【事例Ⅰ~Ⅲ】事例別の取り組み方

こんにちは、うみのです。

 

本試験まで、残り2週間と1日ですね。

精神的には非常に辛い時期だと思いますが、「今やるべきこと」を冷静に見つめて、優先順位をつけて取り組んでいきましょう。

 

さて、セミナーなどで受験生の方から非常に多くいただく質問のひとつが、「事例別の取り組み方の違いについて知りたい」というものです。

事例Ⅳは明日の記事で、6代目財務四天王の1人である、おと氏ががっつりと取り上げてくれることになっていますので(例によって無茶振り)、私からは事例Ⅰ~Ⅲについてお伝えしたいと思います。

 

※6代目財務四天王とは?

おと、和尚、mya、まるの4人。財務について何か書かなきゃな~と思ったらいつもこの4人に無茶振りしています。

 

【事例Ⅰ】

1.何よりも、「A社は、組織と人事について悩みがあって、診断士であるあなたに相談に来ている」という大前提を忘れない。

組織は、組織構造組織文化の2面で分析する。文化が浸透しているか、構造が効率的になっているかに着目する。だいたいどちらかに課題がある。

人事は、能力開発モラール向上の2面で分析する。採用、配置、評価について、社員の納得を得られるような制度になっているか。育成のための体制が整っているか。だいたいどこかに課題がある。

 

2.分からない時ほど、与件文にしがみつく

与件文・設問文ともに、つかみどころのない表現が多くて不安を掻き立てるが、事例Ⅰはもともとそういう仕様だと割り切る。

割り切った上で、だけど、課題と向かうべき方向性は必ず与件文に書いてある

間接的に書いてあることが多いので戸惑うが、①創業から現在に至る時系列 ②過去の取組とそれによる成長、近年の環境変化とそれに応じて求められる新たな改革の方向性の因果関係を整理する。

 

3.一次知識の対応付けは与件文に沿って絞り込む

組織と人事に関する一次知識は広範なため、どの設問にどのキーワードを対応付けしていいか迷いがち。 しかし、与件文をしっかり時系列と因果関係で整理し、制約条件を踏まえれば、ある程度は具体的に絞られるはず。

 

※ここに自信がない人は、残り二週間で徹底的に強化しましょう。

過去問を読み、設問ごとに解答に使う一次知識のキーワードを対応付け、A評価答案に用いられているキーワードと照らし合わせてみて、対応付けを誤っている箇所はないかをチェックしてみてください。書けていないものがあるとすればそれは「知識はあっても、使い方が身についていない」状態です。

一次知識の体系化も大切ですが、「合格者はどんなキーワードを対応付けしているのか?」をインプットする=「使える」状態にすることは2次試験対策において非常に重要です。これは事例Ⅱ、Ⅲも同様。

 

【事例Ⅱ】

1.「B社は、マーケティングについて悩みを持った企業」であることを忘れない。

マーケティングとは言っても、2次試験における基本的なテーマは 「強みを生かし、メディアやチャネルを駆使して、新たな市場(機会)に打って出る」 ことである。

よって、主な着目ポイントは

 

(1)B社の強みは何か?

(2)その強みが生かせる機会(新たなターゲットとニーズ)はどこにあるのか?

(3)適切なメディアやチャネルはどれか?

 

であり、これらを与件文の中から正しく拾えるか、が事例Ⅱの勝負どころ。

 

2.基本の切り口に沿って与件文を整理する。

人事組織や生産管理と比較して、「マーケティングってなんだかイメージしにくい」と言う人は少ないと思われる。

よって、事例Ⅱは一番とっつきやすい科目とも言えるが、それだけに「なんとなく読んで、なんとなく書いてしまう」ことで大事故を起こす危険度が最も高い事例でもある。

だからこそ、「基本の切り口」というフレームで、与件文の情報を‟診断士らしく”整理することが大事。

以下その具体例としての、基本中の基本。

 

(1)3C

顧客は誰か?どんなニーズを持っているか?

属性やニーズはどう変容してきているか?

競合の4P及び強みに対して、B社が「ここでは負ける」もの、「これなら勝てる」ものは何か?

 

(2)4P

商品・サービス …B社の“現在の”強み、独自性を生かしたものは何か?

価格 …ブランド価値や顧客から見たコストパフォーマンス(コストとは金銭的な意味だけでなく、時間的や心理的な手間も含む)を踏まえ、プレミア(付加価値)を感じさせる価格で行くか、お得感ある価格で行くか?

流通・チャネル …“B社の”商品・サービスを“B社の”ターゲットが買ってくれる最適な場所はどこか?直販か、卸か?リアル店舗か通信販売か?

販売促進 …“B社の”ターゲットに情報を伝える最適な方法は何か? 何のツールや誰を使い、どこでどうやって届けるか?

 

(3)STP

新たに打って出られる市場はどこにあるのか?

ターゲットはどんな属性の、どんなニーズを持った人か?

競合と差別化し、かつ顧客のニーズを満たしうるサービス・商品は何か?

 

(4)誰に、何を、どのように

新たな市場に打って出る戦略を、この3つに沿って説明できるか?

このフレームが欠けている解答は、B・C評価答案にとても多い。

B社の課題と向かうべき方向性を3C、4P、STPで整理できていれば、自ずと明確になるはず。

 

これらのフレームに沿って与件文を“診断士として読む”ことができれば、各設問で「何が問われているのか?」も理解できる。

少なくとも、「なんとなく読んで、なんとなく書いてしまう」ようなことは防げる。

 

3.高得点を狙おうとしない。

事例Ⅱで最も大事なのはこれかもしれない。

「他の受験生が書かないであろうことを書いて、差をつけてやろう」と考えた時点で、あなたが差をつけられている。

採点方式に「減点システム」があるかどうかは定かではないが、妥当性の低い(=与件文から根拠を示せない)アイデアや知識をひけらかすことは、「私は題意を理解できていません」と採点者にアピールしているに等しい。

特に事例Ⅱは、「なんとなく読んで、なんとなく書いてしまう」中で上記のような下心が出やすいだけに、要注意。

 

【事例Ⅲ】

1.「現場の明らかな課題」を見つける。

与件文全体をQCDの視点で見ると、どこかに必ず「明らかな課題」がある。

受注~生産~納品の流れを整理し、

①「していない」「できていない」こと ②ムリ、ムダ、ムラ を全て洗い出す。

 

2.「流れに着目する。

「生産管理」において課題を持つ事例Ⅲにおいては、「二つの流れ」が重要。

ひとつは、情報の流れ。

もうひとつは、モノの流れ。

二つの流れに着目して与件文の情報を整理してみると(図式化してみるとわかりやすい)、

 

・部門間(社内全体)

・生産工程(工場内)

・外部(取引先、仕入先、外注先など)

 

のどこかに「スムーズに連携できていない箇所」があるはず。

情報の流れなら、どう共有するか。

モノの流れなら、どう生産リードタイムを短縮し、どうコストを下げるか。

の視点で、解決方法を明示する。

 

3.一次知識を使って、解決方法と成果を具体的に示す。

事例Ⅲは特に、「現場の明らかな課題」に対して、「具体的な解決策」と「それによる成果」を明確に示す必要がある。

運営管理の知識を持った診断士として、具体的な改善策を提示することが求められている。 解決方法の基本はECRS(ないじゅか)

洗い出した課題は全て解決してあげるとともに、「それをやることで何がどう改善されるか」までを具体的に書く。

そして、現場の課題をクリアすることで、C社が進むべき方向性に向かえるという因果を明確にする。

 

———————–

 

以上、「それぞれの事例で何が求められているのか?」を把握しておくことは、出題者の意図を汲むうえでは最も重要となる前提です。

私が受験生時代、このことに気づいたきっかけは、初代・ハカセ氏のファイナルペーパーでした。

 

※余談ですが、「盲点をピックアップして補強する」という目的で「人のファイナルペーパーに学ぶ」ということは直前期対策としてはとても有効だと思っています。その理由については別のブログに書いていますので、ご参考になれば幸いです。

 

そして、事例Ⅰ~Ⅲの解答作成において共通して言えることは、

 

与件文と一次知識のバランスが大事

 

ということです。

与件文の抜き出しだけでは診断としても助言としても力不足。

診断士なら、専門知識(=一次知識)をさらにそこに加味して「つまりこういうことだと診断できます」「すなわちこうすることで解決できます」と具体的に示す。

 

一方で、一次知識のキーワードをやたらめったら詰め込めばOK、ということでもない。

あくまで与件文から、事例企業の時系列と因果、課題と向かうべき方向性を具体的に抜き出したうえで、そこに最も適切と思われる一次知識を対応付けることが大事。

そして与件文の抜き出しは、「与件文の言葉をそのまま使う」ことが重要。

変に知ったかぶりして言い換えたところで、採点者に伝わる可能性が下がるだけ。

「与件文の抜き出しは素直に、一次知識の対応付けは与件文に忠実に」を心がける。

 

ここまで読んでも、具体的にどう書くのかイメージできない…という人は、“A評価答案の読み込みと分析”が不足している可能性が高いです。

ふぞろい」や再現答案まとめを読んで、採点者に伝わる「与件文の抜き出しの仕方」「一次知識の対応付け」をインプットすることをおすすめします。

 

そして、最後に勝敗を分けるのは

 

「事故を起こさない(=40点以下を取らない)こと」

 

だと私は思っています。 事故とは、「みんなができる問題で題意を外す」ことです。

いわゆるサプライズ系の問題はみんなができなくても当たり前。

むしろ、与件文と設問文をしっかり読み込めていれば解けたはずの問題で、見落としや制約条件外しをしてしまうことのほうが致命的です。

手堅く解ける問題で着実に点を積み重ねることを意識して臨んでくださいね。

 

また、得点開示制度が導入されたことで、出題の傾向が変わるのでは・・・という風評もありますが、結局、2次試験においてやることの本質は変わりません。

すなわち、

 

与件文に描かれた事例企業の課題と向かうべき方向性をつかみ、

設問文で問われていることに対して素直に、

診断士としての知識を用いながら答える、

 

ということ。

その原則に忠実であるかぎり、10月25日は「事故なく安全運転」で走り抜けられるはず。

 

あとは、逃げずにやりきることだけを考えて、最善を尽くしましょう!

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