中小企業の成長を促す計画のおさらい
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最近は夏真っ盛りで暑い日が続きますが、体調にお変わりはないでしょうか?
私は健康のため、外出するときはアパートのエレベーターを使わず階段で6階まで昇降しています!
しかし、最近は
・蜘蛛の巣
・もうすぐ天に召されるセミ(近づくとめっちゃ動く)
・カナブン、蜂
など虫タイプのドッキリトラップ?が多くて、エレベーターに逃げがちです笑
せめて家の中には入ってこないように祈るばかりです。
さてさて、1次試験まであと22日。
直前で暗記科目に取り組む人も多いと思います。
私もこの時期は暗記分野の漏れをなくすように努めていました。
ということで今回は暗記の割合が大きい中小企業政策に関する内容です。
中小企業の成長を促す計画のおさらいです。
例年、出題頻度も高く、選択肢としてまぎれることも多いのでしっかりと整理しておきましょう。
すでに完璧!という方もいらっしゃると思いますが、
復習にお役に立てていただけますと幸いです。
また、中小企業向けの施策は頻繁に変更されるので、
昔のテキストや過去問を使っていると、変更されていることがあるので注意しましょう!
今回は試験も近づいてきたので、大事なところは「赤背景+赤字」で書くようにします。
該当する部分をマウス(PC)や指(スマホ)で選択すると内容がわかるので暗記の確認にご活用ください。
contents
企業の成長段階に合わせた計画支援とは?
中小企業の成長を促す○○計画は複数あり、その位置づけがややこしかったのですが、
2020年の中小企業成長促進法で中小企業の目線に合わせて体系的に整理されました。
整理すると下記の図のようになります。
経営の基礎体力をつける「経営力向上計画」
新たな事業活動に取り組み、成長を目指す「経営革新計画」
地域特性を活かして、地域経済に貢献する「地域経済牽引事業計画」
今回はこの3つの計画を中心に紹介いたします。
昨年私が1次試験を受験したころには、 中小企業成長促進法 は施行されていませんでした。
この法律は中小企業の事業承継の促進や海外展開の支援も内包しており、煩雑だった計画制度の整理も行っています。
これにより、新連携や地域資源活用促進法(施策は地域未来投資促進法に統合)が受付終了しています。
中小企業への支援制度は頻繁に変わるので、合格後も継続的に情報をアップデートしないといけないですね。
*2021年7月の段階の情報です。必要に応じて最新情報をご確認ください。
経営力向上計画
まずは経営力向上計画から見ていきましょう!
この計画は中小企業だけでなく、中堅企業(資本金10億円以下 or 従業員2,000人以下)も対象となっています。
今持っている経営資源をうまく活用して、経営の基礎体力をつけたいです!
中小企業等経営強化法では「経営力向上計画」や次に紹介する「経営革新計画」を規定しています。
経営力向上計画は、事業分野の主務大臣が定める事業分野別の指針に従って作成する必要があります。
この分野別の方針は経済産業大臣の基本方針を受けて作成されています。
国の基本方針では計画期間を3年から5年とし、
認定の判断基準は、労働生産性の目標伸び率が2%以上(5年計画)になっています。
このときの労働生産性は下記の式で計算されます。
労働生産性 = (営業利益+人件費+減価償却)÷ 労働投入量
*労働投入量:労働者数又は労働者数×1人当たりの年間就業時間
*事業分野によってに指標や目標が異なります。
細かいところまで覚える必要はないですが気になる方は、下記もご参照ください。
事業分野別指針の概要について(令和2年10月)
認定されると下記の支援を受けることができます!
経営力向上計画の支援措置の例
税制措置
・中小企業強化税制(設備投資の際に即時償却又は取得価額の10%の税額控除を選択適応)
・事業承継等に係る登録免許税・不動産取得税の特例 等
金融支援
・日本政策金融公庫による低利融資
・中小企業信用保険法の特例(別枠での追加保証や保証枠の拡大)
・中小企業基盤整備機構、食品等流通合理化促進機構による債務保証
・日本政策金融公庫によるスタンドバイクレジット、クロスボーダーローン 等
法的措置
事業承継の内容により許認可承継の特例等が利用可能 等
コチラに令和3年5月の認定状況が掲載されています。
122,714件がが認定されており
内訳は 経済産業省:57,798件、国土交通省:37,111件、農林水産省:11,794件、厚生労働省:8,720件、国税庁:1,689件 等
となっており、業種別に異なる省庁が認定していることがわかります。
あまり細かいところは試験では問われない可能性が高いですが、
実際の状況を見てみたらイメージしやすいと思い記載しました!
経営革新計画
続いては経営革新計画です。
コチラは先ほどの経営力向上計画と異なり、対象となるのは中小企業者及び組合等となります。
新しい事業活動に取り組み、経営を改善します!
先ほどの「経営力向上」に比べて「経営革新」のほうが何となく強そう?で
より成長した企業のイメージが持てるかと思います。
そのイメージ通り、求められる成果は経営革新計画のほうが高く、支援内容は新事業活動に適しています。
新事業活動とは?
①新製品の開発又は生産
②新役務の開発又は提供
③商品の新たな生産又は販売方式の導入
④役務の新たな提供の方式の導入
⑤技術に関する研究開発及びその成果の利用その他の新たな事業活動
さらに、下記2つの指標が目標伸び率を達成する計画である必要があります。
・付加価値額 = 営業利益+人件費+減価償却
・一人当たりの付加価値額= 付加価値額÷従業員数
・給与支給総額=役員報酬+給料+賃金+賞与+各種手当
目標が経営力向上計画の労働生産性の2%以上の伸び率(5年計画の場合)に比べて、大きな伸び率になっています。
以前の池やんの記事でもありましたが、付加価値額の算出方法は目的によっても異なるので注意しましょう。
目標指標から、しっかり稼いで、給与向上と設備投資してね!という狙いと読み取れます。
経営革新計画の支援措置の例
保障・融資の優遇措置
・信用保証の特例、日本政策金融公庫による低利融資
・食品等流通合理化促進機構による債務保証 等
海外展開に伴う資金調達の支援措置
・ 日本政策金融公庫によるスタンドバイクレジット、クロスボーダーローン 等
販路開拓を行う場合の支援措置
・販路拡大コーディネート事業、新価値創造店(中小企業総合展)等
また先ほどの経営力向上計画とは認定先が異なる点も注意が必要です。
経営力向上計画は事業分野別指針を各省庁が出すため、その主務大臣が認定を行います。
経営革新計画は新事業活動にフォーカスしており、実際に事業を行う都道府県が認定しています。
経営革新計画も2020年度版から変更があり、新事業活動の内容と目標指標が変わっています。
新事業の範囲に「⑤技術に関する研究開発及びその結果の利用その他の新たな事業活動」が追加され(2020年版では①~④の4種類でした)より広い範囲の事業に適用が期待されます。
また目標指標の一つが「 給与支給総額 」でなく、「経常利益」でした。付加価値額に人件費が含まれているのにかかわらず、給与支給総額も指標に含めており、賃金を本気で引上げようとしていると感じます。
地域経済牽引事業計画
最後は地域経済牽引事業計画です。
地域資源を活かして、地域の経済発展に貢献します
地域経済牽引事業計画は上記に二つと異なり、
地域未来投資促進法に基づいています。
(経営力向上計画と経営革新計画は中小企業等経営強化法に基づいています。)
計画策定の流れは下記の通りです。
基本方針を国が示し、基本方針に従い、等道府県・市町村が基本計画を策定します。
この基本計画に沿って事業者が計画を策定します。
地域経済牽引事業と言われるだけあり、地域事業者への経済効果を見込める計画が求められます。
名前から想像できるように、都道府県や市町村によって、地域資源が異なるため基本計画も異なります。
例えば、私の出身の奈良県の未来投資促進基本計画では、
・神社仏閣等の観光資源を活用した観光・スポーツ・文化・まちづくり
・三輪素麺、柿等の特産物を活用した農林水産・地域商社
などが盛り込まれています。
(詳細はこちら。読むと奈良県の産業に詳しくなれますが時間がかかるので試験後に!)
実際に承認された計画のPR資料がコチラにまとめられています!
皆様にゆかりのある地域の計画書を探してみても面白いと思います。
残念ながら奈良県は掲載されてなかったです・・・(´;ω;`)
地域経済牽引事業計画の支援措置
予算による支援措置
・地域イノベーションを支えるネットワーク構築や研究開発、販路開拓のノウハウ提供 等
税制による支援措置
・先進的な事業に必要な設備投資に対する減税措置 等
金融による支援措置
・日本政策金融公庫による承認中小企業に対する設備資金、運転資金の長期、固定金利での融資 等
情報による支援措置
・地域経済分析システム(RESAS)等の活用
規制の特例措置
・農地転用許可、市街化調整区域の開発許可等に係る配慮 等
2次試験の過去問を解いていると、地域活性化を望む社長が多く登場しますが、
これは自社だけでなく地域企業もともに成長することを促す計画です。
(国も地域への波及効果がある事業者を支援したいと考えているのでしょう)
まとめ
本日は中小企業の成長を支援する計画のおさらいでした。
試験に向けての知識の整理に役立てていただけますと幸いです。
さていよいよ1次試験前に私が記事を書くのも次回で最後になります。
次回は本番直前の「おまもり記事」を書く予定です。
お楽しみに!
明日はひでさんの【渾身に代えて】シリーズの2019年事例Ⅲの予定です。
今は1次試験に集中している方も多いと思いますが、
1次試験合格後、2次試験の勉強でひでさんの記事はとても役立つので、じっくり読んでみてください~
ではでは!
記事のウラガワ🦊
中小企業政策は受験生のときに暗記が多い科目で、苦手意識があり、試験終了後に知識が抜けてしまいました。
診断士として中小企業を支援するにあたり、この科目の重要性を再認識したため、記事としてもまとめてみようと思ったのですが、昨年と今年で変更点も多く、記事を書くのに時間がかかってしまいました💦
調べてみると、支援措置の数も多く、完璧に覚えようとすると時間がかかるので、
受験対策としてはテキストに掲載されている内容をしっかり押さえて、余裕があれば詳しく確認するのがよいと思います。
実際に計画のガイドラインやパンフレットに目を通してみると、国の方針や中小企業の状況を知るきっかけになるので、合格後に機会があれば手に取ってみてください。
こんちゃんさん、先日は夏セミナーお疲れさまでした。
うわのそらTシャツのチョイスが正解だったのか間違っていたのか分かりませんが、セミナーは一秒たりともうわのそらにはならずに聞いておりました!
中小企業経営政策の記事、ありがとうございます。
今回は読みながら伏せられている部分を思い出してみましたが、大体は頭の中から知識を引っ張り出せて正解できたので一つの自信となりました。
中小企業経営とは違い、政策の方では点数を稼いでいきたいと思いますので、試験まで油断なくテキストと過去問の周回に励みます!
ロムさん
先日は道場夏セミナーにご参加いただき、ありがとうございました!
「うわのそら」Tシャツにはかなり笑わせていただきました!
知識を引っ張り出す感覚は試験ではとても大事なので、
残り期間体調に気を付けてしっかり調整してください!
ではでは、1次試験後をしっかり突破して2次試験合格まで応援しています~
こんちゃん