中小企業診断士2次試験 2018年度 事例Ⅲ 設問文解釈

季節外れの温かさがおさまり、涼しくなってきましたね。
本番もさることながら、本番までの期間も体調管理に気を付けましょう。
ここから先は一日一日がとても貴重です。

設問解釈の見える化 

設問文のチェック方法

  1. 与件文の第1段落だけを読み、事例企業の業種などの概略を把握する。  
  2. 問題ごとに蛍光ペンの色を決める。(毎回同じにすることまではしませんでした。)
  3. 設問文を熟読し、気になるワードや表現に線を引く。
    ※与件文を読むときは、設問文と同じ色でマークし、一目で設問文と与件文がどこでつながっているかを見えるようにする。
  4. 時制(過去、現在、未来、〇〇の時、等)を赤まるで囲む。
  5. 登場人物や会社、部門名、工程名など、解答の主語やキーワードになる可能性が高い単語を四角で囲む。
  6. 設問文の表現を自分の言葉にいいかえたこと、探すべき与件文中のヒント、キーワードなどを予想して鉛筆でメモする。
  7. 与件文を読む前に、解答の型を考える。
    解答内容の主語と述語がずれないように注意し、特に指定(「最大の」要因、など)がなければ、①、②、③と番号を付ける。
    余裕があれば切り口(〇〇面で~)を書く。

※一部上記チェック方法を外れています。

第1問

第1問(配点20点)

顧客企業の生産工場の海外移転などの経営環境にあっても、C社の業績は維持されてきた。その理由を80字以内で述べよ。

◆想起したこと◆

  • 顧客企業の生産工場の海外移転などの経営環境にあっても 
    ⇒ C社は電気・電子部品のプラスチック射出成型加工業で、顧客は大手電気・電子部品メーカー数社。
    顧客の生産工場が海外移転したとなると、C社の製品を使うことはなくなったのではないか。
    C社も一緒に海外進出したのだろうか。
    海外移転「など」の経営環境とあるが、海外移転の他にも経営環境の変化があるのだろうか。
  • 業績は維持されてきた。
    ⇒ 顧客の経営環境が大きく変わると、中小企業は大きく影響を受けるよな。
    特に特定の顧客に依存していると、もろにその影響を受ける。
    文の前半とは逆接的に「維持されてきた」とあるから、顧客企業の海外移転は「機会」ではなく「脅威」なんだな。
    業績が維持されたということは、海外移転しなかった顧客からの受注がしっかり確保できたのだろうか。
  • 理由を80字以内で述べよ。
    ⇒ 文字数制限は少な目だな。
    今のところ思いつかないが与件文をしっかり読もう。
    自社の強みによる理由、顧客企業(外部)の好意的な取り計らいによるもの、既存顧客企業以外に新規顧客企業が現れた、とかかな。
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   

間接的にC社の強みが問われていますね。

◆解答の型◆

理由は、①自社の〇〇(強み)が〇〇で〇〇なため、②顧客企業が〇〇なため、③新規顧客が〇〇なため、である。

第2問

第2問(配点20点)

C社の成形加工課の成形加工に関わる作業内容(図2)を分析し、作業方法に関する問題点とその改善策を120字以内で述べよ。

◆想起したこと◆

  • C社の成形加工課の成形加工に関わる作業内容(図2)を分析し
    ⇒ 部門・部署名と業務・作業内容をしっかり押さえよう。
    図の分析があるんだな。
    図2は、作業者の一日の作業内容を表している。
    あからさまに「待ち」が多いな。
    また、段取り作業内容を抜き取って細かく説明している。
    これは、この部分について解答しなさい、というヒントだな。
  • 作業方法に関する問題点とその改善策
    ⇒ 問われているのは、作業方法だな。
    作業の方法って何だろう。方式のことかな。
    部門・部署が指定されているので、その部分に書かれていることから抽出しよう。
  • 120字以内で述べよ。
    ⇒ 解答項目は問題点と改善策だから、1項目30字目安で問題点2つ、改善策2つだな。
    もし、問題点が多かったら、1項目20字で問題点3つ、改善策2つだな。
    その場合は、端的で短いキーワードでまとめよう。

問題点と改善策の両方を解答するパターンです。
下記の「解答の型」で解答をまとめる場合は、問題点の①②③と改善点の①②③が対応するように書きましょう。
解答の型は、AやBなどのパターンがありますが、自分が書きやすい型を決めておきましょう。

◆解答の型◆

A:問題点は、①〇〇な〇〇の不足、②~、③~、改善策は、①〇〇な〇〇の〇〇、②~、③~、である。

B:C社は、①〇〇が〇〇なため、〇〇の〇〇化、②〇〇が〇〇のため、〇〇の〇〇化、を行う。

ホントにあった怖い話

初回受験だった2018年、事例Ⅲのこの第2問で大事故を起こし不合格となりました。(4事例合計で4点不足)

図2を見た瞬間に、「一次試験の内容を問う、ジョンソンのアルゴリズムの問題だ!」と変にひらめいてしまいました。

そして、どの作業とどの作業を入れ替えるのかと、枝葉の部分を考え始めてしまい、大きく時間をロスした上まともな解答がかけませんでした。

見直し系の過去問で、具体的な内容まで求められた問題なんてなかったのにね…

単に、「作業順序を見直し、待ちをなくす」とでも書きなぐった方が得点につながったと思います。

その経験から、「いつもやらないことはやらない」「いつもと同じように解答する」ということをおすすめしています。

「突然のひらめき」には注意しましょう。

第3問

第3問(配点20点)

C社の生産計画策定方法製品在庫数量の推移(図1)分析して、C社の生産計画上問題点とその改善策を120字以内で述べよ。

◆想起したこと◆

  • 生産計画策定方法
    ⇒ そもそも全社・全工程共通の日程計画があるのか、立案サイクルが長すぎないかを確認しよう。
  • 製品在庫数量の推移(図1)分析して
    ⇒ 図の分析は2つ目だな。
    縦軸は在庫数量、横軸は稼働日か。
    在庫数量は多すぎず少なすぎず、その推移は一定であることが望ましいから、グラフ形状も一定の形を繰り返すのが望ましいな。
    なぜ幅や高さの波がバラバラなんだろうか。
    これを与件文で確認しよう。
  • 生産計画上の
    ⇒ 生産計画といえば、①日程計画、②工程計画、③負荷計画だな。
    ①計画立案サイクルが適正か、精度の高い生産計画になっているか、部門間で生産計画情報が共有されているか
    ②ネック工程はないか、仕掛品が多くなっていないか、
    ③ロットサイズは適正か、人員配置は適正か。
    を確認しよう。
  • 問題点と改善策を120字以内で述べよ。
    ⇒第2問と同じ問われ方だな。
    ※第2問のコメントをご参照ください。

図の分析では、必ずタイトルを一言一句確認しましょう。
グラフの分析では、タイトルに加えて、縦軸と横軸が何を表しているかを確認しましょう。
タイトルから社長が「何を伝えたいか」を考えましょう。
図1の分析では、「在庫数量推移」の現状がどうなっていて、本来どうあるべきか、
図2の分析では、「作業者」の「一日の作業内容」の現状がどうなっていて、本来どうあるべきか、と筋道を追っていくと解答の方向性が見えてくると思います。

◆解答の型◆ 

A:問題点は、①〇〇な〇〇の不足、②~、③~、改善策は、①〇〇な〇〇の〇〇、②~、③~、である。

B:C社は、①〇〇が〇〇なため、〇〇の〇〇化、②〇〇が〇〇のため、〇〇の〇〇化、を行う。

第4問

第4問(配点20点)

C社が検討している生産管理コンピュータ化を進めるために、事前に整備しておくべき内容を120字以内で述べよ。

◆想起したこと◆

  • C社が検討している生産管理コンピュータ化を進めるために、
    ⇒ コンピュータ化って、どのくらいのイメージかな。
    パソコンを導入するくらいなのか、システムをがっちり作り上げるイメージなのかな。
    生産管理といえば、生産実施面で作業管理、設備管理、資材管理、生産統制面で進度管理、余力管理、現品管理があるな。
    第3問で生産計画のことを問われているから、その内容とかぶらないようにしよう。
  • 事前に整備しておくべき内容を120字以内で述べよ。
    ⇒ コンピュータを導入しても、準備していないと使えないということだな。
    まず思い浮かぶのが情報の共有化。
    何の情報を共有するのか。
    共有するにも、きちんと整理されていないと共有の使用がないよな。
    マニュアル類の共有はあり得るな。

典型的なIT化の問題です。
IT化するメリットは情報を共有できることやデータを繰り返し使えることです。
では、どういった情報やデータを共有すると良いかを考えましょう。

◆解答の型◆
C社は、①〇〇が〇〇なため、〇〇等の〇〇情報、②~を事前に整備すべきである。

第5問

第5問(配点20点)

わが国中小製造業の経営が厳しさを増す中で、C社が立地環境経営資源を生かして付加価値を高めるための今後の戦略について、中小企業診断士として120字以内で助言せよ。

◆想起したこと◆

  • わが国中小製造業の経営が厳しさを増す中で
    ⇒ 世の中全体的に経営環境(外部環境)がより厳しくなっているということは分かる。
    与件文でどのような面の経営環境や外部環境を取り上げているかを確認しよう。
  • C社が立地環境経営資源を生かして
    ⇒ C社は電気・電子部品のプラスチック射出成型加工を営む企業。
    近くにお客がいると打ち合わせや納品の労力がかからないな。
    経営資源を「生かして」とあるので、現状のC社の強みが何なのかを明確にしよう。
    第1問との整合を意識しよう。
  • 付加価値を高めるための今後の戦略について
    ⇒ 付加価値とは、どんなことを指しているのだろうか。納期が早い、コストが安い、柔軟な対応、独自性がある、などを与件文で探ろう。
    それを高めるための今後の戦略だから、今はできていないことだな。
    ありたい姿は社長の思いやその周辺記述で探ろう。
  • 中小企業診断士として120字以内で助言せよ。
    ⇒ 中小企業診断士として、を解釈すると「社長の思いに寄り添って悩みを解決し、社長の思いを形にした提案書(解答)を作成すること」だと思う。
    社長の思いは与件文に書かれているし、まずはC社の現状を分析しよう。(SWOT分析)
    その中で、社長が外部要因に触れて感じていることに共感して、ともに解決する施策を提案しよう。
    助言問題だから、効果も添えて、社長に自分の提案をぜひ実行してもらおう。

中小企業診断士として、だから、フィーをいただくということです。
フィーを受け取るに値する提案書を書く必要があります。
現状の整理と問題点の確認。課題の抽出、改善策の提案。
そして、フィーを支払ってでも提案を受け入れると、
どんなメリットがあるのか、ということを社長にアピールしましょう。

編集後記

いよいよ2次試験まで1カ月を切りました。

古くなった感もありますが、「心を燃やして」日々精進しましょう。

もう、迷ったり悩んだりしている場合ではありません。

もしあったら、当ブログへコメントください。最大限助言いたします。

たくさん過去問を解くのもいいですが、解きっぱなしになっていませんか?

復習時に、解答例がどうしてそのような解答になるのか、設問文と与件文と解答の結びつきが腑に落ちていますか?

2次試験後採点者にあえるとして、

「設問文の問いに対し、与件文のここにこう書いてあるから、この解答になる。だから、点をください!」

と自信をもっていえる状態が、腑に落ちるということだと思います。

少なくとも、自分の解答(社長に対する提案書または発言)には、自分なりの根拠をもちましょう。

その際に、あなただけのオリジナリティーは一切不要なことを忘れないでください。

お知らせ

明日14日(土)は休刊日です。

お待ちかねのなゆたのブログは15日(日)公開です。

お楽しみに~!

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中小企業診断士2次試験 2018年度 事例Ⅲ 設問文解釈”へ5件のコメント

  1. ロム より:

    ひでさん、丁寧な解説までいただきましてありがとうございます。

    次回の与件文分析の時まで待っていようと思っておりましたが、先に知ることができたので、次に過去問で取り組む時に参考にさせていただきます。

    昨年はグラフを読み取る問題が出なかったので、今年は出るかもしれないと警戒しております。
    本番でグラフが出た際は、ひでさんに教えてもらったことを活かして慎重に分析したいと思います。

    ありがとうございました!

  2. まめ より:

    今日もブログ有難うございます。
    内容には直接関係ないコメントですがご容赦ください。

    今年一次試験不合格となり、試験後何となく勉強再開しつつも
    今後の勉強の進め方やスケジュールが今ひとつ定まらず
    モヤモヤした日々を過ごしておりました。

    が、本日よりギアを入れ直して勉強を再開することにしました!
    特に二次の勉強方法は依然模索中な状態ですので、まずはご無沙汰していた
    期間のブログに目を通して、勉強方法の確立とモチベーションUPを
    図りたいと思います。

    皆様のブログを糧に来年こそは合格目指して頑張ります!
    今後とも宜しくお願い致します‍♀️

    1. ひでさん より:

      まめさん、コメントありがとうございます。

      私は1次試験も2次試験も3度受験しています。
      1回目の1次試験の勉強は明らかに勉強不足だったので、試験の翌日から勉強を再開しました。
      1次試験は、真面目に勉強すれば必ず受かると感じたからです。

      私の場合、1次試験については、
      (1)使う教材の見直し ⇒ 某通信教育のテキストは誤字がおおく、解説文も不正確だったのでストレスを感じていました。2年目は使わずに別の市販テキストを買い換えました。
      (2)問題演習優先 ⇒ テキストは辞書的に使う
      (3)過去問優先 ⇒ 練習問題(スピテキ等)は過去問に比べると簡単。もちろんこれが解けることが前提ですが、やはり過去問を何度も解くことがポイント。
      (4)すき間時間の活用 ⇒ 電車・バス、仕事中の待ち時間など、3分あれば1問解くと心がけていました。

      2次試験については、2度目の受験で1次試験に合格した後に始めました。
      1回目の2次試験の勉強方法は、過去問を解いてふぞろいで復習
      2回目は、上記に加えてタキプロの勉強会とMMCに参加
      3回目(1次試験再受験)は、ふぞろい、MMCで勉強をしました。

      当ブログの中にそれぞれの勉強方法がくわしく書かれていますので、ご自身にあったものを「パクってカスタマイズ」してください!

      ご健闘を祈ります。

  3. ロム より:

    ひでさん、事例Ⅲの分析記事、ありがとうございます。

    ひでさんの分析記事をじっくり読んでいるおかげか、設問文の分析の行い方が何となく分かってきた……ような気がしますw
    ただ、今回の問題でもあるように、グラフの読み取りは少し苦手なところがあり、今回の問題でも在庫数のグラフはどう分析して何を考えればいいのか分からない点があるので、次回の分析記事も期待しております!

    過去問に繰り返し取組み、きちんと反省点を分析しているせいか、ひらめきで回答するということはほぼほぼなくなりました。
    本試験では、与件文からヒントが見つからずに時間に追われることがありそうですが、最後の最後まで与件文に食らいついてそこから回答できるように意識していきたいと思います!

    1. ひでさん より:

      ロムさん、コメントありがとうございます。

      解答プロセスが固まりつつあるようですね。
      当日は、いつも通り、いつものことをやるだけという意識がポイントだと思います。
      最後の最後まで与件文に食らいつき、解答欄を埋め尽くすことに集中してください。

      グラフの分析について、僭越ながらコメントさせていただきます。

      試験上一般的に、グラフ化しているのは「未来予想」ではなく、「現状」だと思います。
      この試験で「現状」といえば、「優れている点」ではなく、「問題点」であることが多いですよね。
      「ここが現状の問題点だよ」と社長が語ってくれています。

      とっかかりは、「あるべき姿」と「現状(問題点)」のズレの原因をチェックし、どうすべきか(改善策)をまとめるという、事例Ⅲの王道の考え方です。

      一方、与件文によると、生産ロットサイズが受注量よりも大きく計画され、製品在庫が過大とあります。
      最も生産数量が多い製品Aは毎日600個前後の納品指定数に対して、週1回の生産で3,000個作っています。
      また、他の製品は ~ 製品A以上に在庫管理に苦慮している、とあります。

      毎日ほぼ一定数で納品されるのに、縦軸から読み取れる在庫数量の上限がバラバラなことに違和感はありませんか。(作りすぎだよね。)
      また、生産を開始する基準となっている、下限の在庫数がバラバラなのも違和感がありますね。

      この原因は、長時間を要する成型機の段取り時間を考慮した生産ロットサイズの決定にある
      と与件文に書いてありますよね。
      (語順を入れ替えてわざと分かりにくく書いている感がありますが。)

      これに対して「あるべき姿」は、段取り時間ではなく、在庫数を考慮した生産計画、在庫の上限数や生産を開始する在庫数(在庫基準)が決まっている、ことがあげられますね。

      簡単ではありますが、コメントさせていただきます。

      体調管理に留意し、合格を勝ち取ってください!

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