【阪神】虎でつかむ2次試験の具体イメージ~事例Ⅳ編(財務・会計)~ by ARE
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はじめに
※10/12(土):一部内容を更新
肌寒いナ…
さて、AREのブログの番となりました。
10月も半ばとなりました。気温が一気に下がってきましたので、体調のケアもしながらクライマックスシリーズ(口述試験)まで突っ走りましょう!
その前に、まずはお知らせです!
Xでスペースやります!
2次試験まであと1週間ちょっとの時期に、最後の追い込みに向けて15代目メンバーがご質問にお答えします!
事前にいただいたご質問をもとにXのスペースにて実施します!
※途中参加・退出、耳だけ参加、匿名参加OKです♪
開催:10月18日(金) 20:00~
ご質問は以下のFormsから投稿ください!
今週末は2次試験前最後の3連休だニャ
【阪神】シリーズとは
少し前から【渾身】シリーズ、もとい、【阪神】シリーズと銘打って「虎でつかむ2次試験の具体イメージ」短期連載をスタートしております。
虎とはつまり阪神タイガースのことですが、阪神タイガースファンであるAREがチームとしての阪神タイガースを一つの中小企業に見立てて、2次試験のポイントがどのように用いられているか見ていこう!という連載です。テキストや参考書の文字面だけでは理解しにくい事項もあると思いますので、息抜き的に、具体的なイメージをつかんでいくのが目的です。(時にはチームとしての阪神タイガースと、球団としての阪神タイガースを行ったり来たりすると思いますが、ご愛敬ということで…)
万人受けしない可能性大…の連載ですが、刺さる人に刺さればいい!という精神で続けていきたいと思いますっ!
阪神タイガースをよく知らない方はザッと公式サイトを見ていただけると、少しこれから見ていく内容が分かりやすくなるかもしれません。。
それでは本編に入ります!
意思決定会計(NPV)
さて、今回は財務・会計ということで、意思決定会計(NPV)を取り上げたいと思います。
題材は「甲子園にラッキーゾーンを復活させ、そこに観客席を設ける」という投資案の検討とし、その投資の妥当性を判断していきたいと思います。
ラッキーゾーンとは
まずは本題に入る前に「ラッキーゾーン」の説明から入りたいと思います。
ラッキーゾーンとはホームランを出やすくする目的で、意図的に外野フィールドを狭めるための柵を設けた際のその柵と観客席の間の空間のことです。
以下の画像を見た方が分かりやすいと思いますが、右下の方の柵と観客席の間の空間のことです(実際はブルペンが設置されていました)。
この空間に打球が入るとホームラン扱いになるため、まさに「ラッキー」なゾーンですね。
もともと甲子園球場はレフト、ライトの両翼が広い球場で、ホームランが出にくい球場でした。ですが、ホームランが多く出た方が点も入りやすく、観客も盛り上がる!ということでラッキーゾーンが設置されたようです。
そんなラッキーゾーンですが、1991年シーズン終了をもって撤去され、現在は存在していません。
(ちなみに、ラッキーゾーンが撤去される前後のシーズンにおける阪神のチームホームラン数を比較すると1991年:111本→1992年:86本と大きく減少しています…。)
最近は甲子園球場以外の球場でラッキーゾーンに似たような動きとして、従来の外野フィールドエリアに観客席を追加で設けることでフィールドを狭くするような例も見られていています。
NPV計算
さて、それでは本題です。まずはNPV計算に必要な前提を定義・整理していきたいと思います。
前提
- ラッキーゾーンを復活させ、そこに観客席を設ける
- 観客席はレフト、ライトの両翼それぞれで30席×10列×3ブロックが増設されることとする
- 甲子園球場の1シーズンの試合数は62試合とする(2024年シーズン参照)
- 施工費は6億円とし、初年度期首に支出される。減価償却は耐用年数5年で、残存価額をゼロとする定額法による
- 観客席の増設によって各シーズンで以下の売上増加が見込まれる
- 座席料:席の半数はFC会員料金1,600円、半数は一般料金1,800円とする。初年度は満席となるが、その後は年度ごとに前年度から10%ずつ席利用者が減少するものとする。(料金は甲子園球場の外野席・席種Ⅱの料金を参照)
- その他:飲食・グッズ売上として席利用者あたり1,000円の売上が発生する
- 観客席の増設によって各シーズンで以下の費用増加が見込まれる
- 変動費:来場者用パンフレットの原価は200円とし、席利用者と同数の数量が必要であるものとする
- 固定費:座席の案内人員と清掃人員をそれぞれ4名ずつ追加する。時給1,500円、稼働時間5時間とする
- 法人税率は30%とし、資本コストは8%とする
- 資本コスト8%の場合の複利現価係数は以下の通りとする
- 1年:0.926 2年:0.857 3年:0.794 4年:0.735 5年:0.681
まずは投資によって各期に発生するキャッシュフロー(以下CF)の額を把握します。
なお、増設される座席数は30席×10列×3ブロック×2(両翼)=1,800席です。
①-1 売上(座席料)
初年度:900席×FC会員1,600円+900席×一般1,800円=3,060,000円×62試合=189,720,000円
2年度:3,060,000円×90%=2,754,000円×62試合=170,748,000円
3年度:2,754,000円×90%=2,478,600円×62試合=153,673,200円
4年度:2,478,600円×90%=2,230,740円×62試合=138,305,880円
5年度:2,230,740円×90%=2,007,666円×62試合=124,475,292円
①-2 売上(その他)
初年度:1,800席×1,000円=1,800,000円×62試合=111,600,000円
2年度:1,800席×90%=1,620席×1,000円=1,620,000円×62試合=100,440,000円
3年度:1,620席×90%=1,458席×1,000円=1,458,000円×62試合=90,396,000円
4年度:1,458席×90%=1,312席×1,000円=1,312,000円×62試合=81,344,000円
5年度:1,312席×90%=1,181席×1,000円=1,181,000円×62試合=73,222,000円
②変動費
初年度:1,800席×200円=360,000円×62試合=22,320,000円
2年度:1,800席×90%=1,620席×200円=324,000円×62試合=20,088,000円
3年度:1,620席×90%=1,458席×200円=291,600円×62試合=18,079,200円
4年度:1,458席×90%=1,312席×200円=262,400円×62試合=16,268,800円
5年度:1,312席×90%=1,181席×200円=236,200円×62試合=14,644,400円
③固定費
各年度とも時給1,500円×稼働時間5時間×8名=60,000円×62試合=3,720,000円
④減価償却費
各年度とも6億円÷5年=1.2億円
上記で分解して算出した値と、それらをもとにして以下の計算式で算出した営業CFの値を、次の表にまとめます。
営業CF
=税引前利益×(1-税率)+非現金支出
=(売上-費用)×(1-税率)+非現金支出
=(①売上-②変動費-③固定費
-④減価償却費)×(1-法人税率30%)
+④減価償却費
NPV計算の結果、正味現在価値は182,339,039円と、正の値となりました。
つまり、6億円の投資額よりも得られるCFの方が大きいということとなり、「投資すべき」と判断することができます。
今は無きラッキーゾーン復活案でしたが、「投資すべき」という結果となりました。近年の阪神のチームホームラン数が少なくなってきていて寂しい限りなので…、ぜひラッキーゾーンを復活させ、阪神からホームラン王が出ることを祈っております!!
最後に
さて、今回の記事はいかがでしたでしょうか。
実際の試験ではNPV問題は満点を目指すというのではなく、途中式や計算過程を示し「いかに部分点を取るか」が重要な戦略になってきます。今回のラッキーゾーンの例であれば、増設される座席数の計算や、①~④それぞれで分解した計算式などが該当します。
焦らなければ十分に部分点は取ることができますので、試験本番でもNPV問題を解く前に深呼吸してラッキーゾーンのことを思い出してみてください!きっとラッキーなことが起こるはずです。
今回も阪神ファン以外の方に刺さっているか微妙ですが…、2次試験の具体イメージをつかむためのヒントになれば嬉しいです。(少なくとも阪神ファンの方には刺さっていることを祈ります…!)
それでは今回はここまで!
ここまで読んでくださった読者の皆さん、ありがとうございます。
次回は『ぴらりん』です!
いくで~♪
☆☆☆☆☆
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サトシさん
ご返信と詳しい説明ありがとうございます!
どこまでやればいいのかおぼろげながら見えて来た気がします!
どこまでやるか不安との戦いですが、選択と集中で取るべきところを取ることで、やりきりたいと思いました!
こんばんは!
にっくです。
虎シリーズ、お疲れさまでした!
いつもとちょっと違う切り口でどの回も楽しむだけじゃなく、勉強になりました!
あと2週間、気分転換をしながら突っ走りたいと思います!
ありがとうございました!
にっく
にっくさん
いつもコメントありがとうございます。
今日のCS1試合目、阪神は負けてしまいましたが、、にっくさんは突っ走ってください!
応援しています!
初めてコメントさせていただきます
こちらの前提、人件費固定費、パンフレット費用変動費、グッズ他その他売り上げ、が1試合分なのか年間費用なのかわかりにくかったです。(1試合当たりの費用だと思って計算してしまいました)
本番でも起こり得ますよね 要注意と胸に刻みます
ふらんかあさん、今回も私サトシがAREに代わってコメントします。
設定が複数の解釈になってしまうことは、事例Ⅳではたまにあります。令和5年度の事例Ⅳでも貢献利益の問題でありました。
しかし、その場合はどちらの解釈で計算しても(当然出てくる値は異なりますが)点数が与えられます。
仮にできなかったとしても、受験生の解答が割れてしまう分だけ、そこまで点差はつきません。
なので、「本試験でわかりにくい設定・複数の解釈ができる設定が出てくることがある」という想定をしておきましょう。
また、「こういう問題が出てきたらむしろ解答できなくてもいい問題だ」と楽観的に思っていただいてOKです。
残り2週間ですね。がんばってください!
ふらんかあさん
コメント&ご指摘ありがとうございます!ふらんかあさんにご指摘いただいた項目は、1試合あたりのものですね。。
前提の内容、計算含め記事内容を一部修正させていただきました。
そして、その結果ラッキーゾーン復活案は「投資すべき」という結果となりました。
ちょっとしたことで投資案に対する判断が真逆になりうる場合がありますので、本番でも今回のご指摘同様に冷静に対処いただければと思います。
自分も、要注意と胸に刻んでいきたいと思います。ありがとうございました!
おはようございます。
4事例に渡る阪神シリーズお疲れ様でした!
また、野球好きの私にはとても分かりやすく参考になりました。ありがとうございます!
今回は5年目までのNPVということでしたが、
例えば、5年目以降もCF」が継続する・・・的な文章があれば永続価値の計算、
5年目期末で取り除く・・・的な記載があれば、除却損益の計算、といった判断をしていくイメージでしょうか?
NPV深入りは禁物なのは理解しているものの、部分点を取るための知識がどこまで必要かジレンマに襲われています・・・w
PS:阪神CS出場おめでとうございます!
岡田監督の勇退期待してますw
テセさん、コメントありがとうございます。
AREはクライマックスシリーズのことに夢中なので(笑)、代わりにサトシがコメントします。
投資の意思決定の計算では基本的に「5年目以降もCFが永続する」という設定は出てきません。これが出てくるのは企業価値評価のときですね。
投資の意思決定の場合は、最初から「●年間のスパンで考える」という設定(仮定)になっていますので、永続のことは気にされなくて大丈夫です。
5年目で終わる場合、売却や除却の計算が出てきます。除却は「0円で売却した」という扱いになります。
そのため、「売却額は0、その時点の簿価がそのまま売却損(除却損)になり、税率をかけて節税効果分をCIFに計上する」となります。
どこまで深入りすればいいかですが、正直言って除却損の節税効果分まで出せればお釣りがきます。
なぜなら、そこまでの減価償却の計算も正しくできていないと出せないからです。
普通は投資額、各期の税引後収支、減価償却費(タックスシールド)、売却額(除却は「0円で売却する」旨)を計算過程欄に書くくらいです。売却損益(除却損)の税金分まで出せるのは理想、と思っていただければと思います。