も会計士も行います。
もちろん中小企業診断士も行います。
ただ、未来の数字や今後の目標を、経営環境も踏まえてヒト・モノ・カネすべてで判断するのは、独占業務を持たない中小企業診断士がコンサルタントとして責任を持って担う領域です。
もちろん他の士業でも、資格がなくてもできることではあります。
それでも、国唯一の経営コンサルタント国家資格である中小企業診断士として、ここは点数を取りに行くべき問題だと考えています。
(熱く語っていますが、4つの事例で40点未満がなく、合計240点を超えれば資格は取得できます。必須というわけでは全くありませんw)
NPVの問題は難しい。
これは周知の事実です。
自分自身、過去問でも綺麗に正解できたことはほとんどありません。
どこかの数字を間違えていました。
細かい数字を、タイミングを間違えずに積み上げていく作業は、何度やっても完璧にはなりませんでした。
それでも、逃げないでほしいです。
| ここで自動的に最大25点を失うのは、あまりにもったいないです。 (このブログを公開しているのは9月です)今からでも、まだ十分間に合います。 |
診断士になってから、NPVを直接使う機会はもしかしたら少ないかもしれません。
それでも、試験を作る側の気持ちとしては、診断士に「未来への道しるべを照らす羅針盤」としての役割を担ってほしい、だからこそ未来の数字を嫌いになってほしくないーーそう思っているのではないかと、勝手に解釈しています。
解けない難問を出してふるいにかけるのではなく、頑張った人がギリギリでも解けるような問題へと変遷してきているように感じます。
10年前の事例Ⅳも十分に難しく、解釈が分かれる部分もありましたが、絶対に解けない問題だったわけではありません。
受験生のレベルも上がり、難易度は年によってばらつきがありますが、診断士として、未来の数字から逃げずに立ち向かってほしいと思います。
↓試験当日のメモです。

| ーー POINT ーー 1) 設問1から順番に解く(設問間の関連を踏まえた出題が多い印象) 2) 単位に注意!(設問内では千円だったのに、最終的な解答においては円単位で解答することとなっていました) 3) 条件はややこしい前提。条件を読み飛ばさない 4) 採択はしよう!(もちろん計算でだすのが正しいのですが、迷ったら、計算できなかったら、採択しよう) |
■ 数字が苦手な人も必ず押さえておきたい記述問題ーー第4問攻略
理想:10分で完答
記述問題は、必ず押さえるようにとのいにしえの伝承があります。
【2次対策】事例Ⅳ 弱者の戦略?記述対策で食らいつく?

「何か文字を書いていれば点数が入る」という伝説を耳にしたことがあるかもしれませんが、これはもう過去の話だと感じています。条件設定がしっかりしてきたことで、解釈のブレは年々減ってきているように感じます。ということは、かなりの精度で「これが正解」と言える解答が存在するはずです(とはいえ、解が一つとは限りません)。そこで重要なのは、D社にとって必要な情報をしっかり読み取り、助言できる形にまとめることです。ここも落とせません。
令和7年度の第4問は、新規事業のための投資資金の調達手段について、D社の財務状況を踏まえて問われています。D社は既存の製品Xから製品Yへとシフトさせ、海外展開も視野に入れた、まさに変革の真っ只中にある企業です。人口減少が進む中(少し厳しい言い方になりますが)斜陽産業の中で新製品を開発し、海外展開まで行うというのは、非常に前向きな企業像だと感じます。
この企業の資金調達(設問1)と、EU展開に伴う財務的リスク(設問2)が問われています。資金を調達するために必要なのは、現在の財務状況の把握です。第1問で算出した指標や財務諸表がここで頼りになります。B/SもP/Lも大事になります。資金調達の目処が立ったら、次は財務的リスクの検討です。
円安ドル高が進む中、ユーロの動向まで正確に把握できていない方もいるかもしれませんが、全世界的に円安傾向にあることは押さえておく必要があります。円ユーロ・円元の為替も、いずれも円安傾向です。仮に細かい傾向まで分からなくても、ユーロ圏での取引がドル建てで行われることもあるため、ドルの傾向をベースに記載しても、大きな減点にはならないと考えます。必要なのは、円安傾向の中でどのように企業を守るかという視点です。
(為替の傾向は現在も同様ですが、これは試験時点の話として読んでください。今後の情勢によっては、円高に振れている可能性もあります。)
為替(外国為替やFX)の勉強は、今トレンドの一つかもしれません。ですが、SNSで流れてくる情報は、どこかうさん臭いものも多いですよねw
そうした情報に振り回されないためにも、「円高・円安の仕組み」や基本的な専門用語は、ぜひ理解しておきましょう。
金融業界の方にとっては普段から使う言葉かもしれませんが、業種が違えば知らないことも多いはずです。
試験本番で「これのことか」とすぐに結びつけられる状態になっていることが重要です。
すべてを網羅することはできないので、出題の傾向を踏まえて対策していきましょう。
【事例Ⅳ】記述問題5年分まとめ+勝手に出題予想 by せーでんき
過去5年分の記述問題を出題別に整理し、独自の出題予想まで踏み込んだ記事。
事例Ⅳの記述対策として
■ まとめ
このように令和7年度の事例Ⅳを解く中で、試験中、もしくは試験後に自分が考えていたことをまとめました。
事例Ⅰ~事例Ⅲと切り離して考えることも多いかもしれませんが、事例Ⅳも診断士の試験です。
事例企業がどのように考え、今後どうしていくべきかをコンサルしているのだと思います。
最初にお伝えした通り、「解法」の解説はほとんどありません。
ですが、どうしてこの論点が出題されているのか、マクロな目線でどう考えるのか、そういった観点でこのブログを書きました。
また、独立診断士を目指し、さらに企業のコンサルをしたいと思っている方は、もし仮に事例Ⅳが苦手でも、きっと必要になってきます。
理由は、ヒト・モノ・カネのどれも重要で、どれも外せないからです。
財務・会計は税理士さんに任せて「企業の未来をこうしましょう」と伝えても、きっと相手には伝わらないのではないでしょうか。
もちろん、試験で点数を取ること(試験に合格すること)と、実際に専門職として働くことは違います。
取得後の自分も想像しながら、苦手意識だけでなく、理解を深めるきっかけにしてもらえたら嬉しいです。
ここまでブログを書いてきても、誰の役に立てるのかは、正直さっぱり分かりません。
それでも、読んでいただいた方の1人でも共感していただけたら幸いです。
| 残り2か月弱、試験後に笑えるように頑張りましょう! |
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