2次試験の取り組み方について(後半) ~自分自身をマイナーチェンジ~

 

なごです。

 

1次試験から3週間が過ぎようとしています。みなさんは今、どういった時間を過ごしているでしょうか。

 

予備校に通っている方は予備校の講師に、独学生の方は様々なサイトや書籍を見ながら、また会社や友人などで診断士の先輩がいるなら直接聞くことで、2次試験の情報を仕入れている時期でしょうか。実際の体験談などを聞きながらハードルの高さを改めて感じている時期かもしれません。

 

また過去問などに取り組む中で、解法に迷い、そして自分自身の非力を感じている時期なのかもしれません。

 

一生懸命問題に取り組み、時間はあっという間に過ぎていくものの、2次の勉強は1次と違い、自分自身に成長が感じられず、雲をつかむような手ごたえを感じにくい試験、そんな印象があるのではないでしょうか。

そんなモヤモヤ感は、これからしばらく続きます。少なくともストレート生の方たちは、2次試験のその日までにそのモヤモヤが吹っ切れるケースは、むしろまれだと思ったほうがよいでしょう。暗中模索の中で、でも前に進むべく努力を重ねていただきたいと思います。
さて先日、2次試験の取り組みについてざっとポイントを簡単に説明しました。今日はその後半。

まずはその時のおさらいを含め下記に列記しますね。

 

【試験時に取り組むこと】
1 与件文を読み事例企業を把握する
2 設問文を読み質問事項を把握する
3 質問事項に該当するポイントを探す
4 字数制限に合わせて文章にまとめる
5 解答用紙に書く

 

上記の作業手順を自分なりにマイナーチェンジ】

① 「ないじゅか」で作業を削る
②  弱点を補う作業を追加する

 

試験時に行うことは1-5番までの項目に沿って解答作成を実施していくだけです。でも80分という制約条件があるため、それが難しい。そのため過去問で本番に向けた訓練を行うわけですよね。でも能力が拮抗した受験生の中で、皆がほぼ同じ手順を踏む試験であるのにもかかわらず、合否を分ける必要があるため、少しばかりの訓練では解けないボリュームを作問者は準備している。

そのため受験生一人一人が、自分の能力を鑑みながら、さらなる時間短縮、さらなる効率化のために頭をひねるわけです。

また短時間ですので焦って解くことも多いですから、おのずとミスも出ます。たくさん出ます。そのため自分の弱点を把握しておき、試験当日、弱みが顔を出さないようにするための「仕組みを作る」ことも大切な作業の一つです。

 

今日はそんな内容について簡単に列記してみたいと思います。

 
4 字数制限に合わせて文章にまとめる
事例Ⅰ、Ⅱ、Ⅲで文字数制限は傾向がありますね。皆さん、すぐに答えられますか。事例Ⅰは100文字や120文字、まれに多くて150文字程度でしょうか。対して事例Ⅱは40文字、60文字など短いものも多く、また設問数も他の事例に比べ多いのが特徴です。逆に事例Ⅲは昨年で言うと160文字が2連続など、文字数の比較的多い設問が例年見受けられます。
文字数を見て、皆さんは何を思い浮かべますか。「多いな」「嫌だな」いろいろ考えると思います。でも感情論は置いておいて、文字数から回答を推測しましょう。
まず文字数を見て「100文字」「120文字」ときたら「解答に使うべきポイントは2つくらいかな」と推測します。だいたい50文字から60文字くらいで一つの「課題」や「問題点」を指摘するイメージを持ってください。「150文字」ときたら3つくらいのポイントでしょうか。反対に「80文字」ときたら「60文字よりは多いので(40文字)×(2つの話題)かな。2つくらいはポイントを探すけど、きちんとした説明まではいらないかな」と推測します。文字数だけで解答の構成要素を探す作業のレベル感を設定するのです。また「100文字」の時、探すべきポイントは一つだけど「原因」と「改善策」について答える場合もあるでしょう。そのように文字数から解答を構成する流れをあらかじめ定め、解答要素になりそうな項目を探しに行くと、意外にパズルのように見つかっていくことがあります。また「100文字」という文字制限の中で、2つくらい解答候補が見つかったら「この二つでなんとか解答を作れそうなので次の設問のキーワードを探しに行こう」、と次のステップに進むことも出来るわけです。

 
5 解答用紙に書く
答えのキーワードを見つけたら解答を書いていきます。ある程度キーワードが見つかった時点で、解答用紙にいきなり書ける人もいれば、私のようにほとんど解答と同じ文章を下書きしないと書けない人もいるでしょう。最ももったいない時間は「消しゴムで消す時間」です。これだけは必ず「ないじゅか」したい。そのため書くことは訓練をしましょう。私は上記のとおり、試験問題の余白に必ずほぼ写すだけの状態まで下書きを書きました。はっきり言ってほかの人から見たらもったいない時間ですが、きちんと書けない自信があった(笑)ので下書きしました。その代わり、常に20文字で折り返す訓練を徹底的にして文字数を数える時間は省きました。
あとよく言われることですが「採点者が読みやすい文章を書く」ことも極めて重要であると思います。字がうまいか下手かは誰しもあります。でもいろいろな人の文章を見ると「いつもパソコンだから字が汚くて当たり前」というように開き直って乱雑な字を書く人がいます。手い・下手」と「丁寧・乱雑」は似て非なるもの。もしドキッとする人がいたら、丁寧に書く練習を今からしましょう。意外に、丁寧に書いても乱雑に書いても、実際に書く時間はそんなに変わらなかったりします
また読みやすい文章という視点で言えば「文章に『。』が無く『、』ばかりでつなぐ」ケースも良く見受けられます。キーワードをなるべくたくさん埋め込んで部分点を取りに行く、そんな作戦もよく言われますが、そもそも読みづらい文章はいけません。どのくらい採点に影響しているかは分かりませんが、将来の診断士になる上でも、端的な言い回しで読みやすい文章を書く方が良いです
また同じ意味合いとして、「あれ」「それ」など文章中の指示語をできるだけ少なくしましょう。読んでいて何を指しているか分かりづらい文章になりがちですし、実際に示しているものについて、自分自身は理解していても、もしかしたら採点者が指示語の相手を読み誤るかもしれません。なるべく指示語は少なくしましょう。
さて。

今日の本題ですが、下記の二点となります。

 

 

 

【上記の作業手順を自分なりにマイナーチェンジ】

① 「ないじゅか」で作業を削る

②  弱点を補う作業を追加する

 

 

 

これらの作業を自分なりに精査することで、80分という短い時間を効率化し、最大限のアウトプット(解答)を導き出す。これから試験当日までに皆さん自身がどれだけ、解答テクニックに磨きをかけることができるか、そこが2次試験の一番のポイントでもあります。

 

 

 

① 「ないじゅか」で作業を削る 
よく言われるアドバイスとして、「与件文から読むのではなくて設問から読め」というのがあります。これも一種の「ないじゅか」ですよね。登場する事例企業の規模や商材はその時々により違いますが、登場する人物(事例Ⅰなら社長と社員、外部の企業のヒトは登場しませんでしたね)は、ほとんど事前に想定ができます。また企業の営みについても、「創業」があり「成長」があり「外部環境の変化による転機」が訪れ、「苦労(停滞期)」があるわけです。文章構成で言えば「起承転転」みたいな感じですね。ある程度の流れが読めているわけですから、具体的な解答のポイントについて設問文を先に見ることで事前に把握しておき、与件文に「キーワードを探しに行く」わけです。(単なる「与件文を読む」という工程を無くす)
その他にも「組織構造上の(平成26年事例Ⅰ)」「中途採用者を管理職に登用」のような、ちょっとしたキーワードに反応するくせをつけるなど、なるべく短時間で与件文から事例企業の全体像を把握できるような処理ができるよう、作業を削減してください。私も下書きをするため「ページをめくる」という作業を“なくす”ため、最初に問題冊子のホチキスを外しました。「使っていないキーワードを見つける」作業を“簡素化する”ために、使ったキーワードにはマーカーを引きました。(マーカーを引いていない部分は解答構成に使っていない部分が一目瞭然)そのように自分なりに作業を“ないじゅか”していくことを意識すると「自分なりのスタイル」が構築されるのです。これについては他の執筆陣の皆さんも今後、いろいろな形で記事をあげていくと思います。

 
② 弱点を補う作業を追加する
さて一番重要なところですね。あなたの弱点はどこですか?」

 

 

ここを多くの人が見逃しています。「少しでも早く解かなくては」「ああ時間が無い」多くの人が作業時間を短縮することに集中してしまうため、作業工程の“ないじゅか”には積極的に取り組みます。でも意識して作業の取捨選択を行わないと「必要な作業まで削減してしまい」結果的に自分の弱点を大きくしてしまいます。たまたま弱点を露呈することなく問題が解けると高得点ですが、穴にはまると大きく失点してしまう。点数の波が激しい、というケース(特にストレート生)はまさにこのパターンでしょう。

2次の勉強を始めて3週間がたちました。そろそろ自分の“解き方の棚卸し”してみても良いかもしれません。自分の弱点を「冷静に」見つめ、ちょっとした解答作成における作業工程のマイナーチェンジを検討してみてはいかがでしょうか

 

 

私は文章のストーリーを作るのがとても下手でした。具体的に言うと「論理に飛躍がある」「主語と述語がリンクしていない」という大きな欠点がありました。そのため下書きの時点で「論理の飛躍無く」解答を構成するため、文章の流れを意識してキーワードを抜き出していました。また実際の解答用紙に書く文章と全く同じ文章を下書きし、論理の飛躍が無いかざっと確認したうえで解答用紙に書き写していました。
しかしこのやり方は大幅に時間を消費するため、ほかの部分で“ないじゅか”出来る部分は徹底的に削減しました。

 

皆さん自身も解答を構成する上で“不安材料”必ずどこかにあるはずです。それを一つずつ具体的に消していく作業を意識して増やしてみることも大切かもしれません。人によっては「逆接の接続詞には必ずマルを打つ」「とってつけたような文章は注意する」などいろいろな作戦を持って本番に臨んでいます。単に人のまねをするのではなく「自分に何が足りないのか」を意識して本番に臨む準備をする、そんな取り組みを進めていただきたいと思います。

 

 

まだ時間はあります。ストレート生は階段を思いっきり駆け上がるのみです。
また多年度生の方、私がこの内容を書けるのは複数年勉強したからです。初学者の時はここまでは全く理解していなかったのが本音。2年目以降の方だからこそ、ここから大幅に伸びる、少なくとも私はそうでした。思いっきり最後のスパートをかけぬけてください。

 

 

皆さんの健闘をお祈りします。

 

 

なごでした。
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2次試験の取り組み方について(後半) ~自分自身をマイナーチェンジ~”へ2件のコメント

  1. なご より:

    Firebladerさん
    コメントありがとうございます。またこの前は大阪セミナーにご参加いただきましてありがとうございました。
    いろいろ実践していただいているようで大変嬉しく思います。
    これらのテクニック、思考回路の構築は残念ながら一朝一夕には完成しません。でも積み重ねることで確実に実力が蓄積されます。
    まずは努力し、試行錯誤しながら力を蓄えていってくださいね。応援していますよ。

  2. fireblader より:

    なご様

    先日の大阪セミナーに参加させていただき、いろいろアドバイスをいただきありがとうございました。
    過去問に悪戦苦闘しております。自分の弱点分析と改良に意識して取り組みしてみます。
    つい時間に追われ、焦って同じことの繰り返しになってしまっているので、意識して検証してみます
    事例4対策に教えて頂いた問題集届きましたので、こちらも何とか攻略したいと思います。

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