ゴールから逆算した二次試験のスケジューリング
勉強頑張ってますか?燃えてますか?
きりです
二次試験の勉強を始めた皆さんはもう数事例解いたころでしょうか。
「こんなの80分で解けっこない!」
と思う方ばかりですよね。。。
私も同じように思ってましたし、他の人もそう思ってます。
この試験はそんなもんだと思ってください。
今回は「ゴールから逆算した二次試験のスケジューリング」についてお話したいと思います。
でお話したように、
二次試験に関しては「どのような考え方で勉強するか」
というのが非常に重要だと私は考えています。
事例に対する考え方、や、二次試験に対する考え方について、
道場メンバーの気合の入った記事がここ最近いっぱいアップされてますので、
お読みになってない方はぜひ一度このあたりの記事もお読みください。
2次試験対策の「正解」はどこにあるのか~本質対ノウハウ論に決着を~ うみのさん
2次試験の目指す目標地点はどこ? なごさん
それでは本題に入りましょう。
本番までのスケジュールを立てるためには、ゴール(目標)を決める必要があります。
あなたの目標はなんですか?
試験に受かること?
診断士になって、活躍すること?
まぁ、人それぞれあるでしょう。
ただ、一次試験と違って科目合格がない以上、
みなさんの目標は「二次試験に合格すること」
以上の目標であることはほぼ間違いないですね。
二次試験に合格するにはどうすればいいのでしょうか。
各事例の総合計が60%以上かつ、一事例でも40%を下回らない。
この状態にもっていくことですよね。
要は得意科目があるならそこで荒稼ぎして、苦手科目を補う、という戦法は使えるわけです。
わけなんですが。。。
私は「安易にこの戦法をとること」は非常にリスキーだと思っています。
それはなぜか?
各設問ごとの点数がはっきり分析できていないからです。
つまり、どういう解答をすれば具体的に何点積みあがるかということはわかっていないからです。
例えば一次試験であれば、第1問が正解であれば4点入る、というように明確なので、
あなたが試験を受ける前に、「この科目が何点くらい取れるか」
過去問を解けば大体わかってしまうわけです。
しかし二次試験ではそれがわかりません。
そうである以上
みなさんが本試験を受けるまでに、何点ぐらいの実力があるか、ということを定量的に図る事はほぼ不可能なのです。
(予備校等で行われる模試で、何点とれてるから安心、というのはありません。本試験と同じ採点基準で採点されていない可能性が多いにあるからです。)
つまり、事例Ⅰは足きり回避で、事例Ⅲで荒稼ぎだ!
というのは単純に考えると難しいです。
ただ、ここで一つ例外があります。
事例Ⅳに関しては、正解がほぼわかります。
事例Ⅳに関しては、試験前に「どの程度の点数がとれるか」
ということを把握できるわけです。
なので、間違っても
「事例Ⅳが苦手だから、捨てて他で稼ごう」
などとは考えないでください。
事例Ⅳは6割とること、あわよくばそれ以上を目指してください。
というか、目指すレベルがわかるので、他の科目に比べ
勉強が非常~にやりやすいと思います。(まぁ私は超苦手だったので苦労しましたが)
じゃあ事例Ⅰ~Ⅲはどうすればいいんだよ!って話ですが、これに関しては、以下のように考えるべきだと思います。
あなたが試験委員だったら、どういう解答を望むか。
これを考えてみてください。
あなたがもし合格して、診断士の資格を活用するとするならば、
企業のコンサルティングを「中小企業診断士」として自分の「目」と「頭」を使って行うわけです。
試験委員はあなたを合格させることにより、あなたにその資格を与えるわけですね。
当然ながら、診断できそうにない人に資格は付与されません。
もうちょっと踏み込んで言うなら、
「解答用紙をみて、診断できそうに見えない奴」
は落とされますよね。当然。
では診断できそうにない人ってなんでしょうか。
①会社の実態を把握できていない人(分析できない人)
的外れな解答を書く人はこれに該当します。
あれだけ丁寧に与件の中に企業の概要が書いてあるにもかかわらず、
全然その企業に沿わない話をしてしまうと、社長から、
「このコンサル話全然通じてないやん!ちゃんと人の話わかってんの?」
と思われるでしょう。
②説明が著しく下手な人(報告できない人)
主語、述語がはっきりしていない、とか「○○だから○○である。」
といった因果がはっきりしない解答を書く人はこれに該当します。
なんか一応会社のことは把握してそうなんだけど、
「この人の説明めっちゃわかりにくいわ~。結局どうしたらいいの?」
と思われるでしょう。
③会社の今後を見据えた提案をしてくれたはいいものの、全く現実的に想像できないこと(提案できない人)
会社の繁栄のため、今後に関する提案をしてくれたはいいものの、
全然その会社にあってない、具体的でない、さらには突拍子もない提案をする人はこれに該当します。
各事例、ゴーイングコンサーンに向けて、提案を求める回答がありますが、
そこでその会社の実態にそぐわない提案をする人は、
「こいつに相談しても、今後の会社のためにはならんな。」
と思われてしまいますよね。
この仮説では①、②、③を完全にクリアした解答が100点近くの点数をもらえるわけですね。
そこで6割以上取れればいいと。
6割がどれくらいのレベル感か、というと
半分より少し上、ですね。
まぁ、「そこそこコイツは診断のいろはを理解しているな。」
という人が合格するってことです。
診断士の合格に求められているのは、正直こんなもんです。
学生時代のテストで、きちんと勉強しても6割とるのが難しい試験ってありましたか?
おそらくそんなに多くはないはずです。
この試験を難しくさせているもの・・・それは時間です。
80分という短い間で、企業の分析、報告、提案を行う。
時間は短いけど、6割の精度があれば合格だよ。
ってことなんです。
そして、80分で解答を書けるようになるには、
ノウハウが必要だし、トレーニングが必要ということですね。
ここで6割の解答がどんなものか見てみましょう。
これが即ちゴール、となるわけですね。
ここで例として、H26診断士2次再現答案_kiriを見てみましょう。
点数ですが
事例Ⅰ 66点
事例Ⅱ 73点
事例Ⅲ 68点
事例Ⅳ 66点
と、題材にするにはもってこいの点数です。
え!こんなの書けないよ!
というような高得点ではありません。
間違いもいっぱいあって、全く完璧な答案ではありません。
しかしこれくらい書ければ6割なんだよ、というのはわかるかな、と思います。
もしH26の事例を解いた方がいれば、あなたの答案と見比べてみましょう。
先ほどの①、②、③
つまり、①的外れでなく、②説明も分かりやすく、③具体的な、という観点から、
私の答案と比べてみてどうでしょうか。
足りないものが見えてきますか?
もし他に勉強仲間がいれば、ぜひ解答を見せ合って、批評してみてください。
あなたに足りないものが見つかるはずです。
そこで例えば具体的に、事例Ⅰに関しては特に的外れが多い、とか
事例Ⅲに関しては解答が全く思いつかない、とか、各事例の6割に足りないものが見えてきます。
本試験までの残り時間を、総合計6割かつ一事例も4割未満がない、という状態にもっていけるように、
按分して勉強のスケジューリングを行ってください。
また、これはおまけですが、私が本試験で使った問題用紙もよかったらご覧ください。
本試験80分の間で私がメモしたのがこの内容です。
解答手順等のノウハウに関しては、かなり詳しい説明を要するので、また次回としますが、
他の人が解いた問題用紙を見る機会はそんなに多くないと思うので、本試験をイメージするのにはいい題材になると思います。
少々文章が長くなったのでまとめると、
①事例Ⅳに関しては捨てずに6割、あわよくばそれ以上を目指す。
(苦手な人は毎日ノルマを決めてやりましょう。)
②事例Ⅰ~Ⅲに関しては、点数の付いた再現答案と、自分の答案を比較し、
自分の事例で6割に足らなそうな部分があれば、その部分を補填できる勉強を行う。
(複数の再現答案との比較ができればなおいいですし、自分の答案は客観評価してもらうのがなおいいと思います。)
また、上記の分析で文章の読み書き力が弱いな、と思った方、
このnicoさんの記事が非常に参考になります。
なお、個別の質問等もあるかと思いますので、遠慮なくコメント欄に書き込んでください。
頑張っているみなさんの合格を心より願っております。
きりでした。
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きりさん
お疲れ様です!
具体的な質問・回答の流れを切ってしまい恐縮なのですが,強く共感したところに関連してコメントさせていただきます。
きりさんの言われる2次試験合格答案の要件「①的外れでなく、②説明も分かりやすく、③具体的な」というのは,抽象的ながら一番重要なところかと思います。過去問を解いていく中で,この3要件を実感できた人から順番に受かっていくような気がします。
そして,②と③については常日頃の積み重ねに大きく依存していると思うのですが,①は試験時の心掛け次第で固めることができる要素です。(逆にいえば,試験当日に忘れていると大失点につながる)
ですので,各設問を読むときには「何について,どういう制約下で答えるのか」を示唆する個所についてはしつこく赤ペンで下線を引く癖をつけるようにしていました。
(この辺は,きりさんの直前のコメント「①設問文をチェックし,どういうことが問われるかを想起する」に含まれていることですが)
この時期の受験生の方には「何をいまさら」と言われそうですが,1次試験を突破して知識に自信がついてくると,「聞かれていること」ではなく「知っていること」を書きたくなってしまうことがあるので,特に気をつけないといけないなーと思います。
今後もきりさんの記事を楽しみにしています!頑張ってください!
しゅうさん
コメントありがとうございます。
メモを取ったフォーマットですが、私が考えたものではありません。
AAS名古屋で教えてもらったやり方です。もちろん私なりのアレンジを加えてますが。
具体的なやり方は改めて記事にしようと思ってますが、簡単に書くと、
①設問文をチェックし、どういうことが問われるかを想起する。(ここで沢山メモをとります。)この時解答骨子を作成する。(例えば、理由は何か?と聞かれていれば、理由は①~、②~、である。
というメモを書いておき、必ずそれにのっとるように解答する。)
②設問のチェックが終わったら与件文をザーッと一回読んで、概要を把握し、俯瞰的にみて大事そうなところを太ペンでチェックする。
③与件を細かく読み直し、細かいチェックを入れる。(ここでも沢山メモをとります。)
④設問、与件を呼んで考えた事例テーマ(この企業がどう進んでいくか)を書く。解答はこのテーマに則って行う。
⑤先ほど書いた解答骨子と事例テーマに沿った解答を問題用紙に下書き的に書く。
⑥全設問それがすんだら、解答用紙に清書する。
大まかに説明するとこんな感じです。
あとは何分までにこれをやって、あれをやって、というのも決めてましたし、試験を受ける前に何をやって、というのも決めてました。
これはまた記事で詳しく書きますね。
ともさん
コメントありがとうございます。
また、いつも見ていただいてありがとうございます。
ご質問に関してです。
私は合格までに2年かかっています。
一年目に関しては、答練、模試等を受けておりました。(TACに通っていました。)しかし予備校の模試等はキーワード採点によるものが多いため、あてにならないと思っていました。
教えてもらっていた講師の方は、点数はあまり気にしなくていい、というタイプの方だったので正直あまり覚えていません。が、決して点数はよくなかったです。
また一年目本試験のでき感(要は主観的な自己分析による点数)と、一年目の結果(CBAD)は、全くずれがありませんでした。
二年目に関しては全く答練や模試を受けておりません。(AAS名古屋の通信を受講しておりましたが、仕事が忙しく、中々答練のようなものをうけることができなかったのです。)
2年目の2次試験が終了したあとのでき感ですが、終わってすぐに「受かった!」と思いました。でき感も事例Ⅱ>事例Ⅲ>事例Ⅰ、Ⅳという感じだったんです。なので、点数を開示して全くその通りだったのでびっくりしました。
私の考えですが、点数のある再現答案に沢山目を通して、「どういう答案が高得点なのか」自分の頭で理解することが必要だと思います。
きりさん、こんばんは。
しゅうと申します。
問題用紙を拝見いたしました。
メモを取っておられるフォーマットは、ご自身で考えられたものでしょうか?
明後日の演習で使わせて頂こうと思います。
本質的かつ実践的なアドバイス、誠にありがとうございます。いつも参考にさせていただいています。
1点ご質問がございます。
きりさんが二次試験に向けて勉強をされていた際、
①答練や模擬試験に基づく予備校の採点
②過去問を解いた際のご自身の採点基準に基づく自己採点ベースの採点
の2つの採点に触れる機会がおありであったかと思います。
そこで、実際に本試験を受験し、成績開示請求の結果受領した点数と御自身の勉強中過程で触れた採点を比較し、どのような点数もしくは感覚の一致点・ギャップをお感じになられたかをご教授いただけないでしょうか?(いずれか高い・低い、予備校の採点や自己採点は、採点委員の採点は思ったより甘い、辛い等)
私は一度も本試験を受験をしたことがないため、本試験の採点感覚をざっくりでも感じたいと思い、ご質問させて頂いた次第です。