知識から逃げずに、戦え。

Joan Woodward
1916-1971 イギリスの社会学者
54歳、乳癌で早逝。

経営学者は長寿が多い。その中54歳で乳癌で世を去ったJ Woodward(組織のコンティンジェンシー理論)の思いに触れ涙した人は、合格センスあり。

知識は人を裏切らない。

1971年、20世紀のイギリスの仇は、21世紀の診断士試験の一発合格で取る。さて今日は#5講義(組織行動論)

.
■前置き:組織行動論で何を学ぶか■

組織行動論=モチベーション理論と捉えがち。だが本当にそうかな?

例えば診断士「2次」でのモチベーションと言えば、

最後まであきらめない!

が有名。以下に「2次」受験生5,000名の構成比を推定。「あきらめる事態を予想して回避」が一枚上手なのは明白。だがそれでも合格率50%。

 

そうなる理由を仮定↓。

仮説:不合格者は合格者より実力が上

上の波形は「2次」受験者5,000名の実力正規分布、
下の波形は「2次」合格者1,000名の実力分布(仮説)を示す。 

この乱暴な仮定が正しい訳ではないが、

「2次」合否結果の不思議さを示す、仮説としてはアリ。

従いスト合格ビギナーズラックを逃すと、自分より実力が下の者に1年間後押しされる羽目。「自分は既に合格実力」と感じた方ほど、この先注意深く10/25(日)を迎えていただきたい。

知識は人を裏切らない。だが試験に「たまたま」合格するか否かは別問題。では「組織行動論」でモチベーションでなく何を学ぶか、ミシュラン評価。

.
■本題:重要度ミシュラン評価~#5日目■

組織行動論では、まずモチベーション理論を学ぶ。

まず一挙掲載。

論点 評価 一言で
#5 2組織行動論 モチベーション理論 ★★★
集団のダイナミクス ★☆☆
リーダーシップ論 ★★☆
組織文化と戦略的な組織変革 ★★★

ここで既にニヤリ。

第2章 組織行動論  
①モチベーション理論  
1モチベーション理論の全体概要 表P.150 モチベーション理論対応表(重要) B
2内容理論
1マズローの欲求段階説 ★重要1 S
(1)生理的要求 S
(2)安全の要求 S
(3)所属と愛の要求 S
(4)尊重の要求 S
(5)自己実現の要求 S
2アルダファーのERG理論
(1)3つの要求 A
(2)マズローの要求段階説との違い A
3アージリスの未成熟=成熟理論 A
4マクレガーのX理論・Y理論 A
5ハーズバーグの動機づけ=衛生理論 A
6達成動機説 A
3過程理論
1強化説 B
2公平説 B
3期待理論
(1)ブルームの期待理論 B
(2)ローラーの期待理論 B
4目標設定理論 B
4内発的動機づけ理論
1内発的動機づけ要因と外発的動機づけ要因 B
2職務特性モデル
(1)技能多様性 B
(2)タスク完結性 B
(3)タスク重要性 B
(4)自律性 B
(5)フィードバック B
②集団のダイナミクス
1フォーマル組織とインフォーマル組織 A
2連結ピン・モデル 図P.159 連結ピン・モデル  A
3グループダイナミクス
1集団の凝集性 A
2集団浅慮(グループシンク) A
4コンフリクト
1コンフリクトの発生要因 B
2コンフリクトマネジメントの方向性 B
③リーダーシップ論
1リーダーシップの機能
1リーダーシップの定義
(1)バーナードによるリーダーシップの定義 A
(2)リーダーシップの2つの側面 A
2リーダーシップの源泉
(1)報酬勢力 A
(2)強制勢力 A
(3)正当勢力 A
(4)準拠勢力 A
(5)専門勢力 A
3制度的リーダーシップ
(1)組織の使命と役割の設定 A
(2)目的の制度的体現 A
(3)制度の一貫性の防衛 A
(4)コンフリクトの処理 A
4リーダーシップとマネジメント
(1)リーダーシップ A
(2)マネジメント A
2リーダーシップ論の変遷
1リーダーシップの資質特性論 A
2リーダーシップの源泉行動類型論
(1)レビンのリーダーシップ類型論(アイオワ研究) A
(2)オハイオ研究 A
(3)ミシガン研究 A
(4)PM理論 A
 図P.167マネジリアルグリッド (5)マネジリアルグリッド A
3リーダーシップのコンティンジェンシー理論
 図P.168状況適合論 (1)フィードラー理論 A
(2)パス・ゴール理論(ハウスの目標―経路理論) A
4カリスマ的リーダーシップ論と変革型リーダーシップ論 B
④組織文化と戦略的な組織変革
1組織文化 ★重要2a 組織成長3兄弟 S
2組織学習 ★重要2b 組織成長3兄弟
1組織の発展プロセス S
図P.172組織学習 2低次学習と高次学習 S
 図P.172 組織学習サイクル 3組織学習への制約 S
3戦略的組織変革 ★重要2c 組織成長3兄弟
1戦略的組織変革への抵抗 S
2戦略的組織変革の遂行
(1)変革の必要性の認識 S
(2)変革案の創造 S
(3)変革の実施・定着 S

ではどこでどうニヤリとするか?S論点に注目。

□S論点 頻出+理解=2次論点□

S論点とは「2次」でも問われる、つまり理解して使いこなす知識。しょっちゅう出てきて自然に覚え、覚えた後から理解に進む。

モチベーション理論~内容説(ホワイトカラー向け)①
1マズローの欲求段階説 ★重要1


(5)自己実現の要求
(4)尊重の要求
(3)所属と愛の要求
(2)安全の要求
(1)生理的要求
→人間の要求(動機付け)を5段階に分け、一度上に行くと下がらないと説くのがマズロー。診断士試験上は、△モチベーション向上策を問うのでなく、○事例企業が何かヘマやらかしてる時の原因指摘に使う。 

Abraham Maslow
1908-1970
米国 心理学者 

モチベーション理論の暗記法~スピテキP.150「理論対応表」
マズローの欲求段階説を理解すれば、残りの理論はタテヨコ表の差分で暗記可能
.
・複雑な情報に直面したら、タテヨコ2軸の表を書く。
・基本となる理論を最優先で理解
・残りの理論をヨコに並べて串刺し比較。差分の理解を追加。
.
モチベーションならマズローの要求段階説、知的財産権なら特許法が基本。表は掲載しないので本屋で立ち読み、気に入ればスピテキ購入。

組織文化と戦略的な組織変革
1組織文化 ★重要2a 組織成長3兄弟
→環境変化に組織が対応し、成長するには「戦略的な組織変革」を絶えず行う。「どんな組織文化であるか」を観察するのが第一歩。

2組織学習 ★重要2b 組織成長3兄弟
・1組織の発展プロセス
・2低次学習と高次学習 図P.172組織学習
→組織は学習して進化。たまにイノベーション(スピテキP.70)で劇的進化。なお過去にイノベーションを起こした者が、既存の支持者のニーズに応えるため破壊的イノベーションに遅れをとるのが「イノベーション・ジレンマ」。

・3組織学習への制約 図P.172 組織学習サイクル
→組織で学習すると進化が早い。だがどこかで歯車狂うと進化が止まる。理屈は問われないので、「進化が止まる良くない状態」を軽くイメージ。

3戦略的組織変革 ★重要2c 組織成長3兄弟
・1戦略的組織変革への抵抗 
・2戦略的組織変革の遂行
(1)変革の必要性の認識
(2)変革案の創造
(3)変革の実施・定着
埋没コスト、既得権益、変革必要性を示す外部シグナルの排除、有能性のわな、追い銭心理。優良企業が思わぬ所でコケる失敗要因を、新聞やビジネス週刊誌も参考に、整理してストック。来年の今頃ここが超重要。

□A論点~頻出+暗記□

A論点とは、「2次」で直接問われることは少ないが、確実に知識を覚えておく論点。単語カードや語呂合わせなど、暗記テクニックも併用。

モチベーション理論~内容説(ホワイトカラー向け)②
2アルダファーのERG理論
(1)3つの要求
(2)マズローの要求段階説との違い
ERGとはExistence(存在)、Relatedness(人間関係)、Growth(成長)。マズロー5段階を3つに絞り、同時存在や並行があり可逆的。

3アージリスの未成熟=成熟理論
4マクレガーのX理論・Y理論
5ハーズバーグの動機づけ=衛生理論
6達成動機説
→未成熟⇔成熟の2段階がアージリス。怠け者⇔献身的がマグレガー。不満⇔満足がハーズバーク。他にマクレランド・アトキンソンが唱えたのが達成動機説。切り口違うが中身は同じ。外人の面構えとセットでとにかく暗記

集団のダイナミクス
1フォーマル組織とインフォーマル組織
2連結ピン・モデ
→会社における組織の構図の話。フォーマル=公の組織、インフォーマル=非公式なつながり。連結ピン・モデル=会社における課長の役割=上下左右の連絡係。

グループダイナミクス
1集団の凝集性
2集団浅慮(グループシンク)
→集団で行動する時、外部からの刺激は凝集性を高め成果を出すが、短絡的な意思決定に傾きがち。

リーダーシップの定義
(1)バーナードによるリーダーシップの定義
(2)リーダーシップの2つの側面
→集団がある一定数以上になるとリーダーの設置が必要。

リーダーシップの源泉
(1)報酬勢力
(2)強制勢力
(3)正当勢力
(4)準拠勢力
(5)専門勢力
→何か力があってこそリーダー。

制度的リーダーシップ
(1)組織の使命と役割の設定
(2)目的の制度的体現
(3)制度の一貫性の防衛
(4)コンフリクトの処理
→価値観を示し組織を率いるのがステーツマン(制度的リーダー)シップ。

リーダーシップとマネジメント
(1)リーダーシップ
(2)マネジメント
→変革するのがリーダー、運用するのがマネージャー。

リーダーシップ論の変遷
1リーダーシップの資質特性論
2リーダーシップの源泉行動類型論
(1)レビンのリーダーシップ類型論(アイオワ研究)
(2)オハイオ研究
(3)ミシガン研究
(4)PM理論
(5)マネジリアルグリッド 図P.167マネジリアルグリッド
→歴史の勉強。

コンティンジェンシー理論(状況適合論)
(1)フィードラー理論  図P.168状況適合論
(2)パス・ゴール理論(ハウスの目標―経路理論)
→状況に応じ、どうリーダーシップを発揮するかの判断もリーダーの仕事。

□B論点~理解論点□

B論点とはいわゆる日経新聞レベルの基礎知識。知識を覚えるというより、他の論点とのつながりや知識の使われ方を学ぶ。

過程理論
1強化説
2公平説
3期待理論
(1)ブルームの期待理論
(2)ローラーの期待理論
4目標設定理論
→内容理論(content theory)が成長・自己実現を求めるホワイトカラー向きとすれば、報酬が動機とするブルーカラー向けが過程理論(Process theory)

内発的動機付け理論
1内発的動機づけ要因と外発的動機づけ要因
2職務特性モデル
(1)技能多様性
(2)タスク間歇性
(3)タスク重要性
(4)自律性
(5)フィードバック
→成長でも報酬でもなく働いてくれる人の動機を説明するのが内発的動機づけ=仕事そのものの面白さ。

コンフリクト(葛藤)
1コンフリクトの発生要因
2コンフリクトマネジメントの方向性
→集団で行動すると、誰かが不満を言いだす理屈の説明。

コンティンジェンシー理論の比較(構造論⇔行動論)
4カリスマ的リーダーシップ論と変革型リーダーシップ論
→状況適合論は、構造論(バーンズ スピテキP.142)=変革型リーダーシップ、行動論(ハウス)=カリスマ的リーダーシップの2種。理解すると腑に落ちるが、試験上は理解は問われないのでスルー。

□C論点~おまけ論点□

C論点とは、他論点とつながらず独立したおまけ論点。日経新聞レベルの社会常識として知っておく。

該当なし

.

■考察:行動論でモチベーション以外の何を学ぶか■

S論点は理解。A論点はまず暗記。

S論点を理解するのは、「2次」で使い方まで問われるから。A論点が暗記で良いのは「2次」で問われにくいから。だが知識に反した頓珍漢解答を回避するため、「1次」のマーク式選択なら当るレベルまで確実暗記。

H25年事例Ⅰで例解。

第2問(設問2)
A社のオペレーターの離職率は、同業他社と比べて低水準を保っている。今後、その水準を維持していくために、賃金制度以外に、どのような具体的施策を講じるべきか。中小企業診断士として、100字以内で助言せよ。

→解答方向性は動機付け(モチベーション)。だが解答構成要素は△「モチベーションが上がる理由」でなく、○人事組織上の具体的施策。

第4問(配点15点)
A社では、ICTの専門業者に委託して構築した顧客データベースを活用している。しかし、そこで得られた情報は、必ずしも新商品開発に直接結びついていない。そうした状況が生じる理由について、80字以内で答えよ。

→環境変化に適応し、成長する為の組織変革(ここでは組織学習)に言及。

よって、組織行動論=オレのモチベーション!では理解甘々。モチベーションラブ組を尻目に、

組織3兄弟カード=「文化」「学習」「変革」をスッと差し出す。

.
■今日のまとめ■

モチベーション理論~リーダーシップ論までは皆が苦手論点。

それは自分の頭が悪いのでなく、知識を学ぶものの、実務で使う機会が少ないから。そこを突き、外人名カタカナ用語で嫌がらせするのが出題心理。

だがそこで、知識から逃げない。

理解できなきゃ暗記でOK(S論点=マズローと組織成長3兄弟(文化・学習・変革)を除く)。そう割り切ると、外人の面構えに妙に親近感。なお「組織論」における効率的な暗記法は来週紹介。ではまとめ。

・「1次」知識には得手不得手。だがそこで知識から逃げない。
・「2次」不合格者の実力>合格者実力と仮定すると、腑に落ちる。
・行動論知識は提案用でなく、事例企業がやらかすヘマの指摘に使う。
・行動論を学ぶ本質=組織成長3兄弟(文・学・変)と知るのが合格条件。

byふうじん



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