【合格体験記】完全独学、「自分に限界を作るな」をモットーに~タカさん~
こんにちは、とりです。
今回の合格体験記は、「タカ」さんです。
タカさんは予備校も勉強会も参加しない「完全独学」で見事合格を勝ち取りました。そこには、勉強仲間や先生がいない孤独と戦いぬいたご苦労も数々あり、これから受験を目指すすべての方の参考になるかと思います。
それでは、ご覧ください!
≪寄稿ここから≫
【はじめに】
体験記に入る前に一発合格道場の執筆者の皆さんに心よりお礼を申し上げます。
4年間独学で勉強している間、自分にとって、このブログが「一縷の光」でした。
仲間も先生もいない環境において、途中で挫折しなかったのは、皆さんのおかげです。
(1)受験生情報
①名前 タカ
②年令 54歳
③自己紹介
- 昭和60年代前半にメガバンクに入行、主に現場で法人営業を担当。
- 法人営業以外には、下記職務を担当。
- マーケットセクションで日銀担当
- コンサル会社に出向し銀行取引先にコンサル営業
- 本部企画部門にて関連子会社設立
- 昨年、銀行を卒業し、現在は、中小企業のメーカーにて管理部門を担当。
- 家族は、妻と女の子3人とトイプードル(オス)。
- 大学時代は、体育会でサッカーをしていました。(ポジションは、サイドバック)
(2)診断士に挑戦した理由・キッカケ
①背景
- 45歳を過ぎ、会社の研修を受講しました。通称「タソガレ研修」
「あなたは、会社を卒業して名刺なしで何ができますか?」
「自分の存在価値、存在意義は?」
―――>???
- 若い担当者の時は、自分でいろいろ考え、主体的に仕事に取り組んできましたが、職階があがるにつれ、マネージメントという名目で、当事者から離れ、他人に依存して食べさせてもらっている自分を情けなく思うこともありました。
- 銀行から出向・転籍するタイムリミットが迫った時点で、
「会社や役職にしがみついていくのは嫌だ」、
「これまでの経験や知識を活かして何かできないか」
と考えていました。
②キッカケ
- キッカケは、銀行関連コンサル会社への出向でした。実際にコンサルタントの仕事に携わり、面白みと醍醐味を直接肌で感じることができました。
- コンサルタントになるためには、組織人事・ITといった専門知識を持ち一般事業法人に勤務する人が、「中小企業診断士」資格取得」をステップとして、コンサル会社へ転職するケースが多いことを知り、この資格の勉強を始めました。
(3)学習スタイルとそのメリット・デメリット
①学習スタイル
- 完全な独学で、予備校、勉強会等には殆ど参加しませんでした。
(基本的には、二次試験模試のみ) - 一日のスケジュール(直近1年)
- 平日: 朝 4時起床
4時~5時30分 自宅学習
6時30分~8時 勤務先近くのドトールで学習
昼12時~13時 勤務先で
夜19時~21時
-
- 休日: 8時間程度、自宅で学習
②メリット
- マイペースで勉強を進めることが出来る
- お金がかからない。(子供3人の負担大)
③デメリット
- 勉強仲間、先生がいないため、孤独感あり。
- 客観的に自分の弱み、強みが解らない。
- 情報がない。(二次試験で設問文を先に読んだ方がいいとか)
(4)合格までの受験回数、学習時間とその作り方
①学習開始時期と受験回数
- 2012年3月より開始。
- 2013年 一次試験 中小企業政策、情報システム、法務 科目合格
- 2014年 一次試験 合格
二次試験 不合格 Ⅰ45 Ⅱ50 Ⅲ50 Ⅳ45
- 2015年 一次試験 合格 財80 経60 企73 運55 法64 情40 中73
二次試験 不合格 Ⅰ71 Ⅱ60 Ⅲ59 Ⅳ42
- 2016年 一次試験 合格 財86 経82 企68 運65 法56 情36 中52
二次試験 合格
②一次学習時間 よくわかりません
③二次学習時間 よくわかりません
(5)合格までの学習法
①一次
- 2015、16年は、「保険受験」でしたが、5月の連休明けから準備しました。
―――>何回も繰り返すと最初は点であった知識がつながっていき、二次試験の基礎知識構築に役に立ちました。
- 過去問題は、ブックオフで5年前の問題集を購入し、過去10年分をこなしました。
- 経済は、「入門マクロ経済 中谷巌」で学びました。
- 財務のファイナンスは、「道具としてのファイナンス 石野雄一」で学びました。
②二次
- 過去問題(平成13年~)を何回も繰り返し解きました。
―――>大渕先生の「俺の解答」を参考にしました。
- 参考書は、「世界一やさしい答案作成術 斉尾裕史」が参考になりました。
- 図書館で「企業診断」を借りて必要箇所をコピーしていました。
―――>杉並区の荻窪中央図書館を利用。
- 過去問をコピーして常にスーツのポケットにしまい、暇を見つけて読んでいました。
③再現答案
事例Ⅰ
第一問 設問1
要因は、技術力と人材力である。具体的には、①オフセット印刷機導入を契機として独自で開発に取り組み向上させた印刷技術力、②教育に力を注ぎ、研究設備を充実して企画力やデザイン力を強化した人材力である。
設問2
要因は、①新規事業の対象を拡大しすぎ、経営資源が分散したこと、②社長の独自性が強く、企画段階から社員が参画していないこと、③当社の強みの技術力が活用できず、シナジー効果を発揮できなかったこと。
第二問 設問1
既存事業は、顕在化したニーズに対応することが重要であったのに対して、新規事業は潜在的なニーズを発掘し、商品開発に結びつけることが重要。留意点は、配置換えをした社員の育成と新設した営業所の有効活用である。
設問2
理由は、印刷業界の経営環境が大きく変化したことに対する対応力を強化する為である。具体的には、①事業別の責任を明確化し、変化に応じて経営資源を適時適切に配分すること、②迅速な経営判断を行うこと、である。
第三問
施策は、成果主義型人事制度を導入し、新卒・女性社員を育成する。留意点は、①適正で納得感のある評価制度、②適性に応じた配置、③スキル向上支援、④権限委譲による士気向上、⑤中長期志向、協働を評価、である。
事例Ⅱ
第一問
戦略は、創業以来一貫して国産丸大豆を原材料として伝統的手法でしょうゆを醸造、40年前から減塩しょうゆを販売、25年前までに新商品を追加投入し、87種類まで製品を増やした。
第二問 設問1
ターゲットは、①食に敏感な女性、②健康志向のシニア、③日本の伝統に興味を持つ外国人宛に拡販を目指す飲食店。商品は、①地元産原料で製造したしょうゆ、②減塩しょうゆ、③伝統的手法で醸造した天然醸造しょうゆ。
設問2
有名な料理店が評価した「しょうゆの濃厚さと芳醇さ」を観光情報誌やグルメサイト経由で宣伝する。販売は、z社以外の飲食店との取引を積極的に強化すること。
第三問
メリットは、顧客ニーズを発掘し、ニーズに合致した商品開発に活用できることである。効果は、地元産材料使用、低カロリー・減塩など健康配慮に対する評価をマスコミ経由で宣伝してもらい、ブランド価値が向上したこと。
第四問 設問1
X市市街の観光地とb社を結びつけることにより、歴史と伝統ある老舗ブランドを顧客に訴求する。
設問2
提案は、①b社が国産丸大豆を原材料として伝統的手法で醸造している過程を情報発信する。②X市市街の観光地について双方向で情報交換できる機能を提供し、ニーズを発掘する。
事例Ⅲ
第一問
(a)X農業法人との関係により単価の安い規格外野菜を仕入れることができること。
(b)効果的な生産管理が組織的に行われていないため、原材料費、労務費が上昇したこと。
第二問
対応策は、生産管理をグループ単位から全社単位に変更すること。具体的には、①生産計画策定、受注、生産統制を一元管理する責任者を任命すること、②原材料調達、出荷輸送を全体最適ベースで行うこと、③製造グループ間の人的応援を適時適切に行うことにより歩留まりロス低下による原材料費削減と作業効率化による労務費削減を実現する。
第三問
着目するクレームは、①カット形状不均一、②鮮度劣化、③異物混入である。具体的な対応策は、3項目が起因作業方法を改善することである。改善内容は、①最適作業内容を分析して標準化、②衛生管理ルール策定、③グループ間の人員移動による手待ち、仕掛品削減。
第四問
一般消費者向けのカット野菜パック事業を提案する。理由は、①国内カット野菜需要割合が年々増加している為、②事業規模拡大により、3カ月の操業停止期間を解消させる為、である。社内対応策は、①施設、設備、作業方法などの衛生管理を改善すること、②製造グループ間で人員移動を行うこと、③c社製品に合わせてX農業法人が栽培種類を調整する。
事例Ⅳ
第一問
売上高経常利益率 10.11%
有形固定資産回転率 1.77回
流動比率 55.70%
原因は、土地購入資金を短期借入で賄い安全性低下、支払利息増、粗利低下により収益性低下、収益を生まない資産増加で効率性低下。
第二問
設問1
減価償却費 36
営業外収益 -8
営業外費用 20
売上債権増減 -1
棚卸資産増減 -3
仕入債務増減 3
小計 155
営業活動CF 116
設問2
(a)
-320 320 226
-443 375 264
(b)
X*4.214*0.9434-(320+443)+(226+264)>0
X=69百万円
第三問
(a)貢献利益9百万円=限界利益49百万円―個別固定費40百万円
(b)閉店すべきではない。貢献利益がプラスで共通固定費を賄っている為、閉店するとその寄与分が消滅する。
第四問
設問1 影響は予約時間の延長、ネット上の露出増にょり、売上が増加、システム料金支払い、労務費増加により費用が増加する。
設問2
860百万円
18百万円低下
10百万円低下
(6)学習時・受験時のエピソード
① 一次試験突破、二次試験初挑戦
- 2014年に勉強開始から2年で一次試験を突破し、二次試験にトライしましたが、試験終了時点で駄目だと観念しました。独学で一次試験突破に全力をかけ、2カ月少々の期間で突破できるほど二次試験は甘くはありませんでした。
② 二次試験 2回目の挑戦
- 2015年は財務に力を入れ、「イケカコ」、「集中特訓」を反復学習。
試験終了時点で、事例Ⅳが簡単でできたと確信したため、手応えを感じました。
ところが、予備校の回答で自己採点したところ、ボロボロの結果でした。問題を見て「しめた簡単だ」と思ったことが落とし穴でした。その時点で事例Ⅰ~Ⅲまでの点がどうかわからず、特に事例Ⅱの商店街の問題に自信がなかったので、事例Ⅳで80点を目指し、事例Ⅰ~Ⅲの失点を挽回してやろう意気込みました。結果は、簡単な問題で数字の転記ミス、問題文の早とちりなどあり得ないミス連発の結果となりました。
- この二次試験の反省は、下記です。
- 一次試験の財務が80点と高得点で、変な自信を持っていた。
―――>自分で出来ると勘違いしていたが、本質を理解していなかった。
-
- 事例Ⅰ~Ⅲに真剣に取り組むと事例Ⅳ時点で思った以上に体力が疲弊していることに気付かなかった。
③ 二次試験 3回目の挑戦
- この反省をふまえ、2015年12月~2016年4月まで、簿記1級のテキストにて財務を徹底的に勉強しました。(6月の試験であえなく不合格でしたが)
- 二次試験当日留意したことは、休み時間に仮眠を取るなど、事例Ⅳまでにともかく体力を温存すること。
(7)これから合格を目指す人へのアドバイス
- 一次試験は、年によって科目によって難易度のボラティリティが高いので、合格済の得意科目は免除制度を利用しない方が、保険になると思います。
- 一次試験に合格し、二次試験に失敗した翌年も一次試験の保険受験をお勧めします。一次試験を何回も勉強すると最初、点でしか理解できなかったことが線でつながるようになり、体系的に理解できることになり、二次試験の基礎知識として役に立ちます。
- 二次試験のポイントは、
①過去問題の反復
- 国家試験受験の達人が「国家試験合格の極意は過去問題学習にあり」と仰っていましたが、まさにその通りだと思います。
- ちなみに今年の事例Ⅱしょうゆメーカーのターゲットと製品戦略の問題を見て、「Mシェフ」を思い出しました。
②事例Ⅳの重点学習
- 二次試験で正答がわかるのは、事例Ⅳだけです。二次試験の勉強の半分以上は、事例Ⅳにかけていいと思います。
- ケアレスミスは、実はケアレスミスではなく、完璧に理解していないことを失敗を通じて学びました。
<お勧めの図書>
- 小が大を超えるマーケティングの法則 岩崎 邦彦
- ブランドづくりの教科書 同 上
- 引き算する勇気 同 上
- トヨタ生産方式 大野 耐一
- ケースで学ぶ管理会計 金子 智明
- 管理会計の基本がすべてわかる本 同 上
- 管理会計入門 高田 直芳
- キャッシュフローのしくみ 同 上
- 考える技術、書く技術 バーバラミント
- 顧客満足型のマーケティング 嶋口 充輝
【最後に】
この4年間の成果は、試験に合格したという結果ではなく、真剣に勉強したプロセスにあると考えています。合格するまで4年もかかったととるか、4年間も全力でひとつのことに取り組むことができたととるか、自分では後者だと理解しています。
学生時代には、「練習は不可能を可能にする」、「自分に限界を作るな」をモットーに練習に取り組んできましたが、この4年間はあの時の4年間に戻れたようにも感じます。
≪寄稿ここまで≫
いかがでしたでしょうか?
私とりも完全独学(勉強会は参加してました)でしたが、タカさんもおっしゃる通り、先生も勉強仲間もいない孤独との闘い、しかもそれは長期間にわたるものになります。しかも、年齢を重ねていると体力的にも厳しくなって、長時間の勉強や本試験の強い緊張感が体に堪えるようにもなります。タカさんは学生時代に培った「練習は不可能を可能にする」、「自分に限界を作るな」という信条で、絶対に診断士になるという強い意志を貫いて見事合格を勝ち取ることができました。
学習計画、PDCAといったことももちろん大切ですが、絶対に欠かせないのはこの強い意志、信条なるものです。計画を立てるのも、日々の学習でPDCAをまわすのも、強い意志の裏付けがあって意味のあるものになってきます。
合格を目指して学習されている方、これから診断士を志す方は、これからの学習で壁にぶつかった時に、ご自身の初志を思い出して壁を乗り越えていきましょう。
あらためて、タカさん、合格おめでとうございます!!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
以上、とりでした。